強いAIと弱いAIの違いと特徴まとめ

最近はAIについて注目されることが増えています。
そんなAIには実はいろいろな分け方があるのです。その中でもよく耳にする機会の多いものが「強いAI」と「弱いAI」でしょう。
これらは一体どのような分類なのか、どんな違いがあるのか気になる人は多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「強いAI」と「弱いAI」について、その違いや特徴をまとめました。

「強いAIと弱いAI」という論争

「強いAIと弱いAI」という論争

強いAIと弱いAIという言い方は、哲学者であるジョン・サールが提唱したものです。
ジョン・サールは人工知能を批判していた人物であり、さまざまな思考実験を提案していたことで知られています。
その一つが強いAIと弱いAIです。

強いAIは人間と同じように考えることができて、弱いAIは人間の知能には及ばないものとされています。
そして、「強いAIと弱いAI」の議論の争点は、強いAIが実現できるのかという点でした。

ジョン・サール自身は強いAIには批判的でしたが、その後も多くの議論があり、強いAIと弱いAIについては今も論争が続いています。

強いAIの特徴や活用事例

強いAIにはどのような特徴があるのか、また具体的にどのように活躍しているのか紹介しましょう。

強いAIは人間と同じレベルの思考ができる

強いAIは人間と同じぐらいの頭の良さを持っています。
人間のように考えて行動できるものを強いAIと呼ぶのです。
自意識を持つようになることを強いAIと呼ぶケースもあります。
このような存在はSFを中心にしてフィクションの世界ではいろいろな形で創作されています。

強いAIはディープラーニングで可能になる?!

昨今、「ディープラーニング」というテクノロジーによって、AIは大きな進化を遂げました。
「ディープラーニング」は日本語にすると「深層学習」のことであり、画像や音声や自然言語などの特徴量を自動的にコンピュータが学んでいきます
人間の脳をモデルにしたネットワークが形成されていて、AIが大量のデータを読み込み、自ら学習していくのです。
多くのラベル付けされたデータと高い処理能力を有するコンピュータが必要となりますが、人間が手作業でデータをまとめてあげる必要がなく、コンピュータが自動で処理をしてくれるのが特徴です。
このディープラーニングによって、AIは「目」を手に入れたと言われます。
このディープラーニングの技術が進化することで、強いAIが実現するかもしれない、と唱える研究者もいますが、ディープラーニングでは強いAIでは実現できないと唱える研究者もいますので、現時点ではどうなるかは誰にもわかりません。

本当の意味での強いAIは未だに実現していない

定義にもよるのですが、今のところは本当の意味での強いAIは存在しません。
人間のレベルには到達していないからです。

とても優れたAIであっても、見当外れな間違いをするケースは未だにみられます。
また、人間はわずかなデータから新しい考え方や発想を生み出すことができるのですが、AIは大量のデータに基づかないと動作しない点に違いがあるのです。
SFの世界のようなAIは未だにありません。
自律的に思考をして自ら問題を提起して解決するという段階には達していないのです。

このようにAIは、未だに人間の知能に完全に追いついていません。
そのため、強いAIについては、未だに発展途上の分野であると考えましょう。

弱いAIの特徴や活用事例

弱いAIの特徴や活用事例

弱いAIの特徴や活用事例について紹介しましょう。

特定の分野について問題を解決できるのが弱いAI

弱いAIは、自意識を持たず、人間の知能レベルには達していないけれども、特定の問題に特化した能力を有しているものです。
人間があらかじめ設定した通りに動作して、期待した通りの成果を上げることができるものは、弱いAIといえます。

現在存在するAIはすべて弱いAI

基本的には、今あるAIはすべて弱いAIといえます。
もちろん、今のAIもかなり高度なものです。
たとえば、囲碁の場合は人間の棋士よりも強いAIが話題になっています。
部分的に見ると人間の知能を凌駕するAIが存在しているのです。

しかし、今のAIは基本的に人間が設計した通りのことしかできません。
自意識を持って、自ら問題を提起して解決するような力は有していないのです。
そのため、現在のAIはすべて弱いAIであり、強いAIは未だに存在していません。

弱いAIの活用事例は豊富にある

身の回りのAIはすべて弱いAIであり、かなり一般的なものです。

家電の中にはAIを搭載したものがたくさんあります。
例えば、冷蔵庫にデータを記録していくと、それをAIが学習して料理を提案してくれる機能などです。
洗濯物を入れると自動的に最適な推量や運転時間などを調整してくれるものもあります。

ビジネスの分野でもAIは幅広く活躍しています。
例えば、店舗に設置されたデバイスから得られたデータから顧客について分析をしてデータを提供してくれるAIがあるのです。

このように弱いAIはいろいろな分野で活躍しています。
実際に大きな成果を上げていて、導入価値があると考えている人は多いです。
積極的に弱いAIの導入を進めている企業はたくさんあります。

強いAIは実現できるのか?

強いAIは実現できるのか

現在、AIについて研究を進めている人はたくさんいます。
その中には、強いAIを実現するための研究に取り組む人も多いです。
それでは、強いAIは本当に実現できるのかといえば、はっきりしたことはまだわかりません。

今のところは特定の用途に限定したAIはとても性能が向上していて社会で活躍しています。
しかし、ある分野で素晴らしい成果を出せるAIも、別の分野についてはまったく働いてくれないのが現状です。

最近は、強いAIは汎用型AIであるという定義がよく用いられます。
これは、特定のAIがあらゆる用途に利用できるという意味です。
汎用型AIの研究は今も続けられています。

また、そもそも弱いAIでも十分な機能を発揮するのだから、それ以上のものは不要であるという声もあるのです。

研究者の中には2100年や2200年には汎用AIが誕生すると予想している人がいます。
仮に強いAIを実現できたとしても、それが社会で活躍するまでには、長い時間がかかるといえるでしょう。

強いAIと弱いAIに明確な基準は存在しない

強いAIと弱いAIに明確な基準は存在しない

そもそも強いAIと弱いAIという言葉は曖昧なものです。
あくまでも思考実験のために仮定された言葉であり、学術的なものではありません。

また、そもそもAIという言葉についても意味は曖昧です。
AIは人工知能のことですが、人間の知能についてもまだはっきりとしたことはわかっていないからです。
人間の知能が何であるのかわからないのに、AIが何であるのかはっきりとしたことはいえません。

強いAIと弱いAIは意味が曖昧なため、今では汎用型AIと特化型AIという言葉が使われることが多いです。
これからは強いAIや弱いAIという言葉はあまり使われなくなるでしょう。

まとめ

AIについてよく議論されるのが強いAIと弱いAIです。
強いAIは、人間と同じような知能を有して、自律的に思考できて、自意識を持つ存在と定義されています。
一方、弱いAIは特定の分野に特化した機能を有しているけれども、あくまでも人間の指示した通りにしか動作しないものです。

今では社会のさまざまな場所で弱いAIが活躍しています。
そして、将来的に強いAIが実現されるのかが議論となっているのです。
今のところは強いAIが実現されておらず、将来の実現可能性もはっきりしたことはわかりません。
今後のAI研究に動向に注目してみましょう。

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