【人材開発支援助成金】AI助成金、AI人材の育成に使える助成金とは?

近年、AIやDX、IoTなど多くの情報技術が注目されている一方で、これらの先端技術を担うIT人材の不足が指摘されています。

経済産業省が平成28年に公開した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果資料」では、平成27年時点では17万人のIT人材不足という結果が報告されており、2030年にはさらに拡大しIT人材不足は約59万人まで拡大する可能性が指摘されています。

そのような社会課題を解決するため、政府はAI等を使いこなすことのできる高度IT人材の育成を急務ととらえ、高度IT人材の育成に寄与する助成金を大幅に拡充させています。

本記事では、上記にあげたIT人材不足を解決すると言われているAI人材やDX人材などの高度IT人材の育成を企業がする際に、活用できる助成金・AI人材育成・DX人材の育成に活用できる人材開発支援助成金を紹介します。

助成金をとりまく社会背景

上記の社会的な背景を踏まえると、事業を行っている経営者側の立場では、助成金を活用することで会社がかかる研修費のコストを抑えることで、従業員が獲得した知識やスキルを事業に生かし伸ばす、という好循環を創り出すためのサイクルを起こしてやすくなっているのではないかと考えます。

一方で、学びなおしやリスキリングを行い転職しキャリアアップを考えている従業員にとっても、社会全体として高度IT人材を育成する研修会社が増加したことや、IT人材の育成に対して積極的になって企業も増えていることから、本記事で紹介する助成金を活用している企業への転職や、自ら研修を受けることで主体的に自身の収入を上げる行動がとりやすくなった環境といえるでしょう。

厚生労働省の公式ホームページでも人材開発支援助成金を動画で紹介しています。

人材開発支援助成金 4つのコース

まず、人材開発支援助成金には主に4つのコースがあります。

①育成支援コース

雇用する被保険者に対して、

  • 職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練
  • 厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練
  • 非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練

を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成

②教育訓練休暇等付与コース

有給教育訓練等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し訓練を受けた場合に助成

③人への投資促進コース

デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成

④事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成


これらは、主に人材育成をするための研修を行う際に活用できる助成金ですが、それぞれ対象となる研修内容や前提条件、助成される上限の金額、助成率などが異なります。

事業展開等リスキリング支援コースの活用や申請のポイント

今回はDX人材・AI人材の育成と親和性の高いAI助成金、人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースの活用や申請のポイントを説明します。

助成金対象となる研修とは?

対象となる研修は?

まず、対象となる研修を説明します。

事業展開等リスキリング支援コースは、新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、新たな分野で必要となる知識やスキルを習得させるための研修が対象となるとされており、大きく「事業展開」「「デジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)」「グリーン・カーボンニュートラル化」に寄与する研修とされています。

それぞれ具体的にどのような研修が対象になるかはパンフレットに示されておらず、あくまでも事業内容や研修を受ける対象者、業況、事業方針と研修内容を総合的に見て審査されるとされています。

この中で、AI人材、DX人材の育成に使える可能性が高いものは「事業展開」「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」が考えられます。

「事業展開」は文字通り、事業展開を行うために必要な研修とされており、新たな製品を製造し又は新たな商品もしくはサービスを提供することや既存事業の中で製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を変更する場合とされています。

これにはAIを活用した事業へ進出する場合や、これまでのサービス内容にAIの技術を付加したサービスを提供するために、AI人材を育成する研修を実施することなどが考えられるでしょう。

「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」は、デジタル技術を活用して業務の効率化を図ることや、業務やプロセス、組織を変革させることで競争上の優位性を獲得することとされています。

これには業務プロセスや既存のサービスを変革するために、AI人材を育成する研修を実施することなどが考えられるでしょう。

受けられる助成金額は?

次に助成額と助成率を説明します。

対象となる助成金は、研修費用の助成である経費助成と、従業員給与の助成である賃金助成となります。

研修費用は研修のために外部に支払った費用で、従業員の賃金助成は研修を労働時間内に行うことが要件となっており、給与を支払う必要があります。
その研修時間中に発生した給与の一部が助成金の対象となりえます。

整理すると以下の通りとなります。

経費助成75%
賃金助成960円(1人1時間当たり)

※いずれも中小企業の場合

また1人1訓練当たりの経費助成の限度額は、時間によって異なります。

10時間以上100時間未満30万円
100時間以上200時間未満40万円
200時間以上50万円

受給までのスケジュール

受給までのスケジュールは?

最後に、助成金を受けるまでの大まかな流れを説明します。

一番注意すべきこととしては、申請を行う前に研修を実施しないことです。
後述しますが、助成金は基本的に事前申請となっており、申請前に行った研修については一切対象外となるので注意が必要です。

助成金受給までの流れとしては大きく、

  1. 事前の社内準備
  2. 計画届の作成・届出
  3. 研修の実施
  4. 支給申請書の提出
  5. 受給

となります。

①事前の社内準備

社内で職業能力開発推進者の選任と事業内職業能力開発計画の策定を行います。

②計画届の作成・届出

人材開発支援助成金は事前に訓練の計画届を出す必要があり、少なくても研修を実施する日よりも1か月前までに「職業訓練実施計画」を出さなければなりません。
この職業訓練実施計画を出す前に、研修を行った場合には人材開発支援助成金の対象外となるので注意が必要です。

③研修の実施

事前に提出した計画届に基づき研修を実施します。

④支給申請書の提出

訓練終了の翌日から2か月以内に支給申請書を作成し、賃金台帳等の添付書類と併せて提出します。期日を超過してしまうと一切受付をしてくれないので期日管理は重要です。

⑤受給

申請タイミングや申請内容によって前後しますが、申請書類を提出してから2か月前後で着金となることが多いです。

人材開発支援助成金に活用できるおすすめの研修・サービス

これまで紹介した人材開発支援助成金に活用できるおすすめの研修、サービスを紹介します。

AI研究所:企業向けDX・AI人材育成研修サービス

事業展開やDXを進めるための高度IT人材、AI人材の育成につながる研修を行う際には、単に研修を行うだけでは、研修の効果は十分に発揮されず、事業の拡大へもつながりにくいでしょう。

また、研修を行う際の課題として、日々の業務に忙殺され研修を実施する時間がないという理由をあげる企業も多いでしょう。

研修を行う場合には、事業の戦略や方向性に沿った研修の設計や、研修対象者の選定、研修の実施方法等、多面的な観点から研修の実施を検討はもちろんですが、日々の業務とのバランスを考慮した人選が可能なカリキュラムの設計、ひいては人材育成研修の結果として、事業の拡大が実現されなければ研修の意味はないと言っても過言ではありません。
AI研究所の企業向けDX・AI人材育成研修サービスは、AI課題をヒアリングしたうえで課題設定を行い、方向性と解決策を提示しています。
そのうえで、研修を実施するため目的と手段を混同しがちな人材育成研修において、適切なナビゲートをしながら実施ができます。

また、人材育成研修が難しい場合でも、短期・中期プランと選択ができるため会社の実情にあったカリキュラムを構築することができます。
加えて、研修内容も10年以上のコンサルタント経験をもつコンサルタントがカリキュラム作成、講師を行うため、研修と事業拡大が接続されたサービスをうけることが可能となるでしょう。

AIエンジニア育成講座

従業員に短期かつ安価でAIに関して知識やスキルを伸ばしてほしい場合には、短期集中学習で確実にスキルアップができるAIエンジニア養成講座もおすすめです。

未経験でも、3日間の研修で、適切なAI学習モデルを選定し解決できる、実践的なAIプロフラムが実装できる、継続的な制度の向上を図り運用をできるといった到達目標に到達できる研修です。

受講方式も、会場受講、ライブウェビナー、eラーニングから選ぶことができ、まずはAIに関して入り口から学びたい、未経験だけどAIについての仕事をしてみたい、など最初の一歩を踏み出すきっかけとしてはいいかもしれません。

まとめ

AIをはじめとした、DXなどの高度IT人材が社会的に求められており、かつ希少性の高い知識、スキルであることを説明しました。それにともない、企業も従業員側もIT人材育成に寄与する研修や研修に対しての助成金が拡充していることで、AIやDX等の研修について学びやすい環境が整備されてきたといえます。

そのため、企業側は積極的に助成金を活用し従業員側も、人材開発支援助成金の活用をしている企業に勤めることが考えられます。また、助成金の受給に際しては、各タスクの順番をきちんと守る事、期日を厳守することなどがあります。また、最後に本記事で紹介した人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースの適応にあたり親和性の高い研修サービスをご紹介しました。

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