DX推進の相談役 DXコンサルについて学ぶ

DX（デジタルトランスフォーメーション）は、現代のビジネス環境においてますます重要性を増しています。急速なテクノロジーの進化により、企業や組織はデジタル技術を活用して業務プロセスを最適化し、競争力を向上させる必要があります。

しかし、単なる技術の導入だけでは十分ではありません。
DXは、ビジネスのあり方や文化、戦略的なアプローチそのものを変革するプロセスであり、その実現には専門的な知識とスキルが求められます。

本記事では、DXの重要性やそのプロセス、さらにはDXコンサルティングの役割と求められるスキルについて詳しく解説します。DXコンサルタントが組織においてどのような役割を果たすのか、どのような知識と能力が必要なのかについて、具体的な事例とともに紹介していきます。
ビジネスの未来を切り拓くための一歩として、DXの世界へご案内いたします。

DXコンサルティングとは

「DXコンサル」とは、DX（Digital Transformation）を実施する企業や組織に対して、既存のサービスやビジネスモデルなどの変容を促すためにAIやIoT技術などの先端IT技術に関する知見を活用して、DXについての戦略的なアドバイスや支援を提供するコンサルティング（企業または職業）のことを指しています。
DXとは、従来のビジネスプロセスやビジネスモデルにデジタルテクノロジーを組み込むことによって、業務の効率化や新たな価値創造を図る取り組みのことです。

DXはあくまでも、対外的には従来のビジネスモデルや既存サービスの変革、組織内に対しては企業文化や業務に対する取り組み方に対する行動変容を起こすための１つの手段であり、デジタル技術の効果的な活用方法や導入支援を行うのがDXコンサルティングです。
DXコンサルタントは、企業の現状分析や課題の特定を行い、デジタルテクノロジーの活用方法や実施計画を策定します。具体的には、

• ビッグデータ分析
• クラウドコンピューティング
• 人工知能
• IoT

などの最新技術を組み合わせて、業務プロセスの最適化や顧客体験の向上を目指す企業を支援します。さらに、組織文化の変革やスキル向上のためのトレーニングも提供することもあります。

DXコンサルは、ビジネスの競争力を高め、未来に向けた戦略的な方針を援助する役割を果たします。企業が急速なテクノロジーの進化に対応し、変革を成功させるために欠かせない存在です。

DXのプロセス

DXのゴールは変化への迅速な適応であり、そのためにデジタル技術を活用し、組織のあり方や事業へのアプローチそのもの、つまりは企業文化の継続的な変革が可能な状態を意味します。

DXのプロセスは、ビジネスのデジタル化と革新を実現するための一連の段階です。
このプロセスは、企業や組織がデジタルテクノロジーを有効活用して業務プロセスを最適化し、競争力を向上させる手段として重要です。DXプロセスは主に、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションの3つの段階、構成で語られることが多いです。
ではこの、３つのプロセスについて詳しく説明していきます。

DX推進のための３つのステップ

ざっくりお伝えすると、

• デジタイゼーションでは情報のデジタル化
• デジタライゼーションではビジネスプロセスの最適化
• デジタルトランスフォーメーションでは全体の変革

が行われます。

DX推進のためのステップ1. デジタイゼーション

デジタイゼーションは、ITシステムを導入して情報やデータを物理的な形態（アナログな状態）からデジタル形式に変換するプロセスです。

例えば、これまで紙でやりとりをしてきた企業内の文書やファイルをスキャンして電子的なフォーマットに変換することで、情報の共有やアクセスが容易になります。
業務フローを部分的・局所的にデジタル化することで、業務効率化が実現します。
デジタイゼーションにより、情報の取得と共有がスムーズに行えるため、業務の効率性が向上します。一般的に言われている「業務ツールのデジタル化」にあたります。

DX推進のためのステップ2. デジタライゼーション

デジタライゼーションは、ビジネスプロセスを再設計してデジタル環境に最適化するプロセスのことです。従来のアナログな手順やプロセスを見直し、AIやIoTなどの先端IT技術、デジタルツールやRPAなどの自動化技術を組み込むことで、業務の効率性や品質を向上させることができます。

具体的には、工場でのワークフローの自動化やセンサーデータのリアルタイム分析などが含まれます。

DX推進のためのステップ3. デジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションは、組織全体の文化やプロセスを変革し、デジタルテクノロジーを核とした新たなビジネスモデルを採用するプロセスです。

この段階では、単に業務プロセスを最適化するだけでなく、新たな価値提供や顧客体験の向上を図ります。デジタルトランスフォーメーションは、縦割りの組織構造を脱却した前者的な取り組みのため、経営層のリーダーシップと従業員の協力が欠かせません。

デジタルトランスフォーメーションの意義

DXのプロセスは、単なる技術の導入を超えて、組織全体の変革を促すものです。
データの活用やプロセスの最適化を通じて、企業は市場変化に適応し、競争力を維持・向上させることが可能です。柔軟性と革新を基盤にしたデジタルトランスフォーメーションによって、持続的な成長とビジネスの未来への対応が実現されます。

DXコンサルティングの仕事内容

DXコンサルタントの活躍する場面は様々ありまずが、以下に、DXコンサルタントの主な仕事内容を5つご紹介します。

DXコンサルタントの仕事内容1. 企業の将来像に基づいたDX戦略の立案

DXコンサルタントは、クライアント企業が抱える経営課題とマーケットなどの外部環境の変化を分析し、クライアント企業の長期的な経営戦略に基づくDX推進のビジョンや目標を設定します。
新規事業の創出においては、予算計画やKPIなどを計画し、DXの実現へ向けたロードマップを策定します。

DXコンサルタントの仕事内容2. 企業文化の変革

DXの推進には、先に述べたように事業部の隔たりのない全社的な業務プロセスの変革を伴います。つまりは、社内の風土を変えることを意味します。
DXコンサルタントは、新たな企業風土の創出のための戦略を策定し、経営陣の説得や社内の協力体制の構築を行います。また、ITリテラシーの向上のためのセミナーやコミュニケーションの強化も担当することがあります。

DXコンサルタントの仕事内容3. 概念実証（PoC）の支援

新規事業のアイディアや新たなビジネスモデルの検証、プロトタイプ制作のために、DXコンサルタントは概念実証（PoC）の計画と実施を支援します。新規事業の実現性や市場への受け入れ可能性を検証し、リスクを最小限に抑えながら新たな取り組みを推進します。

DXコンサルタントの仕事内容4. ベンダーマネジメント

外部のAIベンダーやDXの専門家と連携し、システムやアプリケーションの開発を進める際に、DXコンサルタントは指示やアドバイスを提供します。進捗管理や品質管理を通じて、プロジェクトの円滑な進行と成果物の品質向上を図ります。

DXコンサルタントの仕事内容5. DX人材の育成支援

経済産業省が昨年12月に実施したアンケートによると、94％の企業が人材確保に課題があり、さらに３割強の企業においてはビジネス影響が出ていると回答しています。

また同省の調べでは、IT人材の需要と需給のギャップから2030年には最高約80万人という規模でIT人材が不足することが試算されています。このようなデジタル分野の人材不足に対処するため、クライアント企業に対してDX人材の育成プログラムを提供し、人材不足の企業をサポートしているDXコンサルタントもあります。
サポートの内容は、要件定義や研修プログラムの設計、採用プロセスの策定などを行い、必要なスキルの獲得と人材の確保をサポートします。
引用：経済産業省

DXコンサルティングの役割は、経営戦略から具体的な実装まで多岐にわたります。
企業がデジタル時代に適応し、競争力を維持・向上させるためには、熟練したDXコンサルタントのアドバイスと専門知識が不可欠です。

DXコンサルとはどのような人・企業向けのサービスなのか

DXコンサルティングは、DXを推進するための専門的なアドバイスと支援を提供するサービスであり、さまざまな規模・業種の企業、組織、団体に対して提供されています。

コンサルティングサービスの対象には、

• 経営層
• 中小企業
• 伝統的産業
• スタートアップ企業
• 政府機関・公共団体
• 教育機関

など様々な組織が含まれます。

経営層

経営層に対しては、業界のトレンドや先端IT技術の導入支援、市場の変化に対する対応策についてのアドバイスを行い、経営とデジタル双方の戦略統合を支援します。

中小企業

出典：一般社団法人 日本情報システムユーザー協会

中小企業に対しては、限られたリソースの中での効果的なデジタル戦略の策定が支援されます。
ただし、中小企業のDXには特有の問題も存在し、DXの導入を困難にしています。
それは、企業規模と利益の小ささにあります。

企業がデジタル技術を導入する場合、CIO（情報統括役員）をおいて、自社の経営理念・戦略に合わせたデジタル化の戦略を立て、それに基づいたデジタル投資を行っていきます。
しかし、中小企業のDXコンサルティングの専門家を設置しても、高いコストに比して投資額に対する回収効率が低いため、DXの専門コンサルティングは大手企業相手の業態になりがちです。
したがって、中小企業に対するDXコンサルティング事業は民間のITベンダーよりも公的機関が担う役割の方が大きいと主張する専門家もいます。

伝統的な産業

また、伝統的な産業や分野においては、従来の方法からデジタル技術への移行を検討する際に、効率化や新たな収益源の創出の方法が提供されます。

スタートアップ

スタートアップに対しては、スケーラブルなビジネスモデルの構築や投資家へのアピール方法を支援します。

政府機関・公共団体

政府機関・公共団体に対しては、行政サービスのデジタル化や市民とのエンゲージメント向上の支援が行われます。

教育機関

さらに、教育機関に対してもDX支援を行い、教育のデジタル化やオンライン学習プラットフォームの構築に向けた概念実証やシステム導入支援などが行われます。

DXコンサルティングは、デジタル化が進む現代社会において、さまざまな分野で求められており、専門知識と経験を持つコンサルタントがクライアントのニーズに合わせた戦略を策定し、持続的な成果を導く役割を果たしています。

DXコンサルティングに求められる知見

DXコンサルティングの成功には、幅広いスキルと知識を欠かすことはできません。
以下にDXコンサルティングに求められる知識・能力について解説します。

ビジネス理解と戦略思考

DXコンサルタントには、ビジネスの理解と戦略的思考が欠かせません。
業界やクライアントのニーズを深く理解し、それに基づいて戦略を策定することが求められます。ビジョンや目標の設定に関与し、事業計画の策定や変更に際してビジネス的な視点で指導する役割を果たします。

競争環境や市場動向を分析し、デジタルトランスフォーメーションを通じてどのように競争優位性を確立できるかを戦略的に考えることが必要です。

先端ITテクノロジーの専門知識

DXの推進には、最新のITテクノロジーの専門知識が欠かせません。
クラウドコンピューティング、人工知能、IoT、ブロックチェーンなどのテクノロジーの動向や適用方法を理解し、クライアントのニーズに合わせて最適なソリューションを提案する能力が求められます。専門知識を駆使してビジネスプロセスの最適化や新たなビジネスモデルの構築をサポートします。

問題解決能力と柔軟性

DXプロジェクトは予期せぬ課題や障害が生じることがあります。
こうした状況に対して、冷静な判断力と問題解決能力が必要です。また、変化のスピードが速いデジタル環境では柔軟性が重要であり、計画の変更や新たな状況への適応が求められます。
異なるアプローチを試す柔軟性と、効果的な解決策を見つけ出す能力が求められます。

プロジェクト管理能力

DXプロジェクトは複雑で多岐にわたる要素を統合する必要があります。
予算の管理、チームの協調、スケジュールの調整など、プロジェクト全体を円滑に進行させるためのスキルが求められます。計画の策定から実行、監視、調整までの一連のプロジェクト管理ステップを効果的に行い、プロジェクトの成功を確保します。

まず、ビジネスについての理解が重要です。業界やクライアントのニーズを理解し、戦略的な視点でデジタルトランスフォーメーションを展開するために、ビジネス知識は不可欠です。

また、先端ITテクノロジーについての専門知識も欠かせません。AIを活用したデジタルツールやプラットフォーム、クラウドサービスなどの技術的な理解が求められます。最新のテクノロジーの動向に敏感であり、その適用方法を見極める能力も必要です。

さらに、問題解決能力と柔軟性が必要です。DXプロジェクトは予期せぬ課題や障害が発生することがあります。その際に冷静に対処し、柔軟なアプローチで解決策を見つける能力が重要です。

そして、プロジェクト管理能力も重要です。DXプロジェクトは複雑で多様な側面を抱えており、効果的なプロジェクト計画やリーダーシップが求められます。予算の管理、チームの協調、スケジュールの調整など、プロジェクト全体を統括する能力が必要です。

総合的に言えば、DXコンサルティングにはビジネス、テクノロジー、プロジェクト管理、コミュニケーション、学習意欲、問題解決能力、柔軟性など、多岐にわたるスキルと知識が必要です。
これらの要素をバランスよく持ち合わせることで、効果的なDX戦略の策定と展開が可能となります。

DXコンサル活用のメリットとデメリット

DXのコンサルティング企業に社内のDX事業を依頼する場合にはメリットとデメリットがあります。

DXコンサル活用のメリット

まず依頼するメリットですが、

• 効率のよい業務改善
• 専門的な知識がなくてもDX推進ができる
• 合理的な判断ができる

という３点が挙げられます。
まず、コンサルティング企業が専門的なノウハウを社内のDX事業に活用することで、よりスピーディーに社内に変革をもたらすことが可能になります。また、DXの戦略立案に際し、細部にまで配慮することができ、より効果の高い戦略策定が期待できます。
AIやIoTなどの先端IT技術はDXの推進において必須のツールであるため、先端技術による技術革新も期待できます。

社内に専門家がいなくても、このような高度なDX推進事業を進めることができ、客観的立場からの合理的判断が可能な点がDXコンサルティング企業に依頼するメリットと言えるでしょう。

DXコンサル活用のデメリット

一方で、デメリットも考えられます。
まず自社のサービスや企業風土、組織体制ついてコンサルタント企業に理解してもらう必要がある点です。DXは企業全体の組織体制や全社員の意識改革による行動変容を起こし、新たなビジネスモデルの創出が目標です。そのためには企業の特性や現状、将来の方向性などについてしっかりと棚卸しをして、コンサルタントに説明する必要があります。この棚卸し作業には時間や社員の協力が不可欠であり、様々なコストを必要とします。
また、コンサルタント企業にDX事業を丸投げした場合、その進捗の把握や結果の評価や取り組みの効果がわかりにくい点も問題となります。自社のメンバーが実質的にプロジェクトを動かしているわけではないため、経験値や知識を得にくく、DX人材が育たないといった課題も生じます。

これらのデメリットを軽減し、DXコンサルタントに依頼することの恩恵を最大限受けるためには、任せきりにせず、自社のメンバーを集めてDX推進を行うためのチーム編成し、コンサルタントと密に連携をとりながら、自社に合ったDXの導入を勧めていくことが重要です。
そのため、自社のカラーに合ったDXコンサルタントの選定が成功へのカギとなります。

DX・AIトレーニングの需要

出典：情報処理推進機構

AI、IoT、ビッグデータ活用、クラウドコンピューティングなどの先端IT技術分野では、深刻な人材不足が生じています。
先端IT技術を担う人材の不足から、各企業ではDX人材育成に対するニーズが高まっています。情報処理推進機構（IPA）のIT人材の量・質についての調査では以下のように報告されています。

企業がDX人材の育成に取り組む場合、自社に必要な人材の質や人員数などを把握する必要がありますが、IT人材が充足しているという企業は少なく、この問題に対処するため、DXコンサルティングやプログラミングスクールが運営するAIセミナーへの需要が高まっています。
従業員のスキルアップや新たな知識の獲得が求められているのです。

DX・AIトレーニングを提供する企業・団体

多くの企業や団体がDX・AIトレーニングを提供しています。
学び方は、オンラインプラットフォームや専門スクールを活用して、柔軟な学習が可能です。
次の記事ではおすすめのDX講習をご紹介していますが、ProSkilllでもDXのセミナーを開講しています。

実践的に学べるビジネス向けAI完全攻略セミナー

ビジネス向けAI完全攻略セミナーは、DXに関連するAI作成方法を短期間で学べます。
対面式の会場受講やズームで受講するライブウェビナーならわずか1日で講習は完了です。
いつでも受講できるeラーニングなら、申し込み後1年間は何回でも動画視聴ができます。
ちなみに、eラーニングの講習内容は会場受講と同等の内容です。
価格は、会場受講とライブウェビナーが41,800円、eラーニングは35,200円となっており、現在キャンペーン実施中となっています。

DX完全攻略ハンズオンセミナー

AI研究所のDX完全攻略ハンズオンセミナーは、スピーディにデジタルトランスフォーメーションに関する知識・技術を習得できます。
講習型式は、会場受講とライブウェビナー、eラーニングの3種類です。
会場受講とライブウェビナーの講習期間は1日で、料金はどちらも52,800円となっています。
場所と時間を問わず繰り返し受講できるeラーニングの料金は35,200円です。
ちなみに、eラーニングの受講内容は会場受講と同等なので、「レベルに違いがあるのでは」という不安もなく利用できます。

他にもAI研究所では、企業向けにDX・AI人材育成研修サービスを提供しています。
導入事例などをご参考にしていただき、自社の人材育成にご活用ください。

まとめ

DXは、デジタル技術を活用して組織の変革を実現するプロセスであり、ビジネス理解、先端ITテクノロジーの知識、問題解決能力、プロジェクト管理が不可欠です。

DXコンサルタントは、DXを推進する重要な存在です。
テクノロジーの進化に適応し、企業の変革を支援する役割を果たしています。DXコンサルの活用により、企業は迅速かつ効果的にデジタイゼーション（情報のデジタル化）、デジタライゼーション（ビジネスプロセス最適化）、デジタルトランスフォーメーション（組織全体の変革）というDXのプロセスをすすめていくことができます。

DXコンサルティングに求められる知識と能力には、ビジネス理解と戦略思考、先端ITテクノロジーの専門知識、問題解決能力と柔軟性、プロジェクト管理能力が含まれます。
これらの要素をバランスよく持つことで、効果的なDX戦略の策定と実装が可能となり、企業は競争力を高め、未来に向けた戦略的な展望を築くことができます。