AIやディープラーニングが発展し生活に浸透してきている中で、AIエンジニアを目指すべく資格取得を励む方が増えています。しかしおなじAI資格「G検定」や似た名称の「E検定」といったものも混在していることから、何がどう違うか困惑する方も多いでしょう。
今回の記事ではE検定やG検定との違いをはじめ、E資格の概要や難易度、メリットや学習方法も詳しくご紹介します。本記事を読むことでそれぞれの資格の違いやE資格合格に必要な知識がわかるので、ぜひ参考にしてください。
E資格とは?
E資格は、日本ディープラーニング協会(以下JDLA)が運営するAIエンジニア向けの資格です。AIの基礎的な部分よりも、エンジニアや技術者に向けた問題が多く出題されます。
確率・統計や情報理論といったやや難解な分野が含まれるほか、強化学習や深層学習の実装など、より技術者よりの実践的な内容が網羅されています。概要を一覧にまとめたものが以下のとおりです。
主な試験の目的 | ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する知識や能力を有しているかを認定する |
試験会場 | オンライン(CBT形式) |
出題範囲 | 確率・統計 情報理論 機械学習の基礎 実用的な方法論 強化学習 畳み込みネットワーク 回帰結合型ニューラルネットワークと再帰的ネットワーク 生成モデル 深層強化学習 ほか |
合格率 | 約65~70% |
受験費用(税込) | 一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 |
受験条件 | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
運営元 | 一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA) |
E資格は日本電気協会「E検定」とは別物
E資格と似た名称で「E検定」がありますが、両者はまったくの別物です。E資格はAIエンジニア向けである一方「E検定」は電気・電子系技術者のスキルを測るものという位置づけだからです。
E検定は電気・電子系技術者育成協議会が運営する民間資格で、電子回路や電気回路、コンピューター設計・計測といったエレクトロニクス関連技術者としてのスキルを証明できます。「エンジニア向け」という点は共通しているもののWebやAIとは関連性が低いので注意が必要です。
G検定やE検定とE資格の違いは?
E資格はよく同じAI資格「G検定」や、名称が似ている「E検定」と混同されがちです。ここでは「E資格」「G検定」「E検定」3つそれぞれの違いについて見ていきます。
E資格 | G検定 | E検定 | |
運営会社 | JDLA(日本ディープラーニング協会) | JDLA(日本ディープラーニング協会) | 電気・電子系技術者育成協議会 |
目的 | ・ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する。 | ・ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する。 | ・電気・電子系技術者の幅広い知識・スキルを測定する。 ・電気・電子技術者がより幅広い知識を継続的に身につけるきっかけにする。 |
受験者対象 | ・AIエンジニア ・AIエンジニアを目指す人 ・スペシャリスト向け | ・AIを扱うビジネスマン ・ジェネラリスト向け | ・電気・電子機器関連事業に従事するビジネスマン ・電気・電子技術者への就職や転職を狙う会社員・学生 |
受験形式 | オンライン(CBT形式) | オンライン(CBT形式) | オンライン(CBT形式) |
出題範囲 | 確率・統計 情報理論 機械学習の基礎 実用的な方法論 強化学習 生成モデル 深層強化学習 ほか | 人工知能(AI)の概要 現代における人工知能の傾向 機械学習の手法の具体例 ディープラーニングとは ディープラーニング手法の具体例 統計数学 ほか | 電子回路 デジタル 電気回路 電磁気 半導体 実装 信頼性設計 計測 コンピュータ |
試験時間 | 120分 | 120分 | 65分 |
問題数 | 100問前後 | 220問 | 全分野コース:100問 基本分野コース:64問 |
合格率 | 約65~70% | 約65% | 65%前後 |
受験資格 | JDLA認定プログラム講座を修了している方 | なし | なし |
受験料 | 一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 | 一般:13,200円 学生:5,500円 (両者とも、2年以内の再試験の場合は半額) | 一律11,000円 |
受験者対象
E検定はエンジニアや技術者といった「AIのスペシャリスト」向けで、G検定はAIを現場や実務で有効活用するためのスキルを身につける「ジェネラリスト」向けの資格です。
そしてE検定は現役の電気・電子機器関連従事者や、その分野への転職を狙う会社員・学生に向けた内容となっています。
受験資格の有無
「G検定」「E検定」には受講資格がありませんが、唯一「E資格」にのみ「JDLA認定プログラム講座の修了」という条件があります。E資格はこのプログラムの受講に15~40万ほど必要で、加えて受験料も他の2つに比べて高額なので受験の際にはまとまったお金が必要なのがネックです。
プログラム受講料の幅が広いのは講座の種類によって金額や内容が異なるからです。以下の記事が参考になるので、興味のある方はご一読ください。
E資格の合格率・難易度
E資格の合格率は、約65~70%程度となっています。約半数が合格していることになるので簡単と思われがちですが、決してそうとはいえないのが現状です。
E資格の受験者は現役エンジニアなど同業者が多くなっているからです。逆に約半数の35%程度の方は未経験者や異業界出身者なので、合格率に惑わされないよう注意しましょう。
E資格を取得するメリット
E資格を取得するメリットはさまざまですが、ここでは以下の3つに絞ってご紹介します。
- 将来性のある成長市場で働ける可能性が上がる
- 年収アップを実現しやすくなる
- 合格者限定のコミュニティでさらに知見が深まる
将来性のある成長市場で働ける可能性が上がる
AI分野は現在進行系で需要が高まっており、ITのみならず金融や医療、飲食や製造、スポーツやゲームなどじつにさまざまな業界で活用が進められています。それに伴いAIエンジニアの需要もどんどん上がっているのが現状です。
E資格は「AIエンジニアや技術者に必須の知識とスキル」を証明できます。今後のさらなる成長が見込める業界で、重宝される人材として働けるのは大きなメリットでしょう。
年収アップを実現しやすくなる
資格をもつことによって権威性が生まれ、給与交渉を有利に進めることが可能になるため年収アップにも有効です。
また企業によっては資格取得者に向け、奨励金や特別手当といった制度を設けている場合も珍しくありません。さらに人材価値も高まるため、キャリアアップ転職の成功率が上がることも理由として挙げられます。
合格者限定のコミュニティでさらに知見が深まる
E資格およびG検定に合格すると「合格者限定コミュニティへの参加権」が得られます。このコミュニティは「CDLE(シードル)」と呼ばれるもので、AIに関する最新の技術動向などの情報共有や学習サポート、資格保持者や有識者どうしの交流イベントなどが開催されています。
JDLA公式コミュニティ「CDLE」については、以下の記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
E資格の取得に必要な勉強時間
E資格の取得に必要な勉強時間は、おおよそ100~300時間とされています。Study-AI社が2021年1月のE資格受験者に対して行ったアンケートでは、勉強時間について以下のような結果となっています。
100~200時間 | 45.59% |
200~300時間 | 42.65% |
300~500時間 | 8.82% |
700~1000時間 | 2.94% |
100~200時間、また200~300時間と答えた方が8割以上となっています。事前知識の有無や学習方法で異なるものの1日3時間の勉強でも3ヶ月以上かかると見込んで学習を行うのがいいでしょう。
効率よくE資格を取得するための学習方法
この章では、E資格をなるべく効率よく取得するための方法として以下の3つをご紹介します。
- インターネットや動画で体系的に学ぶ
- アウトプットしながら書籍やテキストで深掘りする
- E資格を学べるWeb講座を活用する
インターネットや動画で体系的に学ぶ
まずはインターネットや動画を活用して、大まかな概要や基礎的な部分を体系的に把握しましょう。具体的には、以下のようなものです。
- E資格がどのような資格か
- どのような方向けか
- どういった問題が出題されるか
- 過去にどんな問題が出題されたのか
E資格の動画教材が充実していたり、簡易的な過去問題なら無料で実施できるサイトもたくさんあります。インターネットを用いたE資格学習については、以下の記事も参考にしてください。
アウトプットしながら書籍やテキストで深掘りする
インターネットや動画を用いた学習が終わったら、アウトプットを行いつつ書籍やテキストで深掘りしましょう。
アウトプットというのは「過去問題演習をベースに学習を進める」ということです。闇雲にインプットを徹底したところで、目的やゴールが見えなくなりがちだからです。
たとえ回答がわからなくても過去問題を何度も繰り返すことで、出題の方向性や共通点が掴めるうえ、自分が苦手な部分が具体的にわかります。過去問題でアウトプットを行いながら、つまずいた部分を書籍やテキストで都度深掘りしていきましょう。
E資格を学べるWeb講座を活用する
E資格の学習により効率を求めるのであれば、Web講座を活用するのもおすすめです。初心者でもわかりやすく挫折しにくいカリキュラムが用意されているため、スムーズに学習を進められます。
AI研究所が運営する「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」では、4日間に凝縮された短期集中講座で基礎から実践的な部分まで余すところなく学習可能です。加えて専門のスタッフが徹底サポートしてくれるなどフォロー体制も万全であることから、修了率99%以上、E検定合格率83.3%の実績を誇ります。
受講形式も会場受講、ライブウェビナー、eラーニングの3種類から選べ、最安のeラーニング受講であれば今ならトータル76,780円で受講可能。サポートの質とスピード感、そしてコスト面などバランス型の講座を探している方におすすめです。
まとめ
E資格、G検定、E検定には、それぞれ以下のような違いがあります。
- E資格:AIエンジニアおよび技術者を目指す方向け
- G検定:AIを実務で活用するジェネラリスト向け
- E検定:電気・電子系技術者を目指す方向け
E資格とE検定は名称が似ているものの、根本的にジャンルがまったく異なるので注意が必要です。また、まったくの未経験からAIを学びたい方であればG検定、AIエンジニアとしてより技術的な知見を深めたい方はE資格がおすすめです。
ご自身のレベルや目的、そして資格の難易度をしっかり確認のうえ、身の丈に合った資格に挑戦して段階的にステップアップしていきましょう。