画像処理とは?画像解析との違いや具体例、メリットをご紹介!

製造業をはじめ顔認証や自動運転など、現代の私たちの生活や安全に欠かせない技術となっているのが「画像処理」です。ただ、ひとえに画像処理といってもさまざまな種類や活用事例が存在します。

今回の記事では、画像処理と画像解析の違い、それぞれの具体的な例や特徴、メリットなどについて解説します。画像処理・画像解析それぞれの理解を深めると同時に、画像処理に適したプログラミング言語なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

画像処理とは?

画像処理とは?

画像処理とはひとことでいうと、「画像に対して何らかの処理を行う技術」の総称のことです。画像に対する何らかの処理とは、具体的に以下が挙げられます。

  • 読み込み
  • 情報抽出
  • 比較
  • 分類
  • 解析
  • 加工
  • 変換

上記のような画像の処理は、一般的にコンピューターを用いて行われます。また、この処理を実現できるシステムやコンピューターは、「マシンビジョン」と呼ばれています。

このマシンビジョンの実装には、デジタル画像を読み込むためのプログラミング技術が必須です。

画像解析との違い

画像処理と似た言葉に、「画像解析」があります。画像処理と画像解析、両者の違いをひとことでいうと、「解析に特化しているかどうか」です。

「画像処理」は前述で述べたように、画像に対する何らかの処理の総称を指しています。一方の「画像解析」とは、報抽出、分類、比較、解析する技術のことです。

具体的には製造業の不良品検知などで使われている技術が、画像処理かつ画像解析となります。しかし、画像の加工や変換などを行う技術は「画像解析」とは呼びません

画像処理の主な種類

画像処理の種類には、大きく以下の6つが存在します。

  • 画像補正
  • 画像変換
  • 画像加工
  • 画像特徴抽出
  • 画像認識
  • 3D処理

この章では、上記6つをそれぞれ詳しく解説します。

画像補正

画像補正は、色調やコントラストなどのパラメータを調整のうえ、画像の視覚的な品質を向上させる処理です。主に写真やビデオにおいて、撮影時の天候や照明条件、色合いの不均一さを揃えるために使用されます。

処理の主な内容としては、以下のとおりです。

  • コントラストの補正
  • 明るさの均一化
  • 色合いの補正

これにより画像の視認性や鮮明度を向上させ、より美しく整った画像の制作が可能となります。なお、この処理は一般的に「ヒストグラム変換」という方式が用いられます。

画像変換

画像の外観や表現を変更するプロセスが、画像変換です。主な処理内容として、次のようなものがあります。

  • 色空間の変換
  • モノクロ画像の変換
  • サイズ変更
  • 回転
  • 歪曲

画像変換ではカラーフィルターでトーンを変更したり、モノクロ化を実現します。なお画像変換の処理には、二値化やモルフォロジー変換といった方式が用いられます。

画像加工

画像加工では、画像に対してあらゆる変更や修正を行います。具体的には、次のような処理が挙げられます。

  • フィルター適用
  • エフェクト追加
  • テキスト挿入
  • モザイク処理
  • ノイズ除去
  • エッジ強調

写真やイラストに対し創造的な手法を用いて、魅力的な効果を加えることが可能です。デザイン、広告、SNSなど私たちの生活にも身近に普及しています。

画像特徴抽出

画像特徴抽出

画像特徴抽出はその名のとおり、画像内の特徴や情報を抽出する手法です。パターン認識や機械学習において、もっとも重要なプロセスといっても過言ではありません

重心や面積、円形度、主軸角度などの視覚的特徴を計測し、画像を数値データとして表現します。これにより画像の内容や特性を瞬時に理解できるため、あらゆる条件分岐が実現可能となります。

この技術は顔認証、物体検出、不良品検知、医療画像解析などさまざまな領域で応用され、精度向上や生産性向上に大きく貢献しています。

画像認識

画像認識は、コンピュータが画像内のパターンや対象物を自動的に識別する技術です。主に機械学習やディープラーニングが用いられています。

特定の物体や特徴を検知のうえ、分類する能力に長けているのが特徴です。たとえば自動運転車の障害物検知から、顔認識、商品の分類などさまざまなシーンで活用されています。

近年ではニューラルネットワークなどの技術により、より高い精度での画像認識が実現しつつあるのが現状です。

ディープラーニングによる画像認識の仕組みを徹底解説

3D処理

3D処理は3次元画像の処理を行う手法です。主に立体視や深度情報を利用して、画像に立体感や奥行きを付加する技術となります。

3D処理は画像の立体視表示や仮想現実(VR)アプリケーション、建築デザインなどで活用されます。また3Dモデリングやアニメーション制作に応用されることもあり、いまやリアルな視覚体験に欠かせない存在です。

画像処理技術の活用事例

画像処理技術は、主に次のようなシーンで活用されています。

  • スマートフォンの顔認証
  • 車の自動運転技術
  • 製造業における不良品の検知

この章では、上記それぞれ詳しくご紹介します。

ただこれらはほんの一部で、他にもじつにさまざまな活用シーンが存在するのが現状です。

スマートフォンの顔認証

画像処理技術の優れた応用例として、スマートフォンの顔認証が挙げられます。フロントカメラがユーザーの顔の特徴を認識し、プログラムによる画像解析が行われ、ユーザーを識別する仕組みです。

これにより高いセキュリティ性と利便性を実現しており、パスワードや指紋認証よりも自然な操作を可能としました。いまやスマホのロック解除や支払い認証のみならず、オフィスの入退室管理をはじめあらゆるシーンで採用されています。

車の自動運転技術

車の自動運転技術でも、画像処理技術が重要な役割を果たしています。車両に取り付けられたカメラが周囲の道路や環境をリアルタイムで認識し、画像処理プログラムが障害物の検出、車線認識、信号検知などを行っています。

運転状況の判別かつ適切な制御ができることから、正確性と安全性は人間以上です。数あるAI技術の進化例の中でも、自動運転技術は今後さらに進化することが確実視され、すでに国内で「運転手の存在しないバス」が登場しています。

製造業における不良品の検知

製造業における不良品の検知では、画像処理技術が品質管理に大きく貢献していることから、代表的な活用例として挙げられます。

製品の視覚検査にカメラが導入され、製造ライン上で高精度かつ高速に不良部分を検知。製品の外観や特定パターンを解析し、異常が検出されると自動的にアラートを発信します。

これにより効率的な品質管理が可能となっているため、もはや製造プロセス全体の品質向上に欠かせない存在です。

画像処理技術を活用するメリット

画像処理技術を活用するメリット

画像処理技術を導入・活用することには、次のようなメリットがあります。

  • 圧倒的な作業効率化を実現できる
  • 人的ミスがなくなり品質が向上する
  • 人的コストの軽減につながる

それぞれ、順を追って解説します。

圧倒的な作業効率化を実現できる

画像処理技術を活用する最大のメリットは、圧倒的な作業効率化を実現できることです。

大量の画像データを高速かつ正確に処理できるため、従来手作業で行われていたことが自動化され、大幅な生産性の向上が期待できます。たとえば製造業においては品質管理が迅速かつ効率的に行え、医療分野では画像診断のスピードが向上します。

人間の負担軽減や効率アップが可能となり、あらゆる業界が、業務プロセス改善の術として活用しています。

人的ミスがなくなり品質が向上する

画像処理技術の活用により、人的ミスがなくなり品質が向上するのがメリットです。自動化された画像解析や認識技術は高い精度で作業を遂行してくれるため、従来の人手による判断の不確実性が一切なくなります

人間がやる仕事を自動化できることに加え、さらにヒューマンエラーのリスクをゼロにしてくれることから、医療分野や製造業において欠かせない存在となっています。ヒューマンエラーの撲滅は企業の信頼性をも高めてくれるため、大きなメリットになるでしょう。

人的コストの軽減につながる

人的コストの軽減に大きく寄与する点も、画像処理技術の活用による大きなメリットといえます。

画像処理によって従来の人手での作業が自動化できれば、人員の必要性が低減するためです。そうなれば企業や組織は、コストを抑えながらも高い生産性を維持できます。

もっとも大きな「人件費」を削減し、より高度な業務に集中できることは大きなメリットです。

画像処理に向いているプログラミング言語

 

画像処理に適したプログラミング言語は、以下が挙げられます。

  • Python
  • C++
  • MATLAB

自社で画像処理を実装したり、これからエンジニアを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

Python

画像処理に向いているプログラミング言語の代表例として、Pythonが挙げられます。シンプルな構文と豊富なライブラリが、高度な画像処理アルゴリズムや機械学習モデルの実装を容易にしてくれるためです。

またPythonは科学計算やデータ処理に強みを持っているため、画像データの効果的な処理にも適しています。

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C++

C++も、画像処理に向いているプログラミング言語のひとつです。ゲーム開発でも用いられるハイパフォーマンスな言語として知られ、大規模な画像データの処理やリアルタイムアプリケーションにも適しています。

組み込みシステムやハードウェア制御の領域での利用も盛んで、高い柔軟性と性能を兼ね備えた言語として、画像処理にもよく活用されています。

MATLAB

MATLABは数値解析やディープラーニング分野でよく用いられているプログラミング言語です。画像処理の性能にも優れており、その直感的かつ数学的な表現力が特長となっています。

豊富なツールボックスが画像処理やコンピュータビジョンの課題に最適であるため、画像処理技術の実装が容易になります。研究や教育分野にも広く用いられており、複雑な画像処理プロジェクトに適応しやすい点が特徴です。

まとめ

医療や産業分野をはじめ、画像処理技術は私たちの日常生活においてもますます不可欠な存在となっています。さらにこれらの技術は現在進行系で目まぐるしく進化を遂げており、今後もより便利で、より実用性を兼ねたシステムが登場するのは間違いありません。

画像処理システムはあらゆるシーンで応用が可能なため、実現できそうな部分から導入を検討してみるのも賢明です。

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