忙しい業務の中で、「社内アプリを作りたいけれど、エンジニアが足りない」と感じたことはありませんか?そんなときに注目されているのがノーコードでのアプリ開発です。
プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単に業務アプリやサービスを構築できるので、中小企業や現場主導の業務改善で強い味方となります。
今回は、ノーコードでアプリ開発ができるおすすめのツール8選や、ノーコードでアプリ開発をした企業の活用事例をわかりやすく解説します。
ノーコードでのアプリ開発とは

ノーコードでのアプリ開発とは、コードを一切記述せずドラッグ&ドロップで、業務アプリやWebサービスを直感的に構築できる手法です。
パーツや機能を並べていくだけで完成するので、エンジニアでなくてもさまざまなアプリを作れるようになりました。
ノーコードとローコードの違い
ノーコードと似た言葉にローコードがあります。どちらも開発を簡単にする手法ですが、できることや使う人に少し違いがあります。
| 項目 | ノーコード | ローコード |
| コーディング | 不要 | 一部必要 |
| 操作 | ドラッグ&ドロップ中心 | GUI+コード |
| 特徴 | 手軽さ・スピード重視 | 柔軟なカスタマイズが可能 |
| ユーザー | エンジニアではない人 | エンジニア寄り |
| 活用シーン | シンプルな業務アプリ | 複雑な処理や既存連携など |
ノーコードは手軽さ重視、ローコードはカスタマイズ力重視といえます。そのため、まずはノーコードから試すのが無難です。
今ノーコードでのアプリ開発が注目されている理由
ノーコードでのアプリ開発は、さまざまな理由から多くの企業で導入が進んでいます。
- エンジニア不足
- コスト削減
- 無料プランがある
以下で、その理由を具体的に見ていきましょう。
エンジニアが不足しているため
経済産業省によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。
こうした状況では、社内のIT部門に開発を任せるのが難しくなり、エンジニアではない現場担当者がノーコードでアプリを作るニーズが高まっています。
人手不足を解消する方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
開発コストや工数が減らせるため
ノーコードでのアプリ開発は、テンプレートやパーツを活用するため、短期間かつ低コストで開発できます。また、開発後の修正や運用も内製化できるため、外注費の削減やスピーディーな改善も可能です。
いちいち開発担当に依頼するのが面倒という悩みが、まるっと解消されるのです。
無料プランで気軽に試せるため
多くのノーコードツールには無料プランがあり、初期費用をかけずに使い始めることができます。
まずはチームで試してみて、実際の操作感や機能を確かめながら、導入するかどうかを判断できるのが大きな魅力です。
ノーコードでアプリ開発ができるおすすめツール8選

ノーコードでアプリ開発を始めるにあたって、どのツールを選ぶかはとても重要なポイントです。ここでは、おすすめのノーコードツールを8つご紹介します。
| ツール | 特徴 | 無料 プラン | 日本語 対応 | 向いている人 |
| ①Bubble | 高機能で本格開発向き | ◯ | △ | 本格的にアプリを作りたい人 |
| ②Glide | スプレッドシート連携が 簡単 | ◯ | × | 日常業務をアプリ化したい人 |
| ③AppSheet | Google製・業務データに強い | ◯ | △ | データ管理を効率化したい人 |
| ④STUDIO | 日本語UIでデザインも簡単 | ◯ | ◎ | Webサイトを手軽に作りたい人 |
| ⑤Webflow | デザインの自由度が高い | 制限あり | △ | デザインにこだわる人 |
| ⑥Adalo | スマホ向けUIが得意 | ◯ | △ | 初めてアプリを作る人 |
| ⑦kintone | 業務アプリ構築に強い | 一部あり | ◎ | 社内業務を見直したい人 |
| ⑧Dify | AIチャットが作れる | ◯ | △ | AI活用したい人 |
①Bubble
Bubbleは自由度が高く、複雑なWebアプリの開発にも対応できるノーコードツール。データベースの設計やワークフローの設定が細かくできるため、業務系ツールやユーザー参加型のサービス開発にも使われています。
また、SNSやマッチングアプリ、予約管理システムなど、かなり本格的なアプリを構築することもできます。
②Glide
Glideは、Googleスプレッドシートをベースにアプリを構築できるノーコードツール。操作はとてもシンプルで、スプレッドシートに入力したデータがそのままアプリ画面に反映される手軽さ。
デザインもモダンで、テンプレートが豊富なので、初めてでも見た目が整ったアプリを簡単に作れるのもポイントです。
③AppSheet
AppSheetはGoogleのノーコードツールで、Googleスプレッドシートなどと連携して、業務アプリをスムーズに構築できます。特に、社内のデータを活かして業務を見える化・効率化したい企業に向いています。
Google Workspaceとの親和性も高く、すでに社内でGoogle製品を活用している企業には特におすすめです。
④STUDIO
STUDIOは、日本発のノーコードWeb制作ツール。操作画面はすべて日本語で、テンプレートの種類も豊富。
そのため、専門的な知識がなくても直感的に進められるのが特長です。サポートがしっかりしている点も、初めての人にとっては安心なはずです。
⑤Webflow
Webflowは、やや上級者向けのノーコードツールですが、自由度と機能性の高さではピカイチ。ビジュアル上での操作が可能ながら、CSSやアニメーションのような動きを細かく設定できるため、デザインにこだわりたいクリエイターや開発チームにも選ばれています。
WebアプリのUIパーツを作り込んだり、企業のサービスページを動的に仕上げたりといった場面に強みがあります。
⑥Adalo
Adaloは、ノーコードでモバイルアプリを作成できるツール。すべてドラッグ&ドロップで行えるため、操作の感覚としては「スライド資料を作る」ようなイメージに近いかもしれません。
スマホに最適化されており、まさにスマホアプリの開発にはピッタリです。
⑦kintone
kintoneは、サイボウズが提供する業務改善に特化したノーコードプラットフォーム。多くの企業が日報や勤怠、営業支援などの業務フローをkintone上で構築しており、「エクセルでの管理に限界を感じている」という企業には特におすすめです。
日本語でのサポート体制が充実している点や、社内導入のしやすさも高評価のようです。
⑧Dify
Difyは、ノーコードでAIアプリを作れる新しいタイプのツール。例えば、業務マニュアルを取り込んだQ&Aシステムや、FAQページの自動化など、企業の情報共有や問い合わせ対応の効率化にも最適です。
今後、生成AIが業務にどのように浸透していくかを試したい方には、ピッタリかもしれません。
生成AIの仕組みについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
ノーコードでアプリ開発をするときのツール選定ポイント
ノーコードでアプリ開発する際は、ツールの使いやすさだけで判断しないことが大切です。ここでは、実際に選定するときに見ておきたいポイントをご紹介します。
- 日本語対応の有無
- 無料プランの範囲
- 必要な機能や制限の有無
- セキュリティレベル
- アプリ運用のしやすさ
日本語対応の有無
ノーコードツールを社内メンバー全員が使う前提なら、日本語であるかどうかは大事なチェック項目です。日本語対応なら、マニュアルなしでもある程度直感的に操作でき、導入後の負担も軽くなります。
一方で、英語UIのノーコードツールは一定のITリテラシーが求められる場面もあるかもしれません。
無料プランの範囲
ノーコードツールの多くは無料で使い始められますが、その内容は「作れる画面数に上限がある」「データ保存数に制限がある」「商用利用できない」など、各ツールで条件はさまざまです。
そのため、ツール選びの際は、無料プランでどこまで検証できるかも見ておきたいところです。
必要な機能や制限の有無
どのノーコードツールにも「できること」と「できないこと」があります。
そのため、必要な機能が含まれているか、将来的な拡張に対応できるかは、導入前にしっかり確認しておきたいところです。
セキュリティレベル
業務データや顧客情報を扱う場合は、ノーコードツールのセキュリティレベルが選定の分かれ目になります。
Googleスプレッドシートや、Salesforceなど連携可能なサービス、社内ポリシーに合った安全性を備えているかも要チェックです。
アプリ運用のしやすさ
ノーコードで開発したアプリを、どうすれば公開できるか、どこまで柔軟に運用できるかも重要です。
スマホ・PC対応、社内用アプリとしての管理体制、ユーザーの権限設定など、運用までを見据えて確認しておくと失敗が少なくなります。
ノーコードツールの活用事例
実際にノーコードツールを使っている企業では、さまざまな場面で活用が広がっています。
- 事例①社員同士で本を紹介
- 事例②チャットボットでWebサイトを効率化
- 事例③製造現場の管理業務をkintoneで一元化
以下では、それぞれのリアルな導入事例をご紹介します。
事例①社員同士で本を紹介
ある企業では、社内の読書文化を促進する目的で、社員がおすすめの書籍を紹介し合えるアプリをノーコードで構築しました。
Googleスプレッドシートと連携し、タイトルやジャンル、コメント、Amazonリンクまで一覧で確認できる設計になっており、本の検索や編集も可能です。
事例②チャットボットでWebサイトを効率化
ある企業では、自社のホームページにノーコードツールで作成したチャットボットを設置。会社概要や実績など、本来はサイト内にある情報を訪問者が探さずに聞ける仕組みを整えました。
チャット上でキーワードを入力するだけで、該当ページの案内が表示されるようになっており、情報提供の手間や離脱率の改善にも一役買っています。
事例③製造現場の管理業務をkintoneで一元化
ある企業では、製造現場の点検業務や工程管理に課題を抱えており、複数のシステム連携の煩雑さや管理の属人化が悩みのタネでした。そこでノーコードツールを使い、現場で必要なアプリをエンジニアではないスタッフが作成。
クラウド対応で工場内のどこからでも確認・更新が可能になり、情報共有がスムーズに。導入後は出荷ミスがゼロ、製造トラブルも大幅に減少するなどの成果が見られたようです。
ノーコードでアプリ開発する際の5ステップ
ノーコードでアプリ開発をしたいけど、「何から始めればいいのかわからない」と感じる人も多いかもしれません。ここでは、基本的なアプリ開発ステップを5つに分けて紹介します。
- 作るアプリの目的と活用シーンを明確にする
- ノーコードツールを選定する
- テンプレートやパーツでアプリを構築する
- データとの連携とアプリのテスト運用をする
- アプリの運用をしながら改善を続ける
ステップ①作るアプリの目的と活用シーンを明確にする
誰の何の目的のためにノーコードでアプリを作るのか、をはっきりさせることで、必要な機能や最適なノーコードツールも見えてきます。
ぼんやりとした目的のままだと、使わなくなるアプリになることも少なくありません。
ステップ②:ノーコードツールを選定する
アプリの目的に合ったノーコードツールを選ぶには、以下のような視点が重要です。
- 無料で試せるか
- 日本語サポートがあるか
- どこまでカスタマイズできるか
すでに紹介した各ツールの特徴やポイントを参考に、自社の業務に合うものを選びましょう。
ステップ③:テンプレートやパーツでアプリを構築する
多くのノーコードツールは、テンプレートやドラッグ&ドロップに対応しています。そのため、ゼロから作る必要はありません。
自分のアイデアに近いテンプレートをベースに編集していけば、時間も手間もグッと減らせます。
ステップ④:データとの連携とアプリのテスト運用をする
Googleスプレッドシートなどのデータを連携して、アプリを動かしてみましょう。
動作の確認を兼ねて社内でテスト運用を行い、アプリの操作性や表示を確認できます。
ステップ⑤:アプリの運用をしながら改善を続ける
アプリのリリース後も作って終わりではありません。利用者の声を拾いながら、少しずつ最適な形に近づけていくのが大切です。
ノーコードでアプリ開発した後の運用方法

では、ノーコードでアプリ開発をした後に、運用をうまく回すための方法をご紹介します。
- 現場スタッフにアプリの使い方をレクチャーする
- 初期のサポート体制を整えておく
- アプリ更新のルールを決めておく
- 定期的にアプリを見直す習慣をつける
現場スタッフにアプリの使い方をレクチャーする
全員がアプリをスムーズに使えるよう、基本操作の説明や簡単なマニュアルをあらかじめ用意しておくと安心です。
初期のサポート体制を整えておく
質問受付の窓口や担当者を決めておくと、アプリ導入直後の混乱を防ぎ、現場でのスムーズな活用につながります。
アプリ更新のルールを決めておく
誰がいつ何を変えるのか、というルールがないと、後で振り返ったときに困る場面が出てきます。アプリ更新の決まりごとがあるだけで、安心感がグッと増します。
定期的にアプリを見直す習慣をつける
月に1回など運用中のアプリを見直す時間を設けると、放置を防げて現場に合った形でアプリを保てます。
ノーコードでアプリ開発する際の注意点
ノーコードツールの操作画面がわかりやすくて「これなら使えそう」と感じたとしても、いざアプリの運用を始めると、思ったより自由に作れなかったり、目的があいまいなまま進めてしまったことで、アプリを活用しきれなかった、という声もよくあります。
ノーコードツールの導入を検討する段階で、「このツールで何を実現したいのか」「社内で誰がどう運用していくのか」といった具体的なイメージを持っておくことが、後から慌てずに済むコツでしょう。
ノーコードでのアプリ開発は目的に合ったツール選定がカギ
ノーコードツールの中からどれを選ぶか、どんな目的で導入するかによって、得られる成果には大きな差が出てきます。まずは、自社の課題や活用したい業務の内容を明確にすることがスタートラインです。
その上で、日本語対応や無料プランの範囲、カスタマイズ性など、導入後の運用も見据えた選定を心がけましょう。今回紹介したノーコードツール8つには、それぞれ異なる強みがあります。どれか1つに決める前に、いくつか使ってみることで、自社の業務や現場の感覚に合うツールが見えてくることもあります。
無理なく始めて、少しずつ使い勝手を確かめていく。それがノーコード開発をうまく進めるコツかもしれません。






