Java SEは、Java開発の基本となる仕組みですが「いまいち理解できない」「JDKやJREとは何が違うのか分からない」と疑問を抱く人もいることでしょう。
本記事では、Java SEとは何かについて解説していきます。JDK・JREとの違いやJava SEの導入方法、Java SEでできることは何かまで、初心者でも分かりやすいように触れているので参考にしてください。
Java SEの基本を理解しよう!
出典:Java SEの概要
Java SEは、正式には「Java Platform, Standard Edition」といいます。
Javaには他にもさまざまなエディション(たとえば企業向けのJava EEなど)がありますが、Java SEはその中でももっとも基本的な土台となる存在です。Javaを学び始めるなら、まずはこのJava SEの役割や中身を知ることが第一歩となるでしょう。
詳しい内容については以下の順で解説します。
- Java SEとは何か?
- JDKやJREとの違いとは?
- Oracle Java SEの役割とは?
それでは上から確認していきましょう。
①Java SEとは何か?
Java SEとは、Javaアプリケーションを開発したり実行したりするために必要な標準APIのことを指します。2025年でのLTS(Long-Term Support)最新バージョンはJava SE 21です。
たとえばJava SEには文字の扱い、日付や時間の計算、ファイルを読み書きする機能など、基本的なライブラリが最初から揃っています。これらはJavaでプログラムを作るときの基本機能の中心的な役割を担っており、Javaプログラムの開発・実行には必要不可欠です。
個人による開発・テストであればJava SEライセンスは無料ですが、商用利用やプロセッサ数によってはサブスクリプション契約が必要なので注意しましょう。
②JDKやJREとの違いとは?
初心者がもっとも混乱しやすいのが、Java SEとJDK、JREの関係性でしょう。
Java SEは、Javaアプリケーションの開発・実行に必要な基本機能群をまとめたプラットフォームです。このJava SEをベースとして、JDK(開発者向けツールセット)とJRE(実行専用の環境)が構成されています。
それぞれの役割や使用シーンについては以下の表に、各コンポーネントの特徴をまとめました。
項目 | 用途 | 含まれる機能 |
---|---|---|
Java SE | 基本機能 | 標準API、JVM |
JDK | 開発用 | Java SE+開発ツール |
JRE | 実行用 | Java SE+実行環境 |
③Oracle Java SEの役割とは?
Oracle Java SEの役割は主に次の3つが挙げられます。
- Javaアプリの開発環境を提供
- Javaアプリの実行環境を提供
- Javaの標準仕様・ライブラリを提供
Oracle社が開発元であることから、公式なアップデートや長期サポート(LTS)が提供されており、安心して利用できる体制が整っています。
とくにLTSバージョンでは、セキュリティパッチの定期提供や法的保証も含まれるため、商用システムや業務システムにおいても高い信頼性を発揮します。
このような点から、企業や団体にとっては、安定運用とリスクの軽減を両立できる選択肢として、Oracle Java SEは重要な役割を持っています。
Java SEの技術サポート
Java SEを安心して使い続けるには、技術的なサポート体制を知っておくことが大切です。
以下の2つの方法を活用すれば、学習も実務もスムーズに進められます。
- Java SE トレーニング・研修コース
- Oracle Java SE Subscriptionの活用
トレーニング・研修コースは知識の底上げとチーム内の技術レベル統一に役立ち、サブスクリプションは保守・セキュリティ面でのリスク軽減に役立ちます。
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
①Java SE トレーニング・研修コース
Java SEの研修コースでは、基礎から応用までを段階的に学ぶことができます。
Java SE研修コースの内容は主に次のとおりです。
- Javaの文法や基本的な構文
- 簡単なアプリ開発の体験
- IDEの使い方(Eclipseなど)
とくにOracleが提供する公式トレーニングは、体系的に学べるカリキュラムとして評価が高いのでおすすめです。認定証の発行もあるため、就職・転職にもアピールポイントとして使えます。
②Oracle Java SE Subscriptionの活用
Java SEのサブスクリプションは、保守や商用利用に役立つサービスを提供しています。
提供されるサービス内容は次のとおりです。
- セキュリティパッチの提供
- 古いバージョンへのアクセス
- 法的リスク保証
- サポート対応
サブスクリプション契約をするだけでこれらのサービスを受けられるので、企業で商用利用を目的としたJava開発をする場合の安心材料になります。
Java SEの導入と環境構築
Javaを始めるためには、開発環境を整える必要があります。ここからは、インストール方法から開発ツールのセットアップまでを解説します。
Java SEのダウンロードとインストール方法
Java SEのJDKは、Oracle社の公式サイトから無償でダウンロードできます。インストールはとてもシンプルですが、OSによって異なるので注意が必要です。
今回は、Windowsを使ったダウンロード・インストール方法を紹介します。
公式サイトからJava SEのJDKをダウンロード手順
ダウンロード手順は次のとおりです。
- Oracle社公式サイトにアクセスし、Java SEのJDKダウンロードページを開きます。
- Windowsタブをクリックし、「x64 Installer」と書かれているダウンロードリンクをクリックします。
- エクスプローラのダウンロードに「jdk-24_windows-x64_bin.exe」があればダウンロード完了です。
次に、ダウンロードした「jdk-24_windows-x64_bin.exe」を実行してインストールする方法を紹介します。
Java SEのJDKをインストールする方法
インストール方法は次の手順のとおりです。
- 先ほどダウンロードした「jdk-24_windows-x64_bin.exe」をダブルクリックして起動します。
- インストール先を指定し、次へ進みます。
- インストール実行中のバーが表示されます。
- 「正常にインストールされました」というメッセージに切り替わればインストール完了です。
きちんとインストールが行われたかは、以下のコマンドをコマンドプロンプトで打つことで確認できます。
java -version
//JDKの確認
javac -version
正しくインストールできていれば以下の画像のようにバージョンが表示されます。
インストール後は環境変数のパス確認も実施しておくと安心です。正しく設定できていない場合はJava SEを利用することができません。
また、初めての方は最新LTS版の導入が安心です。もしバージョンに悩んだら最新版を選択しましょう。
開発環境のセットアップ方法(Eclipse)
Eclipseは無料で使える統合開発環境(IDE) で、Java開発におすすめです。
ここでは、日本語版がセットになっているEclipseのセットアップ手順について紹介します。
- Pleiades All in One Eclipse ダウンロードページからJava用パッケージをダウンロードします。
- 「pleiades-2025-03-java-win-64bit-jre_20250319.exe」をクリックし、インストールを実行します。
- インストール後、ワークスペースを設定します。
- 新規プロジェクトを作成して、Javaファイルを作成します。
上記の手順でEclipseの導入ができます。もし、Eclipseの詳しいセットアップ方法については知りたいという人は、こちらの記事をご覧ください。
Java SEでできることと主な機能
Java SEには多くの便利な機能があります。その中でもよく使われる代表的な機能として「標準ライブラリとAPIの活用」と「マルチスレッドやラムダ式などの注目機能」に分けて紹介します。
標準ライブラリとAPIの活用
Java SEには、ファイル操作・ネットワーク通信・データベース接続・日付処理など、あらゆる場面で使える標準ライブラリが揃っています。
その中でも初心者が最初に使うと良いAPIは以下の3つです。
パッケージ名 | 主な用途 |
---|---|
java.util | 日付処理、リスト・マップなどのコレクション操作、ユーティリティ機能 |
java.io | ファイルやデータの読み書き、ストリーム処理 |
java.net | インターネット通信(URLアクセス、ソケット通信 など) |
これらのAPIは、Javaの基本的な使い方を学ぶのに適しています。
たとえば「java.util」はデータの扱い方を学べますし、「java.io」ではファイル処理について理解を深められます。「java.net」は通信の基礎理解力を高めるのに役立つので、自然と実践的なプログラミング力が身に付きます。
マルチスレッドやラムダ式などの注目機能
Java SEでは、以下のプログラミング機能も提供されています。
機能 | 内容 |
---|---|
マルチスレッド | 一度に複数の処理を実行する |
ラムダ式 | コードを簡潔に書くための記法のこと |
Stream API | データ処理を効率化する仕組みのこと |
これらの機能は、より効率的で読みやすいコードを書くために役立ちます。
特にマルチスレッドは高速処理に、ラムダ式とStream APIは簡潔なデータ操作に適しており、Java開発では必須のスキルです。
Java SEの効率的な学習方法
効率よく基礎から学びたい方には、Javaに特化したセミナーやスクールの活用がおすすめです。
セミナーやスクールでは、Java SE(JDK)のダウンロード方法から、基本的な構文やよく使う機能の解説まで丁寧に解説してもらえます。さらに、Javaの基礎知識に加えて、実践的な開発スキルやチームでのグループ開発も体験できるカリキュラムが組まれているのが特徴です。
また、セミナーやスクールなら講師にすぐ質問できる環境が整っているため、つまずいた箇所をすぐに解決できます。
Java SEに関するよくある質問
Java SEのよくある質問について回答します。初心者がつまずきやすいポイントを事前に解消しておきましょう。
初心者がJava SEを独学で学ぶのにおすすめの方法は次の2つが挙げられます。
- Java入門書やオンライン教材で基礎文法を学習
- Eclipseなどでサンプルコードを動かして理解を深める
書籍やオンライン教材を使って情報をインプットするだけでなく、実際に手を動かしてアウトプットを行うことで効率的に学べます。アウトプットする過程でどの箇所の理解が浅いのかを知ることができるので、次に学ぶべき内容や目標が見つかりやすい利点があります。
もっと具体的なコード例や、Javaで何ができるか知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
開発者または学習者は必ずJDKを使用しましょう。コーディングやデバッグはJDKがなければできませんし、JREはすでに開発済みのアプリを動かすだけの環境です。JREはJavaアプリを実行するだけのユーザー向けで、たとえば業務用のJavaアプリを社員のPCで動かす場合などで使われます。
Java SEについてまとめ
Java SEは、Java開発に欠かせない基本環境です。JDKやJREとの違いを正しく理解し、適切に導入すれば、初心者でも安心して開発を始められます。
本記事では、Java SEとJDK・JREの違いから導入方法、注目の機能まで、幅広く解説しました。
これからJavaプログラミングに挑戦したい方や、個人で開発を進めたい方は、ぜひJava SEを活用してみてください。
