パターン認識と機械学習の関係とは?それぞれの違いや活用例をご紹介!

AIや機械学習が徐々に世の中に浸透している昨今で、「パターン認識」という言葉もよく耳にするようになりました。

「パターン認識」は、AIの分野に欠かせない技術のひとつです。しかしながら、このパターン認識をあまり理解していない方は多いでしょう。

今回の記事では、パターン認識の概要や仕組み、機械学習との違いや関係性などをくわしくご紹介します。パターン認識に関する知見を深めるにあたって、ぜひご一読のうえ、参考にしてください。

パターン認識とは?

パターン認識は、その名のとおり「データのパターンを認識する技術のこと」を指します。たとえば、音声や画像などのデータから、共通するパターンやルールを認識し、特徴や性質をあぶり出すことが可能です。

具体的には、声質や物体、色合いなどの情報をインプットさせて探し出すロジックとなっています。いまやAIに欠かせない技術となっており、実際に現代のAIは、パターン認識技術を搭載しているものがほとんどです。

パターン認識の仕組み

パターン認識は、以下のような仕組みで動いています。

  • データ認識の準備
  • 共通パターンの認識・判別
  • データの分別・区分け

はじめに、データを正しく認識するためにノイズを取り払う必要があります。この準備を行わないと、正しく認識・変換ができなくなるためです。

次に、共通パターンの認識・判別が行われます。読み込んだパターンを具体的な数値に変換し、認識内容をより明確なものにします。

認識・判別が済んだら、最後に分別と区分けです。数値化した認識内容をもとに、プログラミングによる自動判別が実行され、パターン認識処理が完了します。

機械学習(AI)とは?

機械学習とは、コンピュータがデータをもとに学習し、パターンを抽出や予測や意思決定を行う技術のことです。機械学習のアルゴリズムはデータに基づいて自動的に最適化され、問題に適したモデルを徐々に構築していくのが特徴です。

機械学習は画像認識、自然言語処理、予測分析などの形で幅広い分野に応用され、問題解決や生産性の向上に大きく寄与しています。なおAIについては以下の記事も参考になるので、ぜひご一読ください。

AI(人工知能)のメリットとは?AIのメリットとデメリットを徹底解説

パターン認識と機械学習はどう違う?

パターン認識と機械学習は、それぞれ「学習方法」が異なります。どのように違うかというと、具体的に以下のとおりです。

  • パターン認識 → 色や物体など、数値にしきれない情報を「パターン」「共通点」といった形式で自動で分類する
  • 機械学習 → データ内の数値や記号など、数値化できる情報をもとに、特定の処理や解析を自動で行う

とはいえ、両者とも「参考となるデータをもとに、自ら学習を行う」という部分は共通しています。そのため「パターン認識=機械学習の技術のひとつ」と考えても差し支えありません。

パターン認識によって機械学習の精度が向上した

パターン認識と機械学習には「お互いの技術を掛け合わせたことで、AIの技術力を向上させた」という関係性があります。

具体的にいうと、従来の機械学習は数字や文字列、記号のみを用いた学習手法が一般的でした。そこでパターン認識技術が登場したことにより、音声データの声質や、画像データの色や物体などのデータから学習することも可能になりました。

これによってAIシステムの性能は飛躍的に高まり、より複雑な処理に適応し、幅広いニーズに対応できるような進化を続けています。

パターン認識と機械学習を活用したシステムの例

パターン認識と機械学習を活用したシステムには、次のようなものがあります。

  • 文字認識システム
  • 画像認識システム
  • 音声認識システム

それぞれ解説します。

文字認識システム

パターン認識と機械学習の活用例のひとつに、「文字認識システム」があります。

これまで文字認識は、その精度の弱さが課題として挙げられていました。具体的には、類似した漢字の誤認識だったり、英語の半角・全角の変換ミスなどです。

しかし、近年の文字認識は進化が早く、以前とは見違えるほどに圧倒的な高性能が実現しています。さらに機械学習の技術も相まって、人間の手書きの文字すらひととおり読み取れるようになりました。

画像認識システム

画像認識システムも、パターン認識の代表的な活用例です。主に「AIがお手本となる特定の画像を読み込み、形状や特色を解析して数値化し、判断を行うもの」のことを指します。

たとえば、車の自動運転。通行人や障害物を画像データとして読み込ませ、あらゆる判断を行わせています。またスマホの顔認証も、まさしく画像認識システムによるものです。

ちなみに上記のように、お手本の画像を先に読み込ませる学習方法を「教師あり学習」といいます。現代の画像認識における一般的な学習方法として知られています。

また、以下の記事でも画像認識について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

画像処理とは?画像解析との違いや具体例、メリットをご紹介!

音声認識システム

音声認識も、パターン認識の代表的な活用例として普及しています。音声認識は、AIに音声を学習させ、音声の共通点やパターンを読み取り、言語として処理するシステムのことです。

具体的には、iPhoneでいうSiriやスマートスピーカー、文字起こしツールなどで用いられ、圧倒的な生活利便性と業務効率化を実現しています。音声認識については以下の記事でもくわしく解説していますので、ぜひご一読ください。

音声認識とは何?仕組みや活用事例、おすすめサービスも紹介!

パターン認識と機械学習で実現したメリット

パターン認識と機械学習の実現によって、以下のようなメリットが実現しています。

  • 車の運転支援システムによる安全性の向上
  • スマホの顔認証システムによるセキュリティと利便性の向上
  • 文字起こしツール登場による生産性の向上
  • 製造工場における画像解析AI導入による作業効率向上

それぞれ見ていきましょう。

車の運転支援システムによる安全性の向上

徐々に世の中に浸透している自動運転技術。

運転手の安全性の向上に大きく貢献していますが、こちらはパターン認識によって実現したものと考えて差し支えないでしょう。パターン認識によって人間や障害物、白線や縁石などを察知し、ハンドル制御や自動ブレーキを行ってくれます。

いまや東京では無人バスの実証実験も行われており、このような背景から自動運転は今後も間違いなく普及します。人間以上の安全性と正確性により、「人間が運転するほうが怖い」と言われる時代も遠くないかもしれません。

スマホの顔認証システムによるセキュリティと利便性の向上

いまやほとんどのスマートフォンに搭載されている「顔認証システム」は、セキュリティと利便性の向上に大きく役立っています。

ユーザーの顔を記録し、さらに目が開いていることでロック解除を行えることから「寝ている間にロックを解除される」などのリスクもなくなりました。こちらも、パターン認識技術あってのメリットといえるでしょう。

さらにスマホの顔認証システムは「ゆくゆくその人の顔がどのように変化するか」も予測するなど、その精度の高さも魅力です。

文字起こしツール登場による生産性の向上

文字起こしツールによって、議事録やテロップ作成などの効率が圧倒的に向上したことも、パターン認識がもたらした革新です。聞き取った音声から言語を選定して抽出してくれることで、タイピングの必要もなくなり、迅速かつ正確な作業プロセスを実現しています。

さらに、文字起こしツールは現代ではますます進化を遂げており、音声のみならず画像からもテキストを読み取れるようになりました。これにより紙で書いたメモや資料をすばやくテキスト化することも可能になっています。

製造工場における画像解析AI導入による作業効率向上

ほとんどの製造工場では、「画像解析AI」が導入されています。「正常な製品を3Dデータとして読み込ませ、不良品を取り除く」というのが主な用途です。

これにより、従来まで人の手でライン作業で行っていた「不良品の検出作業」の完全無人化に成功。さらに正確性も増していることから、もはや製造工場になくてはならない存在として知られています。

これも、パターン認識技術があってこその恩恵といえるでしょう。

パターン認識の現状の課題

あらゆる活用例やメリットが存在するパターン認識ですが、課題もあります。その課題とは主に以下のとおりです。

  • 導入や活用にコストがかかる
  • 精度向上のためには膨大な量のデータが不可欠

それぞれ解説します。

導入や活用にコストがかかる

事業にパターン認識技術を導入する場合、時間とお金、両方の面でコストがかかります

まず、パターン認識機能を搭載したシステムそのものにお金がかかります。それが物理的なものでも、もしくはソフトウェアであってもです。

そして、パターン認識の精度を向上させるために、繰り返し学習させることと分析結果を見直す時間が必要になります。また、定期的なメンテナンスも必要になることから、相応のコストやリソースはあらかじめ用意しておくのが賢明です。

過学習のリスクがある

パターン認識にも、過学習のリスクが潜んでいます。過学習とは、パターン認識システムが、読み込ませたデータ以上の学習を行ってしまう現象のことをいいます。

画像認識で例えると、必要ない余計な部分まで学習してしまうことで、未知のデータに対する予測性能が低下する。といった具合です。なお、過学習についてより詳しく知りたい方は、以下の記事でも言及していますので参考にしてください。

過学習はなぜ良くない?分かりやすい解説と対応策

まとめ

パターン認識とは、音声や画像データから共通点をあぶり出せる技術のことを指します。

すでに注目されていた機械学習(AI)の技術のひとつでありつつ「その性能と可能性を大幅に引き上げることに成功した技術」に他なりません。もはや現代のAIは、パターン認識ありきといっても大げさではないでしょう。

導入によって見違えるほどの生産性向上が期待できる一方、コスト面をはじめとするデメリットも存在します。予算と費用対効果を見定め、検討を重ねることが重要です。

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