AI技術の進化とともに、ディープラーニングの専門知識を持つエンジニアの需要が高まっています。その中で、日本ディープラーニング協会(JDLA)が提供する「E資格」は、AI技術者としてのスキルを証明する重要な資格として注目されています。
しかし、E資格を取得するためには、JDLAが認定するプログラムの受講が必要です。
本記事では、E資格の基本的な概要から受験に必須となるJDLA認定プログラムの選び方、さらにはおすすめのプログラムや受験のメリットまで、幅広く解説します。これからE資格取得を目指す方にとって、役立つ情報を徹底的に比較しながら紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
「E資格」とは?
E資格は、機械学習のディープラーニング(深層学習)を実装する能力を認定される資格です。
AIに関する資格のひとつで、特にディープラーニングの理論を正しく理解し、最適な方法で実装するエンジニアに向けての資格になります。
日本のAIの第一人者である松尾豊さんが代表を務める、日本ディープラーニング協会(JDLA)によって実施されています。
IT後進国と言われる日本で、将来的に事業で活躍するディープラーニングのエンジニアが不足すると言われています。
そのため、協会が機械学習の中でも、ディープラーニングの認知度を高める狙いと、資格を実施することでエンジニアの知識や能力を担保し、より企業に適用しやすくするために、はじめられた資格です。
さらに、以下について詳しく解説していきます。
- E資格の基本情報
- E資格の出題範囲
- E資格の難易度
- G検定との違い
E資格の基本情報
E資格試験の基本情報はこちらになります。
受験資格 | JDLA認定プログラムを2年以内に受講していること |
---|---|
試験日程 | 年2回/2月・8月(2024年現在) |
受験料(税込) | 一般:33,000円 学生:22,000円 会員:27,500円 |
受験資格に「JDLA認定プログラムを2年以内に受講していること」と記載がありますね。
これは、JDLAに認定されている講座を必ず受講しなければならないことを意味します。
E資格の出題範囲
E資格は主に、機械学習を理解する上での確率や統計学などの数学的知識と機械学習アルゴリズム、またPythonプログラミングを用いた実装に関する問題が出題されます。
また、2019年2月23日の試験から出題範囲に、開発・運用環境の範囲が追加されました。
ディープラーニング技術を利用する企業の事例が増えたことで分散処理やエッジコンピューティングに関する知識も必要になってきたため追加されたようです。
また2024年8月の試験から、シラバスの改定により応用数学が「数学的基礎」に、深層学習が「深層学習の基礎」「深層学習の応用」となり以下5つの科目名がE資格の出題範囲となりました。
科目名 | 具体的な内容 |
数学的基礎 |
|
機械学習 |
|
深層学習の基礎 |
|
深層学習の応用 |
|
開発・運用環境 |
|
数学的基礎
数学的基礎は、機械学習全般を理解する上で重要となるベイズ側をはじめとする確率モデルと、情報量やエントロピーなどの情報理論に関する出題です。
機械学習
機械学習は、教師あり学習、教師なしの考え方や、過剰適合や性能指標に関する出題です。
深層学習の基礎
深層学習の基礎は、ニューラルネットワークの順伝播、逆伝播に関する出題と学習を効率的に進める方法、また画像や時系列を扱うニューラルネットワークに関する出題です。
深層学習の応用
深層学習の応用は、物体検出や自然言語処理などのニューラルネットワークを応用した技術と深層学習と強化学習を組み合わせた深層強化学習に関する出題です。
開発・運用環境
開発・運用環境は、GPUやTPUなどのアクセラレータとDockerなどの環境構築に関する出題です。
その他の試験内容や出題範囲については下記記事でも詳しく解説しています。
今後も新しいディープラーニングの手法や概念が登場することで、一部試験範囲の変更が考えられます。
E資格の難易度
E資格の難易度は、技術者向けの資格として非常に高く設定されています。試験範囲は広く、ディープラーニングの理論やアルゴリズム、実装技術などが問われ、実務経験がないと対応が難しい問題も多く含まれています。
また、認定プログラムの修了が必須であり、このプログラム自体も高度な内容を含んでいるため、十分な学習と準備が必要です。
E資格の受験対策について詳しく知りたい方は、E資格の難易度についてまとめた記事も参考にしてみてください。
G検定との違い
E資格とG検定は、同じくJDLAが提供する資格ですが、目的や対象が異なります。E資格がディープラーニングの実装に重点を置いているのに対し、G検定はAIの概念やビジネス活用を理解するための資格で、非エンジニアやビジネスパーソン向けです。
E資格では技術的な深い知識が求められますが、G検定ではAIの基礎的な知識や事例を中心に学びます。また、E資格には受験資格として認定プログラムの修了が必要ですが、G検定にはそのような制限はなく、誰でも受験できます。
E資格の受験にはJDLA認定プログラムの受講が必要
E資格を受験する資格として、JDLAが定めた認定プログラムを受講しておく必要があります。試験日から数えて過去2年以内に修了しておくのも条件の1つです。
JDLA認定プログラムは、民間事業者や高等教育機関が提供しており、E資格を受験するためには試験受験料のほかに、JDLA認定プログラムを受講するお金が必要になってきます。
そのため、今からディープラーニングのエンジニアを目指している方はとりあえずJDLA認定プログラムを受講しておき、足りない知識ができてきたら本や自分に合ったJDLA認定プログラムを探して独学する形をとることがおすすめです。
2024年現在では、教育機関を含む21個のJDLA認定プログラムが認定されており、どのプログラムも空いた時間にスマホやPCから好きなタイミングで学べるものばかりです。
また、今ではJDLA認定のプログラムでE資格を学べて合格までフォローしてくれる講座もあるので、下記から認定講座の一覧にて確認してみてください。
JDLA認定プログラム講座16選を徹底比較
それではE資格の受験資格であるJDLA認定プログラムの16つの講座を比較していきます。
料金から受講形式、受講完了日数や前提知識の有無などを比べているのでぜひ参考にしてください。
講座名 | 料金(税込) | 受講形式 / 日数 | 前提知識 | 備考 |
---|---|---|---|---|
おススメ! AI研究所 E資格対策 ディープラーニング短期集中講座 |
|
| なし (事前オンライン学習:全8時間30分) | キャンペーン割引あり |
株式会社Present Square AIエンジニア育成講座 (E資格講座) |
|
|
|
|
株式会社zero to one 「E資格」向け認定プログラム |
|
|
| 【修了証発行の必須条件】 「機械学習」「ディープラーニング」の全ステップの課題修了 |
株式会社zero to one E資格 for Global AI Engineer |
|
|
| |
株式会社AVILEN 全人類がわかるE資格講座 |
|
|
|
|
Study-AI株式会社 3ヶ月で現場で潰しが効く ディープラーニング講座/ ラビットチャレンジ |
|
|
|
|
株式会社アイデミー E資格対策講座 |
|
| なし |
|
エッジテクノロジー株式会社 E資格対応パッケージプラン講座 |
|
| なし | 専門実践教育給付金の対象 |
株式会社キカガク ディープラーニング ハンズオンセミナー |
|
| あり(動画コンテンツ) | |
スキルアップNeXt株式会社 現場で使える ディープラーニング基礎講座 |
|
|
| 専門実践教育給付金の対象 |
NABLAS株式会社 DL4E Deep Learning for Expert ディープラーニング基礎講座 (E資格対応版) | オンサイト or オンライン 料金問い合わせ |
|
|
|
株式会社STANDARD AIエンジニアリング講座+ E資格対策講座 | オンライン(法人特化)
|
| 問い合わせ | 他事業者への委託によるオンライン講座 (富士通ラーニングメディア・東芝ビジネスエキスパート・日立アカデミー・NTTラーニングシステムズ) |
株式会社すうがくぶんか Deep Learning 入門 (JDLA E資格対応) |
|
|
|
|
株式会社Fusion One 実務で使える ディープラーニング講座 |
|
|
| 【E資格受験の必須条件】 JDLA認定プログラム(当講座)受講を修了し、最終試験に合格 |
エム・ティ・ストラテジー株式会社 E資格対応 ゼロからわかる やさしいディープラーニング講座 |
|
| なし | 【E資格受験の必須条件】 すべての演習問題の回答が完了し、修了試験に合格 |
株式会社 eduleap E資格対策講座 |
|
|
| スマートフォン対応 |
こちらを見て、自分に合ったJDLA認定プログラムを選択して受講しましょう。
認定プログラムの内容や料金は随時変更される場合があるので、各社の公式ページで詳しく確認してください。
上記の講座を受講とあわせて、「E資格模擬テスト AIスキルチェック」で一度自分の知識を確認してみると良いでしょう。
特におすすめのJDLA認定プログラム講座
E資格の試験を受けるためには、JDLA認定プログラムを修了する必要があります。
今回は受講することで受験資格を得られる、おすすめのJDLA認定プログラムの講座を紹介します。
実践的に学べるE資格対策ディープラーニング短期集中講座
実践的に学べる「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」は、AI研究所が提供する短期集中型の講座です。JDLA認定プログラムとなっているため、本講座を受講すればE資格の受験資格を得ることができます。
本講座は、様々な受講形式に対応しているのも魅力です。講師と対面でしっかり学びたい人は、会場受講が向いています。
東京などで開催されている、4日間でE資格合格レベルに到達できるセミナーです。
1日目はE資格合格に必要な機械学習アルゴリズムの仕組みを理解する、2日目はニューラルネットワークを実装できるようになるというように、基礎から段階的に学べるカリキュラムになっているので、未経験の人も安心です。
会場に行けないという人のために、ライブウェビナーも用意されています。
オンラインで講師に質問しながら学べるスタイルとなっているので、パソコンとネット環境さえあればどこでも学習できます。
費用を安く抑えたい、自分のペースで学びたいという人におすすめなのはeラーニングです。場所を問わず自分のペースで学習できるスタイルで、受講料も安く抑えられています。
教材は、AI研究所の現役コンサルタントが独自に開発したオリジナルテキスト(全572ページ)が配布され、更に試験直前まで使える暗記用のテキストも付いてきます。
また、修了率が99.2%と高いことから、認定取得への高いハードルを感じられる方も安心して受講することができます。
E資格のJDLA認定プログラムの選び方
E資格のJDLA認定プログラムを選ぼうと思っても、たくさんあるので迷ってしまいますよね。
そんな時は下記の選び方を参考にしてください。
- E資格を受験するための予算を決める
- 自分はE資格の中で何を知りたい・学びたいのか決めておく
- 過去問や例題があるプログラムを選ぶ
- 対面が良いかリモート受講が良いかで決める
- 本当にJDLA認定かしっかり確認する
このようなポイントを確認して、お気に入りのJDLA認定プログラムを絞ると良いでしょう。
E資格をJDLA認定プログラムで取得するメリット
それではE資格を取得するのに、JDLA認定プログラムを受けて取得するメリットはあるのでしょうか。
まず、大前提としてJDLAプログラムを受講しないとE資格の受験ができないため注意しましょう。
JDLA認定プログラムのメリットは、E資格に必要な知識を厳選して、試験に必要なことのみ効率的に学ぶことができることです。また、E資格に必要な知識は実務にも直結しており、認定プログラムでは現役のコンサルタントやエンジニアから直接学ぶことができるのもメリットの一つです。
JDLA認定プログラムでE資格について学びながら受験資格を得られるので、E資格をセミナーや講座で学びたいと思ったらJDLA認定プログラムを選んだ方が良いでしょう。
E資格のJDLA認定プログラムによくある質問
それでは、E資格のJDLA認定プログラムについてよくある質問に回答していきます。
セミナーや講座でしっかり学んでおくと良いでしょう。
さらに、E資格を取得することで転職しやすくなるのか?について詳しく書かれている記事がありますので、気になる方はぜひ以下の記事をご覧ください。
E資格のJDLA認定プログラムを比較についてまとめ
E資格は、今後多くの企業に導入されるであろうAI・ディープラーニングについての資格になります。AIのエンジニアになる人だけでなく、AIに関係する職業についている人や興味のある人はチェックしておく必要がありそうですね。
また、E資格の受験を考えている人は、受験資格で必須のJDLA認定プログラムを受講する必要があります。
いくつかの中から選んで受講することができるので、自分に合ったプログラムを選択し、E資格受験合格の役に立てるようにしましょう。