日本ではSNSの普及率が8割超えであり、その中でもInstagramはLINEやYouTubeに続き3番目に多い利用率です。2024年7月の時点では、日本国内の月間利用者数が6,650万人とされています。
Instagramは個人で発信する他、商品の発見や広告配信としても利用されています。昨年、Instagramを運営するMeta社(元Facebook)が開発者向けカンファレンスを開催し、AIに関する発表がありました。
その中で、今後Instagramなどに搭載される生成AI機能が明らかになりました。今回は、Instagramに搭載される生成AIの特徴とChat GPTとの違い・できることをご紹介します。
Metaが発表した生成AIとは?
2023年9月に行われた開発者向けカンファレンス「Meta Connect 2023」では、Metaが独自開発した生成AIの発表がありました。
発表された主な生成AIは、オープンソースの大規模言語モデル「Llama2」とLlama 2と画像生成モデル「Emu」を組み合わせてカスタムされた対話型のチャットボット「Meta AI」になります。
Meta AIの概要
Meta AIは、InstagramやMessenger・WhatsAppの他、カンファレンスで発表されたVRヘッドセットMeta Quest 3やRay-Ban Metaスマートグラスでも利用可能です。
Metaでは、Meta AIをバーチャルアシスタントと呼んでおり、ユーザーの生活をより便利にすると発表しています。現在は米国でβ版を利用できるようですが、本格導入される日も近いようです。
Meta AIとChatGPTとの違い
対話型言語モデルとして有名な生成AIにChat GPTがありますが、Meta AIではChat GPTにはない以下の機能があります。
- 有料会員だけに限らず誰でもチャット画面で画像生成が可能
- Microsoft社のBingを介してリアルタイムの情報も提供
Chat GPTを運営するOpen AI社では画像生成AI「DALL-2」を提供していますが、連携はされていません。ChatGPT Plusでは進化版の「DALL-3」が利用可能ですが、有料になります。
また、ChatGPTでは2021年9月までのデータを元に学習されており、最新の回答を得ることが難しいというデメリットがありました。ChatGPT Plusでは、Web検索して回答を生成する機能がありますが有料です。
Meta AI | Chat GPT | Chat GPT Plus | |
チャットで画像生成 | ◯ | ー | 有料 |
最新情報取得 | ◯ | ー | 有料 |
Chat GPTの各機能についてはこちらの記事で解説しています。
生成AI搭載!Instagramでできること
生成AIが搭載されたInstagramでは、以下のような様々な機能が追加されます。
- ダイレクトメッセージに対するメッセージや返信内容を提案する
- フィード投稿を編集する
- 横長の画像を縦長に変換しストーリーズでシェアできるようにする
- 購入を検討している商品や関連アイテムを簡単に発見できる
メインとなるAI機能を具体的にご紹介します。
AIチャットにリールを導入
Meta AIにおすすめのスポットを尋ねるなどやりとりした会話で生成したコンテンツをリール(ショート動画)で共有することができます。
AIスタンプ
アプリのテキストボックスに、作成したいスタンプのイメージを入力すると数秒でスタンプを何点か生成する機能です。画像生成にはMetaの画像生成モデル「Emu」を活用しています。
オリジナルのステッカーが作成できるため、LINEなどでスタンプを多く使い会話する事が多い方には魅力的でしょう。現在は一部の英語圏ユーザーのみで利用できますが、今後はInstagramの他にMessenger・WhatsApp・Facebookでも展開される予定です。
AI画像編集
AI画像編集では、「Restyle」と「Backdrop」という2つの機能が搭載されます。AIスタンプ同様、Metaの画像生成モデル「Emu」を活用しています。
テキストボックスに簡単な説明を入力する事で画像変換が可能で、背景の変更・新規画像の挿入・作画変更といった編集が可能です。従来のように、Instagramとは別に画像編集アプリを使用する必要がなくなり、Instagram内で完結できるようになるのは、ユーザーにとって朗報だと言えるでしょう。
Restyle
元になる画像に、作成したいビジュアルのイメージの説明をテキストで入力すると、その指示を元に編集した画像を作成する事ができる機能です。例えば、子どもを抱いた写真に「水彩画」や「新聞のコラージュ」のキーワードを追加することで、水彩画風の画像やコラージュ風の画像に編集できます。
Backdrop
画像の被写体にある背景を変更する機能です。Backdropでは物体の境界線を特定するMetaが開発した「Segment Anything Model」を採用しています。
花が背景の画像に「海を楽しむ私」とテキスト入力すると花の背景が海に変わり、元の被写体と結合した画像を作成することができます。
Reimagine
グループチャット内で画像を生成・共有した際に、他のユーザーがその画像を長押しして、追加したいイメージの説明をテキスト入力する事で、その内容を反映した画像を生成します。生成AI画像がユーザーにより変貌を遂げる事でチャットで盛り上がれる事でしょう。
Instagramの他には、Messengerでも利用できます。
キャラクターAI
Meta社は「単に質問に回答するだけのAIを作りたいわけではない」としており、実在するタレントやインフルエンサー・スポーツ選手などを含む28人のキャラクターを用意しています。それぞれユニークな個性があり、料理長のキャラクターのAIアシスタントに料理のアドバイスをチャットでしてもらうなども可能です。
各キャラクターは、InstagramとFacebookのプロフィールを持っており、どのような人物かを調べる事ができます。アプリ内では「@Meta AI」などと呼び出して会話できるようです。実在する人物では、テニスプレイヤーの大坂なおみ選手が「アニメ好きのコスプレイヤー」を演じていたり、パリス・ヒルトンが「探偵」を演じています。
実在するキャラクターと会話ができるため、親しみやすさが持てるのも魅力でしょう。
AI Studioでは自分でキャラクターが作れる!
Meta社では企業向けとしてAI StudioというキャラクターAIで登場するようなAIを第三者が作成できるプラットフォームを展開する予定です。コーディングの知識がない人でも自身の人格を再現したAIチャットボットが作成できるようになります。
企業のアカウントで活用すれば、従来のような機会的な対応ではなく、より自然な対応が可能になるでしょう。将来的には、誰もが自身でAIを作成できるサンドボックスを提供する予定のようです。
さらに、Meta社のSNSで利用できるチャットボットを作成できる「API」も提供予定との事で期待ができるでしょう。
Instagram上で生成AI利用開示を義務づけるポリシー
MetaはInstagram上などで社会問題や政治に関する広告をAIで作成した際に、AI利用の開示を義務づけるポリシーを更新しました。対象となる広告は以下になります。
- 実在する人物が発言・実行していない事をAIで発言・実行している様子を描写する
- 実在しない人物や実際に起きていない出来事をAIを用いて改変する
- 実際に起きた出来事に関して、実際の画像や音声以外のコンテンツを用いる
画像サイズの調整やトリミング・色補正など、広告内での主張や問題に直接的に関わらない改変においては開示は不要です。Meta社では、生成AIが作成した画像が人間が作成した画像と判別するために、AIによって画像生成された事を示す仕組みを整える予定です。
画像に目に見えない電子透かしを入れる機能を実装するという発表もありました。
また生成AIを利用する際の著作権の問題についてはこちらの記事で解説しています。
広告主向け生成AI「AI Sandbox」
Metaでは、Instagramなどを利用する一部の広告主向けに生成AIの機能を体験できるテスト環境を提供しています。生成AIを活用した広告ツールや機能をテストしながら、自社にとって何が効果的であるかを把握できるだけでなく、簡単にツールが利用できることが目的です。
AI Sandboxでは以下の機能が利用できます。
- テキストの複数バリエーション
- 広告画像の背景自動生成
- アスペクト比(画像の比率)を調整した画像の自動生成
テキストバリエーションでは、特定のターゲットに対する強調したい点を盛り込んだ広告文を複数作成することで、様々なメッセージが試せます。アスペクト比を調整した画像の自動生成は、リールやストーリーズなど様々な広告フォーマットで対応可能になるでしょう。
複数の画像サイズを利用する際に、アスペクト比を合わせる必要がないため、手間や時間を省くことが可能です。現在は、広告主からのフィードバックを元に今後機能の一部が追加されるようです。
AI Sandboxにより、広告内容を魅力的なテキストやビジュアルに改善することができるでしょう。Metaは、AIを活用した目を惹く広告生成のサポートをしていくと予想されるため、今後の広告運用に活用することも可能です。
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Meta AIの登場でInstagramがより楽しくなる
今回は、Instagramに搭載される生成AIの特徴とChat GPTとの違い・できることをご紹介しました。Instagramに搭載予定のMeta AIは、話題になったChat GPTとは異なる独自の特徴を持った生成AIです。
Instagramでの本格導入が開始されたら、今後も多くのAI機能が搭載される事でしょう。今後はInstagramで最新のAI技術を体験できるため、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。