【2024】金融DXとは?現状の課題・成功事例・注意点をご紹介

2024年現在、金融DXは業界全体で急速に進行しており、多くの企業がデジタル技術を活用して業務の効率化や顧客サービスの向上を図っています。しかし金融DXの推進には様々な課題も存在するうえ、導入に伴うポイントや注意点がわからないという方は少なくありません。

本記事では、金融DXの現状とその課題、成功事例、そして導入時の注意点について詳しく解説します。「金融機関がどのようにしてデジタル化を進め、競争力を維持しているのか」を知りたい方にとって有益な情報となっていますので、ぜひご一読下さい。

金融DXの概要

金融DXとは、通常のデジタルトランスフォーメーション(DX)を金融業界に適用したもので、業務効率化、顧客体験の向上、新たなビジネスモデルの創出を目指します。

AIやブロックチェーンなどの先端技術を活用したリスク管理やデータ解析、デジタルバンキングの導入なども含まれており、競争力強化と持続可能な成長のために不可欠なものとして、業界全体で急速に進められています。

金融DXの概要を一覧にすると、以下のようになります。

目的金融業界でデジタル技術の活用し、業務改革と効率化を図る
主な技術/ツール
  • AI(人工知能)
  • ブロックチェーン
  • ビッグデータ分析
  • クラウド
  • IoT

など

得られるメリット
  • 顧客サービスの質向上
  • 顧客満足度向上
  • リスク管理の強化
  • 業務コスト削減
  • 業務効率の向上

など

現状の課題
  • セキュリティ
  • レガシーシステムの統合や連結
  • 法規制
  • スキルギャップ
  • 競合他社の参入

など

金融DXの現状の課題とは

金融DXの現状の課題には、大きく以下のようなものが挙げられます。

  1. レガシーシステムの増加
  2. 競合他社の増加
  3. 仮想通貨・暗号資産の登場

それぞれ順を追って解説します。

課題①レガシーシステムの増加

金融DXにおける現状の課題の一つは、レガシーシステムの増加です。多くの金融機関は長年にわたり使用してきた古いシステムを依然として運用しており、新しいデジタル技術との統合が困難なのが現状です。

このためシステム更新やデータ移行のコストと時間が増加していることが、DX推進の障壁となっています。同時にこれは、セキュリティリスクや保守性の低さにもつながっています。

課題②競合他社の増加

金融DXにおける現状の課題の一つは、競合他社の増加です。ネット証券会社やPayPayをはじめとする電子マネー会社の台頭に加え、メルカリやLINEなどの大手企業も金融事業に参入しています。

これにより伝統的な金融機関は競争が激化し、従来のビジネスモデルでは市場シェアの維持が困難になっています。

課題③仮想通貨・暗号資産の登場

金融DXにおける現状の課題の一つは、仮想通貨・暗号資産の登場です。仮想通貨は今後のメイン通貨になる可能性があり、これに伴う市場の変化に対応する必要があります。

さらにブロックチェーン技術の導入を検討している金融機関もいまや多数存在し、既存のシステムやサービスに対する革新が求められます。

金融業界が実施すると良いDX案

金融業界が実施すると良いDX案

金融業界が実施すると良いDX案を、以下のとおり紹介します。

  1. クラウド導入による業務刷新・コスト削減
  2. AIなどの最新技術導入による定型業務の効率化
  3. IoTを活用した新たな投資基準

DX案①クラウド導入による業務刷新・コスト削減

クラウド技術を活用することで従来のインフラ管理や運用コストを大幅に削減しつつ、柔軟でスケーラブルなサービスを提供することが可能となります。

クラウドはリアルタイムのデータ分析や顧客サービスの向上にも寄与し、コスト削減や市場の変化に対応できる環境だからです。

DX案②AIなどの最新技術導入による定型業務の効率化

AIを活用することで顧客サポートやデータ分析、リスク管理などの業務を自動化し、人的リソースをより戦略的に活用できるようになります。

とくに自然言語処理や機械学習を駆使したAIなどを導入すれば、顧客とのコミュニケーションの質の向上や、迅速なデータ解析が可能となります。

DX案③IoTを活用した新たな投資基準

IoT技術を活用することで物理的なデバイスやセンサーを通じてリアルタイムで得られるデータを分析し、投資判断の基準とすることが可能です。

これによって従来の投資判断に比べより客観的で具体的な情報をもとにした柔軟かつ的確な判断が可能となり、投資運用の効率化やリスク管理の向上が期待できるでしょう。

なお、以下の記事ではDXに必要不可欠な技術について詳しく紹介しています。興味のある方はぜひご一読下さい。

【2024】DXに不可欠な技術7つとは?活用事例や成功のコツも解説

金融DXを実施するメリット

金融DXを実施するメリット

金融DXを実施するメリットとして、以下の3つに絞ってご紹介します。

  1. 現代ユーザーへ効果的なアプローチできる
  2. 業務生産性および効率性の向上
  3. 時代の流れに柔軟に対応できる

メリット①現代ユーザーへ効果的なアプローチできる

金融DXを実施するメリットの一つは、現代のユーザーに対して効果的なアプローチができることです。

現代のユーザーニーズは限りなく多様されていることもあって、デジタル技術でユーザーのニーズや行動パターンをリアルタイムで把握し、個別に最適化されたサービスや製品を提供できることは大きなメリットであり、もはや必須とも言えます。

メリット②業務生産性および効率性の向上

金融DXの実施によるメリット2つ目は、業務生産性および効率性の向上です。たとえば、AIや自動化技術の導入により定型業務の自動化や効率化が実現するなどです。

自動化や効率化が成功すれば従業員はより多くの時間を戦略的な活動や顧客対応に費やすことができ、業務のスピードと精度が向上します。またリモートワークやデータ共有できるようになれば、業務プロセス全体の効率化が図れます。

メリット③時代の流れに柔軟に対応できる

金融DXの実施によるメリットの一つは、時代の流れに柔軟に対応できることです。

具体的にはレガシーシステムの解消により、過去の技術的制約から解放され、新たなテクノロジーを迅速に導入できます。そのため現代の急速なテクノロジーの進化に柔軟に対応できるようになり、競争力を維持・強化することが可能です。

またユーザーニーズの多様化にも迅速に対応できるようになるため、顧客満足度の向上や市場ニーズのキャッチアップも期待できます。


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金融DXの成功事例

金融DXの成功事例

ここでは金融DXの成功事例として、以下の5つをご紹介します。

  1. 三井住友カード
  2. ゆうちょ銀行
  3. 東京センチュリー
  4. 山口フィナンシャルグループ
  5. りそなホールディングス

成功事例①三井住友カード

三井住友カード(SMBC)はキャッシュレス社会の推進を目指し、「Have a good Cashless.」というスローガンを掲げています。

特にデータ戦略に注力し、消費者と事業者により密接な価値を提供することを目指しています。また金融データ活用推進協会(FDUA)との協力を通じて、カード業界および金融業界におけるデータの未来を協同で築いています。

この取り組みはコロナウイルスの影響でオンライン決済やキャッシュレスの普及が加速し、顧客へ新たな価値を提供する必要性が高まったことで、より動きが積極的になりました。

成功事例②ゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行は本来より郵便局起源のため対面でのサービス提供を得意としてきましたが、デジタル化が進む中でスマートフォンなどのデジタルデバイスを活用したサービスにも積極的に移行しています。

具体的には2025年までの中期経営計画で「DX推進を重要な戦略の一つ」と位置づけ、顧客ニーズをデータから洞察し、それに基づいた商品・サービス提案を行う体制を整えています。

そして2021年からはデータ分析人材の内製化を進めるプロジェクトを展開を目標に、全社員がデータに基づく意思決定ができる文化を築くための取り組みを行っています。

成功事例③東京センチュリー

東京センチュリー株式会社は既存の金融・サービス事業を強化し、サブスクリプションとDX共創モデルを導入しました。リース顧客を新たな事業パートナーと定義し、共同活動を通じて事業変革を推進することを目標としています。

非競争領域での共同利用システムの導入を検討している点が注目すべきポイントで、他の業界企業も参考にする価値がある事例と言えるでしょう。

成功事例④山口フィナンシャルグループ

山口フィナンシャルグループは地域のあらゆる情報を統合したデータベースの構築を進め、ブレインパッドの支援を受けています。

傘下の企業ごとに分散していたデータを一元化し、お客様ごとにカスタマイズされた商品やサービスを提供するレコメンド施策を展開しています。

成功事例⑤りそなホールディングス

りそなホールディングスは、2018年に先駆けて「りそなグループアプリ」をリリース。年間約100万ダウンロードのペースで利用者が増加し、2022年11月にはDL数600万を超えるなど、理想的なDX成功事例として挙げられます。

このアプリでは残高確認、振込をはじめ、カードローンや住宅ローン申込など幅広い金融サービスが提供されています。

なお以下の記事では、これまで紹介した金融のみならずさまざまなDX導入事例をたくさん紹介しています。興味のある方はぜひご一読いただき、DX導入のひとつの参考にしてください。

DXの導入事例9選!具体的な例から現状と課題を学ぼう

金融DXの実施にあたっての注意点

金融DXの実施にあたっての注意点を、以下のとおり2つ紹介します。

  1. システム導入には時間とお金がかかる
  2. 万全なセキュリティ対策が不可欠

注意点①システム導入には時間とお金がかかる

ひとつ目の注意点は、新しいシステム導入に時間と費用がかかることです。とくに既存システムとのスムーズな連携を確保するための調整や、従業員の教育・トレーニング、システムへの慣れに時間を要することが多いです。

これらを見落とさずにしっかり計画を立て、導入段階での予算やスケジュールの管理を注意深く行うことが重要です。

注意点②万全なセキュリティ対策が不可欠

金融機関は顧客情報や資金に関するたいへん重要なデータを取り扱っています。そのためシステムの導入や運用においては、最新のセキュリティ技術を導入のうえ、情報漏洩や不正アクセスからの保護を確保する必要があります。

言わずもがな責任重大であるため、セキュリティ意識の向上と定期的な監査、対策の継続的な強化が求められることから、何より重要な注意点として挙げられます。

金融DXまとめ

金融DXとは金融業界におけるデジタルトランスフォーメーションを指し、業務効率の向上、顧客体験の革新、新たなビジネスモデルの創出などを目的としています。現状の課題としてはレガシーシステムの更新、セキュリティリスクの管理、データの有効活用などが挙げられます。

ただ一方で成功事例も多く、たとえばデジタルバンクの導入やAIによる信用リスク評価、ブロックチェーン技術の活用などが注目されています。これらの取り組みにより顧客サービスの向上、コスト削減、新たな収益機会の創出が実現しているのも事実です。

これからの金融業界ではDXが競争力の鍵となるのは間違いないでしょう。金融DXを通じてより高度なサービスを提供し、顧客との信頼関係を強化するための一歩を踏み出すことが重要です。

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