AI実装の基本的な手順は?必要なものや効率よく実装するコツ

AIを導入する場合、構想から開発を経て実装、そして運用をするのが一般的な流れです。
その実装ですが、本番と同じような環境でAIをテストすることで、問題の有無や実務オペレーションを確認します。

今回の記事では、そうしたAIの実装をするにあたって、必要となるもの、基本手順、訓練方法、効率よく実装するコツを紹介します。

AIの実装で必要となるもの

AIの実装で必要となるもの

AIの実装は、本番と同じ環境でAIを動かすことになります。そのため、

  • 開発したAI
  • 本番で使われるマシン
  • 付属するハードウェア
  • ハードウェアを動かすOS
  • ミドルウェア

などが必要です。

AIを実装するための基本的な手順

AIの実装する基本的な手順ですが、最初にすることはシステム開発同様に要件定義です。
要件定義では、AIをどのように活用したいのか、AIが何故必要なのか、などAIを開発する目的と目指すべきゴールを明確にしておきます。
ここで解決するべき課題が見えてきたら、課題解決にはどのようなAIが必要なのか、実装しておきたい機能などを定義していきましょう。要件定義ができたら、その内容を元にAIの設計を行います。ここで選択肢が2つあります。

ひとつは、ウォーターフォール型開発と言う手法です。滝から水が流れ落ちるように、要件定義から設計、開発、テスト、リリース、運用までを工程を一つ一つ進めていきます。
最初に全ての要件定義をしてから開発をしていくので、目指すべきものがプロジェクトメンバー全体に明示しやすく、スケジュール管理もしやすいというのがメリットです。
特にスケジュール管理がしやすいというのは重要な点で、特定の期日までにAIを導入しなければならないという状況であれば、遅れが生じにくいウォーターフォール型開発にしておく方が良いでしょう。

もう一つは、開発を進めていくにあたって優先順位の高い機能から作業を進めていくアジャイル型開発です。機能ごとに開発をしていくので、途中でトラブルが起きたり変更すべき点が明らかになったりしても一からやり直す必要はなく、特定の部分だけをやり直せば済みます。
また、優先すべき機能の開発を先に済ませて、短期間でリリースしてから優先順位の低い機能に取り掛かりAIのブラッシュアップを図るということもできるでしょう。

このアジャイル型開発は、機能ごとに、要件定義から設計、開発、テスト、リリースまでの流れを繰り返していくというやり方なので、全体の進捗状況がわかりにくいというのがデメリットです。場合によっては、スケジュールに大幅な遅れが生じ、予定した期日までに運用を開始できない可能性もあります。
また、要件定義を機能ごとに行うことで、AI開発全体の方向性がわかりにくくなることも考えられます。一つ一つの機能は動くけれども、全体としては正常に動かないとなれば、原因を突き止め解決するために相当なやり直しが必要となります。

それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で、最適な手法を選ばなければいけません。
一般的なAI開発では、スケジュール管理がしやすい、開発全体の品質を担保しやすい、ということでウォーターフォール型開発が主流です。
しかしながら、柔軟性が高いということから、アジャイル型開発にも注目が集まっています。
開発するAIごとに最適な手法を選びましょう。

主流であるウォーターフォール型開発を行うと仮定して、要件定義に続いて設計を行ったら、次にやるべきことは開発すなわち設計通りの仕様で動くプログラムを組むコーディングです。
コーディングを終えたら、AIを本番と同じマシンで動かして問題がないのかを確認するテストへと移ります。テストでは、設計通りの機能であるのか、保守・メンテナンス性やセキュリティ、ハードウェアの温度・湿度などを確認します。加えて、バグがあるのかどうかも確認しなければならないでしょう。
テストで特に問題がなければ、実装のフェーズは終了し運用のフェーズとなります。

AIモデルの訓練方法を学ぼう

AIモデルの訓練方法を学ぼう

AIが、インプットしたデータを学習しアウトプットを返す仕組みのことをAIモデルと言います。
そして、インプットしたデータからパターンや関連性を見出し、問題を解決できる能力を習得する工程のことを訓練というのです。AIモデルは、

  • 教師あり学習
  • 教師なし学習
  • 強化学習

3つに分類できます。

AIモデルの訓練方法ですが、「教科あり学習」は与えるデータに正解をつけておきます。
人間が答えを用意しておくことで、誤った答えを覚えることがなくなり予測精度が高まります。
また、学習スピードも早いのでスムーズなAIの実装がしやすくなるでしょう。
しかしながら、明確な答えのない分野を訓練することはできませんし、答えが正解でなければ予測精度が高くなることはないでしょう。

「教師ありモデル」は、詳しく見ていくと「回帰」「分類」に大別できます。
「回帰」は、連続する入力値を使って次の数値を予測することです。天気予報や企業の売上のように過去のデータから今後の天気を予測するときに使われます。
「分類」は、カテゴリごとに分類してあるデータを学習させることで、未知のデータがどのカテゴリに属するのかを振り分けます。写真に写っている動物や人間の性別の識別などに使われるものです。
「教師ありモデル」の訓練で使うデータは、「回帰」と「分類」の違いを理解した上で必要なものを用意しなければいけません。

「教師なし学習」の訓練方法は、「教師あり学習」とは反対に与えるデータに答えを付けません。明確な答えのないデータや答えをつけるのに手間がかかるデータを学習させるときには最適なAIモデルです。
例えば、未知の分野の研究や新商品開発など、答えを付けられないデータを扱うときには最適です。AIが法則性や関連性を見出さなければいけないので、予測精度は「教師あり学習」に比べて低くなります。

強化学習の訓練方法は、試行錯誤をしていく中で最適なシステム制御を学ぶことです。データが十分に揃っていない状態でも訓練をすることができ、状況の変化に対して柔軟に対応できます。
また、訓練を重ねて予測精度を高めていけば、AIが誤った判断を下してしまうことも減るでしょう。
一方でデータをどのように解釈するのかはAIに委ねられるので、人間には理解し難い行動を取ることもあります。さらに他のAIモデルに比べて、学習に長い時間がかかることは覚悟しなければならないでしょう。

AIを効率よく実装させるコツを知ろう

AIを効率よく実装させるコツを知ろう

AIを効率よく実装させるコツは、開発リソースを確保すること、技術力を高めることです。
実装フェーズにおける要件定義が完璧だとしても、その内容を元にAIを開発しテストするためには、十分な数の技術者やハードウェア・ソフトウェアなどが必要です。

もし、それがなければ、AIの実装はできません。
人手が足りないというのであれば、外部の人材に助けてもらい、ハードウェアやソフトウェアが足りないのであれば購入あるいはレンタルで調達しましょう。
同様に、AIを開発していくのであれば相応の技術力が必要です。
技術研修など技術力を高める機会をつくれば、この問題は解決できるでしょう。

AIを効率よく実装して問題なく運用できる状態にしよう

さまざまな場所で活躍するAIを導入するためには、実装というプロセスは欠かせません。
本番同様の環境でAIを動かすことで、事前に問題を把握でき万全の状態で運用を開始できます。
実装をする際には、手順を詳しく確認し、準備するべきものは準備しておくことを忘れてはいけません。
また、開発リソースの確保や技術力の向上を図ることで、実装を効率的に行うことができます。
必要ならば、外部の力も借りましょう。

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