さまざまな企業や団体のWebサービスでbotが使われるケースが多くなってきました。botについては、知っているようであまり理解されていないツールと言えるかもしれません。ここでは、botとはどのようなものなのか、意味に加えて用途をご紹介します。ロボットと関係があるbotの活用例や作り方も取り上げますので参考にしてください。
botの意味とは
botの意味は、botという言葉が登場した経緯を考えると理解しやすくなります。bot(ボット)とは、robot(ロボット)から誕生した言葉です。タスクや処理を自動化するプログラムやアプリのことをbotと呼びます。ロボットが人に代わって単純作業や危険な業務を行うように、botは時間がかかる繰り返しの作業などを代行できる点がメリットです。便利なbotですが、機械的に物事を行うのは得意なものの、臨機応変な作業や指示されていない業務は行うことはできません。botが成功するかどうかはツールの選択や設定がカギを握ります。
botの主な用途
botは民間企業のみならず、地方自治体や学校・教育機関など公的機関でも活用されています。また、サービスサイトやECサイト、コールセンターなどの業務と相性が良いとされます。ここで、botの主な用途を説明しますので、これからbotを導入したい企業や、botについて勉強している方は参考にしてください。
問い合わせ対応
ユーザーのさまざまな質問に対して、適切な回答をするためにbotが使われています。たとえば、ECサイトのFAQなどで、パスワードを忘れた、送料を知りたいといった内容を入力すると、ユーザーがとるべき行動や必要な回答を表示させることができます。
定型業務の受付
商品の注文受付やサービスの内容確認などの対応にbotが活用されています。一定の決まりに基づいて手続きを行うなどの対応は、botが得意とする分野です。商品や日時などの情報をチャットボットに伝えることで、人に代わって手続きを行えるサービスもあります。
情報発信
botを使って、ユーザーごとに好みの情報を選んで配信できます。ユーザーは自分の好みを事前に伝えておき、ニーズに合ったコンテンツを表示させることも可能です。
接客・コミュニケーション
botを使い、ユーザーのリクエストに合った商品やサービスの提案をするなど接客や営業の要素が強いサービスも展開されています。簡単な対応はbotで行い、詳しい質問には人が対応するといった具合に、対応方法を分けることもできるため、人件費削減やサービスの質の向上に役立っています。
botの参考例
ここでは、企業やビジネスの分野で参考になるbotを解説します。どのように使われているかに加え、評価されているポイントも併せて記載します。
ゴミの分別案内(横浜市)
横浜市は、ユーザーが捨てたいゴミの名前を入力した際に、分別品目やゴミの出し方を教えるシステムをNTTドコモと共同で開発し、実証実験を続けています。興味深いのは、具体的な分別方法や捨て方を判定できない場合に「良くわからないんだ。ごめんね。」などユーモラスで人間味のある回答がされることです。機能的に優れているだけでなく、コミュニケーションを楽しめるツールであることが話題になりました。
再配達受付(ヤマト運輸)
ヤマト運輸では、再配達受付をbotで展開し、Webに加えてLINEでも使えるようにしています。不在票に書かれた問い合わせ番号をユーザーに入力してもらうことで、自動的に再配達受付が済む仕組みです。ユーザーが使い慣れているLINEを利用できるほか、ユーザーのタイミングでアクションを起こせる点が評価されています。
選択的なコンテンツの提供(ゴルフダイジェストオンライン)
ゴルフダイジェストオンラインでは、facebook上でチャットボットを運用しています。ユーザーはfacebookメッセンジャーから同社のアプリを使ってスコアを登録すると、ゴルフダイジェストオンラインのコンテンツの中から、気になるワードや記事、ニュースなどの情報を自動的に配信します。ユーザーが興味を示した話題に関連した記事やニュースを紹介する仕組みも備わっており、痒い所に手が届くサービスになっているようです。
AIチャットボット(Siri)
AIと組み合わせたbotは注目されています。あらかじめWebサイトを開く必要はなく、スマートフォンに話しかけるだけで問題解決できるため、ユーザーにとって使いやすさを感じるサービスと言えます。botを導入する企業は、ユーザーの使用感も大切にしたいものです。
botの簡単な作り方
botはいくつかの種類がありますが、チャットボットは企業のWebサイトなどでよくみられるため、なじみ深いかもしれません。さまざまな企業や団体で活用されているチャットボットを作って試したいという要望もあることでしょう。ここでは、チャットボットの作り方を準備段階から実際に作るステップに至るまで説明します。
チャットボットを作るための準備
チャットボットの作成にはいくつかの要素が関係しています。まず一つが、目標設定です。どのような目的でチャットボットを導入したいのかなど、明確な目標を設定しておきましょう。そうでないと、チャットボット作成が主な目的となってしまい、人の作業を代行できるような有用なツールにならない可能性があります。また、顧客のニーズの調査も忘れないようにしましょう。チャットボットは顧客の要望に合う仕様にすることで、初めて役立つツールになります。チャットボットを作る段階で想定される問い合わせ内容があいまいであるなら、アンケートを実施するなどしてしっかりニーズをつかむことが重要です。
以上の点が明確になると、チャットボットの種類を選択できるでしょう。チャットボットは大きく分けて2つの種類があります。一つはルールベース型、もう一つはAI型です。ルールベース型は事前にシナリオを考えておき、ユーザーが選択する形で回答を提供します。対してAI型は質問や回答、それらにまつわる情報を大量に学習させることで機能するチャットボットです。いずれを選ぶ場合も、単に流行っているからと言う理由ではなく、自社のサービスに最も適したものを選ぶと良いでしょう。
チャットボットの型を決定すると、ツールの選択ができるはずです。ツールの選択では、自社にとって必要な機能の見極めと予算との兼ね合いを見ていく必要があります。さらに、チャットボットの設置場所を決定します。チャットボットはWebサイトやページなどに設置して利用します。ユーザーにとって最も利用しやすい部分に置くことが大切になります。設置場所とともにチャットボットの仕様も検討すると良いでしょう。
HubSpotを使ったチャットボットの作り方
HubSpotでチャットボットを作る際に最初に決めるのは設置場所です。HubSpotで作成したチャットボットの設置可能な場所は、Webサイトとfacebookの2種類になります。設置場所により設定や仕様が異なってくるため、設置場所を慎重に見極めることが大切です。次に、チャットボットの対応をする人や最初に表示されるメッセージを決めます。ユーザーが最初に目にするチャットボットの表示となるため、企業イメージが伝わるもので親しみがわくものにするとよいかもしれません。
続いて、チャットボットで自動返答する部分とスタッフにつなぐ場合の対応時間などの設定を行います。よく質問される簡単な内容であれば、自動応答形式で設定すると、24時間365日の対応が可能になります。込み入った内容でスタッフの対応に切り替えた方が良い場合は、対応可能時間を設定します。
ロボットから派生したbotの意味と用途と可能性とは?
botとはロボットからとられた言葉で、さまざまな作業を自動化できるプログラムやアプリになります。botの意味を理解すると、botの用途や目指すべきゴールを設定するのに役立つことでしょう。botを有用なツールにするためには、目標設定やツール選び、設定がカギを握ります。