E資格は、ディープラーニングを始めとした、AIに関する知識を持っていることを証明できる資格です。AIエンジニアの中には、E資格を保有している人は少なくありません。
ただ、E資格は取得しても意味がないといわれることが多いです。
今回はなぜそのようなことを言われているのかや、E資格は本当に意味がないのかをE資格のメリットと共に解説していきます。
まず「E資格」とは?
E資格に意味がないのか解説する前に、簡単にE資格の概要を説明します。
E資格はAIエンジニアとしての知識を問われる検定で、合格するとAIエンジニアやデータサイエンティストなどディープラーニングを利用した知識が豊富にあると証明できる資格です。
まず、受験するにはJDLAに認定された講座を必ず受講する必要があります。
JDLAとは、一般財団法人ディープラーニング協会のことです。
認定された講座は、JDLAより公式に認められた独自のカリキュラムとなっています。
認定プログラム毎の内容は、基本的にはどの事業者も最新のシラバスに準拠しております。
ただし、認定プログラム修了の基準の有無や、教材の質や量、講師の教え方、講座を修了するのに必要な時間などが異なります。詳細は、各認定プログラムのサイトなどで確認しましょう。
受講する認定プログラムが決まったら学習を開始します。試験内容は以下です。
- 数学的基礎
- 機械学習
- 深層学習(ディープラーニング)の基礎分野
- 深層学習の応用分野
- 開発・運用環境
E資格は、範囲が非常に広いため、しっかりと学習時間を取る必要があります。
受けるのにも手間がかかるE資格ですが、そのE資格はなぜ意味がないと言われているのでしょうか。
E資格は意味がないと言われる4つの理由
E資格は色々な理由で「取得する意味がないのでは」と言う噂が立ってしまっています。
しかし、いずれも限定的な意見なので、特定の人にとって意味がないだけあり、E資格の習得が自分のステータスになるのは間違いないので、E資格の意味を客観視しておくことが大事です。
E資格の意味がないと言われる理由を順番にみていきましょう。
1.E資格は限定的な資格である
E資格が意味ないと言われる理由として大きいのは、E資格がAI分野に限定した資格であることです。ITエンジニアに関する資格は数多くありますが、ITに関する全般的な知識や技術に関する内容になっているものが少なくありません。
それに対して、E資格はあくまでも、機械学習やディープラーニングといった、AIに関する内容のみに絞り込んであります。そのため、IT業界の幅広い分野で活躍したいと考えている人や、AIに興味はあるけれども、AI関連の仕事に就くとは限らないという人からは、取得する意味がないと言われがちです。
確かにE資格はAIに限定した資格であるため、他の分野では知識や技術を最大限に活かすことができませんが、最初からAI業界で働くことを考えて取得するのであれば、十分意味はあります。
2.E資格は難易度が高い
そして、E資格は難易度が高いAI分野に限定した資格のため、誰でも合格できるというわけではありません。E資格を取得するためには、ある程度の勉強時間がかかり、セミナーに通うのであれば費用がかかります。
そういった点で、取得できなかった方から、勉強時間やセミナー費用が無駄になってしまったという理由で取得を目指す意味がなかったという意見もあります。
しかし、勉強する時間やセミナーの費用に関しても、無駄になるとは限りません。
E資格は、取得していれば、就職面接の際に、AIに関する高い技術力や豊富な知識を持っていることをアピールできます。そうして、高度な技術や知識を必要とする仕事に就くことができれば、年収も上がるでしょう。
さらに、E資格に対して手当を出している企業もあるため、資格を持っているだけで収入アップも見込めます。E資格のおかげで収入が増加すれば、勉強の時間やセミナーの費用も初期投資だったということになり、将来を考えると無駄にはなりません。
E資格の難易度に関しては、以下の記事でも解説しています。
3.比較的新しい資格のため認知度が低い
さらに、E資格は比較的新しい資格なのでステータスになりにくいため、取得する意味がないと言われることもあります。
しかし、E資格の知名度は広まりつつあり、IT業界で取得が推奨されることも珍しくありません。
その上、将来的に知名度がより高まることも十分考えられます。
そのため、ステータスの面で考えても、E資格を取得する意味はあると言えます。
4.G検定とイメージが似ている
また、AIに関する代表的な資格には、E資格の他にG検定というものがあります。
AIに関する技術を、ビジネスに活かすことを前提とした検定です。
E資格とG検定で範囲がまとまっていているため、他の資格や検定とは組み合わせられないため、あまり取得する意味がないと言われることも珍しくありません。
ただ、E資格を取得するためには、AIに関するひと通りの知識や技術を身に付けなければなりません。そして、その知識と技術は、G検定以外のAI資格取得に活かすことも可能です。
したがって、完全に無意味というわけではありません。
G検定はE資格より難易度が低く、AIの知識を満遍なく試す検定になります。
E資格よりG検定に興味を持った人はこちらの記事も参考にしてください。
E資格取得の8つのメリット
それでは「意味がない」と言われてるE資格にメリットはあるのかを調査してみました!
E資格に意味を感じたい方はぜひこちらのメリットを参考にしてください。
1.E資格はAIの仕事で有利になりやすい
実はE資格を保有しているとIT業界のAI分野で活躍できる可能性が高くなります。
IT業界では、自分のやりたい仕事が必ずできるとは限りません。
もしやりたいAI関係の仕事に立候補したとしても、その仕事には高いAIの能力が必要であれば実績がないと拒否されてしまうでしょう。
そこで、AIエンジニアのステータスとして活用できるのがE資格です。
E資格は、AIに関するひと通りの知識と技術を持っていることの証明となります。
そして、資格試験は決して簡単ではないため、E資格を持っているということは、難しい試験に合格したということです。そのため、特にIT業界での実績がなくても、E資格を持っていれば、重要なAI関係の仕事を任されやすくなるでしょう。
さらにE資格を持っているということは、AIに関する探究心を証明することになるため、やる気のアピールに繋がります。やりたい仕事を任せてもらえる可能性が高くなるので、E資格を取得する大きな意味となります。
2.AIエンジニアとしての質を高められる
E資格は、「AIについてあまり詳しくはないけどAI分野で働きたい」という人にとってもメリットがあります。
E資格の試験では、主にAIの基本である機械学習とディープラーニングについて問われます。
そのため、E資格を取得するためには、機械学習とディープラーニングを学習することになります。
したがって、E資格の資格取得を目指せば、AIに関する基礎の知識や技術が自然と身に付いていきます。その上でE資格の試験に合格すれば、知識と技術を持っている上に、それを証明する資格も手に入るという、一石二鳥となります。
AIに関する勉強は特にゴールがないのでモチベーションが維持しにくいです。しかし、E資格を取得するなら試験の合格がゴールとなるので勉強のモチベーションも維持しやすいです。
E資格の取得には、希望する仕事に就きやすくなったり、収入が増加する可能性が高まったりするといった明確なメリットがいくつもあります。
そのメリットが得られるというということで、勉強もしやすいでしょう。
3.独自のコミュニティに参加できる
E資格は、JDLAという協会が作った資格です。
そして、JDLAは様々なコミュニティを提供していて、AI分野に携わる専門家が色々な交流をすることができます。
そのコミュニティの中には、E資格を持っている人のみが参加できるものがあります。
試験に合格できるほどの高い能力を持った人の集まりで、仕事に関する情報交換や、勉強会などが行われています。E資格を取得してそのコミュニティに参加することができれば、新しい技術や知識を取り入れたり、上級者の指導を受けたりして、ITエンジニアとしての能力を高められます。
IT業界は常に新しい技術が登場するので、業界で働くためには、上を目指し続ける必要があります。何かの資格を取得したからといって、そこで安心してはいけません。
その点E資格は、資格取得後のことを見据えて、コミュニティが用意してあります。
そのため、E資格取得をきっかけに、業界で活躍し続けられる人材を目指すことも不可能ではないです。
また、人脈を作ることもできるので、新しい仕事を紹介してもらえたり、一緒に働く仲間を見つけられる可能性もあります。そのように、資格そのものだけでなく、資格をきっかけにした様々なメリットの恩恵が受けられるのが、E資格の魅力です。
4.AIやプログラミングの講師になりやすい
AIやプログラミング系の講師になりたいと思っている人はE資格を取る意味があります。
教師や講師の面接の際にも、E資格を持っていることを履歴書に書くと良いでしょう。
E資格を持っていることでAIの知識やプログラミングの知識があることは保証できるので、面接もスムーズに行きやすいです。将来いつか講師や教師になることも考えたい人には特におすすめでしょう。
5.他のエンジニアと差をつけることができる
E資格を持っているエンジニアと持っていないエンジニアとでは、知識の差があると見られてしまうこともあります。他のエンジニアと差別化をはかりたい、優秀なエンジニアであると証明したいという人はE資格を取得する意味があるでしょう。
特に大手企業でグループ面接が開催されるようなところでは、E資格が1つのポイントになりますね。
実際にE資格で転職できるかどうか気になる方は下記記事も参考にしてください。
6.高収入やキャリアアップが期待できる
E資格を取得することで、AI関連業務における専門性をアピールでき、企業内での昇進や評価につながりやすくなります。特に、AIエンジニアやデータサイエンティストなどの高度なスキルを必要とする職種では、資格を保有していることが、給与交渉や役職への推薦を受ける際の大きな武器となります。
また、AIに関するプロジェクトを担当する機会が増えるため、実績を積み上げることでさらなるキャリアアップの道が開けます。さらに、企業によっては資格取得者に対する手当や奨励金制度を設けている場合もあり、短期的にも経済的なメリットを得ることが可能です。
7.AI技術の学習基盤を構築できる
E資格の取得を目指す過程では、機械学習やディープラーニングといったAIの基礎的な知識を徹底的に学習します。この知識は、AI技術が進化する中で新たに登場する手法やツールを理解する際の強力な土台となります。
例えば、トランスフォーマーモデルのような最新技術も、E資格で学ぶ基礎があれば容易にキャッチアップできます。また、資格試験の範囲が幅広いため、関連分野との知識の結びつきが深まり、AIを活用した実践的なソリューションを提案・構築する力が養われます。こうしたスキルは、業界での長期的な競争力を確保するうえで非常に有益です。
8.グローバルな市場での競争力を高められる
AI技術は世界中で需要が急速に高まっており、E資格を取得していることは、国際的なビジネスシーンにおいても高い評価を得られます。特に、多国籍企業やグローバルプロジェクトにおいて、AI技術の専門性を持つ人材は引く手数多です。
E資格で得た知識やスキルは、海外の最新動向や技術革新に即応する能力として認識され、他国の専門家やチームとの連携を円滑に進める際にも役立ちます。さらに、グローバル市場では資格保有者に対する待遇やポジションが手厚いことも多く、E資格がその信頼性を証明する鍵となります。このように、E資格は国境を越えたキャリア形成において強力な武器となるのです。
E資格は自分には意味がある?ない?
ここでは、自分はE資格を取得する意味があるのか、または意味がないのか、診断できる項目を紹介します。
E資格を取得しておくと良い人
E資格を取るといい人は以下です。
- AIエンジニアやAIのデータサイエンティスト系に転職をしたい
- 将来高給だったり、需要が高い仕事に就きたい
- AIエンジニアとして優秀であるという証明が欲しい
- AIエンジニア系の面接や面談で優位になりたい
- AIに関する最新の知識を技術的な観点からしっかりと理解したい
こういった方々にはE資格を取得する意味はあると言えるでしょう。
特に、E資格は最新のAI技術とその手法を網羅的に学ぶことができます。
また、機械学習の基礎をしっかりと理解することができるので、一度しっかり学んでおくことで、今後新しい技術が登場しても、学習したことのない人に比べて格段に理解するのが早くなります。
E資格を取得しても意味のない人
反対にE資格を取得する意味がない人はこんな人です。
- AIエンジニアやデータサイエンティストの仕事を続けようと思っていない人
- 昇給や高給な仕事に興味がない人
- 今後一切転職をする気がない人
- AIに興味がない人
このような人はE資格を取得してもそこまで意味はないでしょう。
また、なんと言っても一番大切なのが、AIに強い興味があるかどうかに尽きると思います。
資格取得後も学ぶことは沢山あるため、長期的なモチベーションがないと学習を続けていくのは難しいでしょう。
E資格が役立つ職種・仕事
次に、E資格が役に立つ職種や仕事について解説していきます。
E資格を役立てたいと思っている人は参考にしてください。
- AIエンジニア
- AI開発のプロデューサー・ディレクター
- データアナリスト
- データサイエンティスト
- AWSエンジニア
このような職種に就いている人や、こういった職業に憧れている方にE資格の取得はとてもおすすめです。面接や面談、書類審査でも活躍する資格なので、事前に取得しておくのが良いでしょう。
また、AI業界に関わらず他業界のプログラマーにとってもおすすめの資格です。
昨今、課題を解決するためには技術を複合的に扱えるようになる必要があり、特に既存システムへのAIの導入は今後も加速していくことが考えられます。
自身の業界のプログラミングスキルに追加する形でAI実装に関わるスキルを身に付けておくことで、課題解決を推進していく中心人物になることができるでしょう。
E資格取得には「E資格対策ディープラーニング短期集中講座」
E資格を取得するためには、試験日に合わせて効率的に学習を進める必要があるため、講座を受講して学習するのがおすすめです。
ここでは、E資格を取得する際に便利な講座を紹介します。
E資格対策ディープラーニング短期集中講座
E資格対策ディープラーニング 短期集中講座は、AI研究所が提供するE資格取得を目指す人向けの講座です。
E資格試験合格に必要になる、数学基礎知識やディープラーニング基礎、プログラミング基礎などを短期間で学べるカリキュラムが組まれています。本講座は、
- 会場受講
- ライブウェビナー
- eラーニング
3つの受講形式から選ぶことができます。
会場受講は、講師から対面で指導を受け、4日間でE資格合格レベルに到達できるというものです。まずは2日間のセミナーでAI全般の基礎知識、3日目に最新AI知識を身につける、4日目で応用的な知識を学ぶ内容となっています。
修了率99%以上のセミナーなので、未経験の人でも最後まで安心して学習を進められます。
近くに会場がないという人に便利なのが、ライブウェビナーです。
場所を選ばず、どこでもオンライン上で講師に質問しながら学習できます。
自分のペースでじっくり学習したい人にはeラーニングがおすすめです。
申し込み後1年間は、いつでも会場受講と同等内容の動画を視聴できるので、忙しい人も無理なく続けられます。
E資格は意味がない?まとめ
E資格を取得する意味がないと言われる理由は、資格を取得するための明確な目的を持っていなかったり、E資格についてあまり詳しく知らない人が多いからです。
確かにAI分野で働かない人にとっては、無意味になる恐れはあります。
しかしAI分野で働くのであればE資格はとても魅力的なメリットが数多くあるので、ぜひこの機会にE資格の取得を考えてみてください。
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