システム管理やトラブル対応などで活躍するコマンドプロンプト。パソコンを文字で制御できる画期的なツールですが、その名を聞いたことがあっても、具体的にどう使うのか、何ができるのかよく知らないという方も多いでしょう。
この記事では、コマンドプロンプトの出し方や基本的な使い方をわかりやすく解説します。
便利で面白いコマンドプロンプト一覧も紹介するので、「ワンランク上のパソコン操作をしたい」という方はぜひご一読ください。
コマンドプロンプトとは?

コマンドプロンプトとは、Windows OSで使われる命令入力・実行用のツールです。パソコン画面最下部、Windowsのアイコンの横にある小さな検索窓から起動でき、文字(コマンド)を入力することでOSの機能を呼び出せます。
- コマンドプロンプトで使う文字
- コマンドプロンプトでできること
①コマンドプロンプトで使う文字
コマンドプロンプトに指示を出すために使う言葉は、「コマンド(Command)」と呼ばれるものです。コマンドは日本語ではなく、「dir」や「cd」といった特定の英単語と、半角スペースを使った文字列です。
これは、コンピューターが生まれたときから、命令を短く・簡潔に、世界共通で実行できるように設計されてきたためです。そのため、コマンドの「意味」を覚えると、世界中のどのWindowsパソコンでも同じ操作ができるようになります。
②コマンドプロンプトでできること
コマンドプロンプトを使うと、以下のようなことができます。
- ファイルやフォルダのコピー・移動・削除
- ネットワーク状態の確認や接続のテスト
- システムのトラブル診断や修復
- ソフトウェアの起動や自動化スクリプトの実行
なお、普段のパソコン操作で多く使うマウスクリックやドラッグ&ドロップは「グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)」と呼ばれます。
現在はGUIが一般的ですが、かつてはコマンドプロンプトによる文字操作が主流でした。今でも、GUIでは対応できない細かい設定やトラブル対応の現場で活躍しています。
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コマンドプロンプトの出し方
続いて、コマンドプロンプトの出し方の手順をお伝えしましょう。
- 基本のコマンドプロンプトの出し方
- 管理者権限で起動する方法
①基本のコマンドプロンプトの出し方
はじめに、基本的なコマンドプロンプトの出し方をお伝えします
- パソコンの画面の左下のWindowsのマークを確認
(スタートボタンの右に虫眼鏡アイコンの入力欄「検索窓」がある)
- その検索窓に「cmd」と半角英数で入力
- 入力すると、検索結果の一番上に「コマンド プロンプト」という名前のアプリが表示
- 「コマンド プロンプト」をクリック

- クリックすると、黒い背景の新しいウィンドウが開く

上記の画面が出たら、コマンドプロンプトの起動は成功です。
②管理者権限で起動する方法
続いて、管理者権限でコマンドプロンプトを起動する方法をお伝えしましょう。
管理者権限は、Windows のすべてを変更できる「特別な許可」のことです。
この機能は、Windows の中核となる重要な設定(システムファイル、セキュリティ設定など)に触れることができます。トラブル修復などの高度な作業にはこれが必要です。
- 「検索窓」に「cmd」と入力
- 検索結果の「コマンド プロンプト」という文字をマウスで右クリック
- 表示されたメニュー(一覧)の中で、「管理者として実行」と書かれた項目をクリック
(※「開く」ではない)
- 「ここをクリックするとこのアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と出たら「はい」を選択
これで、ウィンドウのタイトルバーに「管理者」と表示された画面が開きます。
コマンドプロンプトの使い方

では、コマンドプロンプトを実際に使ってみましょう。ここでは、基本のコマンドプロンプトの使い方を6つ挙げます。
| コマンド | 意味(原語) | 活用場面 |
| dir | 中身を見る (Directory) | フォルダ内に何があるかを確認 |
| cd フォルダ名 | 場所を移動する (Change Directory) | 目的のフォルダに素早く移動 |
| cls | 画面をきれいにする (Clear Screen) | 画面に表示された履歴を消去 |
| ping | 接続確認(音波のping) | インターネットに接続できているか確認 |
| ipconfig | IPアドレス | 自分のパソコンのIPアドレスを確認 |
| exit | 終了する | コマンドプロンプトの画面を閉じる |
①dir
これは、現在コマンドプロンプトが開いているフォルダの中に、どのようなファイルやフォルダ(ディレクトリ)があるかを一覧表示します。
操作は、「dir」と入力して「Enter」を押してください。
| 画面の項目 | 意味 |
| ①C:\Users\(ユーザー名)> | 今いる場所(自分のアカウントの基本フォルダ) |
| ②0個のファイル | ファイル(写真や文書など)は入っていません、という意味 |
| ③14個のディレクトリ | フォルダが全部で14個入っています、という合計数 |
表示された画面では「この場所には14個のフォルダがあるけれど、ファイルは1つもない」ということを教えてくれています。
②cd フォルダ名
これは、マウスでフォルダをダブルクリックするのと同じ操作です。指定したフォルダに瞬時に移動できます。ここでは、フォルダ名を「Documents」にしました。
使い方は「cd Documents」と入力して「Enter」を押します。なお、一つ前の階層に戻るときは「cd ..」と入力してください。
| 項目 | 意味 |
| C:\Users\(ユーザー名)>cd Documents | 移動の命令を入力した行 |
| C:\Users\(ユーザー名)\Documents> | 移動が成功し、今いる場所がDocumentsフォルダの中に変わったことを示す |
移動に成功した後は、この新しい場所でコマンドを打つとDocumentsフォルダの中を見ることができます。
③cls

これまで入力したコマンドとその結果をすべて消去し、画面を真っ黒な状態に戻します。新しい作業を始める前に画面をリセットしたいときに便利です。
使い方は、「cls」と入力した後に「Enter」を押します。
④ping

こちらは、特定のウェブサイトや他のコンピューターに対して信号を送り、つながりや応答速度を確認するコマンドです。使い方は、「ping google.com」のように、確認したい相手のアドレスを入力して「Enter」を押します。
| 項目 | 意味 |
| 応答 (時間=22ms) | 信号が返ってくるまでの速さ(22ミリ秒)。この数字が小さいほど速い |
| 送信 = 4, 受信 = 4 | 信号を4回送って、4回とも無事に返事があった(損失0%) |
これにより、接続に問題はなく、インターネットは正常に繋がっていたことがわかりました。
⑤ipconfig

これは、パソコンがインターネットに接続するために使っているIPアドレス、およびその他のネットワーク設定情報を表示します。この場合、「ipconfig」と入力して「Enter」を押しましょう。
この「ipconfig」の結果で特に重要なのは、「Wireless LAN adapter Wi-Fi:」の下にある以下の3つの情報です。
| 項目 | 意味 |
| IPv4 アドレス | パソコンの今の住所 |
| サブネット マスク | ネットワークの区切り範囲を示す情報 |
| デフォルト ゲートウェイ | インターネットへ出るための窓口(ルーターのアドレス) |
⑥exit
これは、コマンドプロンプトを閉じる際に使います。マウスを用いた「×」と同じ機能です。なお、コマンドプロンプト画面上の「×」でも同様の操作ができます。
使い方は、「exit」と入力して「Enter」を押してください。すると画面が自動で閉じます。
遊べる&便利なコマンドプロンプト10選
コマンドプロンプトには、システム操作だけでなく、遊び心のあるユニークなコマンド、便利なコマンドもあります。ここでは、10のコマンドプロンプトを表でお伝えしましょう。
| コマンド | 動作 |
| color 0a | 画面の文字色と背景色を緑色などに変更 |
| dir /s | 画面に全ファイルとフォルダが一覧表示(Ctrl+Cで停止) |
| title | ウィンドウのタイトルを「こんにちは、世界!」などに変更 |
| tree | フォルダ構造を枝分かれした家系図のようなツリー形式で表示 |
| timeout /t 5 | コマンド実行を指定秒数(5秒)待機させる |
| calc | 電卓アプリを起動する |
| shutdown /s /t 60 | 60秒後にシャットダウンをスケジュール |
| notepad | メモ帳アプリを一瞬で開く |
| clip | コマンドの結果をクリップボードにコピー |
| wmic csproduct get name | パソコンのモデル名(正確な製品名)を瞬時に表示 |
上記の中でもイチ押しなのは、「wmic csproduct get name」コマンドです。
これは、パソコンの正確なモデル名(製品名)が一瞬でわかるため、サポートセンターへの問い合わせで困ったときなど、わざわざパソコンの裏をチェックしなくてもその場でサッと確認できます。
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多彩なコマンドプロンプトで業務効率化する方法をお伝えしましたが、実際に業務応用してDX化を進めるためには、実践に活かす応用力が必要です。
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コマンドプロンプトの注意点

コマンドプロンプトを使う際には、以下の点に注意が必要です。
- 操作は取り消せない
- 実行中の操作は止まることがある
- パスや権限を確認する
①操作は取り消せない
コマンドプロンプトで実行した操作は基本的に取り消せません。例えば、「rmdir」「del」を用いた削除の場合、通常元に戻りません。
そのため、重要なファイルやフォルダを扱う場合は、事前にパスやコマンド内容を慎重に確認する必要があります。誤操作はデータ喪失につながるため、最初に確認する習慣をつけましょう。
②実行中の操作は止まることがある
コマンドを実行している最中にマウスをクリック、もしくは、特定のキー操作を行うと処理が一時停止する場合があります。例えば、画面内をクリックすると「選択」モードになり処理が止まり、Enterキーで解除するまでコマンドは進みません。
また、「Ctrl + S」で出力を止めることもできますが、解除までコマンドが実行されないので使わないようにしましょう。
③パスや権限を確認する
コマンドで指定するファイルやフォルダのパスには、一部の文字(JIS X 0213:2004で追加された文字)は使用できません。
そのため、コマンドは通常の文字(半角英数字など)を用いることを心がけてください。さらに、システム設定の変更など重要な操作を行う場合は、「管理者として実行」で起動しなければ正しく動作しない点も忘れないようにしましょう。
コマンドプロンプトについてまとめ
コマンドプロンプトは、コマンドを実行しシステムを操作できる画期的なツールです。しかし、実際に業務で応用するためには実践に活かす専門的なスキルが必要です。
DXを効果的に推進するためにも、コマンドプロンプトの知識をベースに、AIやRPAの活用へとスキルアップしていきましょう。









