【2024】AIで楽曲を作成した際の著作権とは?仕組みやおすすめのサービスもご紹介

近年、AI技術は音楽制作にも大きな影響を与え始めています。ユニバーサルミュージックグループ(UMG)は、TikTokでAIを使って生成されたテイラー・スウィフトの楽曲が多数公開されていることを問題視し、サービスから楽曲を削除すると発表しました。

UMGは、AIが生成した楽曲がアーティストの著作権を侵害していると主張しましたが、TikTokはユーザーの創作活動に貢献しており、権利侵害ではないと反論しました。その後、両社は協議を重ねAIの楽曲生成に関するルールが策定され、合意に至ったようです。

そこで今回は、AIで楽曲を作成した際の著作権や楽曲を作成する仕組み、AIで楽曲を作成するメリット、デメリット、おすすめの楽曲作成AIをご紹介します。

AIで楽曲を作成した際の著作権はどうなる?

AIで楽曲を作成した際の著作権はどうなる?

UMGとTikTokは協議を重ね、ルールを策定して合意に至りましたが、AIで楽曲を作成した際の著作権はどうなるのでしょうか。結論から言うと現時点では、AIのみで作成された楽曲には著作権が認められていません。

AIは人間と同等の創造性や独創性を持ち合わせていないと判断されているためです。また、AIで作成した楽曲の著作権を認めてしまうと、既存の作品との類似性を指摘される可能性が高くなります。

その結果、人間の音楽活動が阻害されるという恐れがあるのです。そのため、現段階ではUMGとTikTokのようにお互いが協議し、合意する方法しかないようです。

ただし、人間が作曲過程に介入しAIを補助的に使用した場合は状況は異なります。例えば、AIが生成したメロディーを人間が修正したり、アレンジを加えたりした楽曲には「AIを道具として使い、人間の創作性が反映されている」と判断され、人間に著作権が認められる可能性が高いです。

AIのみで作成された楽曲AIを補助的に使用した楽曲
著作権が認められない人間に著作権が認められる可能性がある

AIで楽曲を作成する仕組み

AIで楽曲を作成する仕組み

一般的に楽曲は以下の5つの要素で構成されています。

  • 音階
  • 和音
  • 旋律
  • ジャンル
  • サウンド

従来の楽曲作成では、上記の5つの要素を人間が頭の中で把握し、曲のコンセプトを決定した上でコード進行やメロディーを加えていきます。一方、AIによる楽曲作成では、AIに大量の楽曲データを学習させ、コード進行やメロディーのパターンを記憶させます。

その後、曲調やジャンルなどの指示に基づき、学習したデータを基に作曲を行う仕組みです。

AIで楽曲を作成するメリット

AIで楽曲を作成するツールは、AIを用いて作曲や編曲を行うことができる画期的な技術です。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 誰でも簡単に作曲ができる
  • 時間やコストが節約できる
  • 新しい表現や視点が見つかる可能性がある

以下で、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

誰でも簡単に作曲ができる

AIによる楽曲作成は、音楽の知識や経験がない人でもイメージやテンプレートを選ぶだけで簡単に楽曲を作ることができます。自分の思い描く音楽を表現できるようになることで、新たな音楽の才能が発見されるかもしれません。

一方、プロの作曲家やアーティストにとってもAIによって作成された楽曲をベースにすることで、新たな音楽表現の可能性を探求することもできるでしょう。

時間やコストが節約できる

従来は、プロの作曲家に楽曲制作を依頼する場合、数十万円の費用がかかっていたのが一般的でした。しかし、AIで楽曲作成を行えば、無料または数百円〜数千円程度の低コストで楽曲を作成することが可能です。

また、従来の作曲家への依頼では、数日〜数ヶ月も待たされることがありましたが、AIによる楽曲生成であれば、数分で楽曲を完成させることができます。このように、AIによる楽曲生成は、時間やコストを大幅に節約できるのです。

新しい表現や視点が見つかる可能性がある

プロの作曲家やアーティストは、AIを楽曲制作のアイデア出しやアレンジなどに活用することで、制作時間を大幅に短縮し、効率化を図ることができます。例えば、歌詞作成にAIを活用すれば、人間では思いつかないような独創的な歌詞を生み出すことが可能です。

従来は自身の感性や経験を頼りに歌詞を紡ぎ出していましたが、AIを活用することで新たなアイデアや発想を与え、自身の表現力を高めるのに役立つでしょう。

AIで楽曲を作成するデメリット

AIで楽曲を作成するには、以下のようにいくつかのデメリットも存在します。

  • 独自性がなくなる可能性がある
  • 希望に合う楽曲が作りにくい
  • プロの能力に影響を与える恐れがある

以下でそれぞれのデメリットを解説します。

独自性がなくなる可能性がある

楽曲生成AIは膨大な楽曲データを学習し、パターンやスタイルを基に新しい音楽を生成します。そのため、既存の音楽との類似性が見られることが多く、完全な独自性のある楽曲を生み出すことは難しい傾向にあります。

しかし、AIは既存の音楽を組み合わせたり変形したりすることで、人間では思いつかないような独創的な楽曲を生み出すことも可能です。そのため、AIが生成した楽曲の独自性は、使用されるAIの設計、学習データ、アルゴリズムに大きく依存するのです。

希望に合う楽曲が作りにくい

AIによる楽曲生成は、ユーザーが入力した指示やパラメータに基づき楽曲を生成しますが、指示が曖昧だったり、AIの理解範囲を超えていたりすると、期待通りの結果が得られないことがあります。例えば、「悲しい曲を作ってほしい」という指示に対して、AIはどのような音楽を生成すべきなのか判断しにくい場合があります。

仮に、ユーザーが曲調やリズムなどを指定できるシステムでも、ユーザーの指示をどのように解釈し、組み合わせるかはAIのアルゴリズムに寄ります。そのため、必ずしも希望通りの楽曲が生成されるとは限りません。

プロの能力に影響を与える恐れがある

先述したように、AIは膨大なデータを学習し、人間では思いつかないような独創的な作品を生成することができます。しかし、その便利さに頼りすぎると、作曲家やアーティストがアイデアを練ったり、言葉を選んだり、感情を込めるプロセスを軽視してしまう恐れがあります。

楽曲は作曲家やアーティスト自身の感性や経験、個性が込められたものです。しかし、AIに頼りすぎると人間味や深みが失われ、感動を与える力が弱まってしまうかもしれません。

おすすめのAI楽曲作成サービス

おすすめのAI楽曲作成サービス

これまで、作曲は難しくて時間のかかる作業でしたが、AI楽曲作成ツールを使えば、誰でも気軽に音楽制作に挑戦することができるようになりました。AI技術の進化により、現在はAIで楽曲作成できるツールが続々と登場しています。

以下で、おすすめのAI楽曲作成サービスをご紹介します。

Stable Audio

Stable Audio

引用:Stable Audio

Stable Audioは、Stable Diffusionを開発したStability AI社が開発したAIツールです。テキストで指示するだけで、高音質な音楽を生成できる点が魅力です。

音楽生成に特化したAIモデルを採用しているため、CD音質と同等の44.1kHzの高音質で、立体的な音楽を生成できます。使いやすいインターフェースのため、直感的な操作でロック、ポップス、ジャズなど様々なジャンルやムードの楽曲作成が行えます。

無料プランと有料プランがあり、それぞれ以下のような特徴があります。

無料プラン有料プラン(Proプラン)
金額月額11.99ドル~
楽曲作成の長さ最長45秒までの曲最長90秒までの曲
楽曲作成数月20曲まで月500曲まで
商用利用×
音声ファイルの

ダウンロード形式

WAVのみWAV、MP3、MIDIに対応

有料プランはProプランの他に、月額29.99ドルのStudioプラン・月額89.99ドルのMaxプランがあります。Studioプランは月1350曲まで、Maxプランは月4500曲まで作成可能です。

Soundraw

Soundraw

引用:Soundraw

Soundrawは、パラメーターを選択するだけで曲を生成できるAIツールです。2020年にリリースされた比較的新しいサービスですが、Canvaと連携することで、Canva上で簡単に音楽を生成することが可能なため、近年注目を集めています。

操作が簡単で直感的に楽曲作成でき、「Beat Sync」機能ではシーンに合うよう曲を自動で調整可能です。商用利用可能で、制作した曲はプレゼン資料や動画などにも自由に利用できます。

Amadeus Topline

Amadeus Topline

引用:Amadeus Topline

Amadeus Toplineは、既存曲をベースに簡単にオリジナル曲を作れるAI楽曲作成アプリです。2024年7月現在、iOS版のみの提供ですが、スマホ一つで本格的な楽曲作成が楽しめます。

既存の曲をベースに新しいメロディーを生成できるため、音楽制作初心者でも手軽にオリジナルのメロディーを作成可能です。なお、作成した楽曲はMIDIファイルとして書き出せるので、他の音楽制作ソフトで編集やアレンジも可能な上に、動画配信などの様々な用途で商用利用できます。

過去には、フジテレビ系の人気番組「ジャンクSPORTS」のエンディングテーマにAmadeus Toplineによって作成されたAIによる楽曲が起用されました。Amadeus Toplineの使い方は、以下の通りです。

  1. Amadeus Toplineアプリをダウンロードして、アカウントを作成します。GoogleやAppleアカウントをお持ちであれば、ログイン経由が可能です。
  2. ベースとなる既存曲を選択します。
  3. 中心の生成ボタンを押すと、既存曲からAIが新しい曲を生成します。生成された曲を確認し、必要に応じて上部のハーモニーやAIトップラインなどで編集します。
  4. MIDIファイルとして書き出したり、そのまま鑑賞したりできます。

AIで楽曲を作成して音楽の可能性を広げよう!

今回はAIで楽曲を作成した際の著作権や楽曲を作成する仕組み、AIで楽曲を作成するメリット、デメリット、おすすめの楽曲作成AIをご紹介しました。AIツールを使えば、専門知識がなくても楽曲生成が簡単にでき、誰でもオリジナル曲を作ることができます。

また、プロの音楽家やアーティストにとっても作曲の効率化や新しい表現の模索に役立っており、すでにTVなどではAIにより作成された楽曲が使われています。ぜひ、あなたもAI楽曲生成ツールを使って、オリジナル曲を作ってみてください。

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