YouTubeが新たにAI規制を導入するというニュースが話題になっています。
この規制は具体的にどのような内容で、またこの規制を無視した場合、どのようなリスクが考えられるのか、理解できていない方も少なくないでしょう。YouTubeの新たなAI規制は、クリエイターや視聴者にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
本記事ではそのYouTube規制の詳細や背景、さらに無視した場合のリスクについて詳しく解説します。AI規制の導入によって、YouTubeの運営にどのような変化が生じるのか見ていきましょう。
YouTubeにて導入されたAI規制の概要
2024年3月、YouTubeはプラットフォーム上でのAIの利用に関する規制の強化を図りました。この動きは主に、AI生成コンテンツの急増やAI技術の進化に伴う倫理的および法的な問題への対応を目的としています。
もちろんこれまでもYouTubeの規制はあったものの、新しい規制によって対象となるコンテンツの幅が広がったという印象です。今回紹介したい主要なポイントとしては、以下になります。
- コンテンツの開示の義務化
- AI生成コンテンツに限った話ではない
ポイント①コンテンツの開示の義務化
もっとも注目したいのが「コンテンツの開示」が義務化されたことです。たとえば近年で例えると、コロナウイルスによる「トイレットペーパー・ティッシュの品薄デマ」だったり、その他さまざまなフェイクニュースだったりと、ありもしない事実がYouTubeでも拡散されることは少なくありません。
この対策として「この動画は偽造情報です」「科学的根拠はないし、専門家や有識者が話しているわけではありません」と、クリエイター側から開示が必要になるということです。とはいえ開示は必要なものと不要なものがあり、それぞれ次の章でわかりやすく解説します。
ポイント②AI生成コンテンツに限った話ではない
今回のYouTube規制は、「AIで作られたコンテンツ」がとくに着目されている印象です。しかし今回新しく導入された規制は、生成AIコンテンツに限った話ではありません。
本質は「情報の信憑性を高めてユーザーに安心感をもってもらうこと」です。つまりクリエイターが自らの手で作り出した創作コンテンツも対象となっているので、この点は注意が必要です。
ただ、決して「AIコンテンツや改変コンテンツ自体が禁止された」というわけでもなく「AIコンテンツが収益化できなくなった」というわけでもありません。YouTubeで開示が必要なもの、また不要なものを一覧にすると、以下のようになります。
該当するもの | 例 | |
創作者が必ず開示しなければならないもの |
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創作者が必ずしも開示しなくて良いもの |
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YouTubeのAI規制で開示が必要になったコンテンツ
上記の表に記載のあるとおり、今回のYouTubeのAI規制で開示が必要になったコンテンツとは「現実的な改変コンテンツおよび合成コンテンツ」です。これはAIが自動で生成したものを含む、加工や合成が施された画像や動画や音声のことを指します。
Google公式のヘルプページでは「以下に該当するものは開示が必要」と記載があります。
・実在の人物が実際には発言または行動していないことを、発言または行動しているように見せている
・実際の出来事や場所の映像を改変している
・実際には起きていない場面が現実のように見えるコンテンツを生成している
引用:Google
たとえるなら「あたかも専門家が話しているように錯覚させたり、実際にはない偽造の災害状況の動画、また心霊写真を作ったり」などです。これには画像のみならず、アニメーションや3D作品の合成なども含まれます。
これに加え、著名人の声を用いた音声も開示の対象となっています。近年では有名YouTuberのHIKAKINが「自分の音声が広告に無断で使われている」という動画をアップし、多くの反響があったと同時に現状の違法コンテンツの課題が浮き彫りになりました。
また近年ではなく、かなり前からのよくある事例として「人の顔を置き換える」というものがありますが、これももちろん開示が必要になります。これらは大きな問題として挙げられているものの、実際のところAIを使えばいとも簡単に作成できてしまう、さらに本当のものか嘘のものかを見抜くことが極めて難しいのが現状です。
Youtubeがこの現状を打破すべく導入されたのが、今回の規制というわけです。
YouTubeのAI規制でも開示が不要なコンテンツ
ここまでYouTubeのAI規制による開示について解説しましたが、すべてのコンテンツが開示の対象となったわけではありません。開示が不要なコンテンツも存在しており、それは「非現実的な改変コンテンツおよび合成コンテンツ」や「軽微な創作・編集」です。
まず「非現実的な改変コンテンツおよび合成コンテンツ」とは、たとえば「snow」のような美顔フィルタだったり、自動車の動きを現するために背景を編集するといったものです。また非現実的な手描きイラストなど、純粋に人間の手による創作物であれば不要です。
また過去に録音された音声の補正だったり、ペガサスを始めとする空想上の動物やそれに乗る人物の3D画像、すでにある画像の色調整や明るさ調整などもYouTubeは開示対象にしていません。
これらのコンテンツはユーザーが勘違いしたり認識を誤るものではないうえ、YouTube側にとって信憑性や信頼を失うリスクがないことから、特別な開示を求められることはないのです。Googleの公式ヘルプページにも、以下のような記載があります。
リアルなコンテンツや意味的な変更が行われたコンテンツについては開示が必要ですが、非現実的なコンテンツや軽微な編集については開示は不要です。
引用:Google
YouTubeのAI規制で開示しないとどうなる?
今回のYouTubeのAI規制において、開示が必要なのに開示をしなかった場合、以下のような処置が行われます。
- YouTube側で自動的にラベル付けが行われる
- 動画が削除される
- YouTube Partner Programの参加停止(つまり収益化停止)
それほど重度なものでなければ、YouTube側で勝手にラベル付け、要するに開示の処理が行われます。
ただしユーザーが認識を誤ったり、YouTubeの信頼を失いかねない誤情報に対して開示を行っていなかった場合、その該当の動画が削除されたり、YouTube Partner Programの参加が停止されて収益化が止まるリスクがあります。
なおYouTubeのAI規制に伴う開示を無視した場合の無視によるリスク、また著作権などについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になるので、ぜひご一読下さい。
生成AIでYouTube動画を作れるツール・サービス
今回規制は設けられたものの、誤情報を避けたり正しく開示さえ行っていれば、YouTube動画で生成AIを存分に使っても問題ありません。
生成AIでYouTube動画を作れるツール・サービスには、以下のようなものがあります。
- Sora
- runway
- FlexClip
それぞれ、順をおって紹介します。
サービス①Sora
Sora(ソラ)はChatGPTでおなじみ、アメリカのOpenAIが運営する動画生成AIのことです。プロンプトを入力するだけで最大で1分間の尺の動画を自動で作成することができ、その画質とクオリティも非常に高いことから注目を集めています。
ChatGPTに使われているディープラーニング技術を採用しているため、使えば使うほど精度と正確性を向上していく点が特徴です。さらにテキストのプロンプトのみならず、既存の画像を読み込ませることでその画像内のキャラクターが動く動画を生成できる機能も存在します。
なおこちらの「Sora」の機能や将来性についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考になるのでぜひご一読ください。
サービス②runway
AIを活用した動画生成および編集ができるサービスです。ブラウザで利用できる手軽さが魅力で、加えてスマートフォンやタブレットでも使えるアプリ版も存在します。
テキストの指示のみで簡単に動画を制作できること、そして生成した動画は自分の思いどおりに編集ができることがポイントです。今回の規制に該当しないように仕上げることもできるでしょう。
制限はあるものの無料で使えるので「動画生成AIとはどんなものか」を体験したい方は、試す価値のあるサービスといえます。
サービス③FlexClip
テキストによるプロンプトはもちろん、ページURLからも動画の自動生成を行えるAIツールです。
専門的なプロンプトは不要で、どんな動画を作成したいかをウィンドウに記述するだけで、AIが自動でそれらしい動画を作ってくれます。生成された動画の商用利用も可能でダウンロードしたり、またYouTubeなどのSNSで自由にシェアすることも可能です。
また、生成された動画は自由にカスタマイズや編集を行えます。自動字幕にも対応しているので、YouTube動画をはじめ幅広い創作活動における貴重なツールになるでしょう。
YouTube動画における生成AIを学ぶならAI研究所!
YouTubeにおける動画生成AIやツールを学ぶなら、AI研究所が運営する「生成AIセミナー」を検討してみてはいかがでしょうか。こちらは最速で生成AIのプロになることを目的とした2Dayセミナーで「完全未経験だけど、学習に時間をかけたくない」という方におすすめの内容となっています。
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YouTubeのAI規制まとめ
今回新しくYouTubeが導入したAI規制の本質は、プラットフォーム上での不正行為や誤情報の拡散を防ぐことです。AI技術を使用してコンテンツを生成している方に限らず、独自の創作活動を行う方ですらルールに従う義務が生じることになりました。
規制に違反したり無視した場合、収益化の停止などのリスクがあります。ですが逆にしっかり従うことでYouTube全体のシステム信頼性が向上され、ユーザー全体に信頼できるコンテンツの提供が可能になるだけでなく、自身のコンテンツが不正利用されるリスクを減らすことにもつながります。
ぜひ今回新しく導入されたYouTubeのAI規制に目をとおし、健全なクリエイティブ活動を続けていきましょう。