最新のAI技術を駆使したツールが続々リリースされる中、仕事のグローバル化が進む背景から、AIによる翻訳ツールが注目を集めています。
様々なツールが存在する中、どれがもっとも優れているのかわからない方は多いでしょう。
今回の記事では、個人と法人向けごとのおすすめのツールのほか、選び方などを詳しく解説します。どのツールが最適かを見極めるためのヒントとして、参考にしてください。
AI翻訳ツールとは?
AI翻訳ツールとはその名のとおり、AIが自動で言葉を翻訳してくれるツールのことです。主な種類として、テキストデータを自動翻訳してくれるもの、話した言葉を聞き取って自動で翻訳してくれるものの2種類が存在します。
日本語は世界的にも難しい言語であるため、従来のツールはほとんど使い物にならないのが現状でした。しかし現代では精度が見違えるほど上がり、さらに各業界の専門用語を理解できるまでに進化しています。
AI翻訳ツールを活用するメリット
ツールを活用するメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
- 翻訳コストの削減につながる
- 人の手による翻訳より早い
- 情報収集の幅が広がる
それぞれ解説します。
翻訳コストの削減につながる
ツールの活用によって、コストを大きく削減することにつながります。これまでの翻訳業務というと、専門の人材を雇ったり、外部会社へ発注することが一般的だったためです。
上記はプロの手によるものなのでもちろん精度も高いですが、その分高額な人件費などのコストがかかります。その点AI翻訳ツールなら、こういった高額なコストを大きく削減することが可能です。
有料のツールを活用したとしても、人材を雇ったり外部業者に外注するよりは安上がりでしょう。
人の手による翻訳より早い
AI翻訳ツールはコスト削減のみならず、人の手よりスピーディーであることもメリットです。たとえば大手の外資系企業などでは、あらゆる資料を英語でつくってやりとりする機会が多々あります。
外部業者への発注を行うと、どうしてもスピード感には欠けてしまうものです。そこでツールを活用すれば、日本語で制作した資料をすぐに提出することが可能になります。
情報収集の幅が広がる
情報収集の幅を広げてくれることも、ツールのメリットのひとつです。外資系企業のみならず、事業拡大のためにはグローバルな情報の収集が必須であるためです。
ツールを用いれば、英語のみで執筆された海外のニュースサイトを一瞬で翻訳してくれます。最新技術や市場動向を手軽に、かついち早くキャッチアップできるため、情報収集の幅を広げられるでしょう。
AI翻訳ツールのデメリット・欠点
AI翻訳ツールはメリットも大きい一方で、デメリットおよび欠点も存在します。
- 翻訳ツールによって精度にばらつきがある
- 人の手による最終確認は必要不可欠
- ツールによってはセキュリティが不十分
それぞれ順を追って解説します。
翻訳ツールによって精度にばらつきがある
ツールそれぞれで、精度にばらつきがある点はデメリットといえるでしょう。似たような言葉でも、若干日本語のニュアンスが異なったり、ときには意味が異なってしまうこともゼロではありません。
また業界特有の専門用語に対応しているか否かも、ツールによって顕著にあらわれるものです。自社がニッチな業界であると思う際には、運営元の業界規模や、業界ごとの専門用語に適用できるかを利用前にしっかり確認すべきでしょう。
人の手による最終確認は必要不可欠
現代のツールは日に日に精度を増しており、「人間による翻訳となんら遜色ないレベルにまで到達している」といっても過言ではありません。とはいえ、人の手による最終確認がまったく不要とは言い切れないのが現状です。
業界特有の専門用語をはじめ、日本語訳の際どうしても生まれる細かなニュアンスの違いなどは、AI翻訳ツールでも再現が難しいためです。自動生成された文章をチェックするのが億劫な場合、翻訳の人員を雇ったり外部業者に発注するのがいいでしょう。
ツールによってはセキュリティが不十分
ツールの種類によっては、セキュリティが不十分なケースがあります。とくに無料で使えるものや、運営企業の規模が小さいものなどは、警戒したほうがいいでしょう。
個人で大切なデータを扱う、またビジネス用途でAI翻訳ツールを使う場合は、セキュリティ対策がしっかり施された有料の翻訳ツールを選ぶことをおすすめします。またツールによっても、施されているセキュリティ内容は異なるので、あらかじめ確認することが大切です。
おすすめのAI翻訳ツール4選【個人向け】
個人利用に向いているツールのおすすめを挙げるなら、以下のとおりです。
- Google翻訳
- ChatGPT
- shutto翻訳
- Microsoft Translator
それぞれ見ていきましょう。
Google翻訳
引用:Google翻訳
「Google」が運営している翻訳サービスです。単語はもちろんテキストファイルの翻訳、またWebページ全体を翻訳する機能も兼ねており、アプリ版では音声入力にも対応しています。
対応している言語は約130と数あるツールのなかでもトップクラスで、使いやすいインターフェースも魅力です。さらに無料で利用できるため、個人・法人ともに選ばれています。
ChatGPT
引用:ChatGPT
ChatGPTは2023年、大きな話題性から一気に知名度を上げたAIテキスト生成ツールです。あらゆる質問に対する答えを、ごく自然な言語で返してくれます。
小論文からプログラムコードはもちろんのこと、個人向けAI翻訳ツールとしても注目すべき選択肢の1つとされています。とくに文法や表現の正確性が求められる場面で、強みを発揮してくれるでしょう。
無料で利用できるうえ対応言語も多く、対話形式で翻訳を行える手軽さも魅力です。
またChatGPTを運営するOpenAIは、「OpenAI Gym」というライブラリも提供しています。参考として以下もご覧ください。
shutto翻訳
引用:shutto翻訳
テキストやWebサイトの翻訳、およびWebサイトの多言語化に強みを持っているのがshutto翻訳です。対応言語は約100言語、さらに動的なWebサイトや海外の検索エンジンにも対応しているため、多くのユーザーが大きな導入効果を実感しています。
誰でも理解しやすいインターフェースも特徴のひとつで、直感的な操作が可能となっていることから、個人はもちろん法人からの満足度も高いです。
Microsoft Translator
Microsoft Translatorは、「高い翻訳性能」と「使い勝手」に特化した翻訳アプリケーションです。英語はもちろん中国語やフランス、ドイツなど70カ国以上の言語に対応しています。
あらかじめ言語をダウンロードすることでネット環境のない環境でも利用できたり、挨拶や注文といった日常会話フレーズがテンプレートとして用意されているなど、気軽に利用できる高い実用性がポイントです。
おすすめのAI翻訳ツール5選【法人向け】
法人・ビジネス利用に向いているAI翻訳ツールとしては、以下のようなものが挙げられます。
- DeepL Pro
- COTOHA Translator
- Mirai Translator
- T-4OO
- Zinrai文書翻訳
それぞれご紹介します。
DeepL Pro
引用:DeepL Pro
大きな特徴として挙げられるのが、精度の高さです。約30言語に対応しており、長文のテキストファイルはもちろん用語集などの制作も可能となっています。
またExcelやWordのようなファイルでも、レイアウトを変えることなく翻訳できる点も魅力です。なおこちらは有料版ですが、無料版でも十分な高機能を誇ります。
COTOHA Translator
COTOHA Translatorは高い精度のAI翻訳に定評があり、そのレベルはTOEIC960点以上を誇ります。
長文のテキストデータのみならず、ファイルをまるごと翻訳できるため、ビジネスにおいて圧倒的な時間短縮が期待できるでしょう。またニューラルネットワーク機能を搭載しているので、活用するほど精度が上がっていく点もポイントです。
なおAIの過学習については、以下の記事もぜひご覧ください。
Mirai Translator
Mirai Translatorは、まるで翻訳家に依頼したかのような圧倒的な精度、大規模なビジネス利用にも向いた高度なセキュリティ対策に強みをもっています。
ニューラル機械翻訳機能を搭載しており、法令や財務文書などの専門的な文章にも対応。また海外取引にも安全に対応できるセキュリティレベルを誇り、グローバル企業や金融業界からも選ばれています。
T-4OO
引用:T-4OO
T-4OOは業界ごとの自動翻訳機能、高度な編集機能などを盛り込んだ機能性に定評があります。
幅広い業界ごとに選択が可能で、金融・法令・IT・科学など、そのジャンルは2,000種類以上です。ニッチなジャンルにも必ず対応していると考えて差し支えないでしょう。
また企業ごとの専門用語をデータベースに登録することも可能。機能性を重視する企業におすすめです。
Zinrai文書翻訳
引用:Zinrai文書翻訳
Zinrai文書翻訳は高性能な精度と高いセキュリティ性能が特徴で、法人利用に適しています。
ニューラル機械翻訳エンジンを採用したことで、高品質かつ自然な文章生成を再現しています。また「ASPIC認定」を取得していることもあり、セキュリティに関しても申し分ありません。
AI翻訳ツールを選ぶときのポイント
ツールを選ぶ際、失敗を避けるためにも次のポイントを抑えておきましょう
- 翻訳精度の高さをチェックする
- 運営元の規模や安全性を確認する
それぞれご紹介します。
AIの翻訳精度の高さをチェックする
翻訳精度の高さはツールを選ぶうえでもっとも重要といっていいでしょう。精度はツールのアルゴリズムによって異なるので、似たような金額でも精度は違ってくるものだからです。
精度についての評判はどうか、また自社のビジネスのジャンルに対応しているか、事前に確認することをおすすめします。
AIの運営元の規模や安全性を確認する
ツールを運営する企業の規模、および安全性は重視すべきといえます。運営元の経営方針によって特徴や強み、セキュリティ対策内容が変わってくるからです。
一概には言えないものの、誰もが知る大手企業のほうがセキュリティ性能や精度が高い傾向にはあります。性能に対するコストなども考慮しつつ、検討しましょう。
AI翻訳ツールについてまとめ
現代のツールはテキストデータはもちろん、ファイルごとの翻訳に対応したものや、アプリケーションの様式を崩さず翻訳できるものなどじつに多機能です。これにより人員を雇ったり、外注する必要がなくなったのは大きなメリットといえるでしょう。
ただ便利なものには欠点も存在するものです。大切なデータの漏洩などを防ぐためにも、ツールを選ぶ際はセキュリティ対策の中身にもこだわる必要があります。