スクレイピングとは?方法やメリット・デメリットを詳しく解説

現代では、マーケティングやAI開発など、大量のデータが必要になる場面は数多くあります。ただ、すべてのデータを、自身で用意するのは現実的ではありません。そのため、スクレイピングという手法を使用して、データを集める人が多いです。
では、スクレイピングとはどういった手法なのか、具体的な活用方法やメリットデメリットなどを確認していきましょう。

データを収集するスクレイピング

データを収集するスクレイピング
スクレイピングとは、インターネット上にあるデータを収集するための手法のことです。そして、自動でデータを収集するためのプログラミングのことも、スクレイピングと呼びます。
インターネット上では、様々なWebページが公開されていて、その中に有用な情報が含まれていることも多いです。スクレイピングのプログラムは、そのWebページに自動でアクセスし、データの収集を行えます。
そして、ただ情報を集めるだけでなく、一定の条件を満たしたデータのみを抽出できるのが特徴です。

スクレイピングのメリット

スクレイピングには、数多くのメリットがあります。その中から、代表的なものをご紹介していきます。

自動で大量のデータを取得できる

スクレイピングは、プログラムによって自動化できます。人が操作しなくても、Webページにアクセスして、情報を収集可能です。
そして、プログラムは高速稼働できるため、データ収集にかかる時間は短く済みます。その結果、膨大なデータを効率的に集められるのが大きなメリットです。

新しい情報を取得しやすい

Webページは、不定期で更新されることが多いです。そのため、最新の情報を取得するためには、何度もアクセスをしなければなりません。
スクレイピングであれば、定期的にWebページにアクセスして、最新情報を得ることも難しくありません。プログラムに設定しておくだけで、比較的新しい情報を手に入れやすいのがメリットです。

取得できるデータが豊富

収集できるデータの量が多いのも、スクレイピングのメリットです。特にAPIよりも、収集データは多くなります。APIとは、Webページ側が開発者を対象に用意している連携ツールです。データの収集にも使えますが、あくまでも限定的なデータです。スクレイピングであれば、限定的なデータだけでなく、Webページに関するデータをひと通り手に入れられます。

スクレイピングのデメリット

スクレイピングには数多くのメリットがありますが、良い点ばかりではありません。デメリットもいくつかあります。どのようなデメリットがあるのか、確認していきましょう。

失敗するリスクがある

スクレイピングは、対象のWebページの構造が変わった場合、失敗してしまう恐れがあります。その場合は、設定を変更したり、いちからスクレイピングの作業をやり直さなければなりません。
どのような状況でもデータを収集できるわけではない点が、デメリットです。

対象のWebページに負荷がかかる

スクレイピングは、Webページにアクセスして、短時間で大量のデータを取得します。そのため、Webページに負荷をかけてしまう可能性が高いです。
単純にWebページを運営する側にとって迷惑ですし、高頻度でスクレイピングを行った場合、アクセス禁止措置を取られてしまうかもしれません。

法律に抵触する恐れがある

スクレイピングでは、画像や動画などのデータも収集できます。ただ、インターネット上で公開されている画像や動画は、著作物である可能性が高いです。もし、フリー素材ではない画像や動画を別の形で使用すると、著作権違反になってしまう恐れがあります。
また、フリー素材であっても、権利者名の追記など、使用条件が設けられていることが多いです。そのように、データの扱いに気を付けなければならず、状況次第で法律トラブルに発展する恐れがあるのは、デメリットと言えるでしょう。

スクレイピングをする方法

スクレイピングをする方法
スクレイピングは、大きく分けて以下の3つの手順に分かれています。
  1. クローリングでWebページの情報を取得
  2. スクレイピングでデータの取捨選択
  3. スクレイピングしたデータを保存

それでは、スクレイピングの詳しい方法を確認していきましょう

クローリングでWebページの情報を取得

まずは、どのWebページの情報をスクレイピングするかを決め、そのWebページのデータをひと通り取得しなければなりません。それをクローリングと呼び、専用のツールや、プログラミング言語Pythonのライブラリなどを使用します。
スクレイピングツールやライブラリの中には、クローリング機能を備えているものも多いです。

スクレイピングでデータの取捨選択

クローリングでデータを収集したら、スクレイピングによってデータの取捨選択を行います。スクレイピングツールやライブラリにデータを読み込ませて解析を行い、必要なデータのみを抜き出す形です。
抜き出す方法は、特定のコードを入力したり、マウスでデータを選択したりするなど、使用するツールやライブラリによって異なります。

スクレイピングしたデータを保存

最後に、抜き出したデータを保存すれば、一連のスクレイピング作業は完了です。データベース化した情報を、色々な形で使用しましょう。
ただ、Webページから抜き出したままの形では、データベースとして活用しにくい場合、保存する前に加工の作業が必要になることがあります。スクレイピングのツールやライブラリには、データの加工機能も備わっているものが多いです。

スクレイピングの具体的な活用方法

スクレイピングで必要なデータを収集しても、そのデータをどのような形で使用するのかイメージできないという人も多いでしょう。そこで、スクレイピングの具体的な活用方法を、いくつかご紹介します。

競合他社の情報を取得

ビジネスシーンでは、競合他社の動向を把握することが非常に重要です。その競合他社の情報を取得するために、スクレイピングが活用されます。
他社のWebページを対象にスクレイピングを行えば、どのようなキャンペーンを実施しているか、製品をいくらで販売しているかなど、あらゆる情報を取得できます。
その情報を参考にしてマーケティング内容を工夫する、他社と被らないイベントの内容を考えるといった対策が可能です。

業界の市場調査

ビジネスでは、特定の企業だけでなく、市場全体の情報も重要となります。製品の価格相場や売れている製品など、重要となる情報は非常に多いです。ただ、どのような業界であっても、市場規模でデータを取得するのは簡単ではありません。
そこでスクレイピングを行えば、自動で市場全体の情報を取得できる上に、その中から必要なものだけを抽出可能です。データの取得時間も短いため、市場の相場や動向にすぐに対応できるでしょう。

AI開発の機械学習

AI開発では、膨大なデータの中に含まれる法則を、AIプログラムに覚えさせる機械学習が必要不可欠です。その機械学習のデータ収集に、スクレイピングが役立ちます。
スクレイピングであれば、覚えさせたい法則に最適なデータを抽出可能です。その最適なデータを使用した機械学習は、効率的なAI開発に繋がります。
また、機械学習で使用するデータが多ければ多いほど、AIの精度が高くなります。スクレイピングであれば、大量のデータを収集できるため、高精度のAI開発も難しくはありません。

スクレイピングについてよくある質問

スクレイピングについてよくある質問
スクレイピングを取り入れたいけれども、疑問に思う点があるという人は大勢いるでしょう。そこで、スクレイピングに関する、よくある質問と回答をご紹介します。

スクレイピングは違法ではないのですか?

第三者のWebデータを収集するため、違法だと考える人もいるでしょう。けれど、スクレイピングそのものは、特に違法行為ではありません。
ただ、公開されていないデータを収集したり、著作物が含まれるデータを収集して許可なく再公開したりするなど、法律に抵触する恐れはあります。
そのため、スクレイピングの対象にするのは公開されているWebページのみに限定し、収集したデータの扱いには注意しましょう。

スクレイピングとクローリングの違いは何ですか?

スクレイピングとクローリングは、どちらもデータ収集に関する手法なので、混同してしまう人もいるかもしれません。
クローリングは、あくまでもWebページのデータを取得する方法のみを指します。それに対してスクレイピングは、Webページのデータを取得した上で、抽出と加工も行います。
Webページの中から、特定の情報のみを収集したい場合は、クローリングではなくスクレイピングが必要です。

動的なWebページが対象でもスクレイピングできますか?

SNSや掲示板など、アクセスするたびに表示される内容が変わるWebページを、動的Webページと呼びます。そのような動的Webページが対象であっても、スクレイピングによるデータの収集は可能です。
ただ、高頻度で内容が更新される場合、スクレイピングもそれに合わせて頻繁に行わなければなりません。自動化するのであれば、データ収集の頻度を高めに設定しましょう。

スクレイピングで効率的にデータ収集

インターネット上にあるデータは、Webサイトにアクセスして手動でダウンロードしたり、Cookieを元に集めるなど、色々な方法で収集可能です。
けれど、大量のデータを取捨選択して収集するという点に限定すると、スクレイピングが優れています。そのため、効率的に大量のデータを用意したいのであれば、スクレイピングを活用しましょう。
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