今回は、私たちにも身近な存在になったチャットボットを「dialogflow」で作る工程を解説します。
AIは、画像の認識だけではなく、音声や文字情報の機械学習も可能です。
チャットボットは、英語環境の「ELIZA(イライザ)」が始まりです。
1966年に生まれ、機械学習の進歩により豊富な情報を蓄積、処理できるようになり、チャットボットと人はより違和感のない会話ができるようになりました。
2021年にはチャットボットを一次受付対応として利用する企業も出てきています。
しかし、チャットボットは使用することはあっても、どのように作るか知らない方は多いでしょう。
チャットボットは、あらゆる場面で役立ちます。
今回はGoogleが蓄積した音声認識、感情解析、自然言語処理を利用し、チャットボットが作成できるサービス「dialogflow」についてご紹介します。
dialogflowとは
dialogflowとは何でしょうか?
ここでは、dialogflowについて詳しく解説していきます。
- dialogflowはチャットボットが作れるサービス
- dialogflowならプログラミングのスキルが不要
- dialogflowはGoogle環境で利用できる
dialogflowはチャットボットが作れるサービス
dialogflowは、誰でも簡単にチャットボットが作れるサービスです。
2016年よりGoogleが無料で提供しています。
「チャットボット」とは、ネットワークでつながったメンバーと、文字によるおしゃべりをリアルタイムに楽しむ「チャット」という言葉と「ロボット」という言葉が合体した呼称です。
人がコンピューターを用いて行っていた作業をプログラムにより自動化し、ロボットが代わりに行います。
つまり、ロボットとリアルタイムで文字によるおしゃべりをするということです。
例えば、ネット通販で洋服を購入する際、画面の右下に小さい窓が表示され、「お手伝いをしましょうか?」や「何かご質問があれば承ります」といった吹き出しが出ていることがあるでしょう。
そこに質問事項を入力すると会話形式で質問に答えてくれたり、欲しい商品を一緒に探してくれたりします。
回答に必要な情報が不足している時は、不足している情報を得るための質問をされることもあり、本当に誰かと会話をしているような形でこちらが欲しい情報まで導いてくれます。
そのシステムを作るサービスが、dialogflowです。
dialogflowにはたくさんの特徴があります。
- プログラミングのスキルがなくても誰もがチャットボットを作れる仕組みになっている点
- Googleアカウントがあれば手軽にチャットボットを作成しテストができる点
- 利用は無料で多言語にも対応が可能な点
- 最先端のAIやGoogleの環境が利用できる点
などです。
以降は、プログラミングのスキルが不要な点と、Googleアカウントがあるだけでチャットボットを作れるという2点について詳しく解説していきます。
dialogflowならプログラミングのスキルが不要
dialogflowでチャットボットを作成する際、コーディングは必要ありません。
つまり、難しいコードなどを覚える必要はありません。
作らなくてはならないものは、会話のシナリオだけです。
dialogflowは、質問者からこういう質問が来たら、このように答えるという「セリフ」を音声や文字でシステムにインプットしていくというやり方で、受け答えを覚えさせていく学習方法です。
プログラミングが必要な場合は、数多くコードを覚えなければいけません。
X-Forwarded-For (XFF) ヘッダーや他のフッターの入力から始まり、テキスト部分でも、「→」や「…」も、「→」、「…」などのコードを覚えて入力しなければいけません。
その点で、dialogflowならプログラミングのスキルが無くてもチャットボットが作れるのです。
チャットボットは、はられたキーワードを集め、事前にインプットされた豊富なサンプルデータの中から答えのパターンを見つけ出し、そのパターンを予測する形で質問の意図をできるだけ正確にシステムへ伝え、合致した回答を導き出していきます。そのため、簡単な受け答えのチャットボットであれば、プログラミングのスキルがなくても作成することが可能です。
以下の記事ではプログラミング無しで、会話ができるチャットボットの開発方法を解説しています。
dialogflowはGoogle環境で利用できる
dialogflowは、Googleアカウントを持っていれば、すぐに利用できます。
dialogflowには、小・中規模向けのシンプル仕様のESタイプと大規模で複雑な用途向けのCXタイプがあり、このESタイプ(スタンダードタイプ)は、利用が無料です。
初めてdialogflowを利用する方なら、ESタイプでも十分でしょう。
企業用のチャットボットで、規模を大きくしていく予定があるならCXタイプにしておくのも良いでしょう。
Googleアシスタントにも採用されている、最新のAI技術を利用することができ、ディープラーニングの技術によりAIが学習し、より自然な会話になるようなシステムが作られています。
英語をメインに30以上もの言語に対応していますので、日本語でQ&Aのチャットボットを1つ作ることができれば、それをもとに英語、イタリア語、フランス語、中国語と世界へ向けて展開することも可能です。
海外からの集客にも対応できるのがdialogflowのメリットの一つです。
また、dialogflowで作成したチャットボットは、LINEやSlack、Messengerなどのチャットツールや他のアプリと連携できることも魅力です。
慣れてくれば、Ionicと合わせてモバイルアプリケーションの開発までできるようになります。
Googleのプラットフォームで完結させられるため、初期設定も難しくはありません。
Googleアカウントの登録から、LINEのチャットボットを作るところまでを丁寧に説明してくれている動画はこちらです。
初心者の方は、こちらの動画を参考にしてください。
dialogflowの解説動画は、英語のコンテンツが多い傾向にあります。
そのため、英語がわかれば更に多くの情報を集められます。
dialogflowの活用事例とは
dialogflowを利用したチャットボットは、
- 個人的に会話を楽しむ
- 企業の第一次受付対応
- 注文対応
- 会議室の予約
以上のようにさまざまな用途で利用されており、具体的な活用事例について見ていきましょう。
- コールセンターのお問い合わせ窓口
- お買い物アシスタント
- 顧客データ収集とビジネスへの応用
- 社内情報管理やスケジュール管理
- 学習への活用による業務効率化
コールセンターのお問い合わせ窓口
特にカスタマーサポートセンターでは、チャットボットを取り入れたことで電話での問い合わせが3割減り、コールセンターの人員を削減することができました。
経営者にとっては、人員の削減によるコストの削減は、利益の幅を広げることにつながっています。
チャットボットにより24時間365日の対応が可能となったことから、見込み客の取りこぼしが減少し、社員は顧客の声を分析してサービスの改善やマーケティングに生かすための時間を捻出できるようになっています。
顧客としても、24時間365日疑問点やトラブルの解消につながるため、満足度は上がります。
お買い物アシスタント
他にも、大手洋服メーカーでは、お買い物アシスタントとして、dialogflowを利用したLINEのチャットボットを導入しています。
LINEの友達追加で表示されたQRコードの画像を読み込むと、お買い物アシスタントがお友達として追加されます。
「どんなコーディネートをおさがしですか?」というメッセージが届くところから会話が始まり、顧客が希望する洋服選びのサポートをしてくれます。
インターネットで洋服選びをしているのに、店舗で店員と一緒に洋服選びをしているような感覚になれます。
実際の店舗では、コーディネートのアドバイスをもらいたいけれど恥ずかしくて店員に声をかけられなかったり、店員が忙しそうで声をかけづらかったり、一生懸命洋服選びを手伝ってくれた店員が勧めるコーディネートが自分の好みと違い、断りづらいといったこともあるかもしれませんが、LINEでのチャットボットとのやり取りであれば相手へ気遣いすることなく自分好みの洋服を探すことができます。
顧客データ収集とビジネスへの応用
チャットボットを利用する事の利点は、人的なコストの削減だけではありません。
アパレルなどの顧客の嗜好性や流行が売り上げを左右するビジネスでは、顧客のトレンドを知るためにも常に新しいデータが必要です。
チャットボットを利用している企業では、顧客とのやり取りはすべてデータとして活用できますから、店舗側にも大きなメリットでしょう。
社内情報管理やスケジュール管理
dialogflowを利用したチャットボットは、対顧客用というだけでなく社内情報の管理用に利用している例もあります。
キーワードをチャットボットに教えて整理することで、ごちゃごちゃしていた情報を探す手間がなくなり、生産性の向上へつながったといったものや、Googleカレンダーとチャットボットを連携して店舗予約の管理に利用したり、お客様からの申し込み情報をチャットボットとスプレッドシートの連携で管理しているといった企業もあります。
学習への活用による業務効率化
dialogflowの活用方法のうちで、業務効率化のテキストはAmazonのKindle版の書籍でも学習することが可能です。
dialogflowはマーケティングやセールス、社内の業務効率化にも活用できるのです。
さらに詳しい活用方法は、以下の記事を参考にしてください。
dialogflowの使い方
それでは、具体的なdialogflowの使い方を見ていきましょう。
dialogflowでチャットボットを作るには、以下の手順で進めていきます。
- dialogflowの設定開始
- 会話内容の設定
- 返信のバリエーション追加
- 設定完了
- 会話の設定・追加
dialogflowの設定開始
dialogflowの設定を開始します。
- Googleアカウントでdialogflowのサイトにアクセス
- 「Sign-in with Google」でdialogflowにサインイン
- 規約に同意をしてスタート
- 新規作成の場合、「Create Agent」をクリック
- 基本情報となるAgent nameを英字にて入力
- 言語を選択、「Create」をクリック
- 登録完了後、会話の内容を入力
会話内容の設定
チャットボットの会話内容を設定します。
- 「Create in Intent」をクリック
- Intent nameを入力後、「Traning Phrases」をクリック
Traning Phrasesとは、人が言葉を入力した時、どのようにIntentを動かすかという設定です。例えば、顧客が「はじめまして」と入力したらチャットボットが「はじめまして」と返すように、Traning Phrasesに「はじめまして」と入力します。
返信のバリエーション追加
返信のバリエーションを増やす設定をします。
- 「Add Response」をクリック
- Text Responseに数種類の対応を入力
具体的な例としては、「こちらこそはじめまして」、「なにかお困りでしょうか」などで、こちらには複数の返信が入力できます。dialogflowは入力された返信を組み合わせて応対するようになるでしょう。
設定完了
入力が終わったら「Save」をクリックして設定完了です。
挨拶のやり取りが無事に機能するかどうかの動作確認をするには、画面右上にある「Try it now」の欄に「はじめまして」と入力をしてみましょう。「はじめまして。なにかお困りでしょうか」などと返信が返ってくれば、成功ということになります。
会話の設定・追加
「Add follow-up intent」で設定することで、挨拶から先のさまざまな会話を追加することができます。会話に関しては、用意されているテンプレートを使う事もできますし、カスタマイズすることもできます。
Intentsを追加することで続けていきたい会話の内容を増やしていくことが可能です。
チャットボットが作れるdialogflowまとめ
dialogflowのサービスを使えば、スピーディーに簡単にチャットボットを作ることができます。
占いサイトを作ったり、自社サイトで売る商品のアドバイスに利用するなど、企業だけでなく個人でも利用する人は増えるでしょう。
チャットボットはこれからますます一般化され、多様化すると考えられます。
二足歩行のロボットが人間と対等に会話をし、問題解決に協力してくれる未来の第一歩がdialogflowのチャットボットなのかもしれません。
チャットボットの作り方と活用方法が分かるセミナー「チャットボット講習」もぜひご参考ください。