近年ではITおよびAI分野の急速な発展により「機械学習」という言葉もよく耳にするようになりました。この背景もあって
- 機械学習を新しく学びたいけど、入門者はどんな手順で進めるのがいい?
- ゼロから学習を始めたとして、どのくらい時間がかかるもの?
- 今さら聞けないけどそもそも機械学習ってなんだろう…?
といった疑問を抱く方も増えています。
今回の記事では機械学習の概要から入門者向けの学習および習得の手順、必要になる時間や主な転職先をご紹介します。新たに学ぶ方はぜひ参考にしてください。
そもそも機械学習とは?
機械学習とは「コンピューターシステムに学習・成長の能力をもたせた技術や手法の総称」です。具体的にはアルゴリズムや統計的モデルを使用してデータからパターンや規則性を取得、そして問題を解決したり予測する能力をコンピューターに与えることを指します。
画像や音声、テキストデータの解析、自動運転やロボット工学、医療や金融、マーケティングなどじつにさまざまな分野で幅広く応用されています。なおAIと機械学習が混同してしまう方は、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
機械学習に最適なプログラミング言語は「Python」
機械学習においてもっとも最適かつ広く使われているプログラミング言語は「Python」です。Pythonはシンプルで読みやすい文法をもっているうえ豊富なライブラリやフレームワークが揃っており、開発においてとても便利だからです。
たとえばNumPyやPandasなどのライブラリは数値計算やデータ操作に優れていたり、TensorFlowやPyTorchなどのフレームワークはニューラルネットワークの構築や学習を強力にサポートしてくれます。
さらにPythonはオープンソースでコミュニティも活発なため、インターネット上に情報やサポートがたくさんあることもメリット。そのため初心者からプロフェッショナルまで幅広く親しまれています。
入門者向けの機械学習の習得手順
入門者に向けた、おすすめの習得手順は以下のとおりです。
- 機械学習を習得する目的を決める
- Webサイトや書籍で機械学習の入門知識を学ぶ
- プログラミング言語「Python」を学ぶ
- 機械学習ライブラリの概念や使い方を学ぶ
- 得た知識を活かしてアウトプットを行う
それぞれ、順を追って解説します。
手順1.機械学習を習得する目的を決める
目的を明確にすることは、よりよい効率で学習を進めるためにとても重要です。まずは具体的に何を学びたいのか、機械学習を学んでどのような将来像をイメージしているのか明確にしましょう。
例えば「データサイエンティストとして活躍したい」となれば、データ分析や応用数学を学んだり、E資格をはじめとするAI資格の取得を狙うことが第一になります。同様に「画像認識や音声認識といった分野で活躍したい」となれば、当然それに合わせた学習方法やアプローチを選択することになるでしょう。
目的があいまいなままでは学習効率は著しく下がり、挫折の原因にもなります。まずは学習の目的とゴールを決めることから始めましょう。
手順2.Webサイトや書籍で機械学習の入門知識を学ぶ
入門知識を学ぶなら、Webサイトや書籍を存分に活用しましょう。いまやオンラインの教材や書籍には、機械学習の基本的な概念や手法、実践的な例が豊富に紹介されています。
また初心者向けの解説から専門的な内容まで幅広い情報が提供されているため、自分の学習スタイルや理解度に合わせて自由に選ぶことができます。さらに最新のトピックや技術動向にも触れることができるため、機械学習の知識を効果的に身につけることができます。
手順3.プログラミング言語「Python」を学ぶ
入門知識をひととおり学んだら、次にプログラミング言語「Python」を学びましょう。Pythonは機械学習の分野で広く使われているため、学習コミュニティやライブラリ・フレームワークが無数に存在します。
まずは基本的な文法やデータ構造、制御構文などを学んで実際にコーディングを行いながら慣れていき、その後は自分自身の目的に応じて学習する内容を選択することです。機械学習のためのライブラリやフレームワークはさまざま(例えば、NumPy、Pandas、Scikit-learn、TensorFlow、PyTorchなど)なので、目的があやふやだと選択ミスが起きてしまうこともあります。
Pythonは機械学習の基礎を固める上で欠かせないステップになるので、念入りに固めておきましょう。
手順4.機械学習ライブラリの概念や使い方を学ぶ
プログラミング言語「Python」の基礎を使い方を学んだら、自分自身の目的に応じたライブラリの概念および使い方を学んでいきましょう。機械学習をライブラリなしで作ることは困難を極めるうえ、ライブラリを使っていない企業はほぼ存在しないことから習得は必須といえます。
Pythonは他の言語に比べても圧倒的にライブラリの数が豊富で、具体的には以下のような種類があります。
ライブラリ名称 | 分類 | 主な用途 |
json | 標準ライブラリ | データエンコードおよびデコードツール |
random | 標準ライブラリ | 乱数生成関数 |
math/statistics | 標準ライブラリ | あらゆる計算モジュールや関数 |
pip | 標準ライブラリ | Pythonパッケージ管理ツール |
Pillow | 標準ライブラリ | 画像の編集・保存・加工 |
Pandas | サードパーティ製ライブラリ | データ分析 |
Flask | サードパーティ製ライブラリ | Web開発 |
Django | サードパーティ製ライブラリ | Web開発 |
TensorFlow | サードパーティ製ライブラリ | 機械学習ツールセット |
Scikit-Learn | サードパーティ製ライブラリ | 深層学習開発のサポートツール |
SQLAlchemy | サードパーティ製ライブラリ | データベースへの接続 |
またPythonのライブラリについては以下の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
手順5.得た知識を活かしてアウトプットを行う
機械学習の基礎学習やPython、ライブラリの知識を深めたら、その知識を実践的な問題解決に活かす「アウトプット」を行いましょう。たとえば簡単なデータセットを使ったモデルの構築や、既存のモデルの改良を試みることでより理解を深めることができます。
また自分の興味や関心がある分野に応用してみると、より意義のある学習体験になるでしょう。アウトプットを通じて得られた経験や成果は自信やモチベーションにもつながるため、学習の最終段階として積極的に取り組むことをおすすめします。
ただ入門者にとってはこのフェーズが最大の鬼門であり、最初はまったく手がつかないことを痛感すると思います。ここで挫折する方がほとんどなので、最初は時間をかけながら焦らずに取り組むことが大切です。
入門者が機械学習を習得するまでに必要な時間
あくまで目安ではありますが、まったくの知識ゼロの入門者の場合300~600時間が必要とされています。つまり毎日3時間勉強したとして、3ヶ月~6ヶ月かかる計算になります。
とはいえ、以下のような要素が個人差として大きく影響します。
- プログラミングや統計学などの事前知識があるか
- 本業をしているかどうか、学習を「毎日」実施できるか
- 自己学習なのか、ITスクールおよびセミナーを受講するのか
- 機械学習のどの分野に焦点を当てるか、資格取得を目指すのか
機械学習入門者が目指せる主な転職先
入門者が目指せるおすすめの転職先として、以下のような選択肢があります。
- データサイエンティスト
- 機械学習エンジニア
- データエンジニア
それぞれ見ていきましょう。
データサイエンティスト
データサイエンティストは簡単にいうと、データ収集・解析を行うことでビジネス上の問題を解決する職業のことです。
機械学習の知識はデータサイエンスの中核的な要素でもあり、データのパターンやトレンドを理解して予測モデルを構築するために必要です。企業や組織における意思決定をデータに基づいて支援し、新たな価値を生み出す重要な役割を果たします。
データサイエンティストは需要・将来性ともに非常に高く、成長性の高いキャリアの一つなのでおすすめです。
機械学習エンジニア
その名のとおり、機械学習を生み出すエンジニアという認識でいいでしょう。具体的にはモデルやシステム設計、開発や実装をメインに行っています。
それだけでなくデータの収集から前処理、モデルの選定やチューニング、実際のシステムへの統合まで幅広い作業を行います。ソフトウェアエンジニアリングのスキルと機械学習の知識を組み合わせて新しいアプリケーションやサービスを開発するため、入門者から目指すのであればよりアウトプット量がキモになる職業といえるでしょう。
データエンジニア
データエンジニアとは主に大規模なデータセットを処理したり、データベースやデータウェアハウスを設計・構築することに特化した職業のことです。具体的には機械学習エンジニアやデータサイエンティストが必要とするデータ基盤を整備したり、データ処理の効率化やデータ品質管理を行っています。
データエンジニアもその名のとおり、ビッグデータ技術やデータ処理フレームワークなど「データ」に対する深い知見が求められます。
機械学習入門者からよく寄せられる質問
ここでは、機械学習入門者からよく寄せられる質問を紹介します。
Python以外の言語でも機械学習はできる?
Python以外でも機械学習は可能です。機械学習アルゴリズムや手法を実装するなら数値計算やデータ操作がかんたんにできる言語が推奨されるものの、Python以外でもそれらの機能を提供する言語やライブラリは存在します。
たとえばR言語は統計解析や機械学習に適した言語として知られており、データの前処理やモデルの構築に向いています。またJavaやC++などの言語を使用しても機械学習が可能です。
ただPythonは機械学習コミュニティで広く使われており、数ある言語の中でもとくに豊富なライブラリやフレームワークが提供されていることから、初心者や一般的なプロジェクトで用いられることが多いのです。
機械学習を実装する手順は?
機械学習の実装手順はモデルの種類やプロジェクトによって異なりますが、大まかに示すと以下のようになります。
- 問題提起
- データ収集・分割
- データ形成
- 機械学習モデルのトレーニング
- モデルでテストデータを予測
- モデルの検証・テスト
最速で機械学習を学ぶならAI研究所!
「入門者が機械学習を習得するには、300~600時間が必要」と前述しました。ただITセミナーを活用すれば、この学習時間を大幅に短縮させることが可能になります。
入門者が機械学習を最速で学びたいなら、おすすめのセミナーは以下になります。
- AIエンジニア育成講座
- E資格対策ディープラーニング短期集中講座
AIエンジニア育成講座
AI研究所が運営する「AIエンジニア育成講座」は、3日間でプロのAIエンジニアを目指せる育成講座です。受講者は1万人突破、満足度は98.8%の実績を誇ります。
機械学習の基礎からニューラルネットワークなどの応用知識まで、AIエンジニアとして現場で必須となる知識だけを凝縮したカリキュラムによって、最短で「AIエンジニアとしての即戦力」を目指せます。特別技術顧問には慶應義塾大学理工学部 栗原教授を迎えていることで、実践で活躍するための専門知識を着実に身につけられる講座となっております。
E資格対策ディープラーニング短期集中講座
「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」は「E資格」の取得を目指せる、JDLA(日本ディープラーニング協会)からに認定を受けた4日間の短期集中講座です。修了率99%以上、受講生のE資格合格率は83.3%と高水準で、最安のeラーニングコースなら76,780円と高コスパで受講が可能です。
E資格の取得を目的とした講座ではあるものの、そもそもE資格はAIエンジニアとしての技術を裏付けるもの。カリキュラムには機械学習の基礎から応用における非常に濃い内容が網羅されていることから、機械学習入門者の方々にぜひおすすめです。
機械学習入門まとめ
機械学習はAI(人工知能)の中の技術のひとつで、システムにあらかじめ膨大なデータを学習させることで、瞬時に特定のルールやパターンをあぶり出して最適解を提示・提案してくれるものです。そんな機械学習におすすめのプログラミング言語は「Python」になります。
独学の場合、これらの大まかな学習手順は
- 学習の目的やゴールを決める
- 機械学習の概要や入門知識をインプット
- プログラミング言語「Python」を学習
- Pythonの周辺知識を学習
- ポートフォリオの制作・アウトプット
上記の手順がもっとも効率的でしょう。
まったく事前知識がない状態からの独学だと1日3〜4時間の勉強で約6ヶ月〜1年程度かかりますが、ITスクールやセミナー活用によって大幅な時短が実現できます。目的や年齢、モチベーションと相談しつつ活用するのも賢明です。