Java開発を効率的に進めたいなら、エクリプス(Eclipse)を活用するのがおすすめです。エクリプスはコード補完やデバッグ機能が充実しており、初心者から上級者まで幅広く利用されています。
この記事では、エクリプスを使ったJava開発の始め方を詳しく解説します。インストール手順や基本的な使い方、開発をスムーズにする便利な機能まで紹介するので、これからエクリプスを使う方にもピッタリです。
初心者の方も、エクリプスを活用してJava開発を楽しみながら学んでいきましょう。
エクリプス(Eclipse)とは
エクリプス(Eclipse)は、ソフトウェア開発のための統合開発環境(IDE)の一つで、特にJavaの開発に広く利用されています。
もともとはIBMによって開発され、2001年にオープンソースとして公開されました。現在はEclipse Foundation(エクリプス財団)によって運営・開発が進められており、企業や個人を問わず、多くの開発者に利用されています。
当初はJava向けのIDEとして誕生しましたが、現在ではプラグインを追加することでPythonやC++、Web開発などさまざまなプログラミング言語にも対応可能です。
Java開発でエクリプスを利用するメリット
エクリプスは、Javaの開発に特化した多くの機能を備えており、初心者から上級者まで幅広い開発者に利用されています。無料で使えるオープンソースのIDEでありながら、強力な機能を持っているのが大きな魅力です。
Java開発においてエクリプスを利用することで、開発の効率を向上させ、スムーズにプログラムを作成・管理できるなど、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットを挙げてみましょう。
- オープンソースで誰でも無料で使える
- Javaに特化した強力な開発支援機能を備えている
- デバッグ機能が充実している
- プラグインが豊富で簡単に機能拡張ができる
- 大規模プロジェクトの管理に適している
- クロスプラットフォームに対応している(Windows/Mac/Linux)
このように、エクリプスはJava開発をスムーズに進めるための便利な機能を多く備えています。特に、コード補完・デバッグ・プロジェクト管理といった基本的な開発機能が標準で搭載されているため、初心者でも学習しやすい環境が整っています。
エクリプスのインストール方法は2種類!
エクリプスのインストール方法には、大きく分けて2つの方法があります。
- 公式サイトから英語版エクリプスをダウンロードし、日本語化パッチを適用する
- 「Pleiades All in One」をダウンロードし、解凍してそのまま起動する(※インストールも可能)
初心者の方には、日本語化済みのエクリプスに加えてJDKも同梱されている②の「Pleiades All in One」を利用するのがおすすめです。基本的にはインストール不要で、ダウンロードして解凍すればすぐに使えます。インストール作業が苦手な人でも、難しい設定なしに簡単にセットアップできるのが大きなメリットです。
一方で、「できるだけ公式のエクリプスを使いたい」「自分で細かく設定したい」という場合は、英語版をダウンロードして後から日本語化する方法も選べます。
それぞれの方法のメリット・デメリットを表にまとめてみましょう。どちらが自分のニーズに合っているか見極めて選択することが大切です。
方法 | メリット | デメリット |
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①英語版Eclipseをインストール → 日本語化 |
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②Pleiades All in One |
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Pleiades All in Oneを利用したインストール手順
Pleiades All in Oneを使えば、エクリプス本体・JDK・日本語化がすべてセットになっているため、解凍するだけでインストールすることなくエクリプスを利用できます。ここでは、初心者向けにわかりやすく手順を解説します。
※ここで示すのはWindows版の例です。Macをご利用の方は、公式サイトを参照してインストールを行ってください。
- Pleiades All in Oneをダウンロードする
- インストールする
- 起動とワークスペースの設定
- 日本語化の確認
- JDKの確認(必要に応じて設定)
①Pleiades All in Oneをダウンロードする
Pleiades公式サイトにアクセスし、メニューから最新版を選択しましょう。今回は、最新版である「Eclipse2024」を選択します。
必要な環境に合わせたパッケージをダウンロードしましょう。今回はJavaのWindows x64版を選択します。
②インストールする
ダウンロードしたexeファイルを実行します。もし「Windows によってPCが保護されました」のようなメッセージが表示される場合は、「詳細情報」を確認したうえで「実行」をクリックしてください。
解凍後のフォルダ場所には、Cドライブ直下やDドライブなどを選択し、「解凍」をクリックします。C:\Program Filesなどの管理者権限が必要な場所を指定しないようにしましょう。
③起動とワークスペースの設定
フォルダ内の「eclipse.exe」をダブルクリックで起動します。「ワークスペースの選択」画面が表示されるので、プロジェクトの保存場所を選びましょう。特に変更の必要がなければデフォルトのままでOKです。
「この選択をデフォルトとして使用し、今後この質問をしない」にチェックを入れ、「起動」をクリックします。
これで、エクリプスが起動しました。
④日本語化の確認
Pleiades All in Oneを利用しているため、最初から日本語化された状態になっているはずです。もしメニューが英語になっている場合は、eclipse.iniの設定を確認してください。
⑤JDKの確認(必要に応じて設定)
エクリプスメニューから 「ウィンドウ」→「設定」→「Java」→「インストール済みのJRE」を開きます。JDKが自動認識されていることを確認してください。もしされていない場合は、手動で追加します。
エクリプスで最初のJavaプログラムを作成・実行する
エクリプスのインストールが完了したら、実際にJavaのプログラムを作成して実行してみましょう。ここでは、最初のJavaプログラムを作成し、実行するまでの手順をわかりやすく解説します。
Javaプロジェクトの作成
エクリプスでJavaプログラムを作成するには、まずJavaプロジェクトを作成する必要があります。Javaプロジェクトを作成すると、ソースコードの管理がしやすくなり、コンパイルや実行もスムーズに行えます。
以下の手順で、新しいJavaプロジェクトを作成しましょう。
- エクリプスを起動し、「ファイル」→「新規」→「Javaプロジェクト」をクリックしましょう。「新規Javaプロジェクト」ウィンドウが開いたら、プロジェクト名を入力し、「完了」ボタンをクリックします。
- 作成したプロジェクトを「パッケージ・エクスプローラー」で確認し、自動作成された「src」フォルダ(ソースコードを保存するフォルダ)を右クリックしましょう。「新規」→「パッケージ」を選択したら、パッケージ名を入力し、「完了」ボタンをクリックします。
- ②で作成したパッケージを右クリックし、「新規」→「クラス」を選択してクラス名を入力しましょう。「public static void main(String[] args) を生成」にチェックを入れて「完了」をクリックすると、Javaクラスが作成されます。
これでJavaプロジェクトの準備が整いました。次は、実際にコードを記述してプログラムを実行してみましょう。
サンプルプログラムの記述と実行
Javaプロジェクトを作成したら、実際にコードを記述し、プログラムを実行してみましょう。ここでは、画面に「Hello, World!」と表示するシンプルなプログラムを作成してみます。
①エクリプスの「パッケージ・エクスプローラー」で、作成したクラス(HelloWorld.java)をダブルクリックして開き、mainメソッド内に以下のコードを入力しましょう。
public class HelloWorld {
public static void main(String[] args) {
System.out.println(“Hello, World!”);
}
}
このプログラムは、System.out.println() を使って画面に「Hello, World!」と出力するものです。
②コードを保存した後、HelloWorld.java を右クリックし、「実行」→「Javaアプリケーション」を選択します。エクリプス下部の「コンソール」に「Hello, World!」と表示されれば成功です。
エクリプスの自動コンパイル機能について
ここまでの動きから分かるように、エクリプスは自動コンパイル機能を備えており、手動でjavacコマンドを使ってコンパイルする必要がありません。そのため、通常の開発では「保存 → 実行」という流れでスムーズにプログラムを動かすことができます。
もしコードにバグがあった場合、保存したタイミングでエラーが検出されるため、実行する前に修正が可能です。また、ショートカットキー(Ctrl + プラス「+」キー)でエラー箇所にジャンプできるため、修正も素早くできます。
このように、エクリプスではコードを保存した時点でエラーをチェックし、問題があれば即座に通知してくれるため、手動でコンパイルするよりも開発のスピードと効率を大幅に向上できるのが大きなメリットです。
エクリプスの便利な機能
エクリプスには、Java開発を効率化するためのさまざまな便利な機能が備わっています。ここでは、エクリプスをより便利に使いこなすための機能を紹介していきます。
コンテンツアシストでコードを補完
エクリプスには、「コンテンツアシスト」という便利なコード補完機能が搭載されています。コードを入力中に「Ctrl + スペース」を押すと、適切なコードの候補が自動で表示されるため、手入力の手間を減らし、入力ミスを防ぐことが可能です。
コンテンツアシストの基本的な使い方は次の通りです。
- Javaファイル内でコードを入力中に「Ctrl + スペース」を入力
- 使用可能なクラスやメソッド、変数の候補が表示される
- リストから適切なものをクリック
コンテンツアシストを活用することで、コード入力をスピードアップし、ミスを減らしながら効率的にコーディングすることができます。
クイックフィックスでエラーを素早く修正
エクリプスには、「クイックフィックス」という便利な機能があり、コードのエラーや警告を簡単に修正するための候補を自動で提示してくれます。手動でエラーを探して修正する手間を省き、素早く正しいコードに直せるので、開発効率が大幅に向上できるのがメリットです。
クイックフィックスの使い方は次の通りです。
- エラーが発生しているコードの行に赤い「×」マークが表示される
- エラーのある行で「Ctrl + 1」を入力
- エクリプスが修正候補を提示するので、適切なものを選択してクリック
クイックフィックスを活用すれば、エラー修正にかかる時間を大幅に短縮でき、効率的にコーディングできます。エラーが発生したら、まず「Ctrl + 1」を押して、修正候補を確認してみましょう。
デバッグ機能を活用してバグを特定
エクリプスには、プログラムのバグを見つけやすくするデバッグ機能が備わっています。通常の実行では確認できない変数の値やプログラムの流れを細かく追跡できるため、意図しない動作を素早く特定して修正できるのがメリットです。
デバッグの基本的な流れとしては、次のようになっています。
- デバッグしたいコードの行番号をクリックし、ブレークポイントを設定
- F11または「実行」→「デバッグ」を選択
- プログラムの実行を一時停止し、変数の値を確認
- ステップ実行でコードの動きを追う
エクリプスのデバッグ機能を活用すると、コードの流れを細かく確認しながらエラーを特定しやすくなります。バグの原因を素早く見つけて修正できるので、「うまく動かない…」と悩んだら、まずはブレークポイントを設定してデバッグを試してみましょう。
リファクタリングでコードを整理・改善
エクリプスには、コードをより読みやすく、メンテナンスしやすくする「リファクタリング」機能が搭載されています。リファクタリングを活用することで、冗長なコードを整理したり、変数名を適切に変更したり、メソッドを分割したりすることが簡単にできます。手作業で修正するとミスが発生しやすい部分も、エクリプスの機能を使えば安全に変更できるのがメリットです。
リファクタリング機能を利用すれば、次のようなことができます。
- 変数・メソッド・クラス名の一括変更(リネーム)
- 重複コードを整理する(メソッドの抽出)
- クラスの分割・統合
- 変数の型を適切なものに変更
- 不要なインポートやコードの整理
このようなリファクタリングを活用することで、ミスを減らしながら開発をスムーズに進めることが可能です。
エクリプスのおすすめプラグイン
エクリプスはデフォルトでも多くの便利な機能を備えていますが、プラグインを導入することで、さらに開発を効率化し、作業をスムーズに進めることができます。
Java開発に役立つエクリプスのおすすめのプラグインを挙げてみましょう。
プラグイン名 | 機能・特徴 | おすすめポイント |
---|---|---|
Pleiades | Eclipseを日本語化するプラグイン | インストールするだけでメニューや設定画面が日本語になる |
Glance | コード内を高速検索できるプラグイン | 大量のコードの中から素早くキーワードを見つけられる |
QuickREx | 正規表現のテスト・デバッグを行うプラグイン | エクリプス上でリアルタイムに正規表現の結果を確認できる |
Subclipse | Subversion(SVN)とエクリプスを統合 | エクリプス上でSVNの操作(コミット・更新など)が可能 |
AnyEditTool | エディタ機能を拡張するプラグイン | 空白・タブの自動修正や文字コードの変更が簡単にできる |
JDepend4Eclipse | Javaコードの依存関係を分析するプラグイン | プロジェクトの構造を可視化し、設計の改善に役立つ |
このようにエクリプスにプラグインを追加すると、より快適で効率的な開発環境を構築できます。プロジェクトの規模や開発スタイルに応じて、必要なプラグインを導入し、エクリプスを最大限に活用しましょう。
エクリプスの学習方法
エクリプスは多機能な開発環境のため、最初はどこから学べばよいか迷うこともあります。しかし、基本的な操作を押さえ、実際に手を動かしながら学ぶことで、効率的にスキルを習得できます。
初心者におすすめの学習方法としては、次のような方法があります。
- 公式ドキュメントやチュートリアルを活用する
- 実際にJavaのプロジェクトを作成して実践する
- オンライン学習サイトや動画を活用する
- エクリプスの公式フォーラムやコミュニティに参加する
エクリプスは公式ドキュメントやチュートリアルが充実しているため、まずはそれらを利用して基本を押さえつつ、実際にコードを書きながら覚えるのが最も効果的です。さらに、オンライン学習サイトやフォーラムを活用すれば、より実践的なスキルを身につけられるでしょう。
自分に合った学習方法を見つけ、Eclipseを使いこなせるようになりましょう!
エクリプスが学べるおすすめ講座
エクリプスの学習は、オンライン学習サイトを利用するのが効率的です。ここでは、エクリプスが学べるおすすめ講座を詳しくご紹介します。
Udemy
Udemyは、動画講座を通じてエクリプスの使い方を学べるオンライン学習プラットフォームです。Java開発初心者向けの入門講座から、Spring Bootを活用したWebアプリ開発、エクリプスを使った高度なデバッグ手法まで、さまざまなレベルのコースが用意されています。
講座は一度購入すれば無期限で視聴できるため、自分のペースで学習できるのが特徴です。また、講師によるQ&A機能を活用すれば、疑問点を質問して解決することも可能。頻繁にセールが開催されているため、お得な価格で高品質な講座を受講できるチャンスもあります。
Schoo
Schooは、ライブ配信形式でプログラミングや開発ツールの使い方を学べるオンライン学習サービスです。エクリプスに関する講座もあり、初心者向けの基本操作や環境構築、Java開発の実践的なテクニックなどを学ぶことができます。
生放送の講義に参加するとリアルタイムで講師に質問ができるのが魅力。無料で視聴できる講座も多く、コストをかけずに学習を始められます。過去の講座はプレミアム会員向けにアーカイブ視聴も可能なので、ライブ配信を見逃しても安心です。
エクリプスを活用してJava開発を効率的に進めよう
エクリプスは、Java開発を効率化する多くの機能を備えた強力な統合開発環境(IDE)です。適切に活用することで、コード補完やデバッグ機能を駆使してスムーズに開発を進めることができ、プラグインを導入することでさらに作業効率を向上させられます。
初心者の方も、まずは基本操作を覚えながら少しずつ慣れていきましょう。開発環境をしっかり整え、エクリプスを使いこなせるようになれば、Javaプログラミングがより快適で楽しいものになりますよ。
