【2025】DXエンジニアとは?必要性・育成の5ステップ・メリット・必要なスキルも解説

ダボス会議で示されたリスキリングの重要性、そしてメタバースやAIの急速な広がり。これらを背景に、企業におけるDX推進は喫緊の課題となっています。

中でも、DX人材を育成するDXエンジニアに注目が集まり、自社で内製化する動きも増えてきました。しかし、専門性の高いDXエンジニアの育成は決して容易ではありません。

この記事では、DXエンジニアの必要性やメリット、基本的な育成方法、必要なスキルについて解説します。おすすめのDXエンジニア人材育成サービスもご紹介するので、DXエンジニアの育成に課題を抱えている企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

DXエンジニアとは?

DXエンジニアは、企業のデジタル変革、いわゆるDXを推進する技術と知識を持ち、それを実際に活用できる人材です。

業務内容は、企業全体の業務プロセス見直し、新しいサービスの創出、既存のビジネスのデジタル化など多岐にわたります。

DXエンジニアの種類

DXエンジニアは、企画から設計、開発、運用まで多岐にわたる業務を担うため、各々の専門性を活かせるよう、複数の種類に分かれています

以下では、DXエンジニアの主な種類と、それぞれの役割や業務内容を分かりやすく表にまとめました。

種類役割主な業務内容
プロデューサー(PM・PL)DXプロジェクトの統括責任者企画立案、プロジェクト管理、チーム編成、進捗管理、関係者との調整、予算管理、リスク管理
アーキテクトDXシステムの設計責任者ビジネス要件に基づいたシステム設計、技術選定、システム全体のアーキテクチャ設計、開発チームへの技術指導
AIエンジニアシステムの開発・運用担当者AIモデルの設計・開発、データ収集・分析、機械学習、ディープラーニング、AI技術を活用した課題解決
プログラマ・エンジニアDXシステムの開発・実装担当者プログラミング、システム開発、インフラ構築、テスト、デバッグ、運用・保守

システムエンジニアとの違い

DXエンジニアと比較されやすい業種がシステムエンジニアです。しかし、両者の違いがよく分からないという声も耳にします。

システムエンジニアとDXエンジニアの違いは、「ITを活用するか」「DXを推進するか」です。

システムエンジニアは、IT技術を駆使してシステムを設計・開発・運用するのが主な役割です。一方、DXエンジニアは、IT技術だけではなく、デジタル技術全般を駆使して企業のビジネスモデルや業務プロセスを抜本的に変革する役割を担います。

つまり、システムエンジニアは「ITの専門家」として業務システムを支え、DXエンジニアは「DXの推進者」としてITを手段の一つとして活用しながら、企業全体のデジタル変革を主導する人材を指すのです。

DXエンジニアを育成するメリット

DXエンジニアを育成するメリット

DXエンジニアを育成することは、企業にとって多くのメリットがあります。以下では、DXエンジニアを育成する3つのメリットについて解説しましょう。

  1. 企業の競争力強化
  2. システム開発の効率化
  3. スムーズなDX化実現

①企業の競争力強化

DXエンジニアの育成は、企業の競争力を高める点がメリットです。DXエンジニアは、AIやITなど、デジタル技術を活用し、業務の最適化、および新サービスの創出など、企業の成長に直結する業務を担います

特に、AIやクラウド、データ分析を駆使した業務改善は、現代の市場競争において優位性を確保するために欠かせない施策です。DXエンジニアを育成し、これらの技術を自社で開発、実装、運用することで、上記の業務にも迅速に対応し、企業の成長を力強くサポートします。

②システム開発の効率化

DXエンジニアを育成すると、システムの企画から開発、テスト、運用までを自社で管理できるのが大きなメリットです。例えば、外注した時にありがちな「イメージと違うものができた…」という問題や、「修正に想定以上の時間がかかった」といったトラブルから解放されます。

これにより、外部に依頼する場合に比べて、時間やコストを大幅に削減できるだけでなく、自社のビジネスに最適なシステムを迅速に構築・改善していくことが可能になります。

③スムーズなDX化実現

DXエンジニア育成のメリットの一つは、スムーズなDX化実現です。DX化は、様々な部署が協力して進める必要があり、一つ滞るだけで計画が大幅に遅延することも少なくありません。

しかし、社内のDXエンジニアが部署間の調整をスムーズに行えば、会社全体で足並みを揃えてDX化を推進できます。組織変革や事業転換にも素早く対応できるので、予測困難な変化に直面しがちな現代のビジネス環境も乗り越えていけるでしょう。

効率的にDXエンジニアを育成できる!企業向けDX・AI人材育成研修サービス

DXエンジニアを育成することは多くのメリットがありますが、やはり専門的なスキルを持つ人材の育成には時間とコストがかかります。「効率的にDXエンジニアを育成したい」という場合、プロの人材育成サービスを利用するのも良いでしょう。

企業向けDX・AI人材育成研修サービスは、各企業のニーズに合わせて最適なプランを提案するオーダーメイド型サービスです。

こちらの研修サービスは、各企業の「ビジネス創出力」「専門的なDXスキル」「DXの活用力・推進力」を十分に考慮したうえで、トレーニング、サポート、コンサルティングを組み合わせて提供します。無料相談は電話、メール、訪問の3種類から選べるので、ぜひ以下のページからお気軽にお問い合わせください。

DXエンジニアの需要が高い理由

DXエンジニアの需要が高い理由

DXエンジニアの育成は、上記のように多岐にわたるメリットをもたらします。とはいえ、DX人材の必要性を理解していても、料金面や手間が気になるという企業の担当者の方もいるのではないでしょうか。

しかし、DXエンジニアの重要性は年々高まっており、その需要は増すばかりです。ここでは、その理由や背景について詳しく解説します。

  1. DX人材不足の加速化
  2. 経済損失最小化への期待
  3. 高い将来性

①DX人材不足の加速化

DXエンジニアの需要が高い最大の理由は、DX人材の深刻な不足です。DXの必要性が高まる一方で、IT業界全体で人材不足が進行しており、DXエンジニアも例外ではありません。

経済産業省「IT分野について」のレポートでは、2030年には約79万人のIT人材が不足すると試算されました。加えて、少子高齢化による労働力不足も相まって、今後ますます人材確保が困難になると予測されています。

この危機感を受け、政府もデジタルスキルを学べるポータルサイト「マナビDX」の運営や、DXに積極的な企業を認定する「DX認定制度」の導入など、デジタル人材の育成を促す施策に尽力しています。

参照:経済産業省「IT分野について」

②経済損失最小化への期待

DXエンジニアの需要が高い背景には、経済損失の最小化への期待もあります。「2025年の崖」という言葉が示すように、多くの企業が現在もレガシーシステム(老朽化・複雑化したITシステム)に依存しているのが現状です。

これらを改善しなければ、運用コストの増加や技術的な対応の限界によって、莫大な経済損失が発生するリスクがあります。こうした問題を解決できるのが、まさにDXエンジニアです。

DXエンジニアは、最新のデジタル技術を活用したシステム移行やクラウド化、データ連携により、これらの課題を解決し、経済損失を最小限に抑えます。特に、レガシーシステムからの円滑なデータ移行とシステム連携は、その専門性が大きく貢献するでしょう。

③高い将来性

DXエンジニアが求められる理由の一つに、その将来性の高さがあります。現在、多くの企業がDXを重要な施策と位置づけており、その流れは今後も加速していくでしょう。特に、ビジネスモデルの変革をリードできる「DX2.0」人材は、さらに価値が高まると考えられます。

なお、AIの進化により一部の業務が自動化される可能性はありますが、DXエンジニアの役割が完全にAIに置き換わることはないでしょう。なぜなら、AIは過去のデータをもとに分析する一方で、DX推進には企業ごとの課題に応じた柔軟な戦略が求められるからです。

DXエンジニア育成の5ステップ

DXエンジニアの育成方法

DXエンジニアの育成方法は、企業の規模や事業内容、目指すDXの方向性によって異なります。しかし、共通しているのは、技術的なスキルとビジネス理解や変革を推進する能力の双方を育成する、という点です。

ここでは、一般的なDXエンジニアの育成方法を段階的に解説しましょう。

  1. 育成対象者の選定
  2. 育成プログラムの設計
  3. 基礎知識とスキルの習得
  4. 実践的な経験
  5. 継続的な学習

①育成対象者の選定

まず、既存社員のスキルを評価し、DXエンジニアの対象者を選定してください。この際、DXプロジェクトのリーダーや推進役となる可能性のある社員に着目すると良いでしょう。

選定時には、DXエンジニアの育成チームを設け、多くの関係部署から意見や推薦を募ることを心がけてください。適した人材が見つからない場合、新規人材採用も視野に入れ柔軟に対応することも大切です。

②育成プログラムの設計

DXエンジニアの育成対象者が決まった後は、具体的な育成プログラムを設計します。育成プログラムは、理論的知識と実践的スキルをバランスよく取り入れましょう

実際のワークフローに即したケーススタディ、またはプロジェクトベースの学習を組み込むことで、実践力を効果的に習得できます。同時に、学習の進捗状況の定期的な評価、必要に応じたプログラム調整項目も適宜加えましょう。

③基礎知識とスキルの習得

続いて、AI、クラウド、セキュリティなど、DXエンジニアに必要なスキルを習得させます。

この際、技術的なスキルだけでなく、マネジメント、コミュニケーション、リーダーシップなどの内面的スキルも育成しましょう。社内研修、外部研修、オンライン学習など、多様な学習方法を組み合わせて効果的に進めるのもおすすめです。

企業向けDX・AI人材育成研修サービスを活用すると、より体系的な学習が可能になります。「DXエンジニア育成を効率的に進めたい」という企業は以下のページで詳細をご確認ください。

④実践的な経験

次のステップでは、OJT(On-the-Job Training)を通じて、実際のプロジェクトで経験を積ませましょう。最初は小規模なプロジェクトから始め、徐々に難易度を上げていくことで、着実なスキルアップが図れます。

一般的には、メンター制度を導入し、経験豊富な社員が指導・サポートしながら、学んだ知識やスキルを実際のプロジェクトや業務に活かすという流れで進めていきます。

⑤継続的な学習

IT技術は常に進化しているため、DXエンジニアとしてのスキルを継続的にアップデートしなくてはいけません。例えば、社外セミナーや勉強会への参加、資格取得などがおすすめです。

実務を通じて新たな課題が見つかった場合は、その課題に適した学習や改善の機会を柔軟に提供し、スキル向上を促進していきましょう。

DXエンジニアに必要なスキル・資質

DXエンジニアに必要なスキル・資質

DXエンジニアはどのような人が向いているのでしょう? DX人材の選び方に悩む担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか

ここでは、DXエンジニアに必要なスキルや資質について解説します。

  1. 基本的なITスキル
  2. データを会社の成長につなげる力
  3. コミュニケーション能力
  4. 継続的な学習能力
  5. 豊富なチャレンジ精神

①基本的なITスキル

DXエンジニアには、基本的なITスキルが必要です。例えば、膨大なデータの活用方法、ウェブやアプリの動作仕様、といったデジタル技術全般に対する理解と応用力を持つ人材が適しています。

この際、プログラミングやデータベースの知識、クラウド環境の理解があるとなお良いでしょう。DXエンジニア育成をスムーズにスタートするためにも、まずは、基本的なITスキルを持った人材からピックアップしていきましょう。

②データを会社の成長につなげる力

データを会社の成長につなげる力もDXエンジニアに必要不可欠な要素。DXエンジニアの腕の見せ所は、データを活用して企業の成長戦略を支えることに集約されるでしょう。

そのためには、以下のようなデータを深く分析し、成長戦略に結びつけるスキルが必須です。

  • 顧客の行動パターン
  • 市場の最新トレンド
  • 社内の隠れた課題

企業側だけではなく、顧客側の視点も併せ持ち、多角的にデータを分析・意思決定を行う能力にも着目しましょう。

③コミュニケーション能力

DXエンジニアには、コミュニケーション能力も必要です。DXはチームで進めるプロジェクトであり、様々な部署のスタッフや外部パートナーと連携しながら業務を進めていきます。

そのため、誰とでも感じ良く接するのはもちろん、相手の意見をしっかり聞きとり、そのうえで自分の考えを分かりやすく伝える能力も重要です。このような、柔軟な対応力と論理的思考力をバランス良く備えた人材が適しています。

④継続的な学習能力

DXエンジニアには、学習を継続できる人材が適しています。DXの世界は日進月歩で技術革新が行われる分野であるため、常にアンテナを張って学び続けなくてはいけません

特に、より高度なデータ活用を実現する場合、AI技術の進化やクラウド環境の変化に適応し続ける能力は必須といえるでしょう。また、機械学習、データサイエンス、セキュリティ対策など、多彩な分野の最新技術をキャッチアップし続ける幅広い情報収集力も重要です。

⑤豊富なチャレンジ精神

DXエンジニアには、常に新しい技術に挑戦する積極性も求められます。変化の激しいDXの世界では、自ら学習を重ね、新しい分野に臆せず挑戦する姿勢が重要です。

例えば、ITの基礎を体系的に学べる「基本情報技術者試験」や、データ分析の専門性を証明する「データスペシャリスト試験」など、キャリアアップに役立つスキル習得を目指すことは、その積極性を示す好例といえるでしょう。

このように、DXエンジニアには、技術的なスキルだけでなく、ビジネスへの貢献意欲やコミュニケーション能力、そして常に学び続ける姿勢が求められます。以下の記事は、DX人材に必要なスキルを解説しているので、興味がある方はぜひ参考にしてください。

【2025】DX人材に必要なスキルとは?おすすめのDX育成サービスを解説

DXエンジニアに必要な資格

DXエンジニアに必要な資格

DXエンジニア育成には、どのような資格が役立つのでしょうか?ここでは、DXエンジニアに有効な資格を4つご紹介しましょう。

まずは、一覧表で各資格の特徴や難易度、受験料などをチェックしてみてください。

資格名主な特徴難易度受験料
基本情報技術者試験
  • ITの基礎的なスキルを証明
  • 情報処理推進機構のレベル2に区分
中~易7,500円
データスペシャリスト試験
  • 高難易度な情報処理技術者試験
  • 記述形式の長文問題も出題
7,500円
AWS認定資格
  • 目的・レベルに合わせた12種類
  • AWS認定のクラウド系資格
易~高15,000円~40,000円
DX検定
  • デジタルスキルを問う民間資格
  • DX用語に関する問題が多数出題
中~高6,600円

①基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IT業界の基礎知識を証明する国家資格であり、ITエンジニアの「登竜門」として広く認知されています。

試験内容は、プログラミングやデータベース、ネットワークなど、DX推進の要となる項目を網羅しており、DXエンジニアとしての技術力を客観的に示せる要素が満載。学習を通して実務に役立つスキルを身につけられるおすすめの資格です。

②データスペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、データベースに関する高度な知識とスキルを証明する国家資格です。

データベースの企画から運用、ビッグデータ解析まで、幅広い知識が問われるため、合格すれば「データのプロ」として、DXエンジニアとして多方面に活躍できるでしょう。難易度は高いですが、その分、得られる信頼とキャリアアップの可能性も大きいです。

③AWS認定資格

AWS認定資格は、Amazon Web Services(AWS)に関する専門知識とスキルを証明するAmazonが主催するクラウド系資格です。

AWS認定資格は12種類あり、基礎レベルからプロフェッショナルレベル、専門分野に特化したものまで、幅広いレベルと分野をカバーしています。クラウド技術はDX推進に重要な項目で、特に多くの企業が採用しているAWSはニーズの高さで有名です。

④DX検定

DX検定は、最新のIT先端技術とビジネスの知識を問う民間資格です。DX推進に必要な幅広い視野と実践力を証明でき、さらにビジネスの視点も重視しているため、DXエンジニアに最適な資格といえるでしょう。

試験では、ビジネスの現場で飛び交うDX関連用語をについても広く出題されます。DX検定については以下の記事で詳しく解説しています。資格取得でDX推進に最適な資格の一つなので、興味がある企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。

【2025】DX検定とは?試験概要や難易度・合格率・おすすめの勉強方法を解説

DXエンジニアについてまとめ

DXエンジニアは、企業のDX推進の基盤となる存在です。DXエンジニアの育成は、企業の競争力強化、システム開発の効率化、スムーズなDX化など、多くのメリットをもたらします。

自社で効率的にDXエンジニアの育成を進めたい場合は、プロのDX人材育成研修サービスを利用するのもおすすめです。DX人材の育成を成功に導くためにも、まずは無料相談からスタートしてみましょう。

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