ノーコードアプリ開発とは、プログラムコードを書かずにアプリを開発することです。高度なプログラミングスキルが不要なことから、近年注目が集まっています。
自社でも導入しようと考えている一方で「実際にプログラムを書かなくても開発できるのか」「どのツールを選べば良いかわからない」という企業も多いでしょう。
そこで、本記事ではノーコードアプリ開発のメリットと企業の導入事例、おすすめのツールなどについて解説します。
ノーコードアプリ開発とは?
ノーコードアプリ開発とは、プログラミングのソースコードを書くことなく、視覚的な操作だけでアプリやシステムを作成できる革新的な開発手法を指します。あらかじめ用意された機能のパーツを、まるでレゴブロックのようにドラッグ&ドロップで組み合わせることで、アプリを完成させていきます。
従来のスクラッチ開発(一からコードを書く開発方法)では、プログラミング言語の習得に数年かかり、一つのアプリを作るのに数ヶ月から1年以上の期間を要していました。しかし、ノーコード開発なら、エクセルやパワーポイントを操作する感覚で、数日から数週間でアプリを完成させることができるのです。
ノーコードアプリとローコードアプリの違い
ノーコードとローコードの違いはプログラミングが伴うかどうかです。ノーコードは原則プログラミングは不要ですが、ローコードは複雑な機能を実装する場合に一部コーディングが必要になります。
以下の表に違いをまとめました。
| 区分 | ノーコード | ローコード |
|---|---|---|
| 目的 | プログラミング知識が全くない人でも使える | 基本機能は視覚的、複雑機能は一部コーディング |
| 内容 | ドラッグ&ドロップ、GUIでの完全操作 | 視覚的操作+部分的なプログラミングコード |
| アプローチ | 業務アプリ・顧客管理システム向け | 特殊な計算処理・複雑なシステム連携向け |
| 効果 | 短期習得、即戦力化 | 高度なカスタマイズ性 |
使い分けのポイントとしては、シンプルな業務アプリや顧客管理システムなど、基本的な機能で十分な場合はノーコードが最適です。しかし、特殊な計算処理や他のシステムとの複雑な連携が必要な場合は、ローコードの方が適している場合があります。
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ノーコードアプリ開発のメリット
ノーコードアプリ開発の主なメリットは以下の通りです。
- 非エンジニアでも開発できる
- 開発費を削減できる
- 開発期間を短縮できる
- 人材育成コストを削減できる
非エンジニアでも開発できる
ノーコード開発の最大の価値は、プログラミング経験が全くない人でも、実用的なアプリを作成できることです。従来のアプリ開発では、Java、Python、JavaScriptなどのプログラミング言語を習得する必要があり、実戦レベルに達するまでに最低でも1~2年の学習期間が必要でした。
しかし、ノーコードツールでは、エクセルでグラフを作成したりパワーポイントでスライドをデザインしたりする感覚で、アプリの画面や機能を組み立てることができます。
開発費を削減できる
ノーコード開発を活用することで、従来の外注開発費用を劇的に削減することが可能です。一般的なシステム開発会社に業務アプリの開発を依頼した場合、簡単な機能でも300万円~500万円、複雑なシステムでは1000万円を超える費用がかかることも珍しくありません。
これは、エンジニアの人件費、プロジェクト管理費、要件定義費用などが積み重なるためです。しかし、ノーコードツールを使用すれば、月額数千円~数万円の利用料金で、同等の機能を持つアプリを作成できます。
開発期間を短縮できる
ノーコード開発では、従来数ヶ月から1年かかっていたアプリ開発を、数日から数週間で完了させることができます。従来のスクラッチ開発では、要件定義、設計、プログラミング、テスト、デプロイという工程を順番に進める必要があり、各工程で待ち時間や手戻りが発生していました。
特に、開発会社との打ち合わせや仕様変更のやり取りだけで数週間を要することもありました。しかし、ノーコード開発なら、思いついたアイデアをその場でアプリに反映させ、すぐに動作確認することができます。
人材育成コストを削減できる
ノーコード開発を社内で活用することで、長期的な人材育成コストを大幅に削減できるという価値があります。従来、社内にITシステムを導入する際は、専門知識を持つエンジニアを新たに採用するか、既存社員にプログラミング研修を受けさせる必要がありました。
しかし、ノーコードツールであれば、短期間の操作研修(数日~1週間程度)だけで、実用的なアプリを作成することも可能です。この結果、新たな採用コストや長期研修費用を削減しつつ、社内のIT活用レベルを向上させることができるのです。
ノーコードアプリ開発のデメリット
ノーコードアプリ開発には魅力的なメリットがある一方で、導入前に把握しておくべきデメリットも存在します。以下のような注意点を意識する必要があります。
- ツールの機能制約:あらかじめ用意された部品の範囲内での開発となる
- 複雑な独自機能の実装困難:特殊な計算ロジックや独自アルゴリズムは作成できない
- ツール提供会社への依存リスク:サービス終了やバージョンアップに左右される
- 大規模システムへの不適応:高負荷処理や大量データ処理には向かない
- セキュリティ面での制約:企業レベルの高度なセキュリティ要件を満たせない場合がある
上記の点に留意しないと「思っていたものと違った」「期待していた機能を実装できなかった」と後悔しかねません。上司や経営陣への説明責任もあるため、デメリットもしっかり把握しておきましょう。
どんな人・企業にノーコードアプリ開発が向いている?

ノーコード開発は革新的な手法ですが、すべての企業や個人に適しているわけではありません。向いている企業の特徴を把握することで、導入の成功確率を大幅に高めることができます。
特に以下のような企業・個人におすすめです。
- IT部門がない中小企業:専任エンジニアの雇用が困難な組織
- 開発予算が限られているスタートアップ:外注コストを抑えたい企業
- 短期間でプロトタイプやMVPを作成したい企業:市場検証を急ぐ場合
- 業務効率化のための社内システムを必要とする企業:既存業務の改善が目的
- プログラミング未経験だがアプリ開発に挑戦したい個人:技術的ハードルを下げたい場合
IT部門がない中小企業こそ、ノーコード開発の最大の恩恵を受けられる存在といえるでしょう。
ノーコードで作られたアプリの成功事例
ノーコードで作られたアプリの成功事例を紹介しましたが、それだけでは自社で導入する場面がイメージできないかもしれません。ここでは、ノーコードツールを導入した企業事例を紹介します。
具体的な企業名や成果も載せているので、自社の現状と照らし合わせながら読み進めてください。
毎月最大550時間の管理業務を効率化|ルネサンス
株式会社ルネサンスでは全国のスポーツクラブにおいて、各店舗で発生する忘れ物の管理が大きな負担となっていました。加えて、紙の台帳による手作業での記録や検索に時間がかかり、お客様への迅速な対応が困難な点も課題でした。
そこで、忘れ物管理業務の一部をノーコードツールに移行。写真付きでの記録機能や検索機能を備えたアプリを3日で開発しました。
その結果、紙台帳での管理時間を従来の半分以下に短縮。全国103店舗で換算すると月間最大約550時間の管理業務効率化につながったとのことです。
属人的な業務を排除しつつ、複雑な管理作業を削減した好例といえるでしょう。
施設点検アプリで年間1,000時間の工数を削減|リロバケーションズ
会員制リゾート事業を展開する株式会社リロバケーションズでは、全国約70箇所の宿泊施設における設備点検業務の効率化に取り組んでいます。
宿泊業界の施設管理は、安全性と品質維持、効率的な運営を実現するために適切なバランスをキープしなければいけません。また毎日150項目以上の点検結果を月次報告書にまとめる作業が、現場と管理部門の大きな負担となっていました。
そこで、設備点検業務を最適に管理するためにノーコードツールのPlatioを採用。紙ベースの報告から脱却した管理手法を発案しました。アプリ開発未経験のスタッフが約90分で最適なアプリを作成し、年間約1,000時間の工数削減と約7万枚のペーパーレス化を実現。リアルタイムでの情報共有と迅速な対応にも寄与したとのことです。
ノーコードを活用し、従来型の管理から脱却できた事例といえるでしょう。
情報共有のタイムラグを最大5時間削減|加賀屋
老舗旅館として知られる株式会社加賀屋では、「あえの風」における客室清掃と忘れ物管理の効率化に従事しています。
ホテル・旅館業界の業務は、おもてなしの質向上と業務効率化、コスト管理を実現するために適切なバランスをキープしなければいけません。また全128室の清掃点検や忘れ物管理を紙ベースで行うことが、スタッフの業務負荷増大の要因となっていました。
そこで、清掃・忘れ物管理業務を最適化するためにノーコードアプリを採用。アナログな事務作業から脱却した業務手法を発案しました。
現場従業員がわずか3日で最適なアプリを短期間で作成し、情報共有のタイムラグを最大5時間削減を実現。月2万円という低コストでの運用と本来のおもてなし時間の創出にも寄与したとのことです。
ノーコードを活用し、従来型の業務フローから脱却できた事例といえるでしょう。
ノーコードアプリ開発におすすめのツール

「ノーコードでアプリが作れる時代」と聞いても、実際にどう始めればいいのか迷っている方は多いのではないでしょうか。今では数多くのツールがあるため、どれを使うべきか悩む企業も多いはずです。
ここでは、ノーコード アプリ開発におすすめのツールを無料・有料別でご紹介します。
【無料】ノーコード アプリ開発ツール
無料ツール選びは、慣れやすさや目的に合っているかが大事です。ここでは、それぞれの特徴や活用ヒントを交えて、以下の3つをご紹介します。
| ノーコードツール | 特徴 | 活用のヒント |
|---|---|---|
| Glide | Googleスプレッドシート連携で最も簡単にアプリ作成 | 営業管理や顧客データベース、個人での業務アプリ作り |
| Bubble | 高機能なWebアプリ開発が可能な世界最大級のツール | 本格的なWebサービス開発業務での高度なシステム |
| AppSheet | Googleが提供する業務アプリ開発プラットフォーム | 業務効率化アプリの即戦力ツール |
Glide
GlideはGoogleスプレッドシート連携のオンラインノーコードツールです。アプリ開発のほか、データ管理や自動化など多機能を備えており、操作も直感的なので初めてでもストレスがありません。
入力欄はシンプルで視認性が高く、「テンプレート」や「データ連携」機能で多彩な表現が可能です。
Bubble
Bubbleは、ブラウザ上で使える無料のWebアプリ開発ツールです。高度な機能を持つ画面なので、本格的な開発にも違和感なく使え、業務システム向けのアプリもすぐに作れます。
フロントエンド・バックエンド・データベースすべてに対応しており、直感的な利用が魅力です。
AppSheet
AppSheetは、WebやAPIで使用できるアプリ開発ツールです。Google内で入力したデータからアプリを生成し、そのままWorkspaceに組み込めるのが便利です。
そのため、業務システムや管理ツールを手早く整えたい時にピッタリ。すでにGoogleユーザーになっている方は、自然に導入できるのも嬉しいポイントです。
【有料】ノーコード アプリ開発ツール
本格的な業務利用や継続的な運用には、有料ツールの安定性が重要です。ここでは、それぞれの特徴や活用ヒントを交えて、以下の3つをご紹介します。
| ノーコードツール | 特徴 | 活用のヒント |
|---|---|---|
| Adalo | ネイティブアプリ開発に特化したモバイルファーストツール | モバイルアプリ開発業務でのネイティブアプリ配信 |
| kintone | 日本企業に最適化された業務アプリ開発プラットフォーム | 業務データ管理や社内システム構築 |
| Platio | 現場業務に特化したシンプルで使いやすいツール | 現場のDX化や点検・報告業務の効率化 |
Adalo
Adaloは、ネイティブアプリ開発に特化したモバイルファーストツールです。パーツ組み立てやスタイル適用で、手軽にWebアプリやネイティブアプリが生成されます。
ちょっとしたモバイルアプリが欲しいときに、テンプレートを使うだけで気軽に楽しめます。
kintone
kintoneは日本企業向けのノーコードツールで、業務データ管理が可能です。
28種類のパーツを使いながら、「もう少し高度に」など、調整しながら高品質な業務アプリを生成できる点が特長。業務アプリを手軽に始めたい方におすすめです。
Platio
Platioは、現場業務に特化したシンプルなツールです。100種類以上のテンプレートを活用し、日本語UIにも対応。料金も控えめで、業務で利用する際のストレスが少ない印象です。
まとめ
ノーコード開発に少しでも興味を持ったなら、まずは試してみることから始めてみませんか?
専門知識がなくても、今は日本語対応で直感的に使えるツールがたくさんあります。最初の一歩としては、GlideやBubbleなどを触ってみて、自分なりの開発に近づけていく感覚をつかむのがおすすめです。
「こんなシステム、自分では作れないな」と思っていたことも、ノーコードの力を借りれば少しずつ実現に近づけます。無料トライアルを活用してみたり、小さなアプリから始めてみたり、活用の幅もどんどん広がってきました。慣れてきたら、本格的な業務システムや社内ツール開発も視野に入れてみましょう。






