いまや企業活動を語るうえで、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞かない日はありません。それほど世界的に、かつ国内でも徐々に浸透しつつあるのが現状です。
DX促進にはツールの存在が必須といえます。とはいえジャンルによってさまざまなものが存在し、「ツールをどれだけ使いこなせるかがDXの正否を分ける」といっても過言ではありません。
今回の記事ではそんなDXに関するツールを紹介するとともに、上手な選び方や活用例を解説します。DX成功の一助になる情報が満載なので、ぜひ参考にしてください。
DXツールとは?
DXツールはその名のとおりですが、DXを促進させたり成功体験を向上させたりするツールの総称のことです。
ツールと言ってもその種類は多岐にわたり、システム運用を効率化させたりマーケティングや営業の業務管理を円滑にしたり、また顧客満足度の向上に務めるものや社内の一般事務作業を自動化するものまでさまざまです。
ほかにもコード品質向上やコミュニケーション促進、開発作業の効率化などより迅速かつ円滑にDXを促進することを支援することがツールの主な目的となります。
目的別のおすすめDXツール10選
ここではおすすめのDXツール10選を、目的別にわけて以下のとおりご紹介します。
ツール名称 | できること | 分類 |
RPA |
| システム運用効率化 |
ERP | 統合基幹業務の効率化(主に会計・人事・生産・物流・販売) | システム運用効率化 |
CRM |
| マーケティング・営業効率化 |
SFA |
| マーケティング・営業効率化 |
MA |
| マーケティング・営業効率化 |
BI |
| マーケティング・営業効率化 |
CMS |
| 顧客満足度向上 |
オンラインストレージ |
| 一般業務効率化 |
ビジネスチャット |
| 一般業務効率化 |
Web会議システム |
| 一般業務効率化 |
DXツール①RPA(システム運用効率化)
RPA(Robotic Process Automation)はあらゆる作業を自動化してくれるシステムの総称です。とくに特定のパターンが決まっている業務を自動化できるほか、レベルやグレードによっては自然言語処理や非構造化データの取り扱いといった高度な機能の実現も可能になります。
既存システムを変更せずに導入できることから、比較的取り組みやすいDXとして多くの企業で注目されています。
DXツール②(システム運用効率化)
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、基幹業務の効率化や成果の最大化を図るツールのことです。基幹業務とは、主に以下の資源に関する業務のことをいいます。
- 会計
- 人事
- 生産
- 物流
- 販売
ERPを実施することで、これらの資源を無駄にすることなく最大限に活用していけるようになります。これはDXの本質である「新しい価値の創出」において重要です。
DXツール③CRM(マーケティング・営業効率化)
CRM(Customer Relationship Management)は顧客との関係強化およびビジネス成果最大化のための戦略と技術を策定するツールです。主に顧客情報の管理、セールスプロセスの改善、顧客とのコミュニケーションの強化といったメリットが得られます。
マーケティングにおけるDX戦略に不可欠なツールとして知られています。
DXツール④SFA(マーケティング・営業効率化)
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動を効率化して売上を最大化するためのDXツールです。営業プロセスの自動化や顧客データの管理から、営業活動の追跡、見込み顧客へのアプローチの最適化などを支援してくれます。
CRMの一部として使用されることもありますが、とくに営業活動自動化のDXツールとして使われることが一般的です。
DXツール⑤MA(マーケティング・営業効率化)
MA(Marketing Automation)も、マーケティング活動自動化ツールのひとつです。ターゲットオーディエンスへのメール配信、ソーシャルメディアの管理、Webサイトのパーソナライゼーションなどが可能となります。
こちらのツールをうまく活用することで顧客獲得から商談におけるフェーズを効率化したり、顧客数を勝手に伸ばしてくれたりといった「仕組み化」が実現できるでしょう。
DXツール⑥BI(マーケティング・営業効率化)
BI(Business Intelligence)は、「データの取扱」に強いマーケティングDXツールです。大規模なデータの収集や分析、可視化を通じて企業がもつポテンシャルを最大限に引き出すことを目的としています。
過去のパフォーマンスを分析したり、将来の方針や戦略を策定することでより競争力は向上するため、いまやマーケティングDXに欠かせない存在として知られています。
DXツール⑦CMS(顧客満足度向上)
CMS(Content Management System)は、Webサイトやデジタルコンテンツを管理するためのソフトウェアの総称です。
CMSを使用することでコンテンツが一元管理できるため作成や編集、改修が容易に行えるようになり、管理業務の効率化が期待できます。代表的なCMSに「WordPress」や「Movable Type」などがあります。
DXツール⑧オンラインストレージ(一般業務効率化)
オンラインストレージは、インターネットを通じてデータを保存するサービスの総称で、DXでは一般業務効率化の用途で用いられています。
データをリモートサーバーに保存し、インターネット経由でアクセスできるようになるのが大きなメリットです。他にもデータのバックアップや共有が簡単に行えるうえ、データの損失や紛失リスクを軽減することも可能になります。
代表的なサービスにはGoogle ドライブ、Dropbox、OneDrive などがあります。
DXツール⑨ビジネスチャット(一般業務効率化)
主にビジネス目的で使用されるチャットツールやメッセージングアプリケーションを指します。従来のメールよりリアルタイムでのコミュニケーションを取ることができ、チーム間や部門間での連携を強化するのに最適です。
ビジネスチャットではテキストチャットのほか、ファイルの共有やビデオ会議、タスク管理などの機能が提供されることが多く、効率的なコミュニケーションと業務効率の向上を支援します。代表的な例としてSlack、Microsoft Teamsなどが挙げられます。
DXツール⑩Web会議システム(一般業務効率化)
インターネットを介して複数の人がオンラインで会議や対話を行うためのDXツールです。遠隔地にいるチームメンバーやクライアントと気軽にコミュニケーションを取れることから、効率的な業務遂行に大いに役立てられています。
コロナウイルスによるリモートワーク需要によって広く普及したことが特徴で、主要なWeb会議システムとしてZoom、Google Meet、skypeなどがあります。
なお以下の記事では、DXの導入事例を具体的な企業名も交えて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
DXツールの上手な選び方
DXツールは、以下のよう基準で選ぶのがおすすめです。
- 目的に見合ったスペックや性能で選ぶ
- 従業員の知識やスキルを前提に選ぶ
- 直感的な操作性を重視して選ぶ
- サポート内容の手厚さを考慮する
- 他ツールとの汎用性を重視する
それぞれご紹介します。
選び方①目的に見合ったスペックや性能で選ぶ
目的に合ったスペックや性能を重視することが重要です。たとえばビジネスチャットツールを導入する場合、チームの規模やコミュニケーションスタイルに合わせて選択する必要があります。
現代はさまざまなDXツールが市場に出ていますので比較検討を行い、自社のニーズに適したものを選ぶことが成功への近道です。
選び方②従業員の知識やスキルを前提に選ぶ
従業員の知識やスキルを考慮することも重要です。たとえばプログラミングスキルに自信のあるチームであればカスタマイズ性や拡張性が高いツールを選択できますが、IT技術が不足しているチームがそれを選択しても使いこなすのは困難です。
なのでIT技術が不足している場合、性能よりまずは使いやすさや操作性に優れたDXツールを選ぶことが大切になります。
選び方③直感的な操作性を重視して選ぶ
前述の延長ともいえますが、操作が直感的なツールを選ぶことが大切になります。シンプルかつ直感的なUI/UXであるほど従業員が簡単に使いこなせるため、導入による効果を得やすくなるからです。
また操作性の良いDXツールはトレーニングやサポートの負担を減らし、生産性を向上させることにもつながります。
選び方④サポート内容の手厚さを考慮する
サポート内容の手厚さを考慮するのも重要です。導入後に問題が発生した際や新機能の活用を検討する際、迅速かつ適切なサポートが受けられるかどうかは運用にかかるコストに大きく関わるからです。
定期的なアップデートやトレーニングなどもサポートの一環として重要といえます。DXツールの選定の際には、必ず確認しておきましょう。
選び方⑤他ツールとの汎用性を重視する
他のツールやシステムとの連携がスムーズに行えるかどうかは、DXツールの有用性に大きく影響します。特定のベンダーや製品に依存せず、他のシステムとの統合が容易なツールを選ぶことで柔軟性の高い環境を構築できるからです。
いまの業務フローを大きく変えたくない場合、社内で使っている現行システムとツールの相性などを確認しておくのがベストでしょう。
各業界のDXツール活用例
DXツールは以下のような業界でも活用されています。
- 政府・自治体
- 建設業
- 製造業
ここでは一例として、それぞれ詳しく解説していきます。
DXツール活用例①政府・自治体
政府や自治体では、代表例として以下のようなDXツール活用例があります。
- マイナンバー管理システム
- マイナンバー普及促進のための他ツール・サービスとの連携
- セキュリティ強化対策ツール導入
- 各自治体によるAI・メタバース活動
また各自治体の取り組みやDXツール導入で、事務作業におけるペーパーレス化に成功したり、管理・運用業務の効率化および自動化を実現しています。
DXツール活用例②建設業
建設業ではPRAおよびドローンなどのツールを用いた取り組みで、DXを推進させています。
たとえばPRAによって建設管理や運用業務を効率化したり、ドローンによって高層ビルやダムなどの大規模工事の進捗管理やメンテナンスが容易になるといった具合です。
また国土交通省による「i-Construction」などの設置も、建設DXツールによる取り組みといえるでしょう。
DXツール活用例③製造業
製造業では主に製造プロセス自動化や効率化が挙げられます。たとえばIoTセンサーやビッグデータ解析を活用し、生産ラインのモニタリングやメンテナンスの予測を行うことで、生産性向上を目指すといった具合です。
またAIや機械学習を活用して生産計画最適化や在庫管理改善を図ることも可能。さらに顧客との接点を強化するため、デジタルツールを活用したカスタマーエンゲージメント強化や、製品カスタマイズも事例のひとつです。
なお現代は大企業だけでなく中小企業こそDXツールの必要性が問われる時代です。以下の記事で詳しく言及していますので、ぜひ参考にしてください。
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DXツールについてまとめ
DXツールは、DXを促進させたり成功体験を向上させるツールの総称です。システム運用やマーケティング活動の効率化、また顧客満足度向上などさまざまな種類のものが存在します。
ツールを上手に選ぶコツとしてはDXの目的や、ツールを活用する従業員を前提に選ぶこと。そして操作性や万が一のサポート体制も重要な要素になります。
DXツールはDX促進はもちろん、単純に業務効率化の用途でも重宝するでしょう。無料のものも多くあるのでぜひ積極的に活用し、さらなる業務効率化を実感してほしいと思います。