「CADを使って設計作業を効率化したいけれど、複雑な操作に時間を取られてしまう」「自分がよく使う機能をもっと自動化できれば良いのに」と思う方は多いでしょう。
そこでAPIを活用すれば、繰り返し作業を自動化したり、図面やモデルを一括編集したり、他のシステムと連携してデータをスムーズに扱えるようになります。
そこで本記事では、CAD APIの基本から種類、できること、主要ソフト別の対応状況、選び方のポイント、言語別の始め方までを解説します。
CAD APIとは?

CADのAPIとは、CADソフトウェアをプログラムから操作・拡張するための窓口です。簡単に言えば、CADソフトに対して「ここをこう動かしてほしい」と外部から命令を出すための仕組みです。
通常、CADは人間がコマンドを実行して図面やモデルを作成しますが、APIを使うとプログラミング言語を通じてCADの機能にアクセスできます。その結果、自動化やカスタマイズが可能になり、繰り返し作業をコンピュータに任せたり、標準機能にないオリジナルの機能を追加したりできるのです。
APIの種類
一口にAPIと言っても、提供形態や通信方法によっていくつかの種類があります。代表的なのが以下の種類です。
| 種類 | 概要 | 特徴 | 利用シーン |
|---|---|---|---|
| REST API | Webの原則に則ったシンプルなAPI |
| クラウド型CADでの図面データやモデルへのアクセス・操作 |
| SOAP API | XMLベースに定義されたプロトコル |
| 企業内の古いCAD連携システムやPLMシステムでの利用 |
| ローカルAPI | ネットワークを介さず、ソフトウェアに内蔵されたカスタマイズ用API |
| AutoCADのAutoLISP、VBA、.NETライブラリなどによるCAD本体の直接操作・拡張 |
外部システムと通信するタイプのAPIと、ソフト内部を直接操作するタイプのAPIが存在します。用途に応じて使い分けられるよう、基本的な違いは押さえておきましょう。
CAD APIでできること

CAD APIを使うことで、以下4つのことができるようになります。
- 作業の自動化
- 図面やモデルの一括編集
- 他のシステムとの連携
- オリジナル機能の追加
①作業の自動化
CAD APIの魅力は、決まった手順の繰り返し作業を自動化できる点です。例えば、AutoCADで毎回必要なレイヤー設定や図枠配置をAPIでスクリプト化すれば、ワンクリックで一瞬に完了できます。
また、SOLIDWORKSのAPIでも部品作成や図面編集の自動化で、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減に。設計者は単純作業に時間を取られず、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
②図面やモデルの一括編集
CAD APIは、大量の図面や3Dモデルをまとめて処理したいときにおすすめです。条件に合う要素を一括で検索・変更したり、複数ファイルにわたって寸法や注記を一度に修正することが可能です。
手作業では時間も労力もかかる作業が、APIを利用することで短時間かつ正確に完了します。特に設計変更で多数の図面を修正しなければならない場面では、CAD APIを利用すればより効果を期待できるでしょう。
③他のシステムとの連携
CAD APIは、設計データを他のシステムとつなぐ役割も果たします。例えば、部品リストや図面情報を外部の表計算ソフトや管理システムに自動で送信したり、その逆に外部データからCAD内の要素を自動生成することが可能です。
つまり、設計と生産管理、在庫管理などがリアルタイムで連携し、業務全体の効率化につながります。APIはCADを単体で使うのではなく、組織全体のシステムと橋渡しする重要な仕組みなのです。
④オリジナル機能の追加
CAD APIを使えば、既存のソフト機能に加えてオリジナルの機能を作り込むことができます。標準コマンドでは対応できない作業を独自のプログラムとして実装すれば、操作を簡単にしたり、チェック機能を追加することも可能です。
頻繁に行う手順をまとめてワンクリックで実行できるようにすれば効率が上がり、自社独自のルールやフローに適した環境を構築できます。CADを「自分仕様」に育てられるのがAPI活用の魅力です。
主要CAD別API対応一覧表
https://www.youtube.com/watch?v=abfEWtMKRV4
主要なCADソフトがそれぞれどのようなAPIを提供しているかを一覧で見てみましょう。CADごとに使える言語や仕組みが異なりますので、自分の使っているソフトにどんな選択肢があるか把握しておくことが大切です。
| CADソフト | 提供されるAPI・仕組み | 対応言語 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| AutoCAD |
|
| AutoLISPは簡易自動化、COMは外部アプリ連携、.NETは本格的なプラグイン開発、ObjectARXは高度なカスタマイズに対応 |
| SOLIDWORKS |
|
| マクロから本格的なアドイン開発まで対応可能。Visual Studioを用いた拡張も可能で幅広い言語をサポート |
| Autodesk Fusion |
|
| 専用メニューからスクリプト・アドインを管理。クラウド型のため外部Webサービスとの連携も強化されている |
| Revit |
|
| BIM特化のAPIで、主にC#が利用される。Dynamoで簡易処理も可能だが高度なカスタマイズは.NET APIが中心 |
| CATIA |
|
| マクロで簡易自動化が可能。CAAを使えば大規模なカスタマイズも可能だが、専用環境やライセンスが必要でハードルは高い |
上記以外にも、例えばAutodesk InventorはVBA・.NETに対応、CreoやNXといったハイエンド機械CADもそれぞれ独自のAPIフレームワークを提供しています。
重要なのは、自分の使うCADにどんなAPI手段があるか把握し、適切なものを選ぶことです。次章ではその「選び方」の観点を説明します。
CAD APIの選び方

CAD APIを使おうと決めたら、どのAPI手法・言語で実装するか選択する必要があります。ここでは3つの選び方を解説します。
- 使える言語かどうか
- やりたいことができるのか
- 長期的に利用できるのか
①使える言語かどうか
CADのAPIを選ぶときにまず大切なのは「自分が扱えるプログラミング言語かどうか」です。もし、Excelのマクロを少し触ったことがあるなら、その延長で使えるAPIを選べば学習がスムーズに進みますし、普段Pythonに慣れている人ならPythonで扱えるAPIを選ぶと負担が減ります。
プログラミング言語ごとに書き方や難しさは異なり、簡単に始められるものもあれば専門的な知識が必要に。自分やチームのスキルに合った言語を選ぶことが大切です。
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②やりたいことができるのか
次に考えるべきは、自分が自動化や拡張したい作業が本当にそのAPIで実現できるかどうかです。APIには触れる範囲が決まっており、できることとできないことが存在します。
例えば「寸法の取得はできても追加はできない」といった制限がある場合もありますし、2D向けAPIと3D向けAPIでは機能が異なります。せっかく時間をかけても実現できないと無駄になるため、事前に公式の説明書やユーザーコミュニティで確認しておくことが重要です。
③長期的に利用できるのか
最後は、そのAPIが将来にわたって安心して使えるかどうかという点です。ソフトの世界は進化が早く、ある時期には使えていたAPIが突然サポート終了になることも。過去には使えた言語が廃止され、別の言語に切り替えられた例もあるため、古い仕組みに依存すると数年後に動かなくなるリスクがあります。
逆に今後もベンダーが更新を続けているAPIを選べば、安心して長く使えるだけでなく新しい機能追加にも期待できます。選ぶときは「最新バージョンでも対応しているか」「公式がアップデートを続けているか」を確認することが大切です。
CAD APIの言語別の始め方

ここでは例としてAutoCADの場合とAutodesk Fusionの場合について、利用言語ごとの始め方のポイントを紹介します。
- AutoCAD
- Autodesk Fusion
①AutoCAD
AutoCADは、LISP・VBA・.NETから始めることができます。
AutoLISPから始める場合
AutoLISPはAutoCADに標準搭載されているスクリプト言語で、特別な準備をしなくてもすぐに利用できるのが魅力です。エディタを起動してコードを書き込み、実行するだけで、繰り返し作業や単純な操作を自動化できます。
文法はやや独特で括弧が多いため最初は戸惑うかもしれませんが、慣れると簡単な処理を効率化できます。
まずは公式のリファレンスを見ながら短いコードを写して実行してみるのがおすすめで、試行錯誤することで少しずつ理解が深まります。
VBAから始める場合
VBAはOfficeのマクロと同じVisual Basic言語を使ってAutoCADを操作する方法で、Excelなどに慣れている人には始めやすいです。インストールが必要ですが、設定が終わればAutoCAD内でエディタを開いてマクロを書き込むだけで作業を自動化できます。
図形データをExcelに出力したり、Excel側からAutoCADを動かすといった連携も可能で、業務全体の効率化になるでしょう。
.NETから始める場合
.NET APIはより高度な拡張や独自コマンドの追加に利用され、Visual Studioでプロジェクトを作成して開発を行います。開発環境の構築や言語の習得が必要なため初心者には少しハードルが高いですが、その分柔軟かつ機能追加が可能です。
完成したDLLをAutoCADに読み込めば、自分で作ったコマンドを実際に利用できます。大規模な開発や業務システムへの組み込みを想定する場合には最適な方法であり、公式チュートリアルやサンプルを活用してみましょう。
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Autodesk Fusion
Autodesk FusionはPython・JavaScriptで始めることができます。
Pythonで始める場合
Autodesk Fusionは標準でPythonスクリプトを実行できる環境を備えており、すぐに使い始められるのがメリットです。ソフト内のメニューからスクリプト作成画面を開くとテンプレートが用意されており、コードを書き込んで実行ボタンを押すだけで動作を確認できます。
最初は簡単な自動生成や寸法調整などを試すと理解しやすく、慣れてきたら外部エディタを併用してみましょう。
JavaScriptで始める場合
かつてAutodesk FusionではJavaScriptによるAPI開発も可能でしたが、現在は廃止されており新規で利用することはできません。過去に書かれたアドインを使う際には移行作業が必要で、多くの場合PythonかC++に書き換えることが推奨されています。
これから学ぶ方は迷わずPythonを選ぶのが最適であり、最新の機能やサポートを受けられる点でも安心です。
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MCPでCAD APIを操作する方法

MCPでCAD APIを操作する方法は難しく感じるかもしれませんが、流れを押さえればシンプルです。基本的には「会話で指示→MCPが指示を翻訳→CAD APIに渡す→実行結果を返す」というステップで進みます。
例えば「図面をA3に変更してタイトルを試作に」と伝えると、MCPはその言葉を必要な引数に変換し、CAD APIに実行させ、結果やログを返してくれる仕組みです。自然な言葉でCADの自動化を呼び出せるようになり、作業効率と安全性を両立できます。
流れは以下のとおりです。
- 自然な言葉でChatGPTなどに指示
- 入力を検証し、許可したツールに変換して実行
- AutoCADやFusionなどのスクリプトやアドインを動かす
- 完了報告やエラー内容がチャットに返る
MCPを利用するメリットは、コマンドやマクロを覚えなくても会話で操作できる点です。こうすることで、従来は複雑で専門知識が必要だったCAD API操作が、現場の設計者でも直感的に使えるものに変わります。
MCPについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
CAD APIについてのまとめ
CAD APIは、単純作業を自動化したり、大量の図面やモデルを効率的に編集したり、自社独自のオリジナル機能を追加できる仕組みです。
自分の扱えるプログラミング言語や実現したい処理内容、長期的に使えるかどうかを考えて選択すれば、作業効率の改善はもちろん、品質向上や業務全体の最適化もできるでしょう。いきなり全てを自動化しようとするわけではなく、まずは小さな自動化から始め、少しずつ応用を広げていくことが重要です。






