IT化が進むこの時代、以前にも増して「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」が注目を集めています。
本格的・積極的に取り組む企業が増えているとはいえ、その傍らで「主に大手企業がやるもの」、「大企業だからこそ実現できるのだろう」というイメージから、必要性を感じつつも実践を躊躇していたり敬遠している企業は少なくありません。
そこで今回の記事では「中小企業こそDXに前のめりになるべき」という前提で、求められる理由やメリット、コツなどを解説していきます。
DXとはそもそも何のこと?
DXとは「企業や組織がデジタル技術を駆使し、事業の革新や顧客体験を向上させる取り組み」のことです、正式名称はDigital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)で、これを略したものが「DX」と呼ばれています。
2004年にエリックストルターマン氏(インディアナ大学教授)によって初めて提唱されたもので、日本国内で普及したのは2018年12月、経済産業省が施策を提唱したのがきっかけです。
ちなみにTransformationは「変化」という意味をもっています。なお、国が提唱している詳しい内容および問題点については以下の記事でくわしく紹介していますので、気になる方はぜひ参考にしてください。
いま中小企業にこそDXが必要とされている理由
いま、中小企業にこそ事業革新が求められています。最たる理由としては以下のとおりです。
- これからなお発展するIT化の流れに応じていくため
- 最小限のリソースおよびコストで業務を推進していくため
- これからなお深刻化していく人材不足への対策
現代におけるITやAIの技術革新は目まぐるしいものがあります。それに伴って重要度・優先度も上がっていることから、この流れに対応できない企業は淘汰されてしまうといっても過言ではありません。
またデジタル技術によって業務効率化および自動化が実現すれば、より少ないリソースやコストで業務を行うことができ、これから進むであろう人材不足にも対応していけることも理由のひとつです。
現状の中小企業のDX普及率
中小企業こそDXが求められているものの、結論それほど普及していないというのが現状です。2023年8月に発表された「DX投資予算」は以下のようになっています。
全企業平均 | 大手企業 | 中小企業 | ||||
100万円未満 | 640社 | 17.49% | 42社 | 9.81% | 598社 | 18.50% |
100万円~500万円 | 804社 | 21.97% | 68社 | 15.88% | 736社 | 22.77% |
500万円~1,000万円 | 299社 | 8.17% | 52社 | 12.14% | 247社 | 7.64% |
1,000万円~5,000万円 | 206社 | 5.62% | 52社 | 12.14% | 154社 | 4.76% |
5,000万円~1億円 | 27社 | 0.73% | 12社 | 2.80% | 15社 | 0.46% |
1億円以上 | 26社 | 0.71% | 14社 | 3.27% | 12社 | 0.37% |
予算未定 | 1657社 | 45.28% | 188社 | 43.92% | 1469社 | 45.46% |
中小企業の部分を見ると、予算未定(すなわち現状でDXに取り組む予定がない)の企業が45.46%と約半数を占めています。また国内の企業5030社に対する「御社はDXに取り組んでいるか?」というアンケートでは、以下のような結果が明らかになりました。
- はい…43.6%(2196社/5030社)
※2196社のうち大企業が66%、中小企業が40.6% - 必要性は感じているが取り組んでいない…39.2%(1975社/5030社)
- まだ取り組むか否か未定…17%(859社/5030社)
参考:東京商工リサーチ
このように必要性は認知されているものの、実行までに至ってない企業がまだまだ多い印象です。
中小企業のDX推進が遅れている理由は?
中小企業のDXが遅れている理由は、主に以下のとおりです。
- DXに精通した人材が不足しているから
- 必要性・重要性を理解していない企業が大半だから
- 必要と感じつつもDXは難しいものと捉えられているから
それぞれ解説します。
DXに精通した人材が不足しているから
まず大きな原因は、DXに精通した人材の不足です。そもそも根本的に労働人口の減少が進んでいることもあり、人材を探すのが難しいのが現状です。
とくに初学者や中級者は飽和しているものの、「確かな経験と実績をもつ人」を探すとなるとなおさらです。
必要性・重要性を理解していない企業が大半だから
必要性を感じている企業が増えている一方で、必要性および重要性すら理解していない企業が一定数いることも事実であり、かつ普及しない原因でもあります。
その理由は主に現状維持でもとくに問題が見つからなかったり「中小企業には無縁」と捉えてしまっているためです。
必要と感じつつもDXは難しいものと捉えられているから
必要性や重要性は理解しているものの、なかなか取り組めないケースも存在します。主にDXに対する難易度・ハードルを上げてしまっていることが原因です。
つまり「巨額の投資を行う」「大規模な事業革新を行う」などを実践しなければならない、などと思い込み実行に移せないというパターンです。
中小企業がDXに取り組むことで得られるメリット
中小企業がDXに取り組むことで、以下のようなメリットが得られます。
- 圧倒的な生産性および作業効率アップが実現できる
- データ収集・分析・改善が容易になる
- 人材の確保が容易になる
それぞれ見ていきましょう。
圧倒的な生産性および作業効率アップが実現できる
まずもっとも大きなメリットとして、「圧倒的な生産性および作業効率アップ」が挙げられるでしょう。たとえば膨大な書類をすべてペーパーレス化してデータで管理することで、紙を保管・管理・整理する手間も省けるうえ探すことも容易になります。
また業務自動化を実現することで従業員のリソースを圧倒的に削減でき、本当に必要なリソースに最大限の労力をかけることが可能になります。さらには人件費の削減も狙えるでしょう。
データ収集・分析・改善が容易になる
中小企業がDXに取り組むことで、データ収集・分析・改善が容易になる点が大きなメリットです。企業のあらゆる数字をデジタルで一元管理できることで、分析が迅速にできるようになるからです。
いまやデータ分析は事業の成功において不可欠であり、いかに新鮮かつリアルタイム性の高い情報を武器にして戦うかが成否を分けるといっても過言ではありません。
人材の確保が容易になる
中小企業がDXに取り組むメリットとして、人材確保がよりスムーズになることも挙げられます。DXが実現して働き方が革新することで、より従業員の要望に沿った働き方が実現しやすくなるからです。
また現代では中小企業にはまだまだ浸透していない一方で、若手人材の考え方は「DXに取り組むことはもはや企業として当たり前」という方向にシフトしつつあります。DXに取り組みそれを公開することで、転職市場における評価も期待できるでしょう。
なお導入事例を参考にするとより具体的なメリットが理解できます。以下の記事でくわしく紹介していますのでぜひご一読ください。
中小企業がより効果的にDXに取り組むためのコツ
中小企業がより効果的に取り組むためには、以下の3つのコツをおさえたほうがいいでしょう。
- これからの経営ビジョンや戦略を明確にする
- 身近で小さな部分から少しづつ取り組んでいく
- DXは長期戦であることを理解する
それぞれ順を追って解説していきます。
これからの経営ビジョンや戦略を明確にする
まずは着手する前に、これからの経営のビジョンや戦略を明確にすることからはじめましょう。具体的には企業が今後どんなビジョンを理想としているのか、そしてそれの実現に向けてどのような戦略を考えているのか、といったところです。
取り組むなら、そのビジョンや戦略をより加速させるために行うことが大切です。噛み砕いて言うと「目的をはっきりと決めてから着手すべき」ということになります。
目的意識が曖昧なまま取り組んでも方向性に偏りが生じたりと、何らかの問題がつきもの。そのためまずは目的を決めることが大切です。
身近で小さな部分から少しづつ取り組んでいく
前述でも記述したように「ハードルの高さ」ゆえ、着手に二の足を踏んでいる企業は少なくありません。
しかしDXは必ずしも大規模で難しいものと考えなくて大丈夫です。まずは「現状紙でやっている作業をデータ化していく」など、すぐにでも始められる部分から取り組んでいくことが大切です。
DXは最終的に従業員全員(企業全体)が一丸となって取り組むもの。そのため、従業員の意見や反論もふまえつつ試行錯誤していくことから始めるのも立派なDXといえるでしょう。
DXは長期戦であることを理解する
成果はすぐに現れるものではありません。どんな新事業および事業革新も長期戦であることを理解しましょう。
とくにDXでは、従業員に新しい作業タスクを依頼することになります。当然少なからず抵抗はあるうえ全員が完璧に慣れるまで、そして業務として浸透するまでにはやはり時間がかかるでしょう。
そして予算のかかる大規模であるほど、この傾向は顕著になります。大規模な事業革新ほど長期戦になるという心得のもと、じっくり取り組む必要があります。
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中小企業にDXが必要とされる理由まとめ
以上、中小企業こそ積極的に取り組むべき理由やメリット、コツなどを紹介してきました。
「DXは大企業がやるもの」ないしは「大企業だからこそできるもの」という認識は間違いです。IT化および人材不足が継続的に続いている現状だからこそ、いまや企業規模および事業内容うんぬんではなく、すべての企業がDX促進を求められているのです。
本記事で紹介したコツおよびAI研究所「DX完全攻略セミナー」なども視野に入れつつ、小さな部分から少しずつ取り組んでいく姿勢が大切になります。