E資格は、データサイエンティストやAIを実装する技術者になるための資格です。
そのため、E資格を取得して、IT業界で活躍できる人材になりたいと思っている人も多いでしょう。
E資格を手に入れるためには、受験をして合格しなければなりません。
難易度が高いとされているE検定の試験対策では、過去問研究から始めるのが常套手段ということがよく知られています。E資格でも過去問を解くことから始めるのがベストなのでしょうか。
この記事ではE資格の過去問の状況と、過去問を使わずにできる効果的な試験対策の仕方について解説します。
まずE資格とは?
E資格は一般社団法人ディープラーニング協会(JDLA)による認定資格の一つで、G検定と並んでAI分野で重視されています。G検定がジェネラリスト向けの検定なのに対して、E資格はAIエンジニア・AI技術者向けの資格になっています。
E資格について詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてください。
E資格で出題される問題
AIエンジニアとして開発現場に入ったときに、適切なやり方でディープラーニングを実装できるくらいに成長するとE資格を取得可能です。
E資格は、多肢選択式の知識問題を解いて合格ライン以上になれば取得できます。
出題範囲はJDLA(日本ディープラーニング協会)の公式ホームページでシラバスが公表されています。E資格は、以下の5つから構成されているのが特徴です。
出題範囲 | |
数学的基礎 | 確率・統計 情報理論 |
機械学習 | 機械学習の基礎 |
深層学習の基礎 | 順伝播型ネットワーク 深層モデルのための最適化 深層モデルのための正則化 畳み込みニューラルネットワーク リカレントニューラルネットワーク Transformer 汎化性能向上のためのテクニック |
深層学習の応用 | 画像認識 物体検出 セマンティックセグメンテーション 自然言語処理 生成モデル 深層強化学習 様々な学習方法 深層学習の説明性 |
開発・運用環境 | エッジコンピューティング 分散処理 アクセラレータ 環境構築 |
数学的基礎では線形代数や確率・統計、機械学習では実用的な方法論、開発・運用環境ではミドルウェアなどが出題範囲になっています。深層学習の試験範囲は広く、順伝播型ネットワークや畳み込みネットワーク、強化学習などの近年主流の考え方を一通り理解していることが求められます。
試験範囲は毎回少しずつ変更されているため、次回の出題範囲を確認してから試験対策を進めることが必要です。
E資格の過去問は公開されていない?
E資格の過去問研究から始めて受験対策をしたいと思ったときに、書店やオンラインストアを探してみても見つからないでしょう。JDLAのオフィシャルサイトを見ても過去問をダウンロードすることも、取り寄せることもできません。
実は、JDLAからはE資格の過去問・例題は一切公開されていないのが現状です。
JDLAでは試験問題の公開を禁止していて、E資格を受験した人も情報を公開してはならないと定めています。
そのため、E資格では過去問研究による試験対策を行うことが基本的にはできません。この実態はE資格の受験者のブログやSNSの口コミからもわかります。
実際に、G検定とE資格を両方取得している方でも、E資格の受験対策は主にテキストや参考書、講座に参加することが圧倒的に多いです。やはり、E資格には過去問は存在していないのです。
E資格は受験者の感想を見ても、どの分野の問題の比率が多かったか、知識や技術として何が求められている様子だったかといった内容が多く、過去問への言及がありません。
過去問の内容の漏洩もほとんど起こっていないと考えられる状況になっています。
G検定の例題は公開されている
引用:JDLA
E資格についてはどのような問題が出題されているかについて完全に情報が公開されていませんが、G検定については例題が公開されるようになりました。
JDLAのオフィシャルサイトにアクセスすると、G検定の出題領域ごとに数問ずつ例題が掲載されています。G検定とE資格では出題の傾向に違いがある可能性はありますが、問題の記述の仕方や選択肢の出し方の傾向をつかむのには活用できるでしょう。
E資格の過去問は今後も公開されないのか
G検定で例題が公開されたのだから、E資格も例題か過去問が公開されても良いのではないかという考えもできるでしょう。
ただ、JDLAではE資格の例題や過去問の今後の公開についても言及していません。今後の対応についてはまだわからない状況なので、どのような見解が発表されるかを常に気にかけておいた方が良いでしょう。
そして、E資格のシラバスは頻繁に変更されているため、過去問がそのまま役に立つわけではありません。大半の試験範囲は変更されていないのは確かですが、同じ問題が繰り返し出されるかどうかもわかりません。
そのため、例題が公開されたり、過去問が手に入るようになったりしたとしても、どの程度の有用性があるかは定かではないのが現状です。大学受験などで過去問研究が良いと言われているのは、似通った問題が出題されやすいからです。
E資格の過去問が公開されてから数年間研究を続けるとようやく試験対策としての価値がわかってくるでしょう。
E資格の過去問例【E資格模擬テストAIスキルチェック】
それでは実際にE資格の過去問例でAIスキルチェックを作ってみたので、このような問題が出るんだと参考にしていただけたらと思います。
問1. 回答群を選べ
行列
の逆行列は
である。(あ)に入る値を選べ。
回答群
問2. 回答群を選べ
機械学習における多くのタスクで、二値変数y の予測が必要となる。例えば2クラス分類はこの形式に当てはまる。最尤法のアプローチでは、ニューラルネットワークはP(y=1 | x) を予測する必要があり、ネットワークの出力値が確率値として有効であるためには、その値の範囲は[0, 1] を満たす必要がある。この制約を満たすために、線形ユニットを用いてその出力に閾値を設ける方法を考えると、勾配降下法による学習が効率的に行えないため、代わりに、(あ) を用いることが一般的である。
回答群
(a) ロジスティックシグモイド
(b) ReLU
(c) ソフトマックス
(d) ハイパボリックタンジェント
問3. 回答群を選べ
行列積のオペレーションを実装すると以下のようになる。順伝播計算は行列積なので簡単に記述できるが、逆伝播計算は引数として目的関数のに対する勾配が渡される。その勾配はと同じ形で渡される。
のとき、
となるので、同様に
も計算できて以下のようになる。

回答群
(a) np.dot(grad, self.x1.T)
(b) np.dot(grad, self.x1)
(c) np.dot(self.x1.T, grad)
(d) np.dot(self.x1, grad)
問4. 回答群を選べ
また、ニュートラルネットワーク活性化関数も同様に記述することができる。
ロジスティック・シグモイド関数は
で定義されており、導関数を自身を用いた計算コストの低い形で記述できるため以下のようになる。

回答群
(a) self.y*(1.0 + self.y)
(b) self.y*(1.0 - self.y)
(c) self.x*(1.0 - self.y)
(d) self.y*(1.0 - self.x)
過去問例の答え
問1の正解
(b)問2の正解
(a)問3の正解
(c)問4の正解
(b)E資格の過去問以外の試験攻略法
E資格の過去問は、JDLAが情報を公開するスタンスを示していません。
仮に過去問があったとしても、受験対策として有用かどうかもまだわからない状況です。
しかし、E資格は試験対策なしで合格できるほど簡単ではありません。
そのため、試験の出題傾向や難易度を理解したり、問題を解くスピードに慣れたりするには模擬試験を利用するのが効果的です。
JDLA認定のE資格対策講座と合わせて受験すると、受験資格を得られるとともに、試験対策を進めやすいでしょう。
E資格の過去問攻略におすすめの講座
こちらでは、JDLA認定のE資格対策ディープラーニング短期集中講座について紹介しています。
E資格取得を目指す方に役立つ情報を提供し、過去問の内容や効果、攻略方法などについて解説し、さらにE資格受験に必須のJDLA認定講座の受講条件をクリアできる一石二鳥の講座となっています。
E資格対策講座のおすすめポイント
こちらでは、ディープラーニングの基礎知識から応用技術までを短期間で学ぶための方法やポイントなどが解説されています。具体的な内容としては、
- ディープラーニングの基本的な概念やモデルの構築方法
- 学習データの前処理
- ニューラルネットワークの最適化
- ハイパーパラメータの調整
などが取り上げられています。これらの情報を読むことで、E資格受験に必要な知識や過去問、攻略方法やスキルを効率的に習得するための手引きが提供されています。
E資格の過去問に似たカリキュラム
E資格対策ディープラーニング短期集中講座では、ディープラーニングの基礎から応用までをカバーしつつ、E資格に合格できるような知識を学ぶことができます。
具体的な内容としてはニューラルネットワークの概念や畳み込みニューラルネットワークの原理、深層学習のアーキテクチャなどが学ぶことができます。
また、模擬試験や例題を出してくれるため、E資格の過去問を探さなくてもこのセミナーだけでE資格の問題傾向に慣れることができるでしょう。
また、E資格に落ちてしまうのが怖いという人は下記サイトも参考にしてください。
E資格の模擬試験を探そう
過去問が手に入らないとしても、E資格の試験を体験してから本番を迎えたいと思う人も多いでしょう。E資格の試験は120分で100問も解かなければならないため、どのくらいのペースで解いていったら良いのかがイメージするのが難しいという面もあります。
本番の出題傾向に慣れたり、問題を解くスピードの感覚をつかんだりしたい場合には、E資格の模擬試験や想定試験を受験するのが効果的です。
模擬試験は大学受験や資格試験などの対策としてよく用いられています。
プロがどのような出題があるかを想定して問題を考え、分量も難易度も本番の試験とほとんど同じになるように設計しているのが特徴です。
E資格の模擬試験は、E資格対策のセミナーを開催している業者がしばしば実施しています。
E資格対策セミナーの受講者限定で受けられる仕組みになっているのが主流でしたが、中にはセミナーの受講者でなくても模擬試験を受けられるようにしている業者もあります。
模擬試験を受けると内容の解説もしてもらえるため、E資格試験の対策に直結するのもメリットです。
E資格は過去問が入手できないのは確かですが、E資格対策のセミナーを行っている業者では十分なノウハウを持っています。そのため、出題様式や問題の解答の仕方に慣れる上でも、どのくらいの合格可能性がありそうかを見積もるにも効果的です。
E資格の受験対策について詳しく知りたい方は、E資格の難易度についてまとめた以下の記事も参考にしてみてください。
E資格の過去問ではないが問題集は販売されている
E資格の過去問は公表されていませんし、取り寄せることもできません。しかし、セミナーなどで模擬試験ができない方でも、まったく受験に必要な模擬試験を受けられないわけではありません。
現在では、E資格用のテキスト教材も販売されていて、独学でも学習ができるようになっています。過去問が公開されていないとしても、このこの教材やテキストを編集している方はE資格への知識や情報を多く持っています。
E資格の対策として、実際の問題を解いていく学習を行うことで試験の対策にもなります。
模擬試験や想定試験と共にテキストで何度も復習をすれば、E資格合格のために必要な知識はついていくでしょう。
E資格に最適な参考書に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
E資格の過去問と攻略法まとめ
