PoCとは?AI開発に必要な手順や成功のコツ

AI開発にはさまざまなアイデアや技術が用いられますが、そのすべてが予定通りの働きをみせるとは限りません。そこでAI開発では「PoC」と呼ばれる検証作業が用いられます。

この記事では、AI開発にPoCを用いる場合の、手順および成功させるためのコツについて解説しています。また、PoCに対応しているAI開発サービスの紹介もしているので、ぜひ参考にしてください。

検証作業は開発にとって必須!AI開発における「PoC」とは?

「PoC(ピーオーシー、Proof of Concept)」とは、サービスやシステムに用いられたアイデアや技術が、実現可能かを検証する作業全般のことを意味し、日本語では「概念実証」と通常訳されています。

AI開発において用いられた革新的な技術やアイデアが、本当に効果を発揮するかどうか、机上の計算だけで判断するのは大変困難です。そこで、AI開発では小規模の実装実験や試作運用による検証作業を行います。この検証作業全般が「PoC」です。

「PoC」での検証作業の結果は、生産物のリリースや開発の続行など、今後の開発物の判断に役立ちます。一般的に「PoC」はAI開発が失敗するリスクを減らしてくれると考えられているため、AIに関する技術の1つとして、年々その注目度を増しています。

AI開発においてPoCを用いる際の手順

AI開発においてPoCを用いる際の手順

PoCをAI開発において用いる場合の一般的な手順を以下で解説します。

AI開発の目的の設定

最初に、AI開発にPoCを用いる理由を明確化します。
例えば、自動画像生成用のAIを開発しているなら、画像生成速度の時間短縮目標などを具体的に設定します。

実証実験の内容の設定

目的に応じて、どのような実証実験が必要になるのかを明らかにし、設定します。
実証に必須な要件を1つずつ積み重ねるだけでなく、実際に開発されたAIが用いられる環境を整えておく必要もあります。

データの検証

PoCを実施する際には、多くの学習用データを用いる必要があるため、実証に入る前にあらかじめどのようなデータが目的達成に必要かを確認しなければなりません。
また、集めるべきデータの質や種類、集め方についての検討も必要です。
データにバラツキがある場合に、正しく検証ができない場合があるからです。データを後から精査できるように、取得したデータに十分な検索性を持たせておく必要もあります。

実証作業

以上の3つの準備を済ませたらいよいよ実証作業です。

実証作業では、実証に必要な要件内容に基づき、実際に開発したAIのデモンストレーションを行います。なお、実証作業で得られた検証データの価値についての判断は主観的になりがちです。
そのため、第三者や専門的知見を持った方による客観的視点を取り入れた方がよいでしょう。

検証データの分析

得られた検証データを分析し、開発したAIの性能・効果・リスクといったものを確認してください。検証データからは多くの課題が浮かび上がってくるでしょう。

それらをベースに開発しているAIを改善していきます。また、再度PoCをすべきか、あるいは開発を続けるべきかといった投資判断も、この段階で行います。

PoCによってAI開発やプロジェクトを成功させるコツとは?

PoCによってAI開発やプロジェクトを成功させるコツとは?

PoCによってAI開発やAIプロジェクトを成功させるには、いくつかの押さえておくべきコツが存在します。以下で代表的な成功させるコツを紹介します。

100%を求めすぎない

2023年の時点におけるAIは、完璧とはまだまだ言えないレベルです。
学習させたデータによるモデルを元に判断するため、AIが未知の事例や学習していない事柄について、正確な分析結果を出すことは容易ではありません。
無理にAIに100%の結果を求めて開発やプロジェクトを推し進めると、より多くのデータを集め、さらに学習アルゴリズムの書き換えを幾度も繰り返さなければなりません。
予想外の膨大なコストと手間が必要になるため、開発プロジェクトの進行を滞らせる原因となるでしょう。

しかし、AIに人の判断を加えるだけで、問題が簡単に解決することはよくあります。
PoCを通してAI開発やプロジェクト成功させるには、実証結果に100%を求めず、適度な妥協点を探すことが大切です。場合によっては、人とAIが協業するシステム体制を構築することも検討するとよいでしょう。

開発目標の設定を明確にする

PoCを用いたAI開発において、最も多い失敗がコストの問題です。コストがかかり過ぎると投資効果が薄れてしまいます。場合によっては、開発が頓挫することもあります。

では、なぜコストがかかり過ぎてしまうのでしょうか。
それは適切な目標設定ができていないためです。開発に適切な目的が設定されていないと、実証実験によって検証すべき事柄がいくらでも増えてしまいます。そうなると、開発予定期間が伸び、コストが当初予定よりも大幅に増大することになるでしょう。

AI開発においてはあらかじめ開発目標を明確にし、「どのような課題を解決すべきか」を具体的に優先度を付けて示めした上で、PoCを実施するようにしましょう。

なるべく多くの学習用データを集める

学習用データが少なすぎると予定していた性能よりも精度が低くなるため、PoCの実証実験において芳しくない結果となることがあります。PoCを用いたAI開発やプロジェクトを成功させたいのであれば、なるべく多くの学習用データを集めるようにしましょう。
特に「例題」と「正解」がペアとなっている教師データの質と量はPoCの結果に大きな影響を与えます

PoCに対応したAI開発サービス4選

ここではPoCに対応したAI開発サービス4選の特徴を紹介していきます。

AI研究所「企業向けDX・AI人材育成研修サービス」

実際にAI開発にPoCを用いる場合には、AI人材が欠かせません。
しかし、それらの人材を外部委託していたのでは効率的な開発は難しいでしょう。
企業向けDX・AI人材育成研修サービス」は、AI人材を短期間で育成するサービスです。

「企業向けDX・AI人材育成研修サービス」がおすすめできる理由は3つ。
1つ目はAIに関する課題解決に必要な人材育成プランが提案してもらえることです。
一言でAI開発といっても、求められる人材は異なります。
PoCを実施するのであれば、当然ながらPoCに精通した人材を育成したいですよね。
このサービスならば、理想や問題を徹底的にヒアリングした上で、課題設定と解決策をふまえた研修が期待できます。

2つ目は日常業務と並行してAIの人材育成が行えることです。
依頼企業の業務に合わせたカリキュラム作成が可能なので、研修によって日常業務に支障をきたすことがありません。また、eラーニングにも対応しています。

3つ目は人材育成だけでなく事業サポートまで受けられる点です。
AI研究所では10年以上の実績を持つAIコンサルタントが在籍。
育成カリキュラムの作成だけでなく、依頼企業の事業支援をしています。AIを用いた業務だけでなく、業務全般の効率化、新製品やサービスの開発などでも支援を受けられます。

こちらから自社に合うサービスをお選びください。

AIMENEXT株式会社

AIMENEXT株式会社は、設立が2018年と比較的新しい企業でありながら、130件を超えるAI開発実績を持っています。AI開発やPoCはもとより、AIを活用した戦略設計・AI関連機器の開発・システムの保守運用なども行っています。

また、AIMENEXT株式会社はAIのカスタム開発にも着手。画一的なプロダクトでの解決が難しい業態であっても、課題解決に適したAIの設計および開発が可能です。

Vareal株式会社

Vareal株式会社は、システム・ソフトウエア開発領域を得意としている企業です。
データを活用したECサイト用のAIから、画像系処理や音声認識といったものまで、幅広いAI開発に対応していることで知られています。
PoCに対応したAI関連サービスも提供しています。
AI開発については、AI活用コンサルティングからAIモデルやシステムコンテンツを実際に導入するまで、手広くワンストップサービスによる支援をしています。
また、AI教育やトレーニングサービスも提供しているので、これからAIに強い人材を育成したい企業にも向いているでしょう。

株式会社マクニカ「macnica.ai」

1972年に設立された「株式会社マクニカ」は、「macnica.ai」というAI関連サービスを展開しています。
「macnica.ai」はAI開発からPoCによる調査まで、ワンストップで依頼ができるサービスです。
その強みは、約2万人のデータサイエンティストのネットワークが利用できること。
さまざまなデータの解析や利用が、スムーズにすすむことでしょう。
「macnica.ai」は、AIモデルの作成だけでなく、IoT技術の知見にも優れています。
そのため、多岐に渡るAI開発の知見を必要としている企業にも対応ができるでしょう。

PoCはAI開発の失敗リスクを減らす!ただし事前の準備は必要

PoCはAI開発の失敗リスクを減らすのに有効な施策です。AI開発のような先進的なプロジェクトを成功させたいのであればPoCによる検証作業は重視すべきものといえるでしょう。

ただし、PoCの実施には、適切な目標設定・環境の整備・学習用データの取得など、あらかじめ下準備が必要です。また、PoCはあくまでも検証作業にすぎません。
そのため、完璧を求め過ぎないことも大切です。

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