DXレポートとは?主な4種類のポイントや「2025年の崖」について解説

現代の企業活動において欠かすことのできない「DX」。いまや知名度もずいぶんと向上し各業界で取り組みも進んでいる背景には、経済産業省による「DXレポート」という資料の存在があります。

今回の記事ではそのレポートの概要や種類ごとのポイント、そして「2025年の崖」についてくわしく紹介します。本記事を読むことでより効果的なDXの検討および導入が実現できるようになるでしょう。

そもそもDXとは?

DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称であり、組織やビジネスがデジタル技術を活用して業務プロセスや顧客体験を革新することです。

インディアナ大学のエリック・ストルターマン教授が初めて提唱したものとされており「Transformation」は直訳すると「変化」という意味になります。

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DXの具体例

さまざまな事例がありますが、代表的かつ身近なものを挙げるなら以下のようなものです。

  • スマホアプリと連動したタクシー配車サービス
  • ロボット掃除機やスピーカーをはじめとする遠隔操作可能なスマート家電
  • フードデリバリーサービス
  • 無人レジおよび完全無人店舗
  • 大手ハンバーガーチェーンやコーヒーチェーンのモバイルオーダーシステム
  • 医療現場における電子カルテ
  • ほか

上記はいずれも、本来ITとは無縁だったビジネスにデジタル技術を融合させて大きな成果を生み出しています

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DXレポートとは何のこと?

DXレポートとは未来のDX実現に向けての方針や課題がまとめられている資料のことです。経済産業省が作成・公開しました。

レポートは主に、以下のようなことを促す内容となっています。

現行のシステムでは新しい時代の変化に対応できず、海外の競合に負けて日本国全体が衰退してしまいます。
その対策として、企業や業界全体でもっとデジタル革新に取り組みましょう。

過去のDXレポートの種類とポイント

過去のDXレポートの種類とポイント

2024年3月現在、これまで以下の4種類のレポートが公開されています。

種類作成年月主な内容
DXレポート2018年(平成30年)9月・「2025年の崖」について
・現行システムを使い続けるリスク
DXレポート22020年(令和2年)12月・DXを加速するための方法・課題・対策
DXレポート2.12021年(令和3年)8月・DX導入後の企業や業界全体の有り様
・産業構造の変化について
DXレポート2.22022年(令和4年)7月・成果につながらないDXの特徴と対策

この章では、それぞれのポイントもふまえてご紹介します。

DXレポート

2018年(平成30年)の9月、初めて公開されたレポートです。内容は主に「2025年の崖」について言及したものとなっています。

2025年の崖とは「DXを無視して現行システムを使い続けたときに直面するであろうリスク」をまとめた言葉です。具体的にどんなリスクがなのかについては、本記事後半で紹介しています。

また2025年の崖をふまえ国内の各企業へのDX促進、実現へのシナリオなどが記述されています。

DXレポート2

初めてのレポートから約2年後の2020年(令和2年)12月、レポートの第二版として作成されたのがこちらです。主に「DX推進をより加速させていくための方法、およびそれに関する改題と対策」についての内容となっています。

またコロナ禍でリモートワークなど変革を求められた数々の企業に対するアクションリストが追加されてるのがポイントです。アクションリストは重要度順に「超短期」「短期」「中長期」の分類が存在します。

DXレポート2.1

第三版として2021年(令和3年)の8月に公開されたのが、DXレポート2.1になります。こちらはDXレポート2の追補版として作成されているため、主に前回のレポートで記述されなかった「導入後の企業や業界全体の有り様」について言及した内容となっています。

ポイントとなるのは「今後の産業構造の変化」についての項目です。ピラミッド型からネットワーク型へ変化することで企業間での協力関係が生まれ、結果として新しい価値が生まれる旨が記載されています。

DXレポート2.2

2022年(令和4年)の7月に作成・公開された、2024年3月時点でもっとも新しいレポートです。

この頃、徐々にDXに対する認識や取り組みが拡大していましたが、その中で新たな課題も生まれています。それに対する対策やアクションについて言及する内容しているのがこちらのレポートです。

新たな課題とは「成果につながらない間違ったDXに取り組む企業もある」といったもの。それに対する3つのアクションは、次の章で紹介します。

DXレポート2.2が促しているアクション

もっとも新しい「DXレポート2.2」が促している3つのアクションは、以下のとおりです。

  • 効率化よりも収益向上のためにデジタルを活用しよう
  • 従業員に具体的な行動指針を示して一致団結しよう
  • 低位安定から脱却し新たな企業間の関係性を生み出そう

それぞれ解説します。

効率化よりも収益向上のためにデジタルを活用しよう

業務の効率化や省エネ化のためにDXに取り組む企業は少なくありません。しかしレポートでは「収益向上を狙ったDX推進」を提唱しています。つまり経済産業省が言いたいのは、DXの目的について

  • 目的は「新しい事業の設立」および「現行の事業の価値向上」にすること
  • 「現行の業務のサポート・維持」を目的にするのは、方針としては好ましくない

ということです。

従業員に具体的な行動指針を示して一致団結しよう

簡単にいうと「上層部のみなさんは社内の従業員全員に対し、具体的な行動指針を示してください」ということを促しています。

成果が出なかったり効果を実感しにくい企業は少なくありませんが、大きな理由として「従業員一人ひとりが具体的な目標やアクションを把握していない」ことが挙げられるからです。

低位安定から脱却し新たな企業間の関係性を生み出そう

定位安定というのは「ベンダー企業(作り手)に依存するユーザー企業」のような、ピラミッド型の構造関係のことを指しています。簡単にいうと「従来のピラミッド型の関係はやめて、”同じ価値観をもつ企業どうしタッグを組んで高め合う関係”にシフトしましょう」ということです。

自社で取り組んでいる内容を外部に発信するなど、協同できる仲間を増やすことが大切とされています。

経済産業省が示すDX課題「2025年の崖」とは?

2025年の崖とは「DXを無視して現行システムを使い続けたときに直面するであろうリスク」をまとめた言葉です。重要になるのは、このリスクによる経済損失額が2025年から2030年にわたり毎年約12兆円にもなりうるということです。

ちなみになぜ2025年なのかというと、以下のような理由があります。

  • 2025年に「基幹系レガシーシステムを21年以上使う企業」が6割を超える目安だから
  • 2025年にSAP社のERPサポートが終了するから

ドイツのソフトウェア大手SAP社が運営するERP(基幹システム)が終了する2025年、レガシーシステムを使い続ける企業が6割を超える予定であることから、膨大な経済損失が生まれる懸念がされているのです。

「2025年の崖」具体的な現状の6つの課題

「2025年の崖」具体的な現状の6つの課題

「2025年の崖」に記述されている、具体的な現状の課題は以下の6つです。

  • 深刻化するIT人材の不足
  • IT市場動向の急激な変化
  • システムおよび技術の老朽化
  • 経営層・上層部がDXに対し非協力的
  • レガシーシステムの維持費の高騰
  • システム開発企業への依存

それぞれ解説します。

深刻化するIT人材の不足

2025年の崖のみならず、今後のDXおよびIT課題として必ず挙げられる代表例が「人手不足」です。人手不足に陥る原因には大きく以下のようなものがあります。

  • 現行レガシーシステムの保守・維持に人員リソースを割きすぎているから
  • DX人材育成にかけるコストが少なすぎるから

またIT人材の不足はDXが進まないだけでなく、現行システムおよび未来のシステムのセキュリティリスクも伴います。

IT市場動向の急激な変化

現代のIT技術はAIや5G、IoTやクラウドなど進化が止まりません。それに伴って、市場動向も絶えず大きく変化しているのが現状です。

2025年の崖では、こういった変化に応じることについての重要性および障壁についても言及しています。

システムおよび技術の老朽化

システムおよび技術の老朽化は、2025年の崖の中でもより強く訴求している課題といっても過言ではないでしょう。システムが老朽化することで維持管理も複雑化やブラックボックス化など、あらゆる問題が発生するためです。

このような問題が蓄積して対応しきれなくなることで、上記で述べたような「毎年役12兆円の経済損失」が実現すると危惧されています。

経営層・上層部がDXに対し非協力的

DXは企業全体で行うべき取り組みなので、本来ならまず上層部が前のめりで動くことが必須です。しかし逆に、その上層部が非協力的である事例は残念ながら少なくありません。

社内のDXを促進させるなら、まずは上層部がDXの概要やメリットに関心をもち、具体的な企業拡大のイメージをもつことが重要になります。

レガシーシステムの維持費の高騰

レガシーシステムの保守および保守担当人材を確保することにも、膨大なお金がかかります。レガシーシステムの維持はこれからもさらに値上がりし、IT予算の9割にものぼるとされています。

この先も各社でこういった技術的負債(その場しのぎの安価な対策によって生まれる高価な維持管理費)が蓄積される懸念があり、レポートにある「新規システム導入および現行システム価値向上」がより困難になります。

システム開発企業への依存

システムを依頼した会社は、開発した会社に依存しているのが現状です。依頼した側に「ITに関する知識・経験」が不足しているからです。

自社のシステムでありながら仕組みや問題解決策を理解していないことで、余計なコミュニケーションコストが生じたり契約上のトラブルにつながることもあります。

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現代のDX概要や方針を理解のうえ効果的な導入・促進を実現したい方は、ぜひご検討ください。

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まとめ

DXレポートは経済産業省が作成した、この先の方針や課題がまとめられている資料のことです。主に推進における大まかな方向性を提示した内容となっており、考え方や見方を改め、大きな効果を実現する取り組みを促しています。

導入を検討する際は漠然と導入したいものに着手するのではなく、レポートおよび2025年の崖の内容をふまえ、正しく理解したうえで実施することが大切です。AI研究所のDX完全攻略セミナーでは基礎的な技術詳細から応用的な実践スキル、構築のノウハウなどを1日でリーズナブルに学べるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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