日常生活からビジネスまで、AIの使用は当たり前になっています。しかし「期待通りの回答を得られない」「無難な一般論ばかりで、ビジネス活用には物足りない」などと、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。その悩みは、しっかりとしたプロンプトをAIに投げることで解決します。
本記事では、AIを思い通りに動かすためのプロンプトの実践的なテクニックにフォーカスし、悪い例と良い例のプロンプトをそれぞれAIに投げ、得られた回答からどこが良かったのか悪かったのかなどを解説します。
さらに、コピー&ペーストして使えるAIプロンプトのテンプレート集も紹介。AIを強力なパートナーとして、業務効率化を目指したい方は必見です。
プロンプトはAIを動かす指示書
プロンプトは、ChatGPTやGeminiなどのAIに「何をしてほしいのか」伝えるための指示書です。AIから期待通りの回答を引き出せるか否かは、プロンプトにかかっています。例えば、「明日の天気を教えて」と入力する場合と「あなたは天気予報士です。添付した前後1週間の大阪の天気予報データから、明日の大阪の天気を予測して」と入力する場合では、AIの回答が異なります。
AIから期待通りの回答を得るためには、プロンプト(指示書)の書き方に工夫が必要です。次章では、プロンプトでAIの回答がどう変わるのか見ていきます。
【画像付き】プロンプトでAIの回答はどう変わる?

ここでは、2つの異なるプロンプトをそれぞれAIに投げて、回答がどのように変わるのかを見ていきましょう。なお、比較のために、AIにはあらかじめ以下のダミーのAPI仕様書を読み込ませています。
| ダミーのAPI仕様書 | |
| 概要 | このAPIは、指定されたロケーションのリアルタイムおよび最大7日間の天候予測データを提供します
|
| パラメーター |
|
次に詳しく見ていきます。
思い通りの回答を引き出すプロンプト例(OK例)
まず、以下のように役割や目的などを盛り込んだプロンプトをAIに投げた例です。
ITに詳しくない企画部門の担当者に向けて、API仕様書を解説する状況にあります(前提条件)
このAPIを導入するメリットを理解してもらうために(目的)
あらかじめ読み込んでもらった仕様書から「このAPIで何ができるのか」と「利用時の注意点」を(指示)
可能な限りわかりやすい言葉や理解しやすい表現を使って(制約条件)
専門用語(エンドポイントやメソッド、パラメーター)を一切使わずに(禁止事項)
それぞれ箇条書きで説明してください(出力形式)


上記のプロンプトをAIに投げた結果、専門用語を使わず、目的に沿った具体的な回答が返ってきました。
思い通りの回答を得られないプロンプト例(NG例)
次に、以下のプロンプトをAIに投げた例です。

上記のプロンプトをAIに投げた結果、無難で一般的な要約が返ってきました。
このように、OK例とNG例を比較すると、プロンプトの具体性によってAIから得られる回答の質が大きく変わることがわかります。では、どうすればOK例のような「期待通りの回答を引き出すプロンプト」を作成できるのでしょうか。次章で具体的な書き方とコツを見ていきます。
効果的なAIプロンプトの書き方とコツ

AIから期待通りの回答を引き出すためには、役割や目的、制約条件などを具体的かつ明確にプロンプトに組み込み、投げる必要があります。期待通りの回答を引き出すプロンプトの書き方は、以下のとおりです。
- 役割と前提条件を与える
- 目的と指示を伝える
- 出力形式や文字数を指定する
- 制約条件や禁止事項を伝える
上記に加えて、希望の回答例がある場合は、それもプロンプトに盛り込むと期待通りの回答を得られる可能性が高まります。
プロンプトの基本や書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
画像を生成する場合のコツや手順
テキスト生成とは異なり、画像生成AIへのプロンプトは「どのような画像を描いてほしいのか」をキーワード(単語や短いフレーズ)で具体的に指示するのが一般的です。以下の要素を英単のキーワードにし、カンマで区切って並べていくと効果的です。
| 基本要素 | 詳細 |
| ①被写体 | 何を描くのか |
| ②スタイル・画風 | どのようなタッチで描くのか(写真風やアニメ風など) |
| ③構図・背景・詳細 | どのように描くのか(広角や場所など) |
上記に加えて、品質を高めるためのワードをプロンプトの最後尾または最前部に加えることで、AIが生成する画像のクオリティが向上します。品質向上のキーワード例は、傑作や最高品質、高詳細、8k解像度などです。なお、画像生成AIに投げるプロンプトは、日本語でも良いですが、英語のほうが期待に近い画像生成が可能です。
画像生成プロンプトの書き方やコツは、以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
今日から使えるAIプロンプト(コピペ対応)

ここでは、ビジネスや日々の業務でコピー&ペーストして使える、AIプロンプトのテンプレートを紹介します。以下は、日常業務で使えるテキスト生成AI向けのプロンプトテンプレートです。
| 会議の議事録要約プロンプト(※全ビジネスパーソン向け) |
【ここに会議の文字起こしテキストを貼り付ける】 |
上記のプロンプトは、AIに議事録の文字起こしテキストを読み込ませて使用してください。
| コードレビュー(デバッグ)プロンプト(※エンジニアやプログラマー向け) |
【ここに自分のコードを貼り付ける】 【ここにエラー文を貼り付ける】 |
上記のプロンプトは、エラーコードやレビューしてほしいコードをAIに読み込ませて使用してください。なお、テキスト生成が得意なAIとしては、ChatGPTやClaude、Geminiなどがあげられます。それぞれに得意・不得意があるため、目的に合わせて使い分けるのがおすすめです。
業務を効率化するAIプロンプトの活用シーン

優れたプロンプトを投げれば、AIはビジネスや日々の業務において強力なアシスタントになります。例えば、以下のシーンでの活用が期待できます。
- マーケティングや企画
- 開発やプログラミング
- 営業や管理業務
これらのシーンでは、プロンプトを工夫することでアイデア出しから資料作成、コーディング支援まで、さまざまな業務の効率化が可能です。
あわせて、AIの活用事例も把握したい方は、以下の記事も参考にしてください。
AIで業務の効率化を目指す方へ

「自社に合ったAI活用法を知りたい」「プロンプト作成のスキルを高めて、DX推進を加速させたい」とお考えの方は、以下セミナーへの参加がおすすめです。セミナーでは、AIの基礎やプロンプトの書き方などを学べます。ぜひ、ご検討ください。
| セミナー名 | 生成AIセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・eラーニング |
プロンプトでAIを利活用する際の注意点

AIプロンプトを活用する際の注意点は、以下のとおりです。
- 機密情報や個人情報の入力は避ける
- 生成物の著作権やライセンスを確認する
- ファクトチェックをする
次に、それぞれ解説します。
機密情報や個人情報の入力は避ける
AIのプロンプトに、機密情報や個人情報を盛り込むのは避けてください。多くのAIサービスでは、入力されたデータがAIの学習に利用される可能性があり、意図せず情報が外部に漏れてしまうリスクがあります。社外秘のデータや顧客情報、個人のプライベートな情報などは、プロンプトに含めないようにしましょう。
生成物の著作権やライセンスを確認する
AIが生成した文章や画像を利用する場合は、著作権やライセンスを確認しましょう。(※特に商用目的の場合)AIは学習データにもとづいてコンテンツを作成するため、意図せず既存の著作物とそっくりなものを出力してしまう場合があります。
例えば、それがご自身で作成したプロンプトで出力された文章や画像であっても、利用時はAIサービスの利用規約を確認し、著作権侵害のリスクがないかチェックしてください。
ファクトチェックをする
どれほど優れたプロンプトをAIに投げた場合でも、出力された情報の事実確認は不可欠です。AIの回答が100%正確とは限りません。また、それらしいうその情報を生成する「ハルシネーション」と呼ばれる現象も起きます。
特に、「専門的な情報や最新の情報、統計データなどを出力して」とプロンプトに組み込んでAIに投げた場合は、必ず情報源のホームページでファクトチェックしてください。
AIのプロンプト作成を支援する便利ツール

以下は、代表的なプロンプト作成支援ツールです。
| ツール | 特徴 |
| AIPRM ChatGPT | 4,500以上のプロンプトを無料で利用できる |
| PromptPerfect | プロンプトを分析して、より精度の高いものに改善してくれる |
| Prompt Lab(B版) | モデルを選び簡単な文章を入力するだけで、プロンプトを生成してくれる |
上記のツールを使用すれば、プロンプト作成の手間や時間を短縮できます。また、ご自身で作成したプロンプトをAIに投げても、期待通りの回答が得られない場合にも役立つでしょう。
おまけ|最新AIサービスChatGPT Atlasとは

画像引用:ChatGPT Atlas公式サイト
OpenAIが2025年10月21日に発表した「ChatGPT Atlas」は、高性能なAIチャットボット機能がブラウザの核として組み込まれた新しいタイプのAIブラウザです。これまでのAIは、プロンプトを投げて回答を得る仕組みでしたが、ChatGPT Atlasはプロンプトを投げれば、タスクを実行してくれます。
例えば、「来週のA社とのミーティングを設定して」と指示するだけで、あなたの代わりにカレンダーを確認し、メールソフトを起動してA社に候補日を送信するといった作業を実行してくれます。いまやAIは、画像や文章を生成してくれるアシスタントから、代わりに作業してくれるパートナーへと進化しているのです。
ChatGPT Atlasの詳細は、OpenAIの公式サイトをご確認ください。また、以下記事でもChatGPT Atlasについて解説していますので、あわせてご覧ください。
プロンプトAIに関するよくある質問
ここでは、プロンプトAIに関するよくある質問を紹介します。
- 医師
- 看護師
- 教師
- 弁護士
- 介護士
- カウンセラー
- コンサルタント
専門知識や技術に加えて、判断力やコミュニケーション能力などが必要とされる職業は、どれほどAIが進化しても取って代わられることはないでしょう。
プロンプトAIについてまとめ
プロンプトは、AIから期待通りの回答を引き出すための指示書です。役割や目的、制約条件などを盛り込んだプロンプトをAIに投げれば、期待通りの回答を得られる可能性が高まります。
優れたプロンプトを投げれば、AIは業務効率化の強力な味方にもなります。ぜひ、本記事を参考に、用途に合ったプロンプトをAIに投げて、業務効率化にお役立てください。





