AIが未来の道路インフラを隈なくチェック!道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」がスゴイ

本日のtopicsでは、道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」搭載車両が2022年度路面性状自動測定装置の性能確認試験に合格したニュースを紹介します。

道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」とは?

道路点検DXシステム「GLOCAL-EYEZ」

画像出典:https://www.nichireki.co.jp/product/consult/consult_list09/consult09_03.html

GLOCAL-EYEZ(グローカルアイズ)は、一般車に取り付けたスマートフォンで舗装道路を撮影するだけで、路面のひび割れや段差などの損傷状態が点検できるシステムです。

「GLOCAL-EYEZ」の特⻑は以下のとおりです。

  1. パトロール等の⽇々の管理で得たデータを舗装修繕のための定期点検データに活⽤できます。
  2. スマートフォンを乗⽤⾞に取り付けるだけで誰でもどこでも安価に点検ができます。
  3. 点検後、スマートフォンからデータを送信してAIが解析し、点検結果をいち早く確認することができます。

「GLOCAL-EYEZ」による点検のイメージ

「GLOCAL-EYEZ」の点検結果確認画面例

画像出典:https://www.nichireki.co.jp/product/consult/consult_list09/consult09_03.html

道路をスマートフォンで撮影するとクラウド上のA解析サーバに画像がアップロードされ、自動解析してくれるという訳です。
解析結果はスマホからすぐに確認でき、地図やグラフとともに表示されるので、どの道路から修復したらいいかが一目で分かります。

ひび割れや、安全運転に⽀障をきたす⽳ぼこ、道路利⽤者や住⺠からの苦情のもととなる段差、センターライン等の路⾯標⽰のかすれなどが解析項目になっています。

今回のニュースのポイント

道路のひび割れ

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000107939.html

今回は、GLOCAL-EYEZを搭載した車両が、一般財団法人土木研究センター実施の「2022年度路面性状自動測定装置の性能確認試験」に合格しました。
GLOCAL-EYEZのように専用機器を必要とせず、スマートフォンで完結する技術としては初めて、「ひび割れ」と「平たん性」の両項目で性能確認試験に合格することができたそうです。

最近では、GLOCAL-EYEZと同じようにスマートフォンやドライブレコーダーとAIを組み合わせた路面点検技術が数多く開発されています。
しかし、「ひび割れ率」や「平たん性」といった、道路維持管理において重要な指標を定量的に算出することは困難でした。
同じ道路を走行したとしても、車両ごとに揺れが違うため、路面凹凸を正確に把握することができなかったことが一因です。

GLOCAL-EYEZでは、車両動揺を振動理論に基づいて解析することにより、路面凹凸の管理指標であるIRIや平たん性を高精度に評価しています。
東京大学が開発した特許技術によって、車両の動特性の違いを補正し、高い精度と再現性でIRIや平たん性を求めることを可能にしました。
⾃由⾛⾏の際の動揺データから⾞両モデルを⾃動的に同定しているんですね。

IRIや平たん性を求める

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000107939.html

GLOCAL-EYEZのように、スマートフォン1台だけで高精度に管理指標を測定できる技術が確立したのは、とても画期的なことなのです。

GLOCAL-EYEZが生まれたわけ

GLOCAL-EYEZ

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000107939.html

現在私たちが使用する道路は、⾼度経済成長期に集中的に整備されました。
国内の多くの舗装道路は今後一斉に老朽化されることが懸念されています。

このうち高速道路や幹線道路などは計画通りの修繕が比較的実施しやすく、現在も舗装の長寿命化が進められています。

しかし、⽇本の舗装道路の約7割を占める生活道路では、メンテナンスの前段階である「点検」の実施がしにくく、なかなか進んでいません。
道路利⽤者や住⺠からの要望に対応した補修が多く、大切なインフラの維持が後手後手になっている現状があるのです。

こうした課題を解決するためには、安価な点検⼿法と⽇々の管理の効率化の実現が必要です。
そのため、従来別々に⾏われていた⽇々の管理によるパトロールと、修繕を⽬的とした点検を⼀体化していくべきと考えました。
パトロールで得たデータを点検に、また、点検で得たデータを⽇々の管理に活⽤できる画期的な仕組みを実現しようとしたのです。

GLOCAL-EYEZ

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000107939.html

GLOCAL-EYEZの開発者は?

GLOCAL-EYEZを共同開発したのは、ニチレキ株式会社(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:⼩幡学)と株式会社スマートシティ技術研究所です。

ニチレキは舗装道路や橋梁など、私たちの大切な生活インフラを支えてきた会社です。
120万キロに及ぶ日本の道路の老朽化を把握し、限られた予算の中で適切かつ効率的に維持管理していくことを使命とし、事故リスクの高い舗装路のスクリーニング技術を確立したいと考えたそうです。

また、株式会社スマートシティ技術研究所は、2019年に設立された東京大学発のベンチャー企業です。
インフラ維持管理分野における、最先端の研究成果を社会に還元することをミッションにしています。
GLOCAL-EYEZのコア技術である「スマートフォンを利用した高精度路面評価技術」は、代表取締役社長の趙博宇(チョウ ヒロタカ)氏が東京大学社会基盤学専攻博士後期課程にて開発したものだそうです。

ここに、ニチレキが⻑年培ってきた舗装管理、舗装補修技術が融合し、未来のインフラを守るすばらしいサービスが実現したという訳なんですね。

すでに活用が広まるGLOCAL-EYEZ

GLOCAL-EYEZは、2021年8月のリリース以降、国内の20以上の自治体や国道事務所で有償導入に至りました。
いずれも従来技術より優れているとの評価を受けており、多くの地域で道路維持管理の高度化や効率化に貢献しています。

  • 中国
  • ウズベキスタン
  • オーストラリア
  • ドバイ

といった国々でも採用されており、その技術力は世界中で認められているそうです。

GLOCAL-EYEZ

画像出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000107939.html

社会の課題とAI技術がベストマッチした結果、社会実装が進んでいくというすばらしい事例ですね。
実社会におけるAIの活用がまた一歩深まったことが嬉しく思います。

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