ロボットイノベーションによって業務の自動化が進む?人間の代わりにできること

技術の進歩によってビジネスシーンにも様々な変化が起きていますが、その1つにロボットイノベーションというものが挙げられます。ロボットは人間の労働負担を軽減したり、人間には困難な作業を実したりするツールとして注目を集めているのです。
本稿ではそんなロボットイノベーションと、業務の自動化について見ていきましょう。

ロボットイノベーションと自動化について

ここではまず始めに、ロボットイノベーションや自動化の基本的な考え方について理解を深めておきましょう。

ロボットイノベーションの概要

イノベーションとは「新しい技術や考え方によって、モノ・サービス・ビジネスモデルや組織に新しい価値をもたらすこと。また、それによって社会全体に良い変革を起こすこと」です。
ロボットイノベーションにおける「ロボット」は、主に物理的な作業を遂行する機体を指しています。つまりロボットイノベーションとは「物理的に稼動するロボットによるビジネスおよび社会的な変革」のことです。

ロボットと言われると、顔や腕の付いた人型に近い機体をイメージするかもしれませんが、実際は比較的大型のマシンやアームのようなものが多いので留意しておきましょう。似たような言葉にRPA(Robotic Process Automation)が挙げられますが、RPAの場合はソフトウェアによる業務効率化・自動化を意味しています。

業務効率化を目的とした「自動化」とは

ビジネスシーンにおいてロボットは業務効率化のために導入されるケースも多いです。ロボットが人間が手作業で行っていたタスクを代行することで、業務の自動化が実現します。ロボットによる業務の自動化には大きく分けて「省人化」と「省力化」の2パターンがあるので覚えておきましょう。

「省人化」とは

省人化とはロボットによって業務の一部を自動化させることで、作業にあたる従業員の数を減らすことが目的です。業務全体を自動化すると無人化に繋がります。

「省力化」とは

一方、省力化とは業務に際して必要な労力の削減や負担の軽減を目的とするタイプです。例えば精密で正確な作業が必要とされる業務をロボットで自動化すれば、従業員の負担軽減に効果的と言えるでしょう。

ロボットイノベーションによる自動化のメリット

ロボットイノベーションによって業務自動化を実現すると、次のようなメリットが期待できます。

人手不足解消

日本の生産年齢人口は少子高齢化の影響で年々減少しており、業界を問わず多くの企業が働き手の確保に苦戦しています。
ロボットイノベーションによって業務の自動化が進むと人間の手が必要なタスクが少なくなるため、限られた人数でも効率的に仕事を回せるようになるでしょう。

品質安定化

ロボットによる作業は人間のように品質のバラつきが少なく、安定した生産体制を整えられるというメリットもあります。
何かを作ったり組み立てたりする作業以外にも、製品の不良をチェックする作業を自動化することも可能です。

生産性向上

生産性とは投じた資源に対してどの程度の成果物を生み出せたかを示すワードであり、ビジネスシーンでは重要な意味を持っています。ロボットで業務が効率化・自動化されると、従来よりも少ない人的リソースや時間で成果物を生産することが可能です。
また、浮いた人員をコア業務に回せるようになるため、企画やアイディア出しといったクリエイティブな業務や営業のように売上へ直結するポイントを強化できるでしょう。

ロボットイノベーションで自動化できる業務

ロボットによって自動化できることとしては、一般的に次のようなものが知られています。

製品の組み立て

製造業はロボットによる自動化が積極的に進められている業界の1つです。例えば電子部品の生産では機械作業が導入されていましたが、製品ごとに設計された専用組み立てマシンへ製造プロセスに準じた部品を順番に流していくライン生産方式が一般的でした。
ロボットイノベーションによって改良された製造ラインでは、汎用型の組み立てロボットがプログラムに従って部品をピックアップして組み立てた完成品をコンベアに乗せて運びます。
柔軟性に富んだシステムであるため、導入コスト軽減と拡張性向上が実現したのです。自動車産業においては塗装や溶接といった技術・危険を伴う作業が、ロボットによって積極的に自動化されています。

食品の詰め込み

食品メーカーでは商品ごとにコンベアを設置して、人間が手作業で詰め込むというスタイルが主流となっていました。個別にラインを設ける関係で生産量のコントロールが難しく、単純作業な上に同じ姿勢が長時間続く立ち仕事は従業員にとって負担になります。
ロボットによる自動化では1つのラインに複数の商品を流し、その中から適切なモノをロボットが判別して詰め込むことが可能です。
これによって生産量を柔軟にコントロールできるようになり、人的リソースの確保にも繋がります。

化学品の検査

化学品の安全性検査は人間の目視確認によって行われていましたが、ロボットが導入することで一連のプロセスを自動化可能です。
ハイスキルな人材が必要とされてきた検査業務を自動化すれば効率的にコスト削減を進めることができる他、業務品質の均一化や24時間稼働による生産性向上といった効果が期待できます。

医療作業

少子高齢化による人材不足や患者の増加が問題視されている医療業界では、主に手術支援ロボットの導入が課題解決に効果を期待されています。
人間の手以上に精密な作業が可能な上に無菌状態での手術が可能となるため、患者にとってもメリットが大きいのです。

荷物のピッキング

インターネット技術の普及によってECサイトや通信販売の需要は高まりを見せていますが、その一方で働き手不足が問題となっていました。
大手の業者では人間の目視と手作業で行っていた荷物のピッキング作業を、一部ロボットによって自動化することに成功しています。
また、ドライバー不足を補うために地方への配送を一部ドローンで自動化する試みも始まりました。

ロボットイノベーションにより自動化が実現した国内事例

ロボットによる業務自動化は既に国内の様々な企業・機関で進められており、多くの事例を確認することができます。
ここではその一部を抜粋して紹介するので参考にしてみてください。

トヨタ自動車株式会社

大手自動車メーカーであるトヨタでは、車体製造の最終段階にあたるウィンドウ搭載をロボットで自動化しています。
熟練の技術が必要だったデリケートな業務ですが、ロボットによる精密な作業で品質を維持したまま作業時間短縮や省人化に成功しました。
また、1つ25kg程度の重量があるスペアタイヤの詰め込み作業もロボットで自動化され、従業員負担の軽減に大きく寄与しています。

カルビー株式会社

製菓事業で広く知られているかルビーでは生産工場に複数商品の混流に対応できるロボットパレタイザの導入により、詰め込み作業の効率化とコスト削減に成功しました。
詰め込み作業にかかっていたコストは約半分となり、手作業が必要な部分に割いていた人員は5名から1名に省人化しています。生産ラインの稼働率向上や工場内の騒音軽減といった効果も確認されました。

済生会野江病院

大阪で400床の病床を構える済生会野江病院は、注射薬払出ロボットが導入されています。
薬剤取替え業務が自動化されることで従業員の負担が軽減するだけでなく、取違えや破損といったヒューマンエラー防止にも効果的な施策です。
また、患者に対する薬剤の説明や問診の時間が確保されるようになったため、コミュニケーションが密になりサービス品質の向上にも一役買っています。

ロボットイノベーションで自動化が進んだ先にある未来

様々な業界で加速するロボットによる業務自動化は、先々の「グローバリゼーション推進」と「市民生活の変化」に繋がると予想されています。人間の手作業による業務の場合、他国の言語に対応するためには各従業員が外国語を習得する必要があるでしょう。
しかしロボットであればプログラミングさえ済んでしまえば量産が可能です。海外拠点への導入や優秀な外国人労働者の受け入れなど、ロボットイノベーションはビジネスの現場がグローバル化が進む一助となるでしょう。

ロボットイノベーションによって事業の変化が進んでいけば、消費者の生活にも変化がもたらされることは想像に難くありません。
一部の飲食や小売といった日常生活に密着したサービスでは、ロボットによる自動化が試験的に導入されています。利便性や安全性の向上など、ロボットイノベーションによる社会の変革を消費者が実感する日はそう遠くないと言えるでしょう。

ロボットイノベーションの自動化が変化をもたらす

製造・配送・医療など既に多くの現場でロボットによる業務自動化は成功を収めています。業務効率化や従業員負担の軽減はビジネスに新しい価値を生み出し、一般消費者の日常生活にもさらなる潤いをもたらしてくれるでしょう。
ロボットイノベーションによってビジネスの現場で起きている変化は、社会の変革に繋がっていくのです。

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