AIの活用が現実のものとなり、注目されるのが「アノテーション」というワードです。
アノテーションはそれを専門に扱う会社に依頼するのが良いと言われていますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
今回はアノテーションを依頼できる会社とそのサービス内容について詳しく解説していきます。
まず「アノテーション」とは
アノテーションのもともとの英語には、「注釈」「注解」という意味があります。
主にAIを作るための機械学習データに使用するもので、テキストや音声・画像や動画などに注釈を付与することです。
機械学習のデータに情報を分類したり整理するためのタグや、対象物に関する付加情報を指すメタデータをつける工程をアノテーションと呼びます。
機械学習でアノテーションをするメリット
アノテーションの重要性は、AIに実装するデータをどのように作るかを考えると明らかです。AI開発ではまずAIに学習させるデータを収集し、それが何を表すものかデータ一つ一つに正しい情報を付していく作業を行います。
アノテーションされ、AIの学習用に整備された教師データは、AIが自ら学習を行いルールやパターンを見つけだす機械学習に活用され、AIの精度を上げていきます。
そして、AIが学習した内容の正当性を図るモデル評価が行われ、正解率などの面で高い評価が得られると実装に至ります。
AIは、開発初期段階では人間で言う赤ちゃんと一緒の状態と言えます。
白いキャンバスに絵を描いていくように、必要かつ的確な情報をAIに読み込ませることが重要です。
そのベースとなる段階が「アノテーション」なので、アノテーションが詳細で品質が良いものであるほど良いAIが完成します。
アノテーションを依頼できる会社10選
アノテーションは自力で行うこともできますが、アノテーションサービスを提供している企業を活用するケースが多いです。
ここではアノテーションを依頼できる会社を、サービス内容や特徴を含めて紹介していきます。
①株式会社アッペン
株式会社アッペンは、オーストラリアに本社を置く1996年創業の会社で、世界各国に9つの支店を持ちグローバルに展開している企業です。
1,000名を超える従業員を有しているとともに、100万人以上のクラウドワーカーがバックにおり、自然言語処理のデータ生成やアノテーションをメインとするサービスを展開しています。
人海戦術により正確かつ大量のアノテーション行えるのは、こちらの企業の大きな魅力といえます。
対応可能なサービスとして、テキスト・画像・音声・映像・センサーによるトレーニングデータの生成が挙げられます。
170カ国以上のクラウドワーカーによる作業が可能で、海外企業でありながら、日本語にも対応しています。
また、アッペンが行なっているアノテーションに関してもっと知りたい方は下記記事でも詳しく解説しています。
②株式会社ヒューマンサイエンス
翻訳や教育、人材派遣などのサービスを展開してきた株式会社ヒューマンサイエンスでは、年間のアノテーション取扱量が4,800万件以上と、実績十分の会社です。
数の面だけでなく、GAFAMなど、世界的にネームバリューのある企業のプロジェクトに参画するなど、作業の信頼性には定評があります。
特に、AI開発で精度向上が思うように進んでいない企業や、アノテーションを外部に依頼するのが初めてで、予算も限られている会社、大量のアノテーションデータを早急に準備したいケースなどでは満足いく結果が期待できるでしょう。
対応するサービスとして、自然言語分類・物体検出・意図検出・音声認識・地図ルート検索機能・OCRなどがあり、幅広いアノテーションの依頼ができます。
③Datatang
Datatangは、2020年創業と比較的新しい会社でありながら、画像・音声・テキスト・動画などのアノテーション済データを2.5ペタバイト以上保持し、特許を取得した独自システムであるアノテーション自動化処理により、ニーズに即したデータ提供を可能にしています。
Datatangでは、そもそもAI開発に必要な学習データを持っていない・少ないという企業や、データのアノテーションを依頼したい、自分でアノテーションを実現させるためのシステムを提供してほしいといった、幅広い要望に応えることができます。
早期にデータが必要、予算を削減したいなどの要望に応える、AI学習用データセットも提供しています。
④株式会社Nextremer
2012年に設立され、石川県金沢市に開発拠点を置く株式会社Nextremerは、データによる新たな価値の創出を掲げ、画像認識や自然言語処理分野のAIモデル開発やアノテーションサービスを展開しています。
こちらの会社の特徴は、依頼企業とのコミュニケーションを密にし、要望を把握したうえで、柔軟な対応をとっていることにあります。
要件定義の段階から品質管理の工程に至るまで、充実したサポート体制を敷いており、国内外の電気機器メーカーや自動車会社に加え、大学や大手研究機関などに学習データ提供していますが、アノテーションの工程を一任されることもあるほど信頼を勝ち得ています。
⑤楽天超ミニバイト
幅広い年齢層に利用される楽天ポイントのデータを活用し、高品質な教師データを大量に利用できるのが、こちらの会社の魅力です。
楽天超ミニバイトの場合、200万人以上のユーザーといろいろな種類のプロダクトを用いていますが、一つ一つのデータの作業やチェックを複数人数で行っているので、精度の高さを維持できています。
正確なデータを担保する不正検知システムを整えているほか、作業精度の高いユーザーのみで実施したデータ提供も可能なので、アノテーションの質の面でも信頼できます。
⑥アノテーションサポート会社
アノテーションサポート会社は起業家から生まれた子会社の1つで、AI開発のサポートとしてアノテーションの作業を代行しています。
アノテーションサポート会社では無国籍となってしまっている仕事がない海外の親子を採用し、アノテーションの仕事を与えるという社会貢献も行なっています。
アノテーションサポート会社が行なっている「アノサポ」については下記記事でも詳しく解説しています。
⑦アディッシュ株式会社
アディッシュ株式会社でもアノテーション代行サービスを行っています。
画像分類・物体検出・テキストラベル・書き起こしなど様々なケースに対応したアノテーションが可能です。
特徴としては作業者が国内に多いので、必ず日本人にアノテーションを行って欲しいという方はアディッシュ株式会社がおすすめとなります。
⑧FastLabel株式会社
FastLabel株式会社はデータ品質99.7%を誇っている高品質なアノテーションを提供する特徴の会社です。
データ量や依頼したいクオリティで料金価格が左右します。
また、アノテーションの際に題材となる教師データが足りないとなった場合もデータ補充も担当してくれます。
資料請求は無料なので、ひとまず資料請求したいと思う人はFastLabel株式会社の資料を請求してみてください。
⑨株式会社ブライセン
2019年に国内シェア1位となった株式会社ブライセンもおすすめです。
ブライセンは国内のシェア数だけに関わらずリピーター率も誇っているので、顧客満足度が非常に高い会社と言えます。
株式会社ブライセンが行ったデータセットの有効性を検証した動画があったのでこちらも参考にしてください。
⑩株式会社Surg storage
株式会社Surg storageは主に医療向けのアノテーションを行っています。
外科手術で利用するAIに用いる機械学習はとても品質が高く知識が必要となるので、そこでのアノテーションを担っている会社です。
もしAI手術を行う場合には株式会社Surg storageでアノテーションを依頼すると良いでしょう。
アノテーションを会社に頼むメリット
アノテーションは自社で行うこともできますが、アノテーションサービス会社を利用するメリットを感じている方は多いようです。
アノテーションを専門に扱う会社に依頼するメリットの一つが、AIのノウハウが持つ人材を利用できる点にあります。
IT業界の中でもAIの分野は、比較的新しい技術といえます。AI開発会社であっても、最新のAI技術を持つ人材の確保に苦労しているので、自社でアノテーションを任せられるスタッフを確保したり教育することは難しいと、容易に理解できます。
また、アノテーションは、集中力と忍耐力が必要とされる業務です。品質維持の点から考えても、アノテーション作業に熟達した人材に任せるのが得策です。
AI開発では、クオリティに加えて納期も重視すべきポイントです。
アノテーション業務は、AIの性能を左右する重要な工程で、学習には一定の時間が必要であることは言うまでもありません。自社からアノテーションのための人材を確保しようとすると、すでに担当している業務と兼任という形をとることも考えられます。
そうなると、アノテーションに割く時間は限られ、クオリティが落ちる危険もあります。
一方、アノテーションサービス会社では、高いクオリティを維持しつつ、作業プロセスを簡略化するノウハウを持っているので、納期を早めつつ質の良いアノテーションが可能になります。
アッペンのように、自社従業員に加え、多数のクラウドワーカーを抱えている企業であれば、人材の面でも納期の面でも、要求を果たせるに違いありません。
アノテーションを専門会社に依頼しよう
アノテーションはAI開発を左右する重要な工程で、データ量やそのクオリティ、スピードもポイントになります。
アノテーションの大切さを考えると、アノテーションサービス会社に依頼するのは理にかなっているといえます。
AI開発の増加に伴い、アノテーション会社の数もどんどん増しています。
自社が求めることを整理し、ニーズにかなうサービスを提供している会社に依頼すると、アノテーションのメリットを大きく感じられるでしょう。