【2024】医療DXとは?概要や事例、メリット・デメリットをご紹介

DX(デジタルトランスフォーメーション)は今さまざまな業界で急速に進展するとともに重要性が増しており、それは医療業界においても例外ではありません。

しかし医療DXとは具体的にどのようなもので、現場でDXがどのように活用されたり、どのような事例が存在するのかイメージが湧かない方も多いでしょう。

本記事では医療DXの概要や実際の事例、そしてその利点と課題などについて詳しく解説します。医療DXがもたらす未来について興味のある方なら、必読の内容となっています。

医療業界の現状の課題

2024年現在において技術は着実に進んでいるのは事実ですが、その進展による問題が浮き彫りになっているのもまた事実です。とくに日本においては「少子高齢化」が深刻な課題となっています。

技術の進歩によって長寿化が実現し高齢者が増えたものの、一方で出生率が極端に低くなっています。そのため働き手の減少と医療需要の増大が同時に進行しており、医療費の増加や慢性的な人材の不足が問題となりつつあるのです。

さらに日本は地震をはじめとする自然災害が多く、災害時には医療施設が被害を受けるうえ多くの負傷者が一度に発生することから、迅速かつ効率的な医療提供が求められます。加えて2020年に流行したコロナウイルスでは医療資源が不足したり、医療従事者が過労に陥るなど、医療体制の脆弱性があらわになりました。

こういった少子高齢化、自然災害、パンデミックなど多岐にわたる課題に対処法として、包括的な政策と持続可能な体制の構築が求められているのが現状です。

医療DXとはどういう意味?

医療DXとは「医療分野でITを活用し、サービスの質向上および業務効率化を図る取り組み」のことを指します。根本的なDXの取り組みを、医療分野に特化させたものという認識で差し支えありません。

目的は患者の健康管理を向上させるだけではなく、医療従事者の負担を軽減したり、医療システムで業務の効率化を高めることも含まれます。たとえば電子カルテ(EMR)や遠隔医療(テレメディスン)の導入、AIによる診断支援、ビッグデータ解析を用いた予防医療の推進などが代表的な例です。

具体的には電子カルテが普及すれば、患者情報が一元管理できるようになるので、診療の質や迅速性が向上します。またAIを用いた診断支援システムは医師の診断精度を高めるための大きな助けとなるため、病気の早期発見や治療最適化に寄与するでしょう。

医療DXはこういった技術を通じてサービス向上や効率化を実現し、患者によりよい医療環境を提供することを目指しています。なお、概要を一覧にしたものが、以下のとおりです。

定義
  • 医療分野におけるDX
  • ITによる医療サービスの質の向上
主な目的
  • 医療の効率化
  • 患者の利便性向上
  • 診断・治療の精度向上
  • 業務コスト削減
よく使われる技術
  • 電子カルテ(EMR)
  • 遠隔医療(Telemedicine)
  • AI診断
  • ウェアラブルデバイス
  • ビッグデータ解析
  • IoT(インターネット・オブ・シングス)
事例
  • 遠隔診療アプリ
  • AIによる画像診断支援
  • 患者モニタリングシステム
  • 医療データのクラウド共有

など

メリット
  • 医療業務効率や生産性向上
  • 診断・治療の迅速化
  • 医療従事者の負担軽減
  • 医療データの一元管理
  • 医療の質の向上

など

デメリット
  • 初期導入コストの高さ
  • プライバシー・セキュリティの懸念
  • 従業員の技術的トレーニングの必要性
  • インフラ整備の必要性

など

具体的な効果
  • 患者の待ち時間短縮
  • 診断精度の向上
  • 遠隔地の医療提供
  • リソースの最適配分
  • 治療の個別化

など

医療DXの具体的な活用事例

医療DXの具体的な活用事例

医療DXの具体的な活用事例には、大きく以下のようなものがあります。

  1. ネット予約システム
  2. オンライン・リモート診療
  3. 診療情報の一元化

それぞれ見ていきましょう。

医療DXの活用事例①ネット予約システム

医療DXの具体的な活用事例に、ネット予約システムがあります。ネット予約システムとは、患者が自宅からインターネットを通じて診療の予約や変更を行える仕組みです。

これにより従来では当たり前だった「電話での予約受付」の手間が省け、医療機関の受付業務が大幅に効率化されます。また患者にとっても診療時間の確認や予約の取り直しが簡便になり、待ち時間の短縮やスケジュール管理が容易になる点がメリットです。

さらにネット予約システムは医療機関によっては診療内容や担当医の選択が可能なので、患者の希望に応じた柔軟な対応が可能です。これによって満足度向上も期待できます。

医療DXの活用事例②オンライン・リモート診療

オンライン診療とは、インターネットを介して医師と患者が遠隔で診療を行う仕組みです。つまり患者は自宅や職場などから診療を受けることができ、通院の手間や時間を大幅に削減しています。

このオンライン・リモート診療は、地方や過疎地に住む患者が専門的な医療サービスを受ける機会を増やし、地域間の医療格差を解消できる点が大きなメリットといえるでしょう。

とはいえ、こちらは主に慢性疾患の管理や軽度の疾患の初診において有効なもので、重度な病気や怪我などの場合は対面が必須です。

医療DXの活用事例③診療情報の一元化

診療情報の一元化とは患者の診療記録や検査結果、処方歴などの情報をデジタル化してデータベースなどに集約することです。

これにより異なる医療機関や科の間で情報を共有しやすくなり、患者の治療経過や健康状態を総合的に把握できるようになりました。つまり医師が素早く正確に「患者の過去の医療歴」を参照できるため、質と安全性の向上につながるのもメリットです。

たとえば緊急時、救急医がすぐに患者の既往症やアレルギー情報を確認できれば、適切な処置を迅速に行えます。また患者が他の病院に転院する際も、情報の受け渡しがスムーズになり、重複した検査や治療を避けられるでしょう。

また患者側としても、自身の医療データを一箇所で管理してもらえることで、医療機関を訪れる際に持ち歩く荷物が減るなどのメリットがあります。

なお上記で紹介した3つに加えて「AIが行う医療の実例についてさらに深堀りしたい」と思う方は、以下の記事が参考になるので、ぜひご一読ください。

AIで行う医療とは?実例やメリット・デメリットを徹底解説

医療DXの実施で得られるメリット

医療DXの実施で得られるメリット

医療DXの実施で得られるメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 業務の手間削減
  2. さまざまなコストを削減できる
  3. 情報の管理が容易になる

それぞれ解説していきます。

メリット①業務の手間削減

医療DXによって、業務の大幅な手間削減が期待できます。つまりIT導入により、手動で行っていた業務が自動化されることで、医療従事者の負担が軽減されるということです。

たとえば電子カルテの利用により、紙ベースの記録管理が不要になり、情報の入力や検索が迅速に行えます。また予約システムの自動化により受付業務が効率化され、患者の待ち時間も短縮されるなどのメリットが実現しました。

これによって医師や看護師は本来の業務に集中できる時間が増え、結果として医療サービスの質向上につながるのです。

メリット②さまざまなコストを削減できる

医療DXで、さまざまなコストが削減できるのもメリットのひとつです。

たとえばITによるペーパーレス化が促進されたことで、紙や印刷物の使用量が減って資料の保管や管理にかかるコストが削減されました。また電子カルテや予約システム導入による業務効率化で、医療従事者の残業時間が減らすことで人件費の削減にもつながります。

このように時間や手間といったコストを大きく減らしてくれるのも、医療DX導入による大きなメリットといえます。

メリット③情報の管理が容易になる

医療DXは、情報の管理も容易にしてくれます。たとえば強固なセキュリティを誇るデータベースに情報が集約されれば、患者の診療記録や検査結果、処方情報などに素早くアクセスできるでしょう。

情報の一元化は、異なる医療機関や科の間での情報共有もスムーズにしてくれるため、連携の強化や医療連携の円滑化にも貢献します。

医療DXのデメリットとは?

医療DXのデメリットとは?

医療DXには一部デメリットも存在します。この章では代表的なデメリットとして、以下の3つを紹介します。

  1. 導入に多額のコストがかかる
  2. 厳重なセキュリティ対策が不可欠
  3. 業員のITノウハウを高める必要がある

デメリット①導入に多額のコストがかかる

医療DXの導入に多額のコストがかかるのは、デメリットになるでしょう。当然、新たなシステムや機器の導入には導入費用や設備投資、システム開発費用などが必要となります。

また既存システムやプロセスをデジタル化する場合は、それに伴う変更やトレーニングのためのコストも発生します。医療機関の規模や運営方式によっては、大きな負担となり得る場合もあるでしょう。

デメリット②厳重なセキュリティ対策が不可欠

デメリットというより当然のことではありますが、医療DXの導入を検討するなら厳重なセキュリティ対策は必須です。

医療におけるIT化が進めば、患者の個人情報や医療データがオンライン上で扱われるため、必然的に情報漏洩や不正アクセスなどのリスクが高まります。ここでセキュリティ対策を怠ると患者のプライバシーが侵害されたり、患者の信頼を失うというリスクが生じてしまうためです。

情報セキュリティ管理体制を整備すること、かつ適切なセキュリティ対策を講じることには、ためらわずに投資する必要があるということです。

デメリット③従業員のITノウハウを高める必要がある

医療DXに伴って業務のIT化が進むと、従業員は新しいシステムやツールを使いこなす必要が出てきます。とくに高度な技術を要するものの場合、従業員がそれらを理解して適切に活用するためには、継続的な教育やトレーニング、そして時間が必要です。

ITノウハウの不足や理解不足は、システムの運用や管理に支障をきたす可能性があるので、従業員のスキル向上に時間を割く必要があることはデメリットともいえるでしょう。

医療DXに関するよくある質問

ここでは医療DXに関する、よくある質問を紹介します。

DXとは何の略ですか?
Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略です。そのまま略すと「DT」ですが、英語圏では接頭辞の「Trans」を「X」と表記するため、「DX」という略称が使われています。

なお「DXの概要から根本的に学びたい」という方は、以下の記事でわかりやすく解説していますので、参考にしてみてください。

【2024】DXとはなに?わかりやすく具体例やメリットをご紹介!

医療DXの3つの柱とは?
医療DXの3つの柱とは、「全国医療情報プラットフォーム」「電子カルテ情報の標準化」「診療報酬改定DX」の3つのことを指します。
「全国医療情報プラットフォーム」は自治体ごとの医療情報共有できるプラットフォーム、「電子カルテ情報の標準化」はカルテの互換性とフォーマットを統一する取り組み、「診療報酬改定DX」は診療報酬システムのデジタル化を推進する取り組みのことです。

DXを学ぶならAI研究所!

DXを学ぶならAI研究所!

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医療DXまとめ

医療DXは、医療分野におけるDXの取り組みです。電子カルテや診療支援システムの導入、データの分析などで医療の質の向上や効率化を図ると同時に、患者の満足度向上を目指します。

医療DXは今後ますます重要性を増す分野であり、その取り組みはより進化していくでしょう。医療関係者や患者だけでなく、社会全体に有益な影響をもたらすことが期待されています。

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