現代では、色々なところでDX化が推奨されています。しかし、DXとはそもそも何なのか、よくわかっていないという人もいるのではないでしょうか。
今回はそのような人に向けて、DXの意味やメリットなどを例を交えて分かりやすく解説していきます。
DXの意味とは?
DXとは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」を略した言葉です。
要はデジタル技術を活用して、仕事や人々の生活などの社会を変えることを意味します。
ビジネスシーンでは、デジタル技術の導入によって、企業内の環境を変える、技術革新を行うといった意味で使われます。DXの正式な読み方は「デジタルトランスフォーメーション」ですが、そのまま「ディーエックス」と読まれることが多いです。
また、DXという言葉には、すでに「変化させること」という意味が含まれていますが、分かりやすさを重視したり、前後の文脈と合わせたりするために、「DX化」という言葉が使われる場合も少なくありません。
デジタル化やIT化との違い
DXは、デジタル化やIT化という言葉と混同されやすいです。いずれも、デジタル技術を導入する点は共通しています。ただ、デジタル化は単に、デジタル技術を取り入れることでしかありません。IT化は、デジタル化の中の情報技術に限定したものです。そのデジタル化やIT化の結果として、何らかの変化を起こすことがDXです。DXとデジタル化やIT化には、変化の有無という大きな違いがあるので、別物だと考えておきましょう。
DXの意味については以下の動画でも詳しく紹介していますのでこちらも参考にしてください。
具体的なDXの事例4選
DXはさまざまなものがありますが、事例を見ると一気に理解することができます。
ここでは具体的なDXの事例を紹介していきます。
1.工場の完全自動化
分かりやすいDXの例としては、工場の完全自動化が挙げられます。工場で製品を作る場合、基本的には人が機械を操作しなければなりません。しかし、DXで機械をデジタル制御できるシステムを導入すれば、人の操作を必要としない、完全な自動化を実現できます。また、工場全てではなく、工程の一部をシステム制御で無人化できる場合も、DXといえます。そして、より高度なDXであれば、製造する製品の数や、製造する順番をコンピュータが決めるということも可能です。
2.電子タグを使用した製品管理や精算
電子機器での読み取りができる電子タグの導入も、代表的なDXです。たとえば、工場内で人が製品管理をしていたとします。そこに電子タグが自動で読み取られる仕組みを導入すれば、人が介入せずに製品管理ができるというDXとなります。また、小売店などのレジ作業をDX化するために、電子タグを取り入れることも可能です。従来の方法だと、従業員がレジスターを使わなければなりません。電子タグであれば、顧客が購入する商品を、機械が自動で読み取り、そのまま精算が可能です。そのため、レジスターを使用する従業員は必要なくなります。
3.AI分析を用いたマーケティング
ビジネスシーンでは、顧客のニーズや売れている商品などを調査する、マーケティングが重要です。従来のマーケティングでは、人が様々な情報を分析しなければなりません。しかし、現代のマーケティングだと、AIを使用してDX化できます。人工知能であるAIは、人の何倍ものスピードで、大量の情報を分析することが可能です。そして、マーケティングの精度は、分析する情報が多ければ多いほど高まります。そのため、AIを使ってDX化したマーケティングは、高い精度が期待できます。また、AIは放っておいても自動で分析してくれるため、マーケティングを担当する人の負担を減らせます。
4.チャットボットを使った顧客対応
ビジネスでは、顧客からの問い合わせに対応しなければならない場合も多いです。対応は基本的に、人のスタッフが担当します。そのスタッフの代わりに、チャットボットというツールを導入して、DX化することが可能です。チャットボットは、AIが自動で問い合わせ対応をしてくれるデジタルツールです。高度なAIであれば、難度の高い問い合わせにも対応できます。そのため、問い合わせ対応のスタッフの負担を減らせます。また、人が対応することが難しい、深夜の問い合わせにも使えます。
DXの活用事例や学習方法などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
DXを始める意味
DXは、コストや手間がかかるため、決して簡単ではありません。けれど、そのコストや手間をかけるだけの意味があります。具体的にどういった意味があるのか、確認していきましょう。
生産性を向上するため
デジタル機器の中には、人よりも効率的に稼働できるものが数多くあります。そういった機器に業務を任せると、短時間で作業を終わらせられます。そして、必要ない人手を省くことで、人件費の削減が可能です。そのように、より短い時間、より少ないコストで利益を出すという、生産性の向上を実現できることは、DXを始める大きな意味となります。
トラブルを防ぐため
人が作業をする場合、どうしてもミスは避けられません。そして、ヒューマンエラーがきっかけとなり、大きなトラブルが発生する可能性があります。それに対してデジタル機器は、ヒューマンエラーを起こしません。そうして、重大なトラブルを未然に防げるというのも、DXを進める意味と言えるでしょう。
デジタル社会に対応するため
デジタル社会に対応するためというのも、DXを始める大きな意味です。世の中にはすでに、デジタル技術が広く浸透しています。一般の消費者はパソコンやスマートフォンなどから情報を集め、企業同士はデータを使った取引をすることが多いです。よって、デジタル技術を取り入れなければ、消費者や取引先から見放されてしまうかもしれません。そういったことにならないためには、DXが欠かせません。
簡単なDXの始め方
DXの中には、大量の資金を必要とする、大掛かりなものもあります。しかし、簡単に始められるDXも少なくありません。その始め方の例を2つ紹介します。
紙の書類を電子データ化
簡単に始められるDXとして代表的なのは、書類の電子データ化です。紙の形式の書類をスキャンしたり、カメラで撮影したりして、画像データとして保存するだけでも十分DXと言えます。また、紙の帳簿に書かれている内容を、表ソフトに入力するという方法もあります。より高度なDX化をしたいのであれば、紙に書かれている文字や数字を、画像ではなく文字データとして取り込む、OCRという技術を使用すると良いでしょう。その場合は、スキャンした画像データを、OCRソフトで処理する形になります。いずれの場合も、ペーパーレス化を実現できるため、新しく書類用の紙を購入するコストを削減可能です。そして、書類を管理するスペースが少なく済む、情報が検索しやすくなるといったメリットもあります。
WEB会議の導入
ビジネスシーンのあらゆる場面で行われている会議を、オンライン上で済ませるWEB会議の導入も、比較的簡単なDXです。参加者が会議室に集まる必要がないので、スケジュール調整がしやすく、欠員が出にくいというメリットがあります。WEB会議を用いたDX化は、WEB会議サービスを利用するだけで実現できます。基本的には、WEB会議サービスの契約を結び、パソコンやスマートフォンなどにソフトをインストールする形です。中には、ブラウザを使って会議を行うサービスもあります。いずれの場合も、インターネット上に作成した会議室に参加者がログインすれば、音声や映像でのやり取りができるようになります。そして、会議で使用する書類を、端末のディスプレイ上に表示するようにすれば、ペーパーレス化の実現も可能です。
ビジネスでは避けて通れないDX化
現代のビジネスにおいて、DXは非常に重要な存在となっています。DX化を進めるかどうかで、ビジネスの将来が決まると言っても過言ではありません。そのため、DXがよく分からないというのは、非常に危険です。したがって、DXに関するひと通りのことは、知っておきましょう。