自然言語処理とは?AI開発・情報解析に欠かせない自然言語処理を解説

こんにちは、AI研究所の三谷です。
今回は自然言語処理について解説していきますが、普段はまったくと言っていいほど意識されていない分野です。
例えば、キーボードを使ってかなを入力した後に漢字交じり文へ変換を行う、「かな漢字変換」などの機械翻訳を利用したことはありませんか?
このように自然言語処理はとても身近な技術で、気づかないうちに日常生活に多大な恩恵を与えているのです。
今回はそんな自然現処理について解説していきます。

自然言語処理とは

自然言語処理とは

情報科学の分野ではプログラム言語などの人工言語に対して、歴史的経緯を経て自然発生的に形成された日本語や英語のような人間が使う言語を自然言語と呼びます。
この自然言語をコンピューターに処理させようとする一連の技術を自然言語処理といいます。
よくNatural Language Processingの頭文字をとって、NLPと言われたりもします。
人工知能と言語学の一分野には「計算言語学」というものがあります。
自然言語処理はこの計算言語学との類似もあるのですが、自然言語処理は工学的な視点からの言語処理をさすのに対して、計算言語学は言語学的視点を重視する手法をさす事が多いです。
またデータベース内の情報を自然言語に変換したり、自然言語の文章をより形式的な表現に変換するといった処理が含まれます。
自然言語処理は形態素解析と構文解析、文脈解析、意味解析などをシンタックスなど表層的な観点から解析をする学問です。
人間とコンピューターの間の対話インタフェースとして、自然言語がもし使えたら非常に便利であるということもあり、コンピューターの登場初期(1960年頃)には自然言語処理にある種の過剰な期待もありました。
ですが初期のシステムが限定的な世界でうまくいったことで、すぐ楽観的な見方や期待が出てきましたが、現実を相手にする曖昧さや複雑さがわかるとその勢いは収まりました。
また何が簡単で何が難しいのか、といったようなことはなかなか共有されなかった為、自然言語処理の進展も遅いものとなりました
ですがやがてコンピューターの発展とともに、「音声認識による便利なシステム」が多くの人に利用されることとなります。
自然言語処理の何が簡単で、どういう事に使うのは難しいのかが理解されるようになりつつあります。
自然言語理解は、AI完全問題と言われることがあります。
なぜなら、自然言語理解には世界全体についての知識とそれを操作する能力が必要と思われるためです。
将来的には可能となるかもしれませんが、ハードウェア・ソフトウェア的にも超えなければならないハードルはかなりのものと思われます

自然言語処理の流れ

自然言語処理は文章を完成させるのが最終目標となっています。
その文章を完成させるために、大体下記4つの工程を経て組み立てていきます。

  1. 形態素解析・・・最小単位を表す
  2. 構文解析・・・それぞれをつなぎ合わせる
  3. 意味解析・・・つなぎ合わせたかたまりが全体のどこにいるか確認する
  4. 文脈解析・・・全体を見て最終調整をする

といった流れで自然言語処理は行われます。
形態素解析、構文解析、意味解析、文脈解析の4つの手順を踏まえて、自然言語は機械言語へ変換され、データとして利用することが可能になります
今回は基本に触れるだけですので、詳しい解説は割愛させていただきますが、このような流れになっているんだなと思ってもらえれば十分です。
仕組みは複雑ですが、コンピューターの性能が向上した現代ではさまざまなライブラリ・ツールを活用して効率よくデータ化できます。
Pythonなどのプログラミング言語の人気も相まって、さらなる活用が注目されています。
形態素解析のやり方に関しては下記記事で解説しています。

形態素解析をして日本語の文章を単語区切りにする方法

また、自然言語処理の入門を動画で分かりやすく学びたい方は下記動画がおすすめです。

自然言語処理における課題

自然言語処理における課題

自然言語処理における課題として以下のようなものがあり、それぞれ研究が進んでいます。
ここでは軽く触れる程度の紹介ですので、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

自然言語処理の課題①形態素解析

中国語、日本語などの分かち書きをしない言語の解析などに利用されます。
実際にはPythonでMeCabを使用して形態素解析を実施することもあります。(形態解析器にはいくつか種類がありますがMeCabは特に処理が高速のため、よく用いられるツールです。)

自然言語処理の課題②音声における形態素解析

話し言葉の場合、単語の区切りなどは短くなると前の音とつながった単語の分離など。

自然言語処理の課題③語義の曖昧性

単語の持つ複数の意味の適切な使い分け。

自然言語処理の課題④構文の曖昧性

1つの文には複数の構文木を持つ場合など。

自然言語処理の課題⑤不完全な入力や間違った入力

主語の省略によるものや、スキャンしたテキストの読み取り精度など。

自然言語処理の課題⑥言語行為

問いに対する答えに対しての回答が複数のとらえ方ある場合など。
自然言語処理は長い文になればなるほど、解釈の組み合わせが指数関数的に増大していき、処理が困難となります。そのような場合、確率論や統計学手法を使い何らかの解決策を与えようとするのが統計的自然言語処理です。
統計的自然言語処理の起源は、人工知能の中でもデータからの学習を研究する分野である機械学習やデータマイニングといった分野です。
統計学的自然言語処理ではコーパス言語学やマルコフ連鎖といった方法が使われます。

自然言語処理の活用事例

自然言語処理の活用事例として、以下のような技術が研究・開発され、実用化しています。

  • 自動要約生成
  • 情報抽出
  • 情報検索
  • 検索エンジン
  • 概念検索
  • 機械翻訳
  • 翻訳ソフト
  • 固有表現抽出
  • 自然言語生成
  • 光学文字認識
  • 質問応答システム
  • 音声認識
  • 音声合成
  • 校正、スペルチェッカー
  • かな漢字変換

こうして見ると周りの様々なものに自然言語処理が使われていることが分かりますね。
人の役割を代替するAI(人工知能)を実現するために、自然言語処理技術は必須のものといえます。
映画や漫画に登場するロボットやAIは、そのほとんどが自然言語によるインタフェースを備えていますし、自身で様々な学習を行い、知識も習得していきます。
また日常的な会話においても受け答え可能となっていて、身近な存在として描かれています。

自然言語処理についてまとめ

今回は自然言語処理の基礎についてご説明しましたが、この領域は急速に発展しています。
特に自然言語処理において重要とされているのは、文章の情報をどれだけ保持したままベクトルに落とし込むか、というポイントです。
単語の語順や単語の種類、文章の流れまで考慮してベクトルに落とし込む技術も登場しています。
本記事を読んで自然言語処理に興味を持たれた方は是非、色々と調べていただければと思います。
今後もコンピューターの発展とともに自然言語で会話できるAIの登場が期待されます。