「初心者でもマリオ風ゲームを作りたい」「プログラミングに興味はあるけれど、何から始めたらいいのかわからない」と考える方も多いでしょう。実は、プログラミング初心者でもAIを活用すれば、マリオ風ゲームを作ることが可能です。
最近では、コードを自動生成してくれるAIツールや、ブロックを組み合わせるだけで動きを作れる無料ツールも充実しており、専門知識がなくても楽しく学習もできます。
そこで本記事では、初心者がScratch×AIを使ってマリオ風ゲームを作る具体的な手順をわかりやすく紹介します。さらに、無料で始められる方法や学習を継続するコツも合わせて解説するので、「ゲームを作りながらプログラミングを覚えたい」という方は最後までご覧ください。
初心者がAIでマリオ風ゲームを作成できる?

結論から言えば、基礎的なプログラミング知識と強化学習の概念を理解すれば初心者でも挑戦できます。強化学習はAIの学習手法の一つであり、エージェントが環境と相互作用しながら報酬に基づいて行動を改善する仕組みです。以下3つの要素が存在します。
- 環境から得られる状態
- エージェントが選ぶ行動
- 環境から返される報酬
この報酬の期待値を表すのが行動価値関数であり、強化学習ではこの関数を推定するアルゴリズムを構築します。
Scratchとは?
初心者がマリオ風ゲームをAI×Scratchでプログラミングする際に、使用するのが「Scratch」です。研究グループ「Lifelong Kindergarten Group」が開発した、初心者向けのビジュアルプログラミング言語です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 8歳以上が対象。ただし、マウス操作ができてひらがなを読める子どもであれば、それ以下の年齢でも利用可能 |
| 利用者数 | 世界で約8,100万人、日本国内で約100万人が登録。教育用プログラミングツールとして高い人気を誇る |
| プログラミング形式 | ブロック型プログラミング(文字入力ではなく、色分けされたブロックをドラッグ&ドロップして組み立てる方式) |
| 学べる内容 | キャラクターの動き、アニメーション、ミニゲームなどを通じて、プログラミングの基本構造や思考を直感的に学習可能 |
| 操作性 | タイピングが苦手でも、直感的にプログラムの流れを理解できるインターフェースを採用 |
| 利用形態 | オンライン版(ブラウザで利用)/オフライン版(PCにインストールして利用)の2種類を提供 |
Scratchは初心者に優しいプログラミング環境であり、マリオ風ゲームを自作する際に最適です。
マリオ風ゲームをAI×Scratchでプログラミングする準備

Scratch×AIでマリオ風ゲームを作成する際に準備するものは主に4つです。
- ゲーム開発の環境
- 学習環境とAIライブラリ
- ステージデータと素材
- AIモデルと報酬設計の構築
①ゲーム開発の環境
AIに学習させるためには、まず土台となる「マリオ風のゲーム」を自分で作成する必要があります。Scratchを使えば、ドラッグ&ドロップ操作だけでステージやキャラクターを作れるため、初心者でも構築しやすいです。
たとえば、プレイヤーが矢印キーでキャラクターを操作し、敵や穴を避けながらゴールに到達する仕組みを作れば、AIが攻略を学習する対象になります。背景に雲や山を描く、ブロックや旗のスプライトを配置するなどの工夫を加えることで、より本格的なマリオ風の世界を再現できるでしょう。
②学習環境とAIライブラリ
次に、AIがゲームを認識し学習できるように、Pythonを使った強化学習環境を整えます。一般的に利用されるのが、「gym_super_mario_bros」というライブラリで、マリオのステージを模した環境を簡単に構築できます。
さらに、AIの思考を支える仕組みとしてPyTorchを用意し、torchrlやtensordictなどのライブラリをインストールします。AIがゲーム画面を理解できるようにするためには、画像のサイズを小さくしたり、グレースケール化して情報量を減らす処理も必要です。準備が整えば、AIが「見る・考える・動く」という一連の流れを実行できるようになります。
③ステージデータと素材
AIが効率よく学習するには、使うステージや素材も工夫しましょう。まず、マリオ風ゲームの見た目を作る際には、無料で使える「Superpowers Asset Pack」などのオープンソース素材を活用すると便利です。キャラクターや背景、ブロックなどを簡単に追加でき、ゲームの完成度を高められます。
また、AIが少しずつ上達できるように、最初は障害物が少ないステージから始め、徐々に難易度を上げる構成が理想です。AIの行動や失敗の記録をデータとして残しておくことで、後から報酬設定やステージ構成を見直す際に役立つでしょう。
④AIモデルと報酬設計の構築
AIが自動でゲームをプレイできるようにするためには、「ニューラルネットワーク」と「報酬設計」が重要になります。ニューラルネットワークとは、AIが画面の状況を読み取り、次にどの行動を取るかを判断する仕組みのことです。PyTorchでは畳み込みニューラルネットワークを使い、AIが映像から特徴を学習できるようにします。
また、AIが過去のプレイデータを活かして学習できるよう、Replay Bufferという仕組みを導入します。報酬設計では、ゴールに到達した際に高い報酬、右に進むごとに小さな報酬、敵に当たったり落下したときにはマイナスの報酬を与えることで、AIが「どんな行動が良いか」を自ら学習していくのです。
以下の記事では、AIとPythonを活用した開発ステップをわかりやすく解説していますので、あわせてご覧ください。
マリオ風ゲームをAI×Scratchでプログラミングしてみよう
マリオ風ゲームをAI×Scratchでプログラミングする方法を4つのステップで解説します。
- まずはマリオ風ゲームを作る
- AIが練習できる環境を整える
- AIにマリオをプレイさせて学習させる
- 見た目や機能を加えて完成版に仕上げる
①まずはマリオ風ゲームを作る
最初のステップは、AIが学習する対象となる「マリオ風ゲーム」をScratch上で構築することです。Scratchの公式サイトから新規プロジェクトを作成し、初期スプライトのネコを使うか、自作キャラクターを追加してデザインを決めましょう。

出典:Scratch
背景には雲や山を描き、床や障害物をタイルブロックで並べるとゲームらしさが出ます。プレイヤーの動きや敵との衝突を処理するプログラムを組み、旗に触れたらステージクリアにする仕組みを作るのが基本です。完成後は、実際に操作して不具合をチェックし、AIがスムーズに学習できる環境を整えましょう。
②AIが練習できる環境を整える
Scratchで作ったゲームの構成を参考にしつつ、PythonでAIが練習できる強化学習環境を準備します。まずは以下のライブラリをインストールし、ゲーム環境を生成します。
- gym_super_mario_bros
- torch
- torchrl
- tensordict
このとき、行動を「右に進む」や「ジャンプする」に絞ることで学習の効率を高めます。AIが画面の状況を理解しやすくするために、画像を84×84ピクセルに縮小してグレースケール化し、4枚分のフレームを組み合わせて時間的な動きを認識できるようにします。
③AIにマリオをプレイさせて学習させる
次は、AIが実際にマリオを操作しながら学習を進める段階です。PyTorchを使って「DQN」という仕組みを実装し、AIが画面の情報をもとに次の行動を判断できるようにします。学習のたびに得られたデータを蓄積し、過去の経験を繰り返し学ぶことで精度を高めます。
また、最初のうちはランダムに行動させてパターンを体験させ、徐々に最適な行動を選べるように調整します。AIが安定してゴールできるようになったら、障害物や敵の数を増やしてステージを拡張し、より高度な学習へと発展させましょう。
④見た目や機能を加えて完成版に仕上げる
AIが上達したら、次はゲームとしての完成度を高めるフェーズです。スコア表示や残機数などのUIを追加し、効果音やBGMを設定しましょう。また、ステージ数を増やして難易度を段階的に上げたり、人間プレイヤーがAIと競うモードを追加したりするのもおすすめです。
著作権に配慮しつつ、自作のキャラクターや新しいアイテムを導入すれば、オリジナル性の高い作品ができます。こうしてAIが自動で攻略し、プレイヤーも楽しめる「マリオ風ゲーム」が完成します。
マリオ風ゲームをプログラミングする際の注意点

Scratch×AIでマリオ風ゲームを作成する際は以下3つの注意点を留意しましょう。
- AIのスキル・知識は基礎から身につけておく
- 著作権やガイドラインを必ず守る
- AIが学びやすい環境を設計する
①AIのスキル・知識は基礎から身につけておく
AIを用いたゲーム開発では、強化学習という学習手法を扱います。これは「環境」の中で「状態」を観察し、「行動」を選び、その結果として「報酬」を受け取るという仕組みで成り立っています。考え方を理解するには、以下の内容を把握しておきましょう。
- Q学習
- DQNの基本構造
- ニューラルネットワークの動作原理
- Pythonの基礎文法
完全に独学で取り組むのが難しい場合は、セミナーを受講するのがおすすめです。「Pythonを短期間で学習したい」という方は「Python基礎セミナー講習」の受講がおすすめです。以下のリンクから詳細をチェックできますので、ご覧ください。
| セミナー名 | Python基礎セミナー講習 |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 27,500円〜 |
| 開催期間 | 2日間 |
| 受講形式 | 対面(東京・名古屋・大阪)・ライブウェビナー・eラーニング |
②著作権やガイドラインを必ず守る
マリオシリーズは著作権があり、公式のキャラクターや音源、画像素材を無断で使用することは法律違反にあたります。そのため、AI学習用のゲームを作る際には、フリー素材やオリジナルキャラクターを活用しましょう。
たとえば、「Abstech」などの技術系メディアでは、商用利用が可能なオープンソース素材集を紹介しており、それらを使えば安全にクオリティの高いゲームを制作できます。Scratchコミュニティには独自の利用ガイドラインが設けられており、他人の作品を無断でコピーしたり、不適切な表現を含む投稿を行うことは禁止されています。
③AIが学びやすい環境を設計する
AIが効率的に学ぶためには、環境設計が重要です。まず、行動の種類を最小限にすることがポイントです。ジャンプ・右移動・左移動など、必要な動作に絞り込むことでAIの探索範囲を減らし、学習のスピードを高められます。
また、AIが初めから難しいコースに挑戦すると学習が進まないため、最初は障害物の少ないシンプルなステージから始め、少しずつ難易度を上げる「段階的な学習」を行いましょう。報酬設計も重要で、たとえば右方向への移動で少しずつ報酬を与え、ゴールした際に大きな報酬を与える一方、敵に当たったり穴に落ちた場合は負の報酬を与えると、AIが自然に「どの行動が良いか」を学習できます。
以下の記事では、AIについてわかりやすく解説しています。本記事とあわせてご覧ください。
マリオ風ゲームプログラミングスキルを習得するなら
「強化学習プログラミングセミナー」は、AI分野の学習が初めての方でも、実務レベルのスキル習得を目指せる集中型の講座です。マリオ風ゲームを作成するという課題ではありませんが、ご紹介してきた強化学習の基礎理論から実装までを段階的に学ぶことができ、Q学習・DQN・SARSAといった主要なアルゴリズムを理解し、実際にPythonで動くプログラムを構築するまでを習得します。
AI開発未経験者でも、理論と実践を通して「AIがどのように学び、行動を最適化するのか」を具体的に体感できるカリキュラムとなっています。セミナーを受講することで、Scratch×AIでマリオ風ゲームをスムーズに生成できるようになります。
| セミナー名 | 強化学習プログラミングセミナー |
|---|---|
| 運営元 | GETT Proskill(ゲット プロスキル) |
| 価格(税込) | 35,200円〜 |
| 開催期間 | 1日間 |
| 受講形式 | eラーニング |
マリオ風ゲームをプログラミングする方法についてのまとめ
プログラミング未経験者でも、AIとScratchを活用すれば、自分の手でマリオ風のゲームを作り上げることができます。特に、Scratchでゲームの世界を構築し、PythonでAIを動かすプロセスを体験すれば、論理的思考力や問題解決力を自然に身につけられます。
また、著作権を守りながらオリジナル素材で開発すれば、唯一無二の作品づくりも可能です。本記事を参考にマリオ風ゲームをプログラミングしてみてください。






