「AWSって何?」
「クラウドサービスの概要って難しそう…」
と感じてAI研に訪問した人も多いかもしれませんね。実は、AWSの基本的な概念を理解すると、さまざまなシステムを駆使して、あなたのプロジェクトやビジネスに活用できます。
この記事では、AWSの概要、主なサービスとシステム、メリット、さらにAWSを活用して何を構築できるのか、分かりやすく解説していきます。
AWSの基本概要
みなさんは「AWS」という言葉を一度は耳にしたことはありませんか?
AWSは、Amazon.comが提供するクラウドサービスで、世界中の多くの個人や企業が利用しています。200以上のサービスを提供し、幅広いニーズに応えるプラットフォームの1つです。
仮想サーバー・データストレージ・データベース管理などの基本的なシステムから、機械学習・人工知能・データ分析など最先端技術を活用したサービスと幅広く提供しています。
AWSの主なサービスとその機能
AWSはさまざまなサービスを提供しています。主なサービスは、以下の5つです。
- Amazon EC2(エラスティックコンピューティングクラウド)
- Amazon S3(シンプルストレージサービス)
- Amazon RDS(リレーショナルデータベースサービス)
- Amazon VPC(バーチャルプライベートクラウド)
- AWS Lambda
1つずつ解説するので、自分に最適なサービスを見つけられるでしょう。
Amazon EC2(エラスティックコンピューティングクラウド)
AmazonEC2は、ユーザーがインターネット経由で仮想サーバーを利用できる環境を提供しています。
この仮想サーバーは「インスタンス」と呼ばれ、さまざまなコンピューターリソース(CPU・メモリ・ストレージなど)を保有できるのです。ユーザーは用途に応じてインスタンスを追加し、不要な場合は削除できる「スケーラビリティ(可変性)」もメリットです。
スケーラビリティにより、訪問者が多い時間帯はリソースを増加し、夜間のアクセスが少ない時は減らすなど調整ができます。また、インスタンスは数分以内でセットアップでき、複数のデータセンターから選択できます。
ビジネスの成長に合わせて、インスタンスを適切に管理できるサービスで、多くの企業にとって価値のあるツールと言えるでしょう。
Amazon S3(シンプルストレージサービス)
AmazonS3(Simple Storage Service)とは、オンラインでデータを格納・管理するためストレージです。簡単に言えば、GoogleドライブやDropboxのようなサービスと言えます。
写真や動画、アプリケーションファイルからビッグデータまで、どのような種類のデータも全世界からアクセスでき利便性の高いサービスです。実現できるものやシステムについては、以下の表をご覧ください。
システム | 説明 | メリット |
---|---|---|
データの安全な保管 | Amazon S3は、業界をリードする耐久性を持ち、ほぼ100%に近い信頼性でデータを保管 | データ損失のリスクが非常に低いため、重要なデータを安心して保存可 |
柔軟なストレージ管理 | よく使うデータからあまり使わないデータまで、異なるアクセスパターンに最適なストレージクラスを選択可 | データの使用頻度に応じてコストを節約しながら最適なストレージを利用可 |
データのバージョニング | 保存されたデータの以前のバージョンを保持して、過去のデータを復元可 | 間違った変更や削除をしても、簡単に復元可 |
セキュリティとコンプライアンス | 多層的なセキュリティシステムと厳格な規制へ対応 | ビジネスのセキュリティ基準や法的要件を満たしたデータ保護を実施 |
AmazonS3を活用すれば、費用に配慮しつつ大量のデータを効果的に扱えます。
ウェブサイトのホスティングやアプリケーションのバックアップ&ストレージ・災害対策としてのバックアップなど、ビジネスに欠かせないサービスを提供しているのです。
Amazon RDS(リレーショナルデータベースサービス)
Amazon RDS(Relational Database Service)は、使い勝手の良いクラウドデータベースサービスです。
データーベースのセットアップ・運用・スケールアウトといったプロセスを一括管理でき、ユーザーはデータベースの運用における複雑な作業をしなくて済みます。
概要と主な特徴は、以下の表をご覧ください。
項目 | 説明 |
---|---|
概要 | AWSのマネージドサービスであるAmazon RDSは、クラウド内のリレーショナルデータベースを容易にセットアップ、運用、スケールさせることができるソリューション |
セットアップ | セットアップはとても単純で、数回のクリックだけで新しいデータベースを立ち上げ、即座に利用 |
データベースエンジンのサポート | 多様なデータベースエンジンに対応しており、MySQL、PostgreSQL、MariaDB、Oracle、Microsoft SQL Serverなどが利用 |
垂直スケーリング | データベースのストレージ容量やコンピューティングリソース(CPUやRAMなど)を拡張することで、アプリケーションの要求に応じたサイズ変更がスムーズに実施可 |
水平スケーリング | 読み取り専用のインスタンスを追加することによって、データベースを複数のサーバーに分散させ、読み込みパフォーマンスを向上できます。これは、ユーザーの要求が多い場合に有効 |
Amazon VPC(バーチャルプライベートクラウド)
Amazon VPC(Virtual Private Cloud)は、各ユーザーがクラウド上に自分専用の仮想ネットワークを作成できます。
具体的には、セキュリティや接続性などを細かく設定し、企業がデータセンター内で運用しているネットワーク環境に近いものを構築できるのです。このようなAmazonVPCには、主に3つのメリットがあります。
- ネットワークの隔離:自社のIPアドレス範囲を指定し、AWSのリソース(例えばEC2インスタンスやRDSデータベース)を自社専用のプライベートな空間内で動かせる。
- セキュリティの確保: セキュリティグループやネットワークACL(アクセス制御リスト)を利用し、ネットワークへのアクセスを制御
- カスタマイズ: ルートテーブル・インターネットゲートウェイ・VPCピアリングなどの設定ができ、柔軟かつ詳細にネットワークをカスタマイズ可
Amazon VPCを利用すると、自分だけのプライベートなコンピューターネットワークを作成できます。簡単にいえばインターネット上で、自社専用の「部屋」を持つようなイメージです。経営者・開発者のリスクが少なく、機密データを扱うシステムやアプリを「部屋」で運用できます。
クラウドの導入スピードを加速できるため、Amazon VPCでスピーディーかつセキュリティを確保しながら新しいIT環境を構築できます。これにより企業は効率的にITを活用し、重要なデータやアプリケーションを安全に保ちながらビジネス活動ができるでしょう。
AWS Lambda
AWS Lambdaは、Amazonが運営するサービスの1つです。サーバーを自分で用意したり、管理したりせずプログラミングコードを実行できます。プログラミングのできない非開発者でも、簡単にシステム開発ができます。
AWSLambdaの概要 | 説明 |
---|---|
サーバーレス | ・サーバーのセットアップや管理は不要 ・即座にコード実行に専念できる |
従量課金 | ・コードが実行されたときのみ課金 ・アイドリング時は費用不要でコスト効率が良い |
フレキシブルな利用 | ・さまざまな用途に対応可能 ・シンプルなタスクから複雑なアプリケーションの実行ができる |
さまざまなトリガー | ・ファイルアップロード/ウェブアクセス/IoTデバイス信号など、さまざまなイベントに反応してコードが実行される |
AWS Lambdaの一番のメリットは、サーバーレスです。
アプリケーション開発時にサーバーダウンのリスクがないため、災害や停電でも安心でしょう。そんなAWS Lambdaで、アプリケーション開発を試してみるのもおすすめです。クラウドを活用したビジネスアイデアが実現できるかもしれません。
また、紹介したAWSサービス以外を知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
AWSの3つのメリット
AWSのメリットは多くありますが、ここでは3つのメリットを紹介します。
- 柔軟性とスケーラビリティ
- コスト効率
- セキュリティと信頼性
1つずつ解説するので、じっくり読んでください。
柔軟性とスケーラビリティ
AWSを利用する企業は、ビジネスの拡大・縮小時に迅速な対応ができます。
需要が増加した際には、リソースを増やして(スケールアップ)、逆に需要が減少した時はリソースを削減(スケールダウン)するため、コスト効率を高められるのです。このような臨機応変なリソース管理ができ、ユーザーの需要に対応し最適なサービスを提供できるでしょう。
例えば、ECサイトのセール期間中にウェブサイトのアクセスが急増したとします。AWSを使えば、表のようなサーバー容量を増加させ、ユーザーが急増してもスムーズに買い物ができる環境を提供できます。
需要の内容 | AWSが行うこと | 成果 |
---|---|---|
需要増 | スケールアップ | サービス継続性確保、顧客満足度向上 |
需要減 | スケールダウン | コスト削減、リソース効率化 |
逆に、セールが終了し通常営業に戻った際には、リソースを縮小してコストカットを行い、効率よく事業運営ができます。AWSのメリットは、事前予測や複雑な手続きをしなくても、自動的にリソースが調整できる点です。これにより、企業はアプリケーションに関する不安から解放され、本業に専念できます。
コスト効率
AWSは、利用した分だけ料金が発生する従量課金制です。これにより、インフラの導入に伴う高額な初期投資を抑えられて、コスト効率の高い運用ができます。
一般的なインフラだと、設備購入やメンテナンスなどに多くのコストがかかりますが、固定費をかけずにサービスを利用できるでしょう。AWSメリット・コストカットのポイントについては、以下の表をご覧ください。
AWSのメリット | コストカットのポイント |
---|---|
初期投資不要 | 物理的なインフラを購入・設置することなく、クラウドリソースを利用開始できます。 |
従量課金制 | 実際に使用した分のみ課金されるため、リソースの無駄遣いがありません。 |
運用コストの節約 | インフラの維持・運用に関わる人的資源やコストを大幅に減らせます。 |
セキュリティと信頼性
AWSは、企業が直面するセキュリティの課題に対して、ユーザーの大切なデータを保護できます。広範囲にわたる安全対策を実施し、企業データを守るセキュリティ体制を整えているのです。
以下の表では、AWSがどのようなセキュリティを提供しているのかを解説しています。
AWSセキュリティの要素 | 詳細 |
---|---|
責任共有モデル | AWSはインフラのセキュリティを保証し、顧客はアプリケーションレベルのセキュリティを担う |
多層的なセキュリティプロセス | データセンターからアプリケーションまで、複数の層にわたるセキュリティプロセスを提供 |
300種類以上のサービス | セキュリティに関連する300以上のツールとサービスを提供し、企業のセキュリティ対策をサポート |
高い信頼性 | 政府機関や金融機関など、セキュリティを重視する業界がAWSを信頼 |
刻々と変化するセキュリティ上の脅威に対処するよう設計されており、最先端の技術と多くの成功事例がその信頼性を裏付けています。
AWSで構築できるものとは?
AWSのサービスを利用することで、さまざまなシステムやアプリケーションを構築できます。
- ウェブアプリケーションのホスティング
- ビッグデータ分析とAIモデルのトレーニング
- IoTデバイスの管理とデータ処理
- スタートアップから大企業までのケーススタディ
ウェブアプリケーションのホスティング
現在のウェブアプリケーションマーケットは、AWSによって大きく変化しています。
AWSの普及により、サーバーの運用・管理に関連する複雑な作業やコストが削減しました。
また、さまざまなツールとサービスを提供するAWSを駆使すれば、初心者から上級者どちらも、簡単にウェブアプリケーションをホスティング(複数デバイスへのアクセス)ができる環境を手に入れられます。
ホスティングに関するメリットや特徴については、以下の表をご覧ください。
カテゴリ | 特徴 | 説明 |
---|---|---|
ホスティングのメリット | 手軽 | 管理画面が直感的で初期設定がシンプル。無料枠でコストを抑えつつスタート可。 |
柔軟性 | 需要に応じてリソースをスケールアップ・ダウン。コスト効率の高い運用が可能。 | |
ホスティングの仕組み | 豊富なサービス | 静的サイトから複雑なウェブアプリまで幅広く対応。用途に合わせた最適なサービスが可能。 |
セキュリティ | データの暗号化やネットワークセキュリティの強化。アクセス管理で安全なウェブサイト環境を提供。 |
ウェブアプリケーションを成功させるためには、信頼性の高いホスティングサービスが欠かせません。AWSを利用すれば、技術的な問題から解放され、ビジネスへの注力やクリエイティブな活動に専念できます。
ビッグデータ分析とAIモデルのトレーニング
AWSのクラウドサービスは信頼性と拡張性があり、ビッグデータの分析やAIモデルのトレーニングにおける複雑なプロセスを単純化し、開発者や研究者たちが最新技術へより簡単にアクセスできるようになりました。
AWSを利用すれば、膨大なデータ分析や精度の高いAIモデルのトレーニングもできます。クラウド上で簡単にアクセスできるため、あなたのビジネスが効率よく円滑に進みます。AWSの豊富な機能とリソースを活用して、最新のビッグデータ分析とAIモデルトレーニングを実行しましょう。
ビッグデータ分析とAIモデルトレーニングサービスの特徴・メリットは、以下の表をご覧ください。
カテゴリ | AWSの機能・サービス | 説明 | ユーザーへのメリット |
---|---|---|---|
ビッグデータ分析 | データレイク (データレイク&アナリティクス) | 異なるデータソースからの情報を集約して分析するスケーラブルなソリューションを提供。 | 複数のデータソースからの情報を一元管理し、より深い分析ができる |
ストレージサービス (Amazon S3) | ビッグデータの安全な保存とアクセス性を確保するための高い可用性とセキュリティを持つストレージサービス。 | 大量のデータを安全に保管し、必要に応じてアクセス可。 | |
AIモデルトレーニング | アマゾンセージメーカー | モデルの構築,トレーニング,デプロイに至るまでのプロセスを簡単にするサービス。 | 高度な技術的知識がなくてもAIモデルを気軽に利用できる |
学習コース | 無償またはローコストで提供されるAIと機械学習に関するトレーニングコース | 初心者から専門家まで自身のスキルやニーズに応じてAIと機械学習の知識・技術を身につけられる |
ビッグデータ分析からAIモデルのトレーニングまで幅広く活用でき、AWSの安全なインフラ上であなたのビジネスをサポートします。上記のサービスをフル活用すれば、技術力の有無にかかわらず、ビジネスの成長と発展に大きく貢献できるでしょう。
IoTデバイスの管理とデータ処理
IoTデバイスは現代のテクノロジー業界で拡大しており、デバイスを効率的に管理し、膨大なデータを処理するのが課題です。そのときにAWSのIoTサービスが役立ちます。
AWSはIoTデバイスのライフサイクル管理・セキュリティ対策・データ収集および分析まで、一括管理するためのサービスを提供しています。AWSのIoTの3つメリットは、以下の通りです。
- デバイス間の接続のしやすさ AWS IoT Coreを通じて、簡単にデバイスとクラウドを接続し管理
- リアルタイムデータ処理: センサーからのデータをリアルタイムでキャプチャし、スピーディーな分析ができる
- セキュリティの確保: 全ての通信は暗号化され、安全なプライベートネットワークを維持
また、AWSの各IoTサービスは、以下の表をご覧ください。
サービス名 | 役割 |
---|---|
AWS IoTコア | デバイスを安全に接続しクラウドにデータを転送 |
AWS IoT アナリティクス | 収集したデータの分析の提供 |
AWS IoT デバイス管理 | デバイスの登録、組織化、モニタリングの簡素化。 |
AWS IoT デバイスディフェンダー | セキュリティ監視による保護を強化。 |
また、AWSデータ処理の手順は、主に4つのステップです。
- 収集: IoTデバイスから送られるデータはAWS IoT Coreで収集
- 蓄積: 収集データはAmazon S3やDynamoDBで安全に保存
- 分析: AWS IoT Analyticsを利用してデータを詳細に分析
- 実行: 分析に基づいたアクションをAWS Lambdaなどで自動化
AWS IoTを活用すれば、ビジネスでの分析と実行力を高められます。臨機応変に対応するIoTサービスにより、データから新しいビジネスを生み出し、企業の成長に貢献できます。
スタートアップから大企業までのケーススタディ
実際にAWSを取り入れた企業は、どのように課題を解決し成果を上げているのでしょうか。
スタートアップや大企業のケーススタディや成果などは、以下の表をご覧ください。
業名 | 業種 | 導入したAWSサービス | 成果 | 詳細 |
---|---|---|---|---|
リコー | 技術/製造 | Amazon SageMaker | AIモデル開発 | 大規模言語モデルを基に、3か月の短期間でオリジナルAIモデルを開発 |
NTTドコモ | 通信 | AWSクラウド基盤 | データ分析基盤強化 | 9,000万会員データの分析基盤をAWS上に構築し、データ利用を活性化、会員数が13倍に増加 |
スマートニュース株式会社 | スタートアップ | AWSサービス全般 | 事業拡大の加速 | 最先端のクラウド技術を利用し、企業の成長に貢献 |
スペースリフト | ソフトウェア | AWSのツール群 | クラウド管理時間の削減 | クラウド管理にかかる作業を90%カット セキュリティやコンプライアンス問題が減少 |
AWSを活用した企業のケーススタディは、組織のデジタル化がいかに加速しているかを示しています。クラウドインフラは、スタートアップが迅速にアイデアを具現化し、大企業はグローバルレベルの革新と運用の効率化を実現しました。
独学ではなく講座を受講し、自分のビジネスにAWSを活用したい人は、以下の記事も参考にしてください。
また、業務で使えるAWSのインフラ構築を学びたいなら、AWSで始めるインフラ構築基礎セミナーを受けてみてはいかがでしょうか?
未経験でも2日でAWSのインフラ構築をマスターできる講座なので、AWSを全く分からないという人でも安心して受講できます。
まとめ
AWSは、200種類を超えるクラウドコンピューティングサービスを提供しています。主なサービスにはコンピューティング・ストレージ・データベースなどがあり、ビジネスニーズに応じて臨機応変に利用できるのがメリットです。
企業のクラウド活用を進めていきたい方は、今回の記事を参考にAWSのサービスを活用してみてはいかがでしょうか。