データサイエンスに数学知識はどれくらい必要?必要な数学知識7選とそのレベルを紹介

データサイエンスでは、AIの機械学習やプログラミングを用いて、膨大な情報を分析したり、将来の予測をしたりします。そのデータサイエンスは、数学とセットで扱われることが多いです。
では、本当に数学が必要なのか、どういった数学的知識が必要なのかを、詳しく確認していきましょう。

データサイエンスに数学は必要不可欠

データサイエンスでは、数学が必要不可欠です。情報分析を行う際には、膨大なデータを扱います。それをひとつひとつ確認したり、分類したりすることは現実的ではありません。そのため、数学的なスキルを用いて、まとめて分析を行うのが基本です。
特に、データサイエンスの専門的職業であるデータサイエンティストは、データの中からビジネスに使える情報を、短時間で効率的に見つけ出さなければなりません。そのためには、数学が必須です。
数学的知識なしで、データサイエンティストを名乗ることはできないと考えておきましょう。

AIツールを使用するためにも数学が必要

データサイエンスで分析を行う際には、AIを始めとするツールを使用することも多いです。そのツールは、数学がベースとなっています。そのため、数学的知識がなければ、どのような原理でツールが稼働するのか、理解できないでしょう。
また、ツールが出した結果を、人が分析するパターンも多いです。その分析には当然、数学が必要です。したがって、AIツールを使いこなして、より効率的な分析を行うためにも、数学が必要不可欠だと考えておきましょう。

データサイエンスで必要となる数学の知識7選

数学は数多くの分野に分かれていますが、その全てがデータサイエンスに必要というわけではありません。一部の限られた知識さえ持っていれば、データサイエンスは問題なく実施できます。
では、どのような数学知識が必要なのか、解説していきます。

微分と積分

データサイエンスに必須となるのは、微分と積分です。
微分は、ある数値が最小になるところを求めるもので、積分は逆に最大になるところを求めます。特にAIの機械学習を使用してデータ分析を行う際に、微分が重要です。
機械学習では、データの誤差を最小に抑えるための最適化をしなければなりません。その誤差を求めるために、微分が必要です。
微分では、データの数値をグラフ化し、そのグラフに接している線の傾きで誤差を求められます。したがって、データサイエンスで機械学習を行うためには、微分が必要不可欠です。
また、積分は、確率や期待値などを求める他の計算の元となります。よって、微分と積分のどちらも、疎かにしてはいけません。

線形代数

微積分と同じように、線形代数もデータサイエンスに欠かせません。
データサイエンスにおける線形代数とは、膨大なデータを分析しやすい形に変えることです。データサイエンスで扱うデータは、コンピュータで分析することがほとんどですが、そのままの形ではコンピュータに認識させられません。そこで線形代数を用いて、コンピュータが認識しやすい形にデータを変換させます。
つまり、コンピュータを使用した分析では、線形代数が必須ということです。そして、線形代数の中でも、行列とベクトルが頻繁に使用されます。
行列とは、データを縦と横に並べる形に置き換える手法です。ベクトルでは、座標を元にした矢印でデータを表します。

確率統計

一般的に使用されることが多い確率統計も、データサイエンスでは必須です。
確率は、膨大なデータの中で、何らかのものごとが発生する割合を数値で示すことを指します。そして、確率を元に、データの性質を把握したり、分類したりするのが統計です。
データの性質把握や分類は、データサイエンスの基礎なので、確率統計が理解できなければデータサイエンスを理解することも難しいでしょう。
また、データサイエンスは、過去のデータを元にして将来予測を行うことが多いですが、その際にも確率統計が必須です。

数理最適化

データサイエンスでは、膨大なデータと何らかの条件を組み合わせて、結果を出します。そして、最適な結果を出すのが、数理最適化です。
ビジネスで最も大きな利益を得たり、最も効率的に人材を運用したりする際には、最適化によって作成したモデルが必要となります。データサイエンスでは、AIの機械学習でも最適化を行いますが、数理最適化とは別物です。
データを元に純粋な予測だけを行うのが機械学習による最適化で、予測を元に何かを決定するのが数理最適化です。それぞれ異なる性質を持っていますが、繋がりがあるため、データサイエンスで同時に用いられることも珍しくありません。

ベイズ統計

統計学の一種ですが、他の統計とは違い、データが不足していても確率を予測することができます。
データサイエンスでは、データが不十分なまま分析を行うことが珍しくありません。そのため、ベイズ統計が必要になる場面は多いです。ベイズ統計が、データサイエンスに必要な数学的基礎科目として扱われることもあります。

フーリエ解析

フーリエ解析は、複雑な関数を周波数に分解して、わかりやすい形に変換することです。
データサイエンスでは、主にスペクトル解析に使用されます。スペクトル解析とは、周波数を参考に、データの性質を把握することです。分析に使用する膨大なデータの中から必要情報だけを抜き出し、その性質を確認することができます。
フーリエ解析、スペクトル解析を使いこなせれば、データサイエンスの分析がしやすくなります。

ラプラス変換

フーリエ解析と同じように、複雑な関数を別の形に置き換えるのがラプラス変換です。
周波数とは違う別の関数に変換させるのが基本ですが、活用すると分析が容易になります。フーリエ解析と性質が似ているため、データサイエンスではラプラス変換とフーリエ解析を使い分けることも多いです。

データサイエンスに求められる数学レベルとは

データサイエンスで求められる数学のレベルは、種類によって異なります。
情報分析に使用するAIを開発するような、高度な作業をする場合は、大学の専門課程レベルの数学が必要です。
それに対して、AIツールをただ使用して分析するなど、簡単な作業であれば、大学未満の数学レベルでも問題ないかもしれません。

統計検定2級が基準

データサイエンスに関する有名な資格には、統計検定というものがあります。
統計検定は4級から1級に分かれていますが、その内2級が、データサイエンスの最低基準となることが多いです。一般的に2級に合格できれば、仕事で使えるレベルとされているからです。
統計検定2級の問題を解いて、ただ合格するだけであれば、高校レベルの数学でも不可能ではありません。しかし、データサイエンスでは、問題を解くだけでなく、仕組みを理解する必要があります。

したがって、データサイエンスの仕事では、高校よりも高い、大学教養課程レベルの数学的知識は必要不可欠だと考えておくと良いです。高校数学レベルの問題を、なんとか解けるようでは厳しいでしょう。
特にデータサイエンスの基礎となる、微分と積分、線形代数、確率統計に関しては、大学レベルであることが必須です。その3つの内ひとつでもレベルが低いと、データサイエンスの質が大幅に下がってしまうでしょう。

データサイエンスには数学の勉強が必須

データサイエンスは、ただ情報を扱うだけなので、数学は必要ないと思っている人がいるかもしれません。しかし、データサイエンスにおいて、数学は必要不可欠です。数学なしでは、データサイエンスは行えません。特に基本となる微積分と線形代数は、大学レベルが求められます。
したがって、データサイエンス関連の仕事に就こうと考えている人は、必要な数学について、しっかり勉強しておきましょう。

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