VSCode(Visual Studio Code)は、あらゆる言語を取り扱うコードエディターですが、Java開発にも最適な統合開発環境(IDE)としても有名です。
本記事では、VSCodeでJava開発をする方法や環境構築について初心者向けにわかりやすく解説します。JDKのインストールから環境変数の設定や拡張機能の追加、デバッグ方法まで順を追って説明していきます。
「VSCodeでJava開発を始めたいけど、環境構築の手順が分からない」「JDKや拡張機能の導入方法を詳しく知りたい」という方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
VSCodeとは?どんなツール?
VSCode(Visual Studio Code) は、Microsoftが提供している無料のコードエディタです。動作が軽量でありながら拡張性が高いという強みを持ち、Javaをはじめとする多くのプログラミング言語に対応しています。
Java開発をしたい人は拡張機能を追加することで、EclipseやIntelliJ IDEAのような本格的な開発統合環境としても利用可能です。GitHubと連動できるため、VSCodeがあればコーディングからリモートブランチへのプッシュまで一貫して行えます。
VSCode以外のコードエディターに興味がある人は、Eclipseが使いやすくておすすめです。
こちらの記事でEclipseの使い方や導入方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
VSCodeの環境構築をする前の事前準備
VSCodeでJavaを開発するためには、Javaの実行環境を事前にセットアップする必要があります。
今回紹介する事前準備の内容はこちらです。
- Java開発に必要なJDKの導入
- 環境変数へパスを通す方法
それぞれの内容を詳しく解説していきます。
Java開発に必要なJDKを導入
JDK(Java Development Kit)とは、Javaプログラムをコンパイル・実行するための開発ツールのこと。Java VM(仮想マシン)もJDKに含まれており、VSCodeでJavaを動作させるためには必須になります。
そのため、まずはJDKをパソコンに導入していきましょう。
- Oracle公式サイトから最新のJDKを各OSごとにダウンロードします。
- インストーラーを実行し、画面の指示に従ってJDKをインストールします。
- コマンドプロンプトまたはターミナルで「java -version」を実行し、導入できていることを確認します。
JDKが導入できていれば、以下のようなメッセージがコマンドプロンプトやターミナルで表示されます。
Java(TM) SE Runtime Environment (build 20.0.1+9-29)
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 20.0.1+9-29, mixed mode, sharing)
これでJDKの導入は完了です。次に、環境変数へのパス通しを行っていきましょう。
環境変数へパスを通す方法
環境変数にJDKのパスを設定することで、どのディレクトリからでもJavaを実行できるようになります。もし、JDKを導入してもJavaの実行ができないときは、この環境変数へのパス通しができていない可能性を疑いましょう。
ここでは、Windowsでの環境変数へのパスを通す方法を紹介します。
- Windowsキー + Rを押して出てきた検索ウィンドウに「sysdm.cpl」を入力します。
- システムのプロパティにある詳細設定タブをクリックします。
- 環境変数をクリックします。
- システム環境変数にあるPathを選択し、編集をクリックします。
- 新規ボタンをクリックし、先ほど導入したJDKのパス(例:C:\Program Files\Java\jdk-20\bin)を設定します。
これで環境変数へのパス通しは完了です。Windowsでは、環境変数へのパス通しがされていないとJavaの実行ができないので、必ず設定を行いましょう。
VSCodeでJava開発するための環境構築
Javaの環境構築が完了したら、次はVSCodeをインストールして開発環境を整えていく準備に移ります。
ここでは、次の手順でVSCodeの導入方法を解説します。
- Microsoftの公式サイトからVSCodeをダウンロード
- VSCodeのインストール方法
- Java開発に必要な拡張機能をインストール
それでは確認していきましょう。
Microsoftの公式サイトからVSCodeをダウンロード
出典:microsoft公式 VSCodeダウンロードページ
VSCodeはMicrosoftが提供しているコードエディターのため、Microsoftの公式サイトからダウンロードできます。
ダウンロードの手順は次のとおりです。
- VSCodeの公式サイトにアクセスします。
- Windows・macOS・Linuxの中から、自分の環境に適したものをダウンロードします。
これでダウンロードは完了です。次に、インストールを行っていきます。
VSCodeのインストール方法
VSCodeのダウンロードが終わったら、次の手順に従ってインストールを行っていきましょう。
- ダウンロードした「VSCodeUserSetup-x64-1.98.2.exe」を実行します。
- 使用許諾契約書に同意して次へ進みます。
- 追加したいタスクがあれば複数選択して次へ進みます。
※デフォルトでも問題なし - インストールボタンを押下します。
最後に、Visual Studio Codeセットアップウィザードの完了が表示されたらインストール完了です。
Java開発に必要な拡張機能を導入しよう
VSCodeだけではJavaのコンパイルや実行が行えないため、拡張機能「Extension Pack for Java」の追加が必須です。
拡張機能のExtension Pack for Javaには次の機能があります。
機能名 | 内容 |
---|---|
Language Support for Java | Java言語のサポート |
Debugger for Java | Javaのデバッグ機能をサポート |
Maven for Java | Mavenビルドツールのサポート |
Java Test Runner | テストコードの実行 |
Visual Studio IntelliCode | コード補完 |
Extension Pack for Javaの導入方法は次の手順を参考にしてください。
- VSCodeを起動します。
- 拡張機能パネル(Extensions)をクリックします。
- 検索ウィンドウに「Extension Pack for Java」と入力します。
- インストールボタンをクリックします。
- ポップアップメッセージが表示されたら、「Trust Workspace &Install」を選択します。
これで拡張機能の導入は完了です。拡張機能「Extension Pack for Java」には、Java開発に必須の機能が詰まっているので、必ず導入を行いましょう。
VSCodeでJava開発をする方法
VSCodeの環境構築が完了したら、実際にJavaコードを書いてプログラムを実行する方法を解説します。
今回紹介する手順は次の3ステップです。
- 新規フォルダとJavaファイルを作成
- Hello,World!のコードを書く
- ターミナルでJavaプログラムを実行
それでは、解説していきます。
新規フォルダとJavaファイルを作成
VSCodeでJava開発を始めるために、プロジェクトフォルダの作成から行っていきます。
- VSCodeのメニューからファイルを選択し、フォルダーを開くをクリックします。
- 設置したい場所に新規フォルダを作成し、選択します。
- 新規ファイルで、HelloWorld.javaを作成します。
これで、Javaファイルの作成が完了です。
Hello,World!のコードを書く
作成したHelloWorld.javaの中に、基本的なJavaプログラムを書きます。
public static void main(String[] args) {
System.out.println(“Hello, World!”);
}
}
今回書いたのはJavaファイル名通り、「Hello,World!」と画面に出力させるプログラムです。
他にもJava言語を使ってプログラムを作ってみたいけれど、あまりコードについて詳しくない人は以下の記事がおすすめです。
こちらの記事では、Javaの基礎知識から基本の文法まで解説していますので、参考にしてください。
ターミナルでJavaプログラムを実行
Javaプログラムを書いたらVSCodeのターミナル機能を使って実行をしてみましょう。
- メニューのビューからターミナルを選択します。
- ターミナルを開いたら「javac HelloWorld.java」と入力し、Javaプログラムをコンパイルします。
- 次に「java HelloWorld」と入力して実行します。
ターミナル内に「Hello,World!」と表示されたら、Javaプログラムの実行は完了です。
VSCodeのJava開発で役立つ便利な拡張機能
VSCodeには、Java開発で役立つ拡張機能がいくつも用意されています。
- コード補完
- コードチェック
ここでは、上記2点に絞って便利な拡張機能を紹介します。
コード補完
まず、Java開発に欠かせないのがコード補完機能です。VSCodeにはAIがコード補完を提案する便利な拡張機能「IntelliCode」が用意されています。
IntelliCodeを使用することでAIが変数名や関数、記述コードを検出してコードの改善案を出してくれるのでスマートなコーディングが実現可能です。また、使用頻度が高いコードを先頭に入力候補として表示してくれるので、コーディングの時間短縮にも繋がります。
コード補完のあるなしでJava開発のスピードはかなり変わってくるので、導入することをおすすめします。
コードチェック
VSCodeにはコードチェック機能が拡張機能として用意されており、利用することで不具合を未然に防ぐことができます。
VSCodeでおすすめのコードチェック機能は、次の2つです。
コードチェック機能 | 内容 |
---|---|
CheckStyle for Java | Javaコーディング規約に適しているか判断する |
SonarLint | 問題のあるコードを検出する |
この2つのコードチェック機能を活用すれば、バグを未然に検知して修正すべきコードが分かります。
VSCodeのJava開発で必須なデバッグ機能の使い方
デバッグはプログラムのエラー特定に役立つ機能です。Java開発では必須機能となっているので、導入をおすすめします。
VSCodeでは「Debugger for Java」を使用して1行ごとのステップ実行や変数の中身確認ができます。今回はこの機能を使ったデバッグ方法を解説します。
デバッグ設定
VSCodeのデバッグ機能を使う前に、事前準備としてlaunch.jsonの設定を行う必要があります。次の手順でjsonファイルを作成していきましょう。
- VSCodeのサイドメニューから実行とデバッグ(Run and Debug)をクリックします。
- launch.jsonを新規作成します。
- launch.jsonに次の設定を追加して保存します。{
“version”: “0.2.0”,
“configurations”: [
{
“type”: “java”,
“name”: “HelloWorld”,
“request”: “launch”,
“mainClass”: “HelloWorld”,
“projectName”: “JavaProject”
}
]}
これでデバッグの設定は完了です。
デバッグの実行方法
デバッグを実行する際はブレークポイントを設定します。ブレークポイントとはJavaプログラムを実行したときに止まる行を決めるもので、行番号をクリックすることで設定ができます。
赤い丸が行番号の隣に表示されていれば、ブレークポイントの設定は完了です。F5キーを押下してデバッグを実行しましょう。
まとめ
VSCodeを使ったJava開発は、環境構築も簡単で操作性も優れているので、Java言語を学んでいる初心者にもおすすめです。本記事では、VSCodeの環境構築の手順と役立つ便利な拡張機能について紹介しました。
VSCodeではGitHub連携もできるのでチーム開発でも利用が可能です。ぜひ、VSCodeを使いこなしてJava開発をしてみてください。
