近年急速に発展し、その重要性が日々高まっているAI市場。なかでもとくにわたしたちの生活に馴染んでいる技術が「音声認識」です。
今回の記事では音声認識の概要や仕組みをはじめ、活用事例やメリット、おすすめのサービスについてご紹介します。多くの分野で活用が進む音声認識について理解を深めると同時に、ビジネスへの有効活用に役立てるために参考にしてください。
まず「音声認識」とは何のこと?
音声認識とは一般的に「人間が話した内容を聞き取り、テキストに変換したり返答を行う技術」のことです。具体例としては、次のようなものが挙げられます。
- Amazon Alexa
- Siri(iPhone)
- 音声認識カーナビ
- ナビダイヤル自動応答
- 文字起こしツール
とくにスマートスピーカーやスマートフォンの音声認識は現代人の生活にすっかり浸透し、生産性向上やハンズフリー作業において大きく役立てられています。
音声認識の一般的な仕組み
音声認識は、主に以下のようなロジックで動いています。
- 人が話した言葉を認識
- コンピューター専用音声データに変換
- 音の区切りや母音を抽出
- データベースに格納された単語群と参照
- 適切な言語を組み合わせ、言語を生成
- テキストとして出力
大まかには「聞き取り」→「単語の区切り」→「データベースの単語との参照」→「出力」という流れとなります。データベースに登録される言語が増えるほど、精度や賢さが上がっていくことも特徴です。
AIの強化学習について、以下の記事も参考になるのでぜひご覧ください。
音声認識システムの活用事例
音声認識システムの代表的な活用事例として、以下のようなものが挙げられます。
- 文字起こしツール
- 各種翻訳システム
- スマートスピーカー
それぞれ順を追って見ていきましょう。
文字起こしツール
会議やミーティングで話した内容を聞き取り、自動でテキスト化してくれる「文字起こしツール」は、音声認識システムの代表例のひとつです。これまでは人の手で1文字ずつタイピングを行っていたことが、音声認識によって完全自動でテキスト化できるようになり、大きな生産性向上を実現しました。
現代の文字起こしツールは単語の聞き取り・認識の精度もどんどん上がっているため、人の手による修正は最小限にまで抑えられています。いまやビジネスにおける「なくてはならないツール」のひとつです。
各種翻訳システム
日本語を聞き取り、外国語への翻訳を行う「翻訳システム」も、音声認識の代表的な活用例として挙げられます。各種翻訳システムとは、以下のようなものです。
- スマートフォンの翻訳アプリ
- ホテルや店舗の受付にある翻訳デバイス
スマホに話しかけるだけで、話した言葉を外国語に翻訳してくれるシステムが登場しています。それと同じロジックの自動翻訳システムを、受付などに設けるホテルや店舗も増えているのが現状です。
スマートスピーカー
スマートスピーカーも、現代における音声認識システムの代表例といえるでしょう。スマートスピーカーは、おおよそどんな問いかけにも適切な返答を返してくれる対話型スピーカーです。
インターネット環境下で動くシステムなので、音楽をかける、天気を教えるなどの命令はもちろん、コアなジャンルの最新ニュースを教えてくれたり、既存の家電製品との連携も可能です。
音声認識システムのメリット・強み
音声認識システムには、次のようなメリットがあります。
- 手動入力よりも圧倒的に早い
- 人による問い合わせ業務を自動化できる
- 複雑な操作法がないためユーザーも安心
それぞれ順を追って解説します。
手動入力よりも圧倒的に早い
やはり手動で入力するよりも圧倒的に早いことが、音声認識の最大のメリットです。どれほどタイピングが早い人間であっても、コンピュータが入力する速度にはどう頑張っても敵いません。
時間だけでなく労力も軽減できるため、ミーティングや会議の文字起こしや議事録作成において欠かせないツールとなっています。
人による問い合わせ業務を自動化できる
コールセンターや受付など、問い合わせ業務に特化した音声認識システムを用いることで、業務を自動化することにつながります。システムの自動応答によって、顧客が迷っていることや困っていることを解決できるためです。
人の手なしで問題が解決できれば人的なリソースの節約にもなり、本当にやるべきタスクや業務に集中できるのは大きなメリットといえます。
複雑な操作法がないためユーザーも安心
音声認識システムはビジネスのみならず、ユーザー側にもメリットがあります。音声のみで操作が可能なことから、複雑な操作法を覚える必要がないためです。
これまでは便利なシステムがリリースされても、操作法や専門用語を覚える必要がありました。その点音声認識システムは、何かを話しかけるだけで便利に使えるため「慣れ」が不要です。
ITや機械が苦手な方でも、直感的に扱うことが可能になっていることは、大きなメリットといえます。
音声認識システムのデメリット・課題
音声認識システムはメリットも多数ありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。
- 独特の単語が聞き取れない
- 複数人の発言を聞き取れない
- 文章の訂正が不可欠
それぞれ順を追って解説します。
独特の単語が聞き取れない
音声認識のデメリット1つ目は、独特の単語が聞き取れないことです。独特の単語とは、「各業界の専門用語」や「方言・なまり」のようなもののことを指します。
データベースに登録されていない、特定の人しか分からない単語を多用すると、見当違いな回答が返ってきてしまいます。
ただ、音声認識システムは、日々対応言語を増やしています、そのため、このデメリットは時間が経てば解決する可能性が高いでしょう。
複数人の発言を聞き取れない
「複数人の発言を聞き取れない」ことも、現代の音声認識システムの課題の一つとして挙げられます。まったく聞き取れないわけではありませんが、どうしても聞き取りの精度には欠けてしまうのが現状です。
話す人と聞く人が明確に分かれている社内の会議などではとくに問題ありませんが、仲の良い人同士のプライベートな会話については、まだ音声認識によるテキスト化は難しいでしょう。
文章の訂正が不可欠
日に日に精度を上げ、実用性が増している現代の音声認識システムですが、まだまだ「文章の手直しがまったく不要」とは言い難いのが現状です。話者の発音やアクセント、背景騒音などの要因に影響を受けることから、認識エラーは必ず生じてしまうからです。
誤った単語や文法エラーが含まれた場合、意味がねじれたり、情報が誤って伝わったりする可能性があります。ユーザーは生成された文章に必ず目を通し、手直しを施す必要がある点は現状の課題といえるでしょう。
おすすめ音声認識サービス6選
ここではおすすめの音声認識サービスをいくつか紹介していきます。
1.toruno
引用:toruno
「toruno」は何といっても音声認識の精度の高さが最大の特徴で、生成された文章に対する手直しを最小限に抑えられることから、生産性の向上につながります。音声認識には2種類のモードが存在し、リアルタイムで音声を聞き取るモードと、音声ファイルから聞き取るモードから選択可能です。
重要な会話にブックマークをつけることができるため、使いやすさに特化している点から、議事録の作成において欠かせない存在となること間違いありません。
torunoについては、以下の動画でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
2.Rimo
引用:Rimo
Rimoは日本語特化型の音声認識アプリケーションで、早口の会話も確実に聞き取れる正確性が魅力です。音声データの読み込みだけでなく、リアルタイム音声認識で、ボイスレコーダーのような使い方も可能となっています。
また、声質で発言者を判別する機能が備わっているため、「誰が何と発言したのか」も簡単に共有できる点もメリットです。ただ、日本語特化型となっているため、日本語以外を翻訳する機能はついていません。
3.Notta
引用:Notta
Nottaは素早さと正確性に長けた音声認識機能と、安全性に長けたセキュリティ対策に注力している音声認識サービスです。リアルタイムや音声データの認識はもちろん、多言語の翻訳に対応していたり、Chromeの拡張機能が使えたりと、その機能性の高さに定評があります。
また、国際セキュリティ規格に準じ、データのリアルタイム監視を行うというセキュリティ対策も申し分ありません。
4.AmiVoice Communication Suite
引用:AmiVoice
AmiVoice Communication Suiteは、数ある音声認識サービスの中でも、とくに高精度な音声認識を実現しているサービスです。世界トップレベルの技術力をもつシステムを搭載している背景から、国内のみならず世界中の企業に選ばれています。
コールセンター業務に従事する方向けの業務改善機能や、音声認識アプリ開発のためのAPIなど、使い切れないほどの多機能ぶりが魅力です。
5.COTOHA
引用:COTOHA
COTOHA Meeting Assistは、NTTコミュニケーションズが運営する音声認識ソフトです。10種類の言語への同時翻訳にも対応しており、通訳や翻訳ソフトなしで会話が実現できます。
また、発言中の重要事項やタスクを自動認識してラベル付け、それをタスク形式で共有できるなど、その機能性の高さも大きな魅力です。
6.Nuance 音声認識
引用:Nuance 音声認識
Nuance音声認識は日本語のみならず世界86言語に対応し、世界的にも圧倒的な導入実績を誇る音声認識サービスです。最新のスコアリング解析、卓越した音声区間の検出機能が備わっており、会議中の雑音やノイズにも強い点が魅力となっています。
音声帯域の最適化を図って開発されているためVoIP音質にも適応、さらに発言を感知してガイダンスを自動停止するなど、実用性に長けた機能が盛りだくさんです。
音声認識についてまとめ
音声認識の概要や活用事例、おすすめツールを紹介してきました。現代のビジネスには、音声認識システムは必要不可欠といっても過言ではありません。
文字起こしなどの文書化のみならず、受付やコールセンター業務などに上手に活用することで、圧倒的な生産性向上が期待できます。一定のコストは必要になるものの、大きなリターンのために導入を検討してみてはいかがでしょうか。