あらゆるシーンで導入され、日に日に市場規模の大きさを拡大している「AI市場」。
そのAI分野で活用されている技術のひとつとして、注目を集めているのが「ディープラーニング」です。
本記事では、そのディープラーニングの基本的な概念を簡単にわかりやすく説明します。
それに加えて具体的な手法や活用事例、メリットなどを深掘りしていく内容です。
本記事を読むことでディープラーニングの知識を理解でき、実践に活かすことができるようになります。ぜひお読みいただき、参考にしてください。
ディープラーニングとは簡単にいうと?
ディープラーニングとは、簡単にいうとAI(機械学習)の技術のひとつです。具体的にどのような技術なのかというと、「いくつものニューラルネットワークを用いて、複雑なパターンや特徴を学習する技術」といえます。
ニューラルネットワークとは人間の脳と同じような流れで、パターン認識や処理を行える技術のことを指しており、音声や画像を認識する際においてよく用いられています。
ディープラーニングの概要については、以下の動画も参考になります。
ディープラーニングの主な特徴
ディープラーニングの主な特徴を挙げると、以下のようなものがあります。
- ニューラルネットワークを用いている
- 相応量のデータさえあれば自己学習を行ってくれる
「ディープ」とは、「多層」という意味です。ディープラーニングとニューラルネットワークを比較すると、用いられる中間層がたくさん存在するため、このような名称で呼ばれています。
引用:markezine
また読み込ませるデータが相当量あれば、そのデータに沿って自己学習を行える点も、ディープラーニングの大きな特徴です。画像や音声の解析などの処理が必要なシーンで重宝されています。
ディープラーニングの認識の仕組み
ニューラルネットワークは前章の図のとおり、以下の3つの層で構成されています。
- 入力層
- 中間層
- 出力層
入力層にデータを入力、中間層でデータが解析されて、出力層にて出力される仕組みです。
そのうちの中間層を増やし、「特徴量」を自ら認識できるようアップデートしたものが、ディープラーニングとなります。
ディープ ラーニングでは中間層を増やすことで、さらに複雑な計算や解析が可能となっています。さらに特徴量を自ら認識できるようになったことで、より人間の脳に近い思考回路を実現しました。
「AI」や「機械学習」との違い
AIや機械学習と、ディープ ラーニングの違いを挙げるなら、大きく以下のとおりです。
- AI…「人間の学習知能を再現する技術」全般の総称。
- 機械学習…AI技術のひとつで、データの関係性や規則性を見出すもの。
- ディープラーニング…機械学習技術のひとつで、特徴量を自ら学習できるのが特徴。
AI技術の中のひとつとして分類されるのが機械学習、機械学習の中のひとつとして分類されるのがディープラーニングとなっています。いずれも「人間の脳の学習知能を再現するためのモデル」であることは変わりません。
ただディープラーニングは、機械学習の中でもとくに優れたアルゴリズムをもつモデルという認識で差し支えないでしょう。なお、機械学習については、以下の記事も参考になります。
ディープラーニングの主な手法4つ
ひとえにディープラーニングといっても、その手法として大きく以下の4種類があります。
- 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
- 再帰型ニューラルネットワーク(RNN)
- LSTM
- 敵対的生成ネットワーク(GAN)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、主に画像認識に用いられるディープラーニング手法です。「畳み込み層」と「プーリング層」から構成され、特定のパターンや特徴を抽出します。
畳み込み操作は局所的な結合を通じて画像全体に対する情報を抽出し、その後プーリングによって次元削減が行われます。これによって位置変化に対する頑健性が上がることから、大規模なデータセットにおいて重宝されています。
再帰型ニューラルネットワーク(RNN)
再帰型ニューラルネットワーク(RNN)は、時系列データや文脈を考慮するのに適しています。過去の情報を保持し、現在の入力と組み合わせて出力を生成するのが特徴です。
文脈に基づいた予測や文章生成などのタスクにおいて重宝され、優れた性能を発揮しています。ただ長期の依存関係に弱いのが欠点でしたが、改良手法としてLSTM(Long Short-Term Memory)やGRU(Gated Recurrent Unit)が提案され、長期依存性モデリング向上を実現しています。
LSTM
LSTM(Long Short-Term Memory)は、前述の再帰型ニューラルネットワーク(RNN)の改良版として開発された手法です。RNNとおなじく時系列データの取扱ができるのはもちろん、長期の依存関係を効果的にモデリングする能力を持っています。
LSTMはゲートメカニズムを導入しており、情報の取捨選択を柔軟に行うことで長期的な記憶を残すことを実現し、勾配消失問題の改善に貢献しています。
敵対的生成ネットワーク(GAN)
敵対的生成ネットワーク(GAN)は、生成モデルと識別モデルから生成された手法であることが特徴です。識別モデルは正確な識別に注力し、一方の生成モデルは識別モデルの相違を常に疑います。
両者が敵対する形で学習していく手法であることから、この名称が名付けられました。画像生成やスタイル変換などで注目を集め、リアルなデータの生成において革新的な成果を上げています。
ディープラーニングの身近な活用例
ディープラーニングは以下のように、すでに私たちの生活の身近な部分で活用されています。
- パターン分析システム
- 音声認識システム
- 顔認証システム
- 画像認識システム
この章では、それぞれ詳しく解説します。
パターン分析システム
パターン分析システムは、ディープラーニングの身近な活用例として知られています。パターン分析システムとは、具体的には以下のようなものです。
- Amazonや楽天などのECサイトの商品表示
- YouTubeのトップ画面の動画表示
- 動画サービスのコンテンツ表示
- SNSの投稿表示
以前に表示したことのある商品、または定期的に再生している動画ジャンルなど、パターンや傾向を分析し興味に基づいた情報を表示するのが特徴です。
音声認識システム
身近なディープラーニング活用例として、音声認識システムも挙げられます。音声認識システムとは、具体的には次のようなものです。
- Amazon Alexaなどのスマートスピーカー
- iPhoneのSiriなどの音声アシスタント
- カーナビの音声コントロール
- 文字起こしツール
- コールセンターの音声認識
膨大な音声データを学習し、言葉やフレーズを高精度で識別します。これによりハンズフリーでのデバイス操作が実現できるため、大幅な生産性アップを実現しています。
顔認証システム
顔認証システムも、ディープラーニングの身近な活用例の代表的存在です。顔認証システムは、具体的に次のようなシーンで用いられています。
- スマートフォンのロック解除
- 支払い・決済システムの本人認証
- オフィスや施設の入退室管理
ニューラルネットワークは大規模なデータセットから顔の特徴を学習し、高精度で認識します。大幅なセキュリティと利便性の向上を実現させており、いまや生活になくてはならない技術のひとつです。
画像認識システム
ディープラーニングの身近な活用例として欠かせないのが、画像認識システムです。画像認識システムとは、具体的に以下のようなものです。
- 車の自動運転
- 製造工場における不良品検知
自動運転では車両に取り付けられたカメラが周囲を認識し、画像処理プログラムが障害物の検出、車線認識などを行います。また製造ライン上では、カメラが製品の外観や特定パターンを記憶し、異なるものを異常とみなし自動でアラートを出します。
このように画像認識システムは、安全性と生産性に大きく貢献しています。なお、ディープラーニングによる画像処理については以下の記事も参考になるので、ぜひお読みください。
ディープラーニングを学ぶならProskillのPythonセミナーへ!
ここまでの記事を読んで、「これから新しくディープラーニングを学びたい」と思っている方は多いでしょう。ディープラーニングを学ぶなら、ProskillのPythonセミナーを検討してみてはいかがでしょうか。
ディープラーニングを学ぶには、AIや機械学習の知識が必須です。そしてそのAIや機械学習を理解するためには、Pythonの習得は避けて通れません。
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まとめ
ここまで、ディープラーニングの概要や特徴、主な手法、活用例などを紹介してきました。
ディープラーニングはニューラルネットワークの改良モデルという位置づけです。ニューラルネットワークと比べて中間層が増加したことによって、より複雑な解析に対応したり、特徴量の自動認識などに対応できるようになりました。
ディープラーニングはすでに画像、音声、顔の認識など多岐にわたる活用例があり、その柔軟性と高い精度で注目を集めています。「自ら学ぶ」という特徴も相まって、未来の技術発展にも大いに活用されていくことは間違いありません。
ディープラーニングの応用によって今後、未来の技術発展がどのように実現するのか期待しましょう。