ディープラーニングのトレーニング方法は?成功させる4つのポイントも解説

近年、人工知能(AI)技術の進歩において注目されているディープラーニング。画像認識、音声認識などの高度な技術を実現し、さまざまな分野で活用されていますが、ディープラーニングを導入・運用するには多くの課題があります。その課題の一つが、ディープラーニングのトレーニング方法です。

そこで本記事では、ディープラーニングのトレーニング方法、ディープラーニングのトレーニングを成功させるポイント、ディープラーニングを学習する方法について解説します。効率的にディープラーニングを学習し、AI技術を活用したビジネスを実現するためにも、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

ディープラーニングとは?

ディープラーニングとは?

ディープラーニングとは、人間の脳の仕組みを参考にしたニューラルネットワークを用いた学習技術です。日本語では「深層学習」と呼ばれています。

ディープラーニングの最大の特徴は、大量のデータから自動的に特徴量(データの特徴を表す数値や文字列)を抽出できることです。そのため、顔認証や物体検出、画像分類などの画像認識、音声翻訳や音声合成などの音声認識、感情分析など、複雑なタスクにも適用できます。

ディープラーニングの導入には、質の高いデータセットの収集や整備、膨大な時間とコスト、モデルの解釈可能性の低さなどの問題点もあります。これらの課題を克服することが、ディープラーニングの未来を拓く鍵となるでしょう。

ディープラーニングのトレーニング方法

ディープラーニングのトレーニング方法

それでは、ディープラーニングの主なトレーニング方法である、教師あり学習、教師なし学習、強化学習について解説します。

教師あり学習

教師あり学習とは、AIモデルに正解を与えてトレーニングする方法です。通常、具体的な正解が分かっている課題解決に活用されています。

例えば、Amazonで過去の購入履歴に基づき、おすすめ商品を表示するシステムは教師あり学習によるものです。教師あり学習の代表的なアルゴリズムを以下に挙げてみます。

  • 回帰:数値を予測するもので、明日の株価や来年度の売上予測などに用いられている
  • 分類:データをカテゴリーに分類するもので、画像中の歩行者と建物の分類などに用いられている

大量の正解データが必要な教師あり学習は、データに偏りがあるとモデルも偏ってしまいます。また、データ収集にコストがかかることも課題の一つです。教師あり学習の課題を克服するために、教師なし学習や強化学習などの新たな学習方法も研究されています。

教師なし学習

教師なし学習は、コンピュータ自身がデータから規則やパターンを見つける「自習型」のトレーニング手法です。

教師なし学習はコンピュータに与える教師データがないため、データの偏りに影響されにくく、新しいパターンを発見しやすいというメリットがあります。一方で、学習の進捗を評価しにくい、解釈が難しいなどが課題です。

近年では、教師なし学習の課題克服に向けた研究が進められていて、教師あり学習と組み合わせたハイブリッド学習などの手法が開発されています。将来的には、科学研究やビジネス、教育、医療など、さまざまな分野での活用が期待されています。

強化学習

強化学習は、AIが自ら最適な行動を学ぶ手法です。強化学習は教師あり学習とは違い、正解が与えられない状態で最も大きな報酬を得る行動を模索していきます。

主に、ゲームやロボット制御分野で活用されていて、近頃は将棋や囲碁のゲームで強化学習を用いたAIが人間を超えるレベルに達して大きな話題となりました。

強化学習によるAIは、治療計画の立案や医療機器の制御、学習支援システムの開発、金融市場予測など、活用される分野がさらに広がると予想されています。

ただし、適切な報酬設計の難しさ、データ効率の悪さ、局所解(ある範囲の最適解)への陥りやすさ、説明可能性の低さなどの課題点もあります。

このように、ディープラーニングのトレーニングは、AIの進化を支える重要な技術として発展に注目が集まる一方で、トレーニング手法ごとに抱えている課題もさまざまです。

しかし、これらの問題点を克服するための研究は活発に進められているため、今後の動向に注目が集まっています。以下の記事はAIについて詳しく記載しているので、ぜひ合わせて読んでみてください。

【2024】人工知能(AI)とは?事例やメリット・作り方を解説

ディープラーニングのトレーニングを成功させる4つのポイント

ディープラーニングのトレーニングを成功させる4つのポイント

ディープラーニングのトレーニングを成功させるためにはいくつかのポイントがあります

データセットの確保

ディープラーニングのトレーニングを成功させるためには、適切なデータセットの確保が重要です。

データセットは、ディープラーニングにおいて学習に必要なデータとラベルをセットにしたもので、データセットは政府機関や大学、研究所、機械学習コンペティションのプラットフォームなどで公開されています。

データセットを選ぶ際には、目的(音声、テキスト、画像など)に応じて適切なものを選ぶ、特徴量が十分に含まれているかを確認することを心がけましょう。バランスを取り段階的に学習レベルを高めるためにも、ネガティブなサンプルも含めたデータセットを選ぶことも大切です。

モデルの選択

ディープラーニングのトレーニングには、適切なモデルの選択も大切です。

モデルごとに強みと弱みを持っているため、監視カメラで人物の入退管理をする画像認識や、スマホで音声アシスタントを利用する音声認識など、目的やデータの性質に応じて適切なモデルを選択してください。代表的なモデルは以下の通りです。

  • DNN(ディープニューラルネットワーク)
  • CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
  • RNN(再帰型ニューラルネットワーク)
  • LSTM(長・短期記憶)
  • GAN(敵対的生成ネットワーク)

メタパラメータ(ハイパーパラメータ)の調整

ディープラーニングのトレーニングを成功させるためには、メタパラメータ(ハイパーパラメータ)の調整も重要です。メタパラメータとは、モデル自体の外部にある設定や構成のことを指し、適切なメタパラメータを設定することでモデルの性能が大幅に向上します。

メタパラメータの最適化は、経験則(実際に経験したことから得た法則)や自動化された探索技術、転移学習(既存モデルの知識を別モデルに転移させる学習手法)などの手法を用いて行われます。

しかし、膨大な組み合わせの中から最適な設定を見つけるのは容易でなく、さらに過学習などの課題もあるため、最適化には多くの試行錯誤が必要です。

モデルの評価と改善

ディープラーニングのトレーニングは、機械学習モデルの評価・改善も成功のカギを握っています。適切な評価指標を選択することは、モデルの性能を正確に理解し、ビジネスへの実際の影響を測定する上で欠かせません。

評価の際に使う分類問題と回帰問題は、機械学習における基本的な問題設定です。分類問題では精度、リコール、F1スコアなどを使い、回帰問題では平均絶対誤差(MAE)や平均二乗誤差 (MSE)、ルート平均二乗誤差 (RMSE) などを用います。

過学習を避けるためには、交差検証や正則化技術を活用しましょう。プロジェクトの計画と実行段階で、適切な評価指標を選択し、モデルの性能を最大化することが大切です。

ディープラーニングを学習する方法

ディープラーニングを学習する方法

ディープラーニングの学習方法はいくつかあります。以下で主な学習方法について解説します。

独学する

ディープラーニングを独学する際には、いくつかの方法があります。まず、基礎から応用まで対応できる学習ロードマップが挙げられます。Pythonを使った実装など、具体的な手順が紹介された記事もあるので、比較的分かりやすい学習方法です。

その他は、YouTubeなどの動画チュートリアルの活用、コミュニティやフォーラムでの交流などが挙げられます。独学はモチベーションの維持、継続的な学習を心がけ、実践を通じてスキルを向上させることが大切です。

実際にプロジェクトに取り組む

ディープラーニングは、実際のプロジェクトに取り組みながら学ぶことも可能です。プロジェクトに取り組み学習することで、実践力や問題解決能力を養うことができます。

また、モチベーションを維持しやすい、実際の課題に取り組むことで学びを深められるなどもメリットです。しかし、プロジェクトに必要な知識やスキルが不足している場合は、事前に必要な情報を学習する必要があります。

セミナーを利用する

ディープラーニングを学習する方法には、セミナーの利用も挙げられます。セミナーは効率的に学習できるカリキュラムを組んでいるため、着実にスキルアップできます。疑問点・不明点も比較的スムーズに解決でき、学習のつまずきが少ないことも魅力です。

AI研究所の「データサイエンティストセミナー」は、わずか2日間でデータサイエンス(機械学習の手法でデータ分析を行うこと)の基礎から応用まで学べます。データ分析に関する一連の流れも理解でき、さらにPythonによるプログラミングスキルも習得できる人気のサービスです。

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まとめ

まとめディープラーニングは日々進化しているため、常に最新情報を学び、モデルを改善し続けることが大切です。

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