需要の増加に伴って様々な企業がAIサービスを導入している中、使い勝手やコストパフォーマンスの高さで注目を集めているのが「Bing AI」です。そこで今回の記事では、Bing AIの概要や強みを紹介すると共に、「ChatGPT」との違いについて解説していきます。
Bing AIの概要
「Bing AI」とは、アメリカに本社を置くマイクロソフトが提供しているサービスの一つです。マイクロソフトの検索エンジン「Bing」に「GPT-4」を搭載したAIチャットを組み込ませたことで、対話でのやり取りできるのが特徴です。GPT-4のAI技術とBingがもつ検索能力の組み合わせによって、常に最新の情報を得ることができます。
マイクロソフトの「プロメテウスモデル」とも呼ばれるBing AIは、パソコンから携帯電話まで様々なデバイスで利用できるのも魅力の一つです。AIサービスの中には利用に月額、年額の費用が発生する物も多くありますが、Bing AIは完全無料で利用できます。
Bing AIならではの特徴と強み
需要の増加に伴って様々な企業がAIを利用したサービスを始めていますが、Bing AIには他社にはない独自の特徴があります。
Bing AIならではの強み
いくつかあるBing AIの特徴の中で、強みとして「情報収集能力の高さ」があります。従来のインターネットを利用した検索をする場合、ユーザーがキーワードを入力して結果から必要な情報を抜き取ってまとめるという流れが基本です。一方でBing AIは疑問を投げ掛けるだけで、検索から文章をまとめる作業まで自動で行ってくれます。これにより、作業時間を大幅に削減して情報収集を行うことが可能です。
Bing AIは情報収集のツールとしてだけでなく、新しいものを作り出すために必要なアイデアを得るための手段としても活用できるでしょう。文章の作成で重要なポイントとなる書き出し部分のヒントを貰うといった使い方はもちろん、テーマそのものを提供してもらえるのも強みの一つです。
ChatGPTとの相違点
言語モデルが同じという理由で、「Bing AI」と「ChatGPT」を同一の物だと認識しているユーザーも少なくありません。一見するとどちらも同じように感じられますが、実際は異なる点がいくつかあります。
大きな相違点として挙げられるのが、メッセージの利用回数です。ChatGPTの有料版は3時間ごとに25回までという条件が設けられているため、最大で1日200回しかやりとりすることができません。それに対してBing AIは1セッション30回、1日300回までやり取りができます。利用頻度が多いユーザーにとって利用回数の多さは大きな魅力です。
そのほか、情報の入手方法にも違いがあります。ChatGPTは最新の情報を得るためにはプライグインとの連携が必須となりますが、Bing AIは検索サービスの「Bing」を利用しているので、連携は不要です。
改善が求められる課題
1日のメッセージ数のやり取りの多さ、使い勝手の良さなどメリットがたくさんあるBing AIにも、課題とされている問題がいくつかあります。
特に早急な改善が求められているのが「検索の精度」です。Bing AIはユーザーが入力した言語に合わせて自動で変換する機能が備わっていますが、常に正確に行われるとは限りません。極まれに誤った言語が選択されてしまったり、翻訳された文章が不自然な場合があります。検索についても同様に、情報が不完全な状態で提供されるケースも多いのが実情です。
そのほかにも、Bing AIに限った話ではありませんが、過去の文章や画像データを学習して結果を出すことで意図せぬ形で著作権を侵害してしまう事例もあります。検索結果の精度や提供された情報の安全性の向上は、早急に取り組まなくてはいけない課題の一つです。
Bing AIの利用手順
Bing AIは携帯電話とパソコンどちらでも使うことはできますが、それぞれ手順が異なります。
ブラウザ版の手順
パソコンでBing AIのサービスを利用する場合、マイクロソフトが提供しているブラウザの「Edge」を使うのが基本です。EdgeはWindows系のパソコンであれば大半が標準装備されていますが、無い場合は公式サイトから無料でインストールできます。
使い方は、Edgeのブラウザを開いてBingのトップページにアクセス、表示された画面の上部にあるチャットのタブをクリックという流れです。チャット画面が開いたら調べたいワードを入力して送信すれば自動で情報収集を行い結果を出してくれるでしょう。
スマホで利用する時の手順
携帯電話でBing AIを利用するにあたって、最初に行う作業が専用アプリのインストールです。市販されているスマホの多くはEdgeのブラウザが標準装備されていますが、Bing AIは対応していません。そのため、専用サイトでBingのアプリをインストールしておく必要があります。アプリのインストールに費用は掛かりませんが、通信料が掛かるのでモバイル通信で行う場合は気を付けなくてはいけません。
アプリをインストール後のチャットの方法はブラウザ版とほぼ同じで、調べたいワードを入力すればAIが自動で情報収集をして結果を導き出してくれます。スマホの扱いに慣れていない、フリック入力が面倒という場合に適しているのが「音声入力」です。スマホ独自の機能である音声入力は、文字通りユーザーがマイクを通して声で情報を入力する形になります。ながら作業で画面を確認するのが煩わしいという人は、予め設定しておけば結果を読み上げてもらうことも可能です。
Bing AIを快適に利用するにはブラウザ、スマホ共にマイクロソフトのアカウントが必須となります。持っていない人はログインの項目をクリックして、先にアカウントの作成を済ませなくてはいけません。
Bing AIを上手に活用するコツ
Bing AIの利便性を向上させるには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
細かく指示を出す
Bing AIはユーザーからの問い掛けに対して最良の結果を導き出すため、情報量の多さは重要なポイントになります。面倒臭がって最小限の指示で済ませてしまうと不完全な結果を出されてしまうだけでなく、誤った情報を提供されかねません。
箇条書きでも問題はないので、AIが理解しやすいようにできる限り細かく指示を出すことが基本です。友人や同僚との会話で説明をするイメージで入力するのが精度を高めるコツです。
定期的にリセットする
チャットで調べ物をする時に、続けざまに異なる質問をしてしまうユーザーも少なくありません。AIは過去のデータから結果を出すので、それまでとは内容が異なる質問をすると正しい判断ができずに見当違いの答えが返ってくることもあります。繰り返し誤回答が続く時は、新しいトピックを開く、内容のクリアなどで情報をリフレッシュさせれば正常に戻すことができるでしょう。
Bing AIのチャット機能が使えない場合の解決方法
Bing AIでチャット機能が使えなくなった時は、原因を突き止めたうえで、正しい対処法を取り入れなくてはいけません。
ログインの有無を確認する
Bing AIは、所有しているマイクロソフトのアカウントでログインをすることで利用できるサービスです。チャット機能が使えない場合には、最初にログイン状態になっているかを確認しておく必要があります。ログインの有無はスマホは画面左上、ブラウザ版は右上にある人型のアイコンをタップすることで確認可能です。ログインしていればアカウント情報、ログアウト状態では「サインイン」と表示されます。
ネット状態の確認
インターネットを利用したサービスである以上、接続状態になければ利用はできません。チャットのタブをクリックして「問題が発生しました」と表示される時はインターネットに接続されていない状態かもしれません。スマホであれば、再起動や電波の良い場所への移動、パソコンはルーターの電源を入れ直すといった方法で改善できます。
回数の上限
1セクションでやり取りできる回数の上限を超えた場合、それ以降は質問をしても答えは返ってきません。AIからの回答がなくなった時は新しいトピックを開くことで再びやり取りができるでしょう。ただし、1日の上限回数を超えると新規トピックを開いても回答はもらえないので、翌日まで待たなくてはいけません。
特徴を理解したうえで自分なりの使い方を取り入れる
「Bing AI」はスマホやパソコンなどデバイスを問わず無料で利用できますが、使い方次第で利便性は大きく変わります。機能や特徴を正しく理解しておくことはもちろん、必要に応じてデバイスを使い分けるなど、自分なりのやり方を見つけていくと良いでしょう。