「採用しても人が集まらない」「せっかく採用しても定着しない」――企業の人材育成担当者の中には、このように人材不足に頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、人材不足が深刻化している原因や、特に影響の大きい業界を整理したうえで、企業が人材不足解消のために今すぐ実践できる10の方法を詳しくご紹介します。
人材不足は、今や多くの業界に共通する深刻な課題です。まずは自社でできることから始めて、持続可能な人材確保への第一歩を踏み出しましょう。
人材不足が特に深刻な業界
人材不足の度合いは業種によって大きく異なります。中でも、サービス業や運輸、建設、医療・福祉といった業界では、慢性的な人手不足が続いており、業務の継続すら危ぶまれるケースも少なくありません。
人材不足が特に深刻とされる業界をまとめてみましょう。
順位 | 業界 | 正社員の人手不足割合 | 不足の背景 |
---|---|---|---|
1 | 情報サービス | 70.2% | DX需要の高まり、専門人材の供給不足 |
2 | メンテナンス・警備・検査 | 69.7% | 技能者の高齢化と育成遅れ |
3 | 建設 | 69.6% | 高齢化、若手人材の減少 |
4 | 金融 | 67.1% | デジタル化の加速による業務変革、人材のスキルミスマッチ |
5 | 運輸・倉庫 | 65.8% | EC拡大による需要増、長時間労働への敬遠 |
6 | 旅館・ホテル | 62.9% | 不規則な勤務体系、インバウンド回復による急速な需要増 |
7 | 専門サービス | 59.1% | 資格保持者の減少、若手の専門職離れ |
8 | リース・賃貸 | 56.8% | 営業人員の確保が困難、業務の属人化が進んでいる |
9 | 人材派遣・紹介 | 56.7% | 登録スタッフの確保難、ミスマッチによる稼働率低下 |
10 | 自動車・同部品小売 | 56.3% | 整備士や販売スタッフの高齢化、若手の志望者減少 |
参考:人手不足に対する企業の動向調査(2024年10月)|帝国データバンク
こうした業界では人材不足が日常的な課題となっており、対応を先延ばしにするほど経営への影響も大きくなっています。
人材不足が深刻化している原因
多くの企業が人材確保に苦しむ中、その背景には複数の要因が複雑に絡み合っています。ここではまず、人材不足がなぜこれほどまでに深刻化しているのか、主な原因を見ていきましょう。
- 少子高齢化と労働人口の減少
- 業務の属人化と多様化
- 採用ブランド力が弱い
- 待遇面での競争力不足
- 採用リソースの制約
少子高齢化と労働人口の減少
日本は世界でも類を見ないスピードで少子高齢化が進行しています。特に高齢化は深刻で、厚生労働省の推計では「2070年には日本の総人口が9,000万人を下回り、高齢化率は39%に達する」と見込まれているほどです。
参考:これまでの議論の整理について(令和6年11月29日)|厚生労働省
これは特定の業界に限らず、全業種に共通する構造的な課題です。新卒採用が難しくなり、定年退職による人材の流出も増加する中、企業は「人を増やす」だけでなく「人が少なくても回る仕組みづくり」への転換を迫られています。
業務の属人化と多様化
企業の業務が特定の人にしかできない仕事になっている(=属人化)場合、急な退職や休職が大きな混乱を引き起こす可能性があります。こうした状態では業務の引き継ぎがうまくいかず、結果的に残された社員の負担が増えることにもつながります。
さらに、業務内容が年々複雑化・多様化しており、社員一人ひとりが担う業務範囲は広がり続けているのが現状です。結果として、採用してもすぐに対応できる即戦力人材が求められる一方、社内教育は追いつかず、人材の定着にも課題を抱える企業が増加しています。
採用ブランド力が弱い
多くの中小企業や地方企業が人材確保に苦戦している背景には、自社の採用ブランド力の弱さがあります。求職者は企業を選ぶ際、次のような点を重視する傾向があるためです。
- 企業の知名度
- 働きやすい環境(福利厚生や職場の雰囲気など)
- 将来性や事業の成長性
- 明確なキャリアパスの提示
- 情報発信の充実度(SNS・採用サイト・動画など)
一方で、大手企業のように広告やPRに十分な予算をかけられないという悩みを持つ企業も多いのではないでしょうか。主に次のような理由があり、求職者から選ばれにくくなっていると考えられます。
- 企業の魅力が十分に伝わらず、応募につながらない
- 採用サイトやホームページが古く、時代遅れの印象を与えてしまう
- 社内の雰囲気や働く人の姿が見えず、具体的なイメージが湧かない
- 求人情報の更新がなく、積極的に採用している印象を持たれない
待遇面での競争力不足
人材不足に悩む企業の多くは、給与や福利厚生といった待遇面での競争力に課題を抱えています。特に中小企業や地方企業では、次のような状況が根底にあると考えられます。
給与水準が低い
福利厚生が限定的
制度の魅力が伝わりにくい
また、求職者は次のようなポイントで企業を比較する傾向が強まっています。
給与や昇給制度の透明性
勤務時間やリモートワークの柔軟性
キャリア形成支援(研修・資格取得補助など)
福利厚生の内容と利用しやすさ
このような中、待遇面で見劣りする企業は「選ばれにくい職場」と見なされ、応募者数の減少につながりやすくなっています。
採用リソースの制約
採用活動には、求人媒体への掲載費や面接対応、書類選考など、時間とコストの両面で大きな負担がかかります。中小企業では特に、以下のようなリソースの制約が採用力の低下につながっているのが現状でしょう。
- 採用専任者が不在
- 採用業務にかける時間が不足している
- 求人広告費が確保できない
- 応募者対応が後回しになる
- ミスマッチが発生しやすい
このように、限られたリソースの中で採用を進めざるを得ない企業は、「良い人材と出会う前に、機会を逃してしまう」というリスクを常に抱えているのです。
人材不足を解消する10の方法
人材不足という課題に対して、多くの企業が頭を悩ませていますが、実は一つひとつの対策を丁寧に積み重ねることで、着実に改善は可能です。ここでは、中小企業でも取り組みやすく、実行すれば効果が見込める10の方法を厳選してご紹介します。
- 業務の優先順位を見直す
- アウトソーシングを活用する
- 業務マニュアルを整備する
- 多様な働き方を取り入れる
- シニア人材・主婦層などを積極採用する
- 採用戦略を見直す
- 社員が働きやすい環境づくり
- 社内教育・研修制度の整備
- AI・RPAの活用
- 支援制度・助成金の活用
①業務の優先順位を見直す
限られた人員で業務を回すには、まず「本当にやるべき仕事」と「やめても支障がない仕事」を見極めることが重要です。日々の業務に追われていると、いつの間にか優先順位が曖昧になり、非効率なタスクに時間を取られているケースも多く見られます。
日々のルーティン業務の中には、慣習的に続けているだけで実は優先度が低いものや、ツール導入で簡略化できるものも少なくありません。業務の棚卸しを行い、工数のかかる非効率な作業を見直すことが、従業員の負担軽減と全体最適化の第一歩になります。
やるべきこと
- 現在の業務を洗い出し、作業内容と工数を「見える化」する
- 業務の目的・成果との関係から優先度を分類する
- 必要性の低い業務や重複している作業を削減・停止する
- 自動化や外部ツールで代替できる業務がないか検討する
- チーム内での業務分担を再調整し、無理のない負荷に見直す
②アウトソーシングを活用する
すべての業務を社内で完結しようとすると、人手不足の状況ではすぐに限界が訪れます。そこで有効なのが、外部の専門業者に業務を委託するアウトソーシングの活用です。経理・人事・ITサポートなど、ノンコア業務を切り出すことで、社内のリソースを本来注力すべき業務に集中させることができます。
重要なのは、外注先に丸投げするのではなく、目的と範囲を明確にした上で、継続的なコミュニケーションを取ることです。アウトソーシングを適切に活用することで、業務品質の向上やスピードアップも期待でき、特に中小企業では限られた人材を最大限に活かせるでしょう。
やるべきこと
- 外注可能な業務を棚卸しする
- 社内の工数が過剰な業務や専門性が高い領域を優先的に選定する
- アウトソーシングの目的・範囲・成果基準を明確に設定する
- 信頼できる外部業者を選定し、契約内容などを整備する
- 定期的なレビューや改善提案を通じて外注先と協力関係を維持する
③業務マニュアルを整備する
業務が担当者任せになっていると、急な退職や休職が発生した際に、業務の引き継ぎがうまくいかず混乱を招く恐れがあります。そうしたリスクを回避するために有効なのが、業務マニュアルの整備です。
マニュアルを作成することで、新人教育の効率化や業務の標準化が進み、結果として全体の業務効率や生産性の向上にもつながります。さらに作成プロセスを通じて、不要な手順や重複作業の洗い出し・改善ができるという副次的な効果も期待できます。
やるべきこと
- 現在の業務を洗い出し、手順や使用ツールを明文化する
- 担当者以外も理解できるよう図や例を活用する
- マニュアルをクラウド上に保存し、誰でも参照できる状態にする
- 業務担当者によるレビューで内容の正確性と実用性を担保する
- 定期的に内容を見直し、現状に即した形へ更新し続ける
④多様な働き方を取り入れる
人材不足の中で「正社員一択」の採用にこだわっていては、貴重な人材との出会いを逃すことになりかねません。働き手の価値観やライフスタイルが多様化している現在、企業側も柔軟な雇用形態や働き方を受け入れる姿勢が求められます。
例えば子育て中の方や地方在住のスキル人材、定年後の再就職希望者など、これまで採用対象外になりがちだった層にもアプローチできる手段として、パートタイム・副業人材・リモートワークの導入は非常に有効です。特にITや事務系など、時間や場所に制約の少ない業務では、高い即戦力を持つ人材と出会える可能性もあります。
やるべきこと
- 業務内容を分析し、時間や場所の制約が少ない業務を切り出す
- パートタイム・業務委託・副業人材・リモートワークなどを検討する
- 採用要件や求人票の文言を見直し、多様な層に伝わるよう調整する
- 勤務時間の柔軟性やオンライン対応の体制を整える
- 社内の意識改革やマネジメント体制の整備に取り組む
⑤シニア人材・主婦層などを積極採用する
少子化により若年層の人材確保が難しくなる一方で、シニア層や主婦(主夫)層など、これまで十分に活用されてこなかった労働力には大きな可能性が眠っています。こうした層は、経験や社会人スキルを持ちながら、時間や働き方の制約によって就労の機会を逃しているケースが多いのが現状です。
このような人材を積極的に受け入れるには、一律の雇用条件にこだわらず、ライフスタイルや体力面に配慮した働き方を提案することが鍵となります。特定層ごとの特性を理解し、マッチする仕事を用意することで、即戦力かつ長期的に働ける人材として活躍してもらえる可能性があります。
やるべきこと
- 時短勤務や週数回出勤の選択肢を設ける
- 年齢やブランクに対する心理的ハードルを下げるためのサポート体制を整える
- 業務をタスク単位に分解し、スキルや時間に応じたマッチングを行う
- 採用ページや求人媒体で「未経験OK」「柔軟な勤務可」と明記し安心感を与える
- 勤務後の定着支援として、フォロー面談や同世代との交流の場を設ける
⑥採用戦略を見直す
現在の求職者は、必ずしも求人サイトやハローワークを通じて仕事を探しているとは限らず、SNS・動画・知人紹介など多様な情報源から企業を知る時代です。こうした変化に対応できていないと、どれだけ魅力ある企業であっても「見つけてもらえない」「選ばれない」可能性が高まります。
採用活動は「広く出す」ではなく、「正しく届ける」へ。ターゲットを明確にし、その層に合ったチャネルとメッセージを選ぶことが成果につながります。
やるべきこと
- 採用のペルソナ(理想とする人物像)を具体的に定義する
- 従来の求人チャネルの効果を分析し、SNS採用やスカウト型サービスも検討する
- 社員インタビューや職場の雰囲気が伝わる動画・ブログ等で情報発信を強化する
- 応募者が「自分ごと化」しやすいよう仕事内容や期待する役割を明確に伝える
- 採用プロセスや応募フォームを簡潔にし、応募のハードルを下げる
⑦社員が働きやすい環境づくり
人材不足の本質的な解決には、「採用する」だけでなく、「定着して長く活躍してもらう」環境づくりが不可欠です。職場環境が整っていなければ、せっかく採用できた人材もすぐに離職してしまい、採用コストだけが無駄になるという悪循環に陥りかねません。
近年の求職者はワークライフバランスや心理的安全性を重視する傾向が強く、企業側も柔軟な勤務制度や働きやすさを意識した制度設計が求められています。また社内コミュニケーションの質や評価・フィードバック体制も、モチベーション維持に大きく影響します。
やるべきこと
- 残業や休日出勤が常態化していないか、勤務実態を可視化して見直す
- 評価制度やキャリアパスを明確化し、頑張りが正当に報われる仕組みをつくる
- 時短勤務や在宅勤務、フレックスタイムなどの柔軟な制度を導入・整備する
- メンタルヘルスケアや相談体制(1on1面談、産業医の連携等)を強化する
- 上司・同僚との関係構築やチームの信頼感を育む場を意識的に設ける
⑧社内教育・研修制度の整備
人材不足の時代においては、「即戦力の確保」だけでなく、未経験者や若手を受け入れて「育てる」ことが重要な戦略となっています。社内に教育・研修の仕組みが整っていなければ、入社後に戸惑いや不安を抱かせてしまい、早期離職やミスマッチのリスクが高まります。
一方で、体系的な育成プランがある企業は、社員の成長と業務の安定性を両立できるだけでなく、求職者にとっても「この会社は人を大切にしている」という好印象を与える要素となります。
やるべきこと
- 入社時のオンボーディングやOJTの流れを標準化・マニュアル化する
- 社員のスキルや役割に応じた研修メニューを用意する
- スキルアップや資格取得を支援する制度を設ける
- 定期的な面談やキャリア相談を通じて、個別の成長課題を把握する
- 育成方針や実績を自社サイトで可視化し、「育てる企業」をアピールする
また、社内教育を効率よく進めるには、外部研修サービスの活用も有効です。特にDXやAIといった先端領域は、自社内だけで育成を完結させるのが難しいケースもあるため、外部の専門プログラムを取り入れることで、より実践的なスキル習得を目指せます。
こうした分野に対応した「企業向けDX・AI人材育成研修サービス」の導入も、選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。
⑨AI・RPAの活用
人材不足を根本から解消するためには、「人を増やす」だけでなく、「人の業務を減らす」発想が必要です。そのカギとなるのが、AI(人工知能)やRPA(業務自動化ツール)による業務効率化です。
AIやRPAを活用することで、請求書の作成や顧客対応、在庫管理といった定型業務の自動化が可能となり、少人数でも回る組織体制を実現できます。
一方で、ツールを導入しただけでは十分に活用できず、運用を担える人材、つまり「AIを使いこなせる人」が社内に必要です。人が足りないからこそ社内人材をDX・AI人材として育成し、テクノロジーと人材育成の両軸で人手不足に立ち向かう体制づくりが求められています。
やるべきこと
- 社内の定型業務・手作業を洗い出し、自動化の対象を明確にする
- RPAツールや業務特化型AIの導入を検討する
- 小規模な業務からPoC(試験導入)を行い、導入効果を測定する
- ツールを運用・改善できるDX・AI人材を社内で育成する体制を整える
- ITツールの活用実績や推進方針を社内外に共有し、全体の理解促進を図る
AI導入でビジネスを成功させるポイントを知りたい方は、こちらもチェックしてください。
⑩支援制度・助成金の活用
人材確保や教育、業務効率化の取り組みにはコストがかかるため、踏み出せずにいる企業も少なくありません。そこで活用したいのが、国や自治体が提供している支援制度や助成金です。
例えばキャリアアップ助成金や人材開発支援助成金、DX推進に関連する補助金など、条件を満たせば人材育成やIT導入の費用を一部補助してもらえる制度が複数存在します。これらをうまく活用すれば、費用面のハードルを下げながら中長期的な人材戦略を実行することが可能です。
やるべきこと
- 自社の課題に合った助成金・補助金の種類をリストアップする
- 支給要件・申請条件・対象経費などを確認し、適用可能性を検討する
- 専門家に相談し、申請書類や手続きの負担を軽減する
- 活用事例や成功事例を調査し、自社に合ったモデルケースを参考にする
人材不足を放置した場合に起こる5つのリスク
人材不足は一時的な問題と思われがちですが、放置すればするほど企業のあらゆる面に深刻な影響を及ぼします。ここでは、人材不足が引き起こす具体的な悪影響について整理していきます。
- 業務の遅延
- 顧客満足度の低下
- 従業員の負担増
- 離職率の上昇
- 企業成長の足かせになる
1.業務の遅延
人材が不足している状態では、限られた人数で業務を回さなければならず、通常の業務だけで手一杯になります。その結果、次のような業務の遅延が現れやすくなります。
- 業務の優先順位が下がり、後回しになるタスクが増える
- 作業スピードが落ち、スケジュールどおりに進行できない
- 繁忙期や突発的な案件に対応できず、納期遅れが発生する
- 現場の負荷が高まり、ヒューマンエラーのリスクが増す
このように業務が滞ると、取引先や顧客への納品が遅れるなど、外部にも影響が及びやすくなり、「信頼できない企業」という印象を与えてしまうおそれもあります。
2.顧客満足度の低下
業務の遅延は、やがて顧客対応の質の低下にもつながります。対応のスピードや丁寧さは顧客満足度に直結するため、次のような影響も無視できません。
- 問い合わせへの返答が遅くなり、不満が蓄積する
- クレーム対応やアフターフォローが不十分になる
- 顧客対応に割ける時間が減り、サービス品質がばらつく
- 顧客が「他社の方が対応が早い」と感じ、乗り換えを検討する
特に競合が多い業界では、わずかな対応の差が顧客離れの要因となり、売上や評判に影響を及ぼす可能性もあります。人材不足が続けば、長期的に見て企業全体の価値低下を招くリスクも否めません。
3.従業員の負担増
人手が不足している職場では、限られた人数で業務を回す必要があるため、従業員一人ひとりの負担が重くなります。特に、次のような状況が常態化しやすくなるのが問題です。
- 残業や休日出勤が続き、プライベートの時間が確保できない
- 複数の業務を掛け持ちすることで、集中力や生産性が低下する
- ミスをしてもフォローが受けられず、精神的なプレッシャーが増す
- 十分な研修や育成の時間が取れず、業務効率が上がらない
こうした過重労働が続くと、心身の疲労やモチベーションの低下につながり、職場の雰囲気やチームワークにも悪影響を及ぼします。
4.離職率の上昇
従業員の負担が限界を超えると、離職という選択を取る人が増えてきます。具体的には、次のような傾向が見られます。
- 責任感の強い人材ほど業務を抱え込み、早期に限界を迎えてしまう
- 働き方に将来性を感じられず、より良い環境を求めて転職を選ぶ
- 周囲の離職が続くことで、不安感や不信感が職場全体に広がる
- 一人が辞めると、その穴埋めの負担が他のメンバーに波及する
こうして人手不足がさらなる離職を招くという悪循環が生まれやすくなり、企業にとっては組織力の低下やノウハウの流出といった深刻なリスクを抱えることになってしまうのです。
5.企業成長の足かせになる
人材が不足している状態では、新しい事業への挑戦や業務の拡大といった成長戦略を実行に移すことが困難になります。日々の業務を回すだけで手一杯となり、既存の顧客対応や業務改善にすら十分な時間や人員を割けなくなるからです。
さらに、限られたリソースに頼り続けることで、トラブルや非効率が慢性化し、長期的には競合他社との差も広がってしまいます。「やりたいことがあるのに、人がいないからできない」という状態は、組織にとって大きな機会損失です。
人材不足解消にはDX・AI人材育成が効果的
人材不足を解消するためのさまざまな方法をご紹介してきましたが、なかでも特に効果が期待できるのが、AIやRPAといったデジタルツールの活用です。これらを活用することで、業務を効率化し、少ない人手でも生産性を維持する体制を構築できます。
一方で、ツールをただ導入するだけでは十分な成果は得られません。真に重要なのは、それらを現場で的確に使いこなせる人材(=AI・DX人材)を社内に育てることです。
専門人材を外部から採用するのはコストや競争の面で難易度が高いため、既存の社員を育成し、社内でスキルを「内製化」する流れが主流になりつつあります。現場を熟知した社員がAIの活用方法を学ぶことで、より実務に即した業務改善や自動化が可能となり、人材不足の根本解決につながるでしょう。
「企業向けDX・AI人材育成研修サービス」は、実務に直結するAIスキルを段階的に習得できる研修プランをご提案するサービスです。中小企業でも導入しやすく、受講後の実践サポートも充実しているので、「AIを使える人材を育てたい」「社内でDXを進めたい」と考える企業の担当者の方はぜひご検討ください。
また、社内DXを成功させるポイントについて詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
DX・AI人材の育成で人材不足を根本解決しよう
人材不足は一時的な課題ではなく、構造的かつ長期的に取り組むべき経営課題です。採用や業務改善、働き方の見直しに加え、AIやRPAの導入と人材育成を組み合わせることで、持続的に人手不足を乗り越える道が見えてきます。
今こそ自社に合った解決方法を見つけて一歩ずつ取り組み、効率的かつ柔軟な組織づくりを目指しましょう。
