物流を自動化する方法!メリットと自動化成功事例も紹介!

ネット通販拡大により宅配便を多用する方が増えるなど、物流にかかる負担は増しています。物流に関しては、将来的な懸念も指摘されています。
それらの不安材料解消に役立つとされているのが物流の自動化です。

ここでは、物流の自動化とは何かを説明し、自動化の方法を取り上げます。さらに、物流自動化の効果や成功事例についても解説します。

物流の自動化とは?

物流の自動化とは?

物流の業務はさまざまな工程が関係します。一例として、荷積み・搬送・荷下ろし・ピッキング・検品・保管などが挙げられます。
それらの作業の多くは、これまで人手で行われることが一般的だった作業を、ロボットやシステムを使い自動化する方向に物流業界全体が動いています。これが物流の自動化です。

物流の自動化が急がれる理由

物流の自動化が急務となっている理由は以下のものがあります。

ドライバーに対する時間外労働時間の規制

物流の自動化が急がれているのは、いわゆる「物流の2024年問題」が関係するからです。2024年4月1日以降は、ドライバーなど自動車運転業務を行う人の時間外労働が年間960時間に制限されます。
なお、運転業務に携わるトラック・バス・タクシーなどのドライバーに対する時間外労働時間の規制はこれまでありませんでしたが、2019年に施行された「働き方改革関連法」が適用されることにより上限が発生します。

残業に上限が設けられたと言っても、年間960時間です。他の職種の労働者の時間外労働の上限は720年ですので、ドライバーの規制は緩いと言わざるを得ません。
今後は他の職種に追従し、上限時間数がさらに抑えられる可能性があります。

慢性的な人手不足

また、慢性的な人手不足も物流の自動化が必要とされる理由です。
人手不足は業種を問わず深刻化しており、給与を上げる、あるいは待遇を改善するなどして優秀な人材獲得に動いている企業は少なくありません。

一方、物流関連の仕事は効率化しにくく、長時間労働により支えられてきた側面があります。
荷主から運賃を買いたたかれることもあり、ドライバーの給与は頭打ちです。長時間働いても、それに見合う給料が得られないため、ドライバーの仕事に魅力を感じない人が増えたとしても当然でしょう。

ドライバーの給与を上げれば、問題がすべて解決するというほど単純な問題でもありません。
運賃アップや物価上昇が引き起こされ、景気にも影響するため、物流業務の効率化は必須です。そのため、物流の自動化が急がれています。

物流を自動化する方法5選!

物流を自動化する方法5選!

物流自動化の方法は一つに限りませんが、ここでは特に効果を上げている方法のいくつかをピックアップして取り上げます。
なお、物流の自動化を実現させるには、設備やソフトウェアなどの整合性を考えながら進めていく必要があります。
そのため、物流ソリューションの最適解は、各企業の状況により異なるでしょう。

自動倉庫

倉庫業務を自動化するシステムです。預かった荷物を倉庫に納入し、保管や出庫などの管理をコンピュータで一元管理することで物流を自動化できます。

物流の自動化は自動倉庫と同一視されがちですが、自動倉庫はあくまで倉庫業務の効率化のための手段です。
自動倉庫は、物流自動化実現に役立つ一つのピースと考えることができるでしょう。

無人搬送ロボット・無人フォークリフト

無人搬送ロボットは、荷積み・荷下ろし・検品・保管・ピッキングの工程に係る搬送の役割を自動化します。磁気テープや2次元コードなどを使って最適ルートを決定し、効率よく荷物を運ぶことができます。

無人フォークリフトは、システム制御やレーダーなどを使って周囲の状況を把握しながら荷積み・荷下ろしが可能になります。配送に関する機器としてドローンなども活用されるようになっています。

デジタルピッキングシステム

精度の高いピッキング作業が行えるよう支援するシステムです。無人搬送ロボットとの併用で、作業者がいるところまでピッキングしたいものを搬送することも可能になります。

UHF帯RFIDゲートアンテナ

荷物や品物に付けたRFタグを一括して読み取ることができる機器です。
UHF帯RFIDゲートアンテナの特徴は、非接触での読み取りが可能な点にあります。
RFタグがつけられた物品が段ボールなどに入れられた状態であっても開封せずに読み取ることができるため、入出庫や管理の手間が省けます。

パレタイザー

荷物をパレットに積むパレタイズの作業は手間と時間がかかります。上手に積まないと荷崩れが起きる危険があるため、作業者の経験に頼るところが多い工程と言えるでしょう。

このパレタイズを自動化する仕組みがパレタイザーです。スピーディーかつ精度の高いパレタイズを実現できるため、効率化が図れるだけでなく、作業者による品質のムラをなくすこともできます。

物流を自動化するともたらす効果

物流を自動化する効果は多岐にわたります。
ここでは、そのうち3点に絞って説明します。

人件費削減

自動化は省人化とも言い換えられます。省人化は人件費削減に直結します。作業者が少なくなれば、作業者を教育する費用も削減できます。
機械に作業を任せることで、人にしかできない分野に人材を振り向けられます。

生産性向上

物流を自動化すると、人が働いていない時間にも作業が可能になります。人手が足りないとしても作業ができるため、必然的に生産性が向上します。
人が行なう監視やチェックも自動化できれば、生産性はさらに向上するに違いありません。

品質向上・安定化

物流に限りませんが、人が同じ作業を長時間行うとヒューマンエラーが起きやすくなります。物流の自動化はヒューマンエラーの軽減にも役立ち、品質を維持しながら業務を行うのに役立ちます。
ただし、システムや機器は完全無欠ではなく、不具合を起こすこともあり得ます。

物流の自動化に際しては、定期的なモニタリングやメンテナンスなどにより適切な管理をしていく必要があります。

物流自動化が成功した事例

物流自動化が成功した事例

物流の自動化により、今まで抱えていた問題が解消したり、生産性が上がる経験をしている企業はたくさんあります。
ここでは、そのうち2社の事例をご紹介します。

YKK AP

YKKグループの中の建材事業を担うYKK APでは、入出庫の作業ミスの多さに悩みのタネでした。扱う部品が多く、ピックアップのための移動距離が長すぎるなど、作業者の負担が大きいことがミス多発の要因だったようです。

そこで採用したのが無人搬送ロボットと倉庫内オペレーションを総合的に管理し制御するシステムです。これら2つの併用により問題は解消され、作業の平準化も実現できました。

AMAZON

AMAZONでは、倉庫内の作業者の移動距離や夜間作業の負担が成長をさまたげていました。問題解消に役立ったのが、Amazon Robotics Kivaと言われる搬送ロボットの導入です。
なお、こちらの搬送ロボットは秒速1.7メートルという高速で移動でき、積載重量は約340キログラムを誇ります。

作業者がピックアップしたい製品を選ぶと、商品が収納されている棚ごと作業者のところに持ってくる仕組みで、業務負担軽減に役立っています。
暗い場所でもぶつからずに稼働できるプログラムとなっているため、完全自動化が実現した際には光熱費なども軽減されるはずです。

物流の自動化の方法と効果性、成功事例から見えること

物流の自動化の方法は一つではありません。効果が見込める方法を見つけるには、自社の実情把握から始める必要があるでしょう。
成功事例では、作業者の負担軽減に力を入れていることが浮き彫りになりました。
人にやさしいシステムが結果的に効率化を実現できていることがわかります。

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