OpenAIのChatGPTは、2022年の登場以来、秒速の勢いで成長を続ける生成AIです。
OpenAIの発表によると、ChatGPTの週間アクティブユーザー数は8億人以上。これは世界人口の約10分の1が毎週利用しているという驚異的な数字です。
この記事では、ChatGPTとOpenAIの違いについてわかりやすく解説します。ChatGPTの概要やOpenAIの沿革、話題のChatGPT Atlasの機能、使い方もお伝えするので、ChatGPTについて詳しく知りたい方はぜひご一読ください。
OpenAIのChatGPTとは?

ChatGPTは、アメリカのOpenAI社が開発した対話型AIです。学習した膨大な文章データをもとに、人間のように自然な受け答えで、質疑応答をはじめ、文章作成やプログラミング、翻訳など、多彩なタスクをこなします。
そして、2025年10月22日、OpenAIはその進化をさらに推し進め、生成AIをブラウザに統合した「ChatGPT Atlas」をリリースしました。このツールは従来のChatGPTに「AIエージェント」を搭載し、これまでの「検索して探す」というWebの使い方自体そのものを一変させた画期的なサービスです。
AIエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
OpenAIのChatGPTの基本情報
まずは、OpenAIのChatGPTの基本情報をお伝えします。ここでは、OpenAIが、「史上最も賢く、最速で、最も役立つ」と称したGPT-5を基準とした情報を元に見てみましょう。
| 項目 | 主な内容 |
| 最新モデル | GPT-5(2025年8月7日リリース) |
| 初リリース | 2022年11月30日 |
| 開発元 | OpenAI |
| アクセス | Webブラウザ、アプリ(iOS/Android/デスクトップ)、API |
| 料金プラン | 無料版、Plus:20ドル(約3,000円)、Pro:200ドル(約30,000円) |
| 主な機能 | 質問に応じて「高速回答」と「深い推論」を自動切替 |
| ハルシネーション(誤情報)を従来比で約45%削減 | |
| 会話・対話 音声またはテキストでの自然な会話、リアルタイム音声対話に対応 | |
| レポート、メール、スピーチなど多様な文章生成 | |
| Webサイト、アプリ、ゲームのコーディング開発支援 | |
| CSVやExcelのデータ分析、グラフ作成、データの可視化やトレンド抽出 | |
| 最新情報の検索と要約(信頼できる情報源へのリンク提供) | |
| 健康に関する情報提供と意思決定支援(医療相談) | |
| テキストや画像からAI画像を生成 |
OpenAIの沿革
続いて、ChatGPTの開発元であるOpenAIの沿革を見てみましょう。
| 年 | 月 | 主な出来事 |
| 2015年 | 12月 | サムアルトマン、イーロンマスクらでOpenAI Inc.設立(初期資金10億ドル) |
| 2018年 | 2月 | イーロン・マスクが役員を辞任し、OpenAI Inc.から離脱 |
| 2019年 | 3月 | 営利部門OpenAI LPを設立し、ハイブリッドな組織体制へ移行 |
| 7月 | マイクロソフトから10億米ドルの出資を受け、戦略的提携を強化 | |
| 2022年 | 11月 | ChatGPTを公開(GPT-3.5ベース)。公開後2か月で利用者数1億人を突破 |
| 2023年 | 1月 | マイクロソフトから100億米ドルの追加出資を受け、OpenAIの評価額が290億ドル |
| 3月 | GPT-4を公開 | |
| 2024年 | 1月 | 利用ポリシーから「軍事および戦争目的での使用禁止」を公表なく削除 |
| 2月 | 動画生成AI Soraを発表 | |
| 4月 | 日本法人を設立(アジア初の海外拠点) | |
| 5月 | GPT-4oを公開 | |
| 6月 | Appleとの提携を発表。iPhone、SiriにChatGPTが導入 | |
| 10月 | 評価額が1570億ドルに到達。マイクロソフトやソフトバンクから大型資金調達 | |
| 12月 |
| |
| 2025年 | 4月 | イーロン・マスクとの訴訟が激化。OpenAIが連邦裁判所で反訴を提起 |
| 8月 | GPT-5を公開 | |
| 9月 | Sora 2をリリース | |
| 10月 | ChatGPT Atlasをリリース |
このように、OpenAIのモデルの進化は絶え間なく、特に近年は、OpenAI o1やGPT-5の公開、動画生成AI・Sora 2、ChatGPT Atlasをリリースと、まさに驚異的なスピードで進化しています。
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Sora 2については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
ChatGPTとOpenAIの違い
「ChatGPTとOpenAIの違いは?」という疑問の声をよく耳にします。これらは先ほどお伝えしたように、サービス名と開発元企業名という違いがありますが、そのほか以下のような違いがあります。
- サービス区分の違い
- 最新モデルによる違い
- 提供形態の違い
①サービス区分の違い
ChatGPTとOpenAIは、サービス区分が違います。OpenAIは、一般ユーザー向けと開発者向けにサービスを展開しており、これらには「OpenAI」「ChatGPT」の各名称が含まれており、この名称によってサービス内容が異なるのです。
| 区分 | サービス名 | 特徴 |
| 完成品 | ChatGPT | すぐに使える対話型AIサービス |
| 開発者向け部品 | OpenAI API | AI機能を組み込むための高性能な部品(API) |
かつて、開発者向けAPIは「ChatGPT API」という名称で呼ばれていましたが、これは2024年4月24日に廃止され、現在は「OpenAI API」に一本化されています。
参照:OpenAI
②最新モデルによる違い
ChatGPTとOpenAIは、最新モデルの違いも示しています。OpenAIは、AIのコア技術であるモデル名に「OpenAI」「GPT」の名称を用いているため、これらかによる違いもあるのです。
| 最新モデル | 特性・用途 | 備考 |
| GPT-5 | 知識ベースの処理、汎用的な対話・文章生成 | ChatGPTの基盤モデル |
| OpenAI o3 | 数学、プログラミングなどの論理的思考能力 | 回答前に熟考時間を設けた設計 |
このように、「GPT」や「o3」といったモデルは、それぞれ異なる特性と用途で展開されています。これらのモデルが、最終的にどのような役割を担い、誰を対象としているかという「提供形態の違い」は、次項で見ていきましょう。
③提供形態の違い
では、ChatGPTとOpenAIとの提供形態から違いを見てみましょう。
| 項目 | ChatGPT | OpenAI API |
| 主な役割 | 文章作成、要約、画像生成 | 高度なプログラミング・推論 |
| 主な対象者 | 一般ユーザー | 開発者 |
| 主なモデル | GPT-5、OpenAI o3 | OpenAI o3、GPT-5(mini/nano/pro) |
| 料金形態 | 無料、月額制プラン | 無料、月額制プラン |
上記表のように、GPT-5、OpenAI o3など、ChatGPTとOpenAI APIの垣根を越えて共有されているモデルは多数あります。
つまり、OpenAIが開発したAIモデルは、一般ユーザー向けの「完成品サービス(ChatGPT)」の機能向上と、プロの開発者向けの「システム部品(API)」という、二つの異なる提供ルートを通じて世の中に展開されているということです。
・OpenAI API = 開発者が使う部品
・モデル名(GPT-5、o3など)はそれぞれ得意分野が違う
OpenAI ChatGPT Atlasとは?
2025年10月22日にリリースした「ChatGPT Atlas」は、OpenAIが開発したAI機能を搭載した次世代型OSとして話題を集めています。
ニュースでも連日報道され、その「すごさ」は頻繁に耳にしますが、具体的にどういう点がすごいのでしょうか。ここでは、ChatGPT Atlasがすごいといわれる理由について探ってみます。
OpenAI ChatGPT Atlasは何がすごい?
ChatGPT Atlasの最大の特徴は、会話するだけであらゆる操作が完結することです。ブラウザのサイドバーに常駐するChatGPTに話しかけるだけで、複数のステップが必要な作業を自動で実行してくれます。例えば、
- 「Yahoo!で今日の天気を調べて」→AIがYahoo!にアクセスし、最新の天気情報結果を表示
- 「Xに投稿して」→AIが投稿内容を考え、ログイン後にユーザーの確認を経て自動投稿
- 「Amazonでスマホを購入して」→AIが条件に合う候補を検索・提示し、レジ画面まで進行
などが可能です。なお、商品購入の際、個数の決定や注文の確定は人の手で行います。
外部アプリをチャットで操作
ChatGPT Atlasのもう一つの大きな特徴が、外部アプリ(サードパーティ製アプリ)をチャット内で直接操作できることです。これまでのように「ブラウザでアプリを開く→作業→別のアプリに切り替える」といった煩雑な手順はカットできます。
例えば、「Canvaで子ども向けの誕生日カードをデザインして」と話しかけると、チャット内にCanvaの操作画面が表示され、「文字をもう少し大きくして」といった追加指示にも対応できます。ChatGPT Atlasの画面にCanvaの編集画面が表示されるため、自身でデザインを編集することも可能です。
文脈を理解するメモリー機能
Atlasには、過去の会話や閲覧内容を記憶するメモリー機能も搭載されています。
例えば、以前「東京に引っ越したい」と話していた場合、次に「郊外の家を探して」と指示すると、AIはその文脈を理解し、自動的に東京エリアの住宅情報を検索してくれます。この機能はオン・オフを自由に切り替えられるため、プライバシーや個人情報の管理も安心です。
セミナーでChatGPT Atlasの活用スキルを習得しよう!
ChatGPT Atlasは従来のブラウザの枠を超え、AIエージェントとして進化しています。この「会話するだけで操作が完結する」という画期的な機能を効率的に使いこなし、最大限の成果を得るためには、最新の活用テクニックを習得することが重要です。
生成AIセミナーでは、実践的なプロンプトエンジニアリングを体系的に学べます。セミナーで最新のChatGPTに対応するスキルを身につけ、AI時代のWeb操作をリードしましょう。
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OpenAI ChatGPT Atlasの使い方
では、OpenAI ChatGPT Atlasの使い方をお伝えしましょう。
- 利用前の前提知識
- ダウンロードとインストール
- 基本的な操作
- Xへの投稿
- ショッピングの仕方(Amazon)
①利用開始の前提知識
ChatGPT Atlasは、GoogleのChromiumがベースのAIブラウザです。Chromeと同じコードベースなので、Chrome利用者であれば違和感なく使用でき、拡張機能も同じものが利用可能です。
また、現時点(2025年10月27日)では「macOS版」のみが提供されており、そのため、WindowsユーザーはまだChatGPT Atlasを利用できません。Windowsユーザーは、リリースされ次第以下の手順で利用できます。
②ダウンロードとインストール

まずは、ダウンロードとインストールを行いましょう。
- OpenAIの「ChatGPT Atlas」公式ページにアクセス
- 「macOS版をダウンロード」をクリック
- ダウンロードしたファイルをインストール
- 初回起動時にChatGPTアカウントでログイン
- ログイン完了後、ChatGPT Atlasの画面が表示
③基本的な操作
続いて、基本的な使い方を4つお伝えします。
検索機能
- トップ画面の検索バーにプロンプト(指示内容)を入力
- ChatGPTからの回答が表示
- 「Google検索」「画像」「動画」「ニュース」に切り替え可能
サイドバーのChatGPT機能
- 閲覧中のページ内容をサイドバーのChatGPTに質問可能
- ページの要約や情報抽出などに対応
エージェントモード
- 検索バー(プロンプト入力欄)の下部のエージェントモードをクリック
- 指示文に合わせて、AIが自動的にWebサイトを操作・作業を実行
ページの読み込み許可
この機能は、特定のページの内容をChatGPTに読み込ませたくない場合に利用します。この操作後は、ChatGPTは該当ページを読み込まなくなります。
- ページ上部の検索バー横「-○」が2つ重なっているアイコンをクリック
- 「ChatGPTのページを表示」をクリック
- 「許可しない」をクリック
④Xへの投稿
ChatGPT Atlasは、エージェントモードを使用するとXへ自動投稿できます。
- 検索バー(プロンプト入力欄)下部のエージェントモードを有効にする
- 「Xに○○を投稿してください」と指示
- AIが自動的にXを開き、ログインページが表示される
- ログイン情報を入力(2段階認証にも対応)
- AIが投稿内容を作成し、入力欄に記入
- 「投稿してください」と承認を求める
- AIがボタンをクリックして投稿完了
この際、「猫に関する内容でXに投稿してください」というような大まかな指示でも、AIが適切な投稿文を作成してくれます。投稿前には確認ができ、適宜修正することも可能です。
⑤ショッピングの仕方(Amazon)
ChatGPT Atlasのエージェントモードを使うと、Amazonでの商品検索から購入までをAIが自動で実行します。
- 検索バー(プロンプト入力欄)のエージェントモードをクリック
- 「Amazonでスマホを探して購入してください」のように指示
- AIがAmazonにアクセスし、おすすめランキングなどから商品を検索
- おすすめ一覧を提示し、そこから気に入った商品を選択
- レジに進む
- ログインが必要な場合、自動で操作が引き継がれる
(またはユーザーが手動でログイン) - 購入確認画面でAIが確認を求める
- 承認すると購入完了
なお、ショッピングの途中で「停止」ボタンを押すことで、AIの動作を止められます。
OpenAI ChatGPT Atlasの注意点
ChatGPT Atlasは、現時点ではいくつかの注意点もあります。
- 無料版はエージェントモード不可
- 個人情報入力時のリスク
- 動作速度の遅さ
①無料版はエージェントモード不可
ChatGPT Atlasのエージェントモードは、無料では使えない点も注意しておきましょう。このエージェントモードとは、先ほど使い方で紹介したXへの投稿やショッピングなど、AIがウェブ上の操作を代行する機能のことです。
ChatGPT Atlasのエージェントモードの利用プランによる制限は、以下の表をご参照ください。
| プラン | エージェントモード | 利用可否 |
| 利用可否 | 制限あり | 否 |
| Plus | 制限あり | 可 |
| Pro | 制限なし | 可 |
| Business | 制限なし | 可 |
このように、無料版はエージェント機能自体が使えず、Plusプランではタスクの実行回数に制限が設けられています。日常的な業務や複雑なタスクの自動化を本格的に行うには、ProまたはBusinessプランが必要です。
②個人情報入力時のリスク
ChatGPT Atlasはセキュリティ面での注意も必要です。エージェントモードでは自動でWebサイトへログイン→購入手続きまで進むため、予期せぬ動作や情報漏洩のリスクも考えられます。
ChatGPT Atlasは、まだ開発初期のブラウザであることから、X(旧Twitter)やAmazonなどに個人情報を入力する際は、操作を慎重に行いましょう。
③動作速度の遅さ
ChatGPT Atlasには、その動作速度に課題が残されています。これは、最大の特徴であるエージェント機能が、指示を受けた後にAIが判断し、人間によるマウス操作などを模倣してタスクを実行するプロセスを経るためです。
例えば、単純な天気予報の検索のような作業であれば、現状では手動で操作した方が圧倒的に早く完了します。この動作の遅さは、複雑なタスクの自動化ではメリットとなる一方、日常的な情報収集や仕事で頻繁に利用する上では、デメリットとなり得るでしょう。
OpenAIのChatGPTでよくある質問

最後に、OpenAIのChatGPTでよくある質問を3つお伝えしましょう。
OpenAIとChatGPTについてまとめ
OpenAIのChatGPTは、「完成品のAIサービス」である一方、OpenAIは「開発元企業」であり、「API(開発者向け部品)」も提供しています。そして、最新のChatGPT Atlasは、AIがWeb操作を代行する「エージェント機能」で、X投稿や購入手続きまでを自動実行する画期的機能を提示しました。
このように急速な進化を続けるChatGPTは、随時セミナーなどを活用しながら、最新情報をキャッチアップしていくことが重要です。





