ウェブサイトの手軽さと、アプリのような使い心地を両立させるPWA。Googleが2015年に発表し、2018年ごろエンジニアの間で話題となった新しい技術ですが、一方で「実際には普及していない」という声も耳にします。
この記事では、PWAについてわかりやすく解説します。「流行らない」といわれる理由、インストールとアンインストール方法まで幅広くお伝えするので、PWAについて知りたい方はぜひ参考にしてください。
PWAとは?
PWA(プログレッシブウェブアプリ)とは、ウェブの技術(HTML・CSS・JavaScriptなど)を使って作られたアプリのことです。
PWAは、「ウェブサイト」と「アプリ」の良いところを組み合わせているため、AppleのApp StoreやGoogleのPlayストアを経由せずに、Webサイトから直接インストールできます。
ウェブの技術の一つであるJavaScriptは、ポップアップ表示など、ページで動的な動きを実現するプログラミング言語です。JavaScriptについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご一読ください。
PWAの仕組み
PWAは、「App Shell(アプリの骨組み)」という仕組みを採用しています。これは、以下の手順でウェブサイトの基本デザイン(ヘッダー、メニューなどのユーザーインターフェース)を先に利用者の端末に保存しておく技術です。
- 初回アクセスでアプリの基本デザインを保存
- 次回以降、インターネット接続なしで保存した骨組みを表示
- 表示後、ニュースなどの必要な情報だけを後からサーバーから取得
この仕組みにより、まるでネイティブアプリのように待ち時間なく画面が立ち上がり、ユーザーはストレスなく操作を開始できます。
PWAを支える構成要素
PWAは、「サービスワーカー」と「ウェブアプリマニフェスト」という二つの要素によって支えられています。
サービスワーカー
サービスワーカーとは、ウェブサイトとインターネット間を仲介するシステムです。プッシュ通知やバックグラウンドでのデータ更新といった、ネイティブアプリらしい高度な機能も搭載しています。
ウェブアプリマニフェスト
ウェブアプリマニフェストは、PWAをスマートフォンアプリとして認識させるファイルです。アプリ名、アイコン画像、画面の色など、ホーム画面に追加する情報をブラウザに伝え、完全にアプリのような見た目で利用できます。
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PWA登場の背景

PWAが登場した背景には、以下の2つの理由があります。
ウェブサイトが抱えていた制約
PWAが登場する前、スマートフォンにはウェブサイトをホーム画面に追加できる「ホーム画面に追加」機能がありました。
しかし、これは見た目はアプリのようでも、実際にはブラウザ上で動作するウェブサイトへのショートカットにすぎません。そのため、インターネット接続がないと使えず、通知の送信やカメラ・GPSなど端末機能との連携もできないという制約がありました。
ネイティブアプリが抱えていた問題
一方で、App StoreやGoogle Playからダウンロードするネイティブアプリは、コストや人的負担が大きいという問題がありました。例えば、新しい機能をリリースする場合、OSごと(iOS版、Android版)に開発しなければいけません。
また、OS側で仕様が変わったようなときは両方のアプリで修正対応するといった手間があったのです。こうした「ウェブの機能的な限界」と「アプリ開発の負担」を同時に解決するために誕生したのがPWAなのです。
PWAを導入するメリット

続いて、PWAを導入する具体的なメリットを見てみましょう。
インストール不要でアプリのように使える
PWAはアプリストアを経由せず、Webサイトからそのままホーム画面に追加できます。面倒なダウンロードや会員登録がいらないため、新規ユーザーが利用しやすい点もメリットです。
オフラインでも安心して利用できる
PWAは、一度開いたページを端末に保存し、ネットがなくても閲覧できます。電波が弱い場所でも、カタログを見たり記事を読んだりできるのは、PWAならではの魅力です。
どのような端末でも同じように動く
PWAはブラウザ上で動作するため、iPhoneでもAndroidでも、ほぼ同じ体験を提供できます。OSごとに別のアプリをつくる必要がないので、開発や更新の手間を大幅に減らせます。
端末の機能と連携できる
最近のブラウザでは、プッシュ通知やカメラ・位置情報との連携も可能になっています。これにより、ユーザーにタイムリーな情報を届けたり、体験型コンテンツを提供したりと、使い方の幅が広がります。
Google検索にも対応できる
PWAはWebサイトとしてGoogleなどにインデックスされるため、企業側は検索経由のユーザー流入も期待できます。「アプリストアは埋もれがち」「発見されにくい」というアプリの弱点を克服できます。
PWAが流行らないといわれる理由

PWAは多くのメリットを持つ一方で、「思ったほど普及しない」「話題の割に見かけない」といった声も聞かれます。ここでは、PWAが「流行らない」といわれる理由について解説します。
iOSでは一部機能が制限される
Appleは自社のアプリストア経由での利用を重視しているため、iOS環境ではいくつもの利用制限があります。例えば、「通知が届かない」「動作が安定しない」といった制限です。
一方、Androidでは多くの機能を活用できるため、iPhoneなどのiOSユーザーから「使えない=流行らない」という先入観が定着したと推測されます。
iOSの2025年最新対応状況
2023年3月に公開されたiOS 16.4から、SafariでもWebプッシュ通知が利用できるようになりました。ただし、プッシュ通知が機能するのはホーム画面に追加したPWAのみで、Safariのブラウザ上では動作しません。
また、2024年にAppleは、iOS 17.4でEUのデジタル市場法(DMA)遵守のためPWA廃止を予定していましたが、批判を受けて計画の中止を正式に発表しました。これにより、iOSでのPWAサポートは継続されることが確定しています。
古い端末やブラウザでは不安定
PWAは、比較的新しいWebブラウザの技術(API)に依存しているため、以下のような環境では不具合が発生する可能性があります。
- 古いスマートフォン
- 古いバージョンのデバイス
- PWAの機能を完全にサポートしていない
一般のユーザーにとっても動作の不安定さは不便ですが、業務でPWAを利用する場合、「業務の遅延・ミス」といった事態になりかねないためさらに深刻度は高まります。
こうした利用環境の差によって生じる安定性の懸念が、PWAが「流行らない」と言われる理由と推察されます。
アプリストア経由の集客ができない
PWAはApp StoreやGoogle Playなどのアプリストアに登録されません。そのため、企業や開発者が自ら情報を発信し、利用者を呼び込む必要があります。ストア経由でアプリを探す習慣が根強い日本では、この「発見されにくさ」が広がりを妨げている要因になっています。
PWAの成功は、アプリストアに頼らないウェブ集客が重要です。ウェブ集客の成否を握るマーケティングでは、近年生成AIの活用が進んでいます。詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひこちらもご参照ください。
PWAのインストールとアンインストール
続いて、スマートフォン・パソコンそれぞれのインストール方法と、アンインストール(削除)の手順を紹介します。
インストール方法
PWAは、通常のアプリと同じようにホーム画面に追加して使うことができます。ただし、利用している端末やブラウザーによって、追加の手順が少し異なります。
ここでは、スマートフォン(iOS/Android)とパソコン、それぞれのインストール方法を見ていきましょう。
スマートフォン(iOS)
- Safariで対象のサイトを開く
- 画面下の共有ボタンをタップ
- 「ホーム画面に追加」を選択
- 確認画面で「追加」をタップ
スマートフォン(Android)
- Chromeでサイトを開く
- 縦三点リーダをタップ
- 「アプリをインストール」または「ホーム画面に追加」を選択
- 確認画面で「インストール」をタップ
パソコン(Chrome/Edge)
- 対象サイトを開く
- アドレスバーにインストールアイコンが表示
- このアイコンをクリック
- 確認画面で「インストール」をクリック
インストールが完了すると、通常のアプリと同じようにホーム画面やアプリ一覧からアクセスできるようになります。
アンインストール方法
PWAを削除したい場合、一般的なアプリと同じ方法でアンインストールできます。それでは、端末ごとの手順を確認してみましょう。
スマートフォン
- iOS:アイコンを長押しし、「Appを削除」を選択
- Android:アイコンを長押しして「アンインストール」へドラッグ
パソコン
- 起動中のPWAのメニューから「アンインストール」を選択
- または、以下のURLから一覧を開いて削除
Edge:edge://apps
PWAの成功事例

最後に、PWAを導入した企業の成功事例をご紹介しましょう。まずは、事例の概要をまとめた一覧表からご確認ください。
| 企業名 | 課題点 | 成果 |
| SUUMO | Web読み込み遅延、離脱 | 読み込み75%短縮、開封率31% |
| Alibaba.com | アプリDL手間による離脱 | CV76%増加、リピート4倍向上 |
| 日本経済新聞 電子版 | モバイル表示遅延 | CV58%増加、トラフィック2.3倍増 |
SUUMO
PWAは、賃貸情報サイトで知られる「SUUMO」にも導入されています。
ウェブサイトの低速動作とユーザー離脱が課題
同社は、ウェブサイトの読み込みが遅く、ユーザーがすぐに離脱してしまうことが課題でした。モバイルアプリのような快適さをウェブ上で再現できず、直帰率の高さやユーザーの定着率の低さに悩んでいたのです。
当初はネイティブアプリへの誘導を試みましたが、「ダウンロードしてもらうまでのハードルが高い」「開発・運用コストが大きい」といった問題もあり、PWAの採用に至っています。
読み込み時間を75%短縮・通知開封率31%を達成
導入の結果、サイトの読み込み時間を約75%短縮することに成功し、さらに、新着物件をプッシュ通知で素早く届けられるようになり、通知の開封率は31%まで伸びました。
PWAの導入により、アプリのダウンロードを促さなくても、ウェブサイトから直接ユーザーを呼び戻すこと(再エンゲージメント)に成功しています。
参照:Suumo
Alibaba.com(アリババ)
PWAは、世界最大級のB2Bオンライン取引サービス「Alibaba.com」にも導入され、大きな成果を上げています。
アプリダウンロードの手間による離脱が課題
同社のモバイルユーザーは、ブラウザから商品を探し始めることがほとんどです。しかし、取引を進めるにはアプリのダウンロードが必要でした。つまり、ユーザーの行動をアプリのダウンロードの工程で止めてしまう仕組みが、離脱の大きな要因になっていたのです。
コンバージョンを76%増加・リピート利用率4倍向上
PWAを導入した結果、コンバージョン(サプライヤーへの問い合わせなど)が76%増加しました。さらに、ホーム画面に追加したユーザーの利用率は4倍に向上し、特にAndroidのアクティブユーザー数は30%増加するなど、高い効果が得られています。
参照:Alibaba
日本経済新聞 電子版(日経電子版)
「日本経済新聞 電子版」は、アクセススピード向上のため2017年11月にPWAを導入しました。
モバイルサイトの読み込み遅延と離脱率の高さが課題
同社はスマホの普及にともない、モバイルトラフィック(携帯端末からのデータ通信量)は急増していました。しかし、サイトが安定して操作可能になるまでに約20秒、モバイルユーザーの53%が読み込みに3秒以上かかる状態でした。この遅延が、ユーザー離脱を招いていました。
パフォーマンスとコンバージョンが大幅に向上
PWA導入の結果、サイトの速度を示すスコア(Lighthouse)が23から82に急上昇しました。ビジネス面でも大きな効果があり、オーガニックトラフィックが2.3倍に増加、コンバージョン(サブスク購読)が58%増加、1日のアクティブユーザーも49%増加という成果を上げています。
参照:日経がマルチページPWAで新たな品質とパフォーマンスを実現
PWAの開発を支える技術スキル

PWA導入事例に見られるように、サイトの高速化やユーザー体験の最適化には、最新のWeb技術を実装できるエンジニアの力が必要です。
PWA開発では、JavaScriptやWeb API、パフォーマンス最適化などの知識が求められます。また、ユーザー行動分析やパーソナライゼーションなど、データ活用の場面ではAIや機械学習の知識も役立ちます。
AIエンジニア育成講座では、Webと連携しやすいPythonを用いたAI実装や、データ分析スキルなど、現代のWeb開発に必要な技術を実務レベルで習得できます。
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PWAについてまとめ
PWAは、Googleが提唱した、ウェブとアプリの魅力を融合する次世代技術です。アプリのような滑らかな操作性と、サイトの手軽さを兼ね備え、AIエンジニアを中心に注目を集めています。
iOSでの制約など課題もありますが、それを超えてなお、PWAは次世代のウェブ体験を切り開く存在といえるでしょう。






