AWSは世界中の企業や個人に広く活用されており、今やエンジニアだけでなく、ビジネスパーソンにとっても重要なスキルになりつつあります。クラウドの知識があれば、業務の効率化や新しいサービスの開発など、さまざまな場面で活かせるでしょう。
この記事では、AWSで始めるクラウド入門として、AWSの特徴や主要サービス、学習ロードマップを分かりやすく解説します。
AWSの基本を理解し、実際に使いながらスキルを習得する方法が分かるので、これからAWSを学びたい方はぜひ参考にしてください。
AWSの特徴
AWSは、世界中の企業や個人に広く利用されているクラウドコンピューティングサービスです。ここではまず、AWS入門として、主要な特徴について紹介していきます。入門者にとっては少し難しく感じるかもしれませんが、ポイントを押さえておくことでAWSの理解が深まり、学習をスムーズに進めることができるでしょう。
特徴①柔軟性と拡張性が高い
AWSは、必要に応じてリソースを増減できる柔軟性と、ビジネスの成長に合わせて拡張できるスケーラビリティの高さが特徴です。
例えば小規模な開発環境から始め、トラフィックの増加に応じてサーバー台数を増やすことが可能です。また、負荷分散や自動スケーリング機能を活用すれば、ピーク時でも安定したパフォーマンスを維持できます。
このように、コストを最適化しつつビジネスの成長に合わせてシステムをスムーズに拡張できるのが、AWSの大きなメリットです。
特徴②多様なサービスが提供されている
AWSは、クラウドプラットフォームとして幅広いサービスを提供している点も大きな特徴です。コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークといった基本的なインフラ系サービスだけでなく、機械学習、IoT、セキュリティ、ゲーム開発向けのツールなど、業界や用途に特化した多様な機能も備わっています。
例えば、EC2(仮想サーバー)やS3(ストレージサービス)は多くの企業が活用しており、サーバーレスコンピューティングを実現するLambdaも人気です。また、データ分析向けのRedshiftやAI・機械学習向けのSageMakerなど、特定分野に特化したサービスも充実しています。
特徴③無料で試せる
AWSは、多くのサービスを無料で試せる「AWS Free Tier(無料利用枠)」を提供しており、初心者から企業まで気軽にクラウドを体験できます。無料枠には「常時無料」「12か月無料」「短期間の無料トライアル」の3種類があり、それぞれ異なるサービスを試すことが可能です。
例えば仮想サーバーのEC2やストレージサービスのS3は、12か月間無料で利用できます。また、AI開発向けのSageMakerやデータベースのRDSなど、一部のサービスは一定の時間や回数制限付きで無料体験が可能です。これにより、開発者や企業はコストを気にせずAWSの機能を検証し、自社の用途に合うかを判断できます。
特徴④強固なセキュリティ対策を備えている
AWSはクラウド業界でもトップクラスの強固なセキュリティ対策を提供しており、企業が安心して利用できる環境を整えています。
AWSの代表的なセキュリティ機能を挙げてみましょう。
種類 | 内容 | 詳細説明 |
---|---|---|
アクセス管理・認証 | AWS Identity and Access Management(IAM) | ユーザーやサービスごとにアクセス権限を設定できる機能。最小限の権限で運用する「最小権限の原則」を実践できる |
ネットワークセキュリティ | AWS Web Application Firewall(WAF) | SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)など、Webアプリケーションへの攻撃をブロックできる |
データ保護・暗号化 | AWS Key Management Service(KMS) | AWS上のデータを暗号化し、安全に管理できる機能。データの漏洩リスクを軽減できる |
監視・脅威検出 | Amazon GuardDuty | AIを活用して、不正アクセスや不審なアクティビティを自動検出し、セキュリティリスクを警告してくれる |
コンプライアンス・認証 | ISO 27001やSOC 2などの認証取得 | AWSは、国際的なセキュリティ基準をクリアしており、企業が安心して利用できる環境を提供している |
このように、AWSは企業のデータやシステムを守るための万全なセキュリティ対策を備えているのが大きな強みです。
特徴⑤世界中にデータセンターを持っている
AWSは、世界中に多数のデータセンター(リージョンとアベイラビリティゾーン)を展開しており、利用者は地理的に最適なデータセンターを選んでサービスを利用できます。
リージョンとは、特定の地理的エリアに設置されたデータセンターの集合体を指し、アベイラビリティゾーン(AZ)は、その中に存在する独立したデータセンター群を指します。AWSは、1つのリージョン内に複数のAZを配置し、システムの冗長性を確保することで高可用性(HA)を実現しているのです。
なお、日本には東京リージョン(ap-northeast-1)と大阪リージョン(ap-northeast-3)の2つのAWSリージョンが存在します。東京リージョンはアジア圏の主要拠点の一つで、多くのAWSサービスを利用可能です。一方、大阪リージョンは西日本の企業向けに提供され、災害対策としての役割も大きいとされています。
特徴⑥入門者向けの学習リソースが充実
AWSでは、入門者でも学びやすいように豊富な学習リソースが提供されているのも特徴です。公式の無料トレーニングから実践的なトレーニング、認定資格まで、多様な学習方法が用意されているため、目的やレベルに応じてスキルを習得できます。
代表的な学習リソースとして、次のようなものがあります。
- AWS Skill Builder(AWSが提供する公式のオンライン学習プラットフォーム)
- AWS Hands-on Tutorials(ハンズオン形式のチュートリアル)
- AWS認定資格
- AWS公式イベント・ワークショップ
- 日本語のドキュメント・ブログ
このようにAWSは入門者でも学びやすい環境を整えており、独学でもクラウドの基礎をしっかりと習得できるのが魅力です。
AWS入門レベルから短期間で実務に直結するスキルを習得したい方は、「AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー」への参加をぜひご検討ください。わずか2日間で基礎から応用操作までを体系的に学べるため、インフラ構築の実践力を身につけることができます。
AWSの主要サービスと活用方法
AWSには、クラウド環境での開発や運用に役立つ多彩なサービスが用意されています。ここでは、AWSの主要なサービスと、その具体的な活用方法について紹介します。
Amazon EC2
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)は、AWSが提供する仮想サーバーサービスです。必要なときにサーバーを起動し、CPUやメモリなどのリソースを自由に設定できるため、柔軟なクラウド環境を構築できます。
従量課金制を採用しており、使用した分だけ料金が発生するため、コストを抑えながら運用できるのが特徴です。
活用方法としては、Webアプリケーションのホスティングや、開発・テスト環境の構築が挙げられます。また、機械学習やデータ分析の計算リソースとしても利用され、高性能なGPU搭載インスタンスを活用することで、大量のデータ処理が可能になります。
Amazon S3
Amazon S3(Simple Storage Service)は、AWSが提供するオブジェクトストレージサービスです。テキストや画像、動画などのあらゆるデータをクラウド上に保存でき、高い耐久性とスケーラビリティを備えています。
保存したデータはインターネット経由で簡単にアクセスでき、セキュリティ設定も細かく制御可能。「99.999999999%(イレブンナイン)」の高い耐久性を誇り、データの消失リスクがほとんどないのも魅力です。
主な活用方法として、Webサイトの画像・動画の保存、バックアップや災害対策(DR)、データ分析のためのデータレイク構築などが挙げられます。利用状況に応じて低コストなストレージクラスを選択することで、コスト最適化も可能です。
Amazon RDS
Amazon RDS(Relational Database Service)は、AWSが提供するマネージド型のリレーショナルデータベースサービスです。MySQL、PostgreSQL、MariaDB、Oracle、SQL Server、Amazon Auroraなど、主要なデータベースエンジンをサポートしており、データベースのセットアップ、運用、スケーリングを自動化し、管理の手間を大幅に削減できます。
主な活用方法として、Webアプリケーションのデータ管理、業務システムのデータベース運用、データ分析基盤の構築などがあります。バックアップの自動取得や障害発生時の自動復旧機能も備えており、高可用性と耐障害性を確保できるのが特徴です。
AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバーを管理せずにコードを実行できるサーバーレスコンピューティングサービスです。インフラのセットアップや管理が不要で、イベントが発生したときに自動的にコードが実行されるため、効率的なアプリケーション開発が可能になります。
主な活用方法として、Webアプリのバックエンド処理、画像や動画の自動変換、データのリアルタイム処理、システム間の連携(ETL処理)などがあります。例えば、ファイルがAmazon S3にアップロードされたときに自動で処理を実行したり、API Gatewayと組み合わせてサーバーレスのAPIを構築したりできます。
AWSを活用すれば、入門者でも実にさまざまなことが可能です。AWSでできることについて興味がある方は、こちらの記事も参考にしてください。
AWS入門者におすすめの学習ロードマップ
AWSを効率よく学ぶためには、段階的に知識を身につけることが大切です。ここでは、AWS入門者が無理なく学習を進められるように、基礎から実践までのロードマップを紹介します。
①クラウドとAWSの基礎を理解する
AWSを学ぶ第一歩として、クラウドの基本概念とAWSの仕組みを理解することが重要です。クラウドコンピューティングとは何か、オンプレミスとの違い、AWSの特徴やメリットを押さえることで、今後の学習がスムーズになります。
まずは公式サイトの「AWSクラウド入門」や「AWS Skill Builder」の無料コースを活用し、AWSの基礎知識を習得しましょう。
この段階で、AWS認定の一つである「AWS Certified Cloud Practitioner」の学習を始めるのもおすすめです。AWSの基本概念を体系的に学ぶのに適しているため、AWSを使う上での土台を固めることができます。
②AWSアカウントを作成する
AWSを実際に触って学ぶために、公式サイトからAWSアカウントの作成を行いましょう。AWSには無料利用枠が用意されており、初心者でもコストを気にせず学習を進められます。
アカウント作成後はAWSマネジメントコンソールにログインし、無料枠の対象サービスを確認します。また、セキュリティ対策としてIAMユーザーを作成し、ルートアカウントの使用を避けるのも重要なポイントです。
③無料利用枠で学習用環境を立ち上げる
AWSを学ぶためには、実際にサービスを使ってみるのが最も効果的です。無料利用枠を活用し、EC2(仮想サーバー)やS3(ストレージ)などの主要サービスを利用してみましょう。
入門者におすすめのサービスを次の表にまとめました。表を参考に学習環境を構築し、実際に操作しながらAWSの仕組みを理解していきましょう。
サービス名 | 概要 | 学習ポイント |
---|---|---|
Amazon EC2 | 仮想サーバーを構築できる | サーバーの起動・接続・設定を体験 |
Amazon S3 | クラウドストレージサービス | バケット作成、データ保存、公開設定を学ぶ |
Amazon RDS | マネージド型のリレーショナルデータベース | データベースの作成・接続・クエリ実行 |
AWS Lambda | サーバーレスでコードを実行 | コードの自動実行を試す |
Amazon CloudFront | コンテンツ配信ネットワーク(CDN) | キャッシュの仕組みを学ぶ |
④公式ドキュメントや学習コンテンツで学習する
AWSには、初心者向けの学習コンテンツが豊富に用意されています。まずは公式ドキュメントや「AWS Skill Builder」「AWS Hands-on Tutorials」のような無料のオンライン教材を活用し、実際に触りながら基本的な知識を身につけましょう。
また、「AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー」のようなセミナーに参加して学ぶのも効果的です。短期間で実務に直結するスキルを習得でき、オンライン開催のものもあるため、効率よく学習を進められるでしょう。
⑤簡単なプロジェクトを構築してみる
基礎知識を身につけたら、実際にAWSを使って簡単なプロジェクトを構築してみましょう。実践を通じて学ぶことで、サービスの理解が深まり、実務にも活かせるスキルが身につきます。
おすすめの簡単なプロジェクト例をいくつかご紹介します。
概要 | 組み合わせ例 | 概要 |
---|---|---|
静的Webサイトをホスティング | S3+CloudFront |
|
簡単なWordPressサイトを構築 | EC2+RDS |
|
サーバーレスで画像処理 | S3+Lambda |
|
このような小規模なプロジェクトを実際に作ることで、AWSのサービスを連携させる感覚がつかめます。最初はシンプルなものから始め、徐々に規模を大きくしていくと、より実践的なスキルを習得できるでしょう。
⑥AWS認定資格の学習する
AWSの知識を体系的に身につけ、実務に活かすためにAWS認定資格の取得を目指すのもおすすめです。AWS認定資格は基礎から専門レベルまで幅広い試験が用意されており、学習の指針として活用できます。
学習方法としては、AWS公式の模擬試験やドキュメントを活用するのがおすすめです。また、有料のオンライン講座を受講したり、実際にAWS環境で手を動かしながら理解を深めたりするのも効果的でしょう。
資格の学習を通じてAWSの概念やベストプラクティスを体系的に学べるため、スキルの証明だけでなく、実務でも役立つ知識が得られます。まずはクラウドプラクティショナーから挑戦し、徐々にステップアップしていきましょう。
こちらの記事では、入門者にも分かりやすくAWS導入の手順を解説しています。併せて参考にしてください。
AWS認定資格とは
AWS認定資格は、AWSの知識やスキルを証明する公式資格です。クラウドの基礎から専門レベルまで幅広い分野が用意されており、取得することでAWSの理解度を深めるだけでなく、キャリアアップや業務での信頼性向上にもつながります。ここでは、AWS認定資格の概要や種類について詳しく解説します。
AWS認定資格の種類
AWS認定資格は、基礎レベルから専門レベルまで幅広く用意されています。入門者向けの種類としては、主に「クラウドプラクティショナー」と「アソシエイトレベル」があります。
「クラウドプラクティショナー」「アソシエイト」それぞれの資格の対象者、学習のポイントは次の通りです。
資格名 | レベル | 対象者 | 学習のポイント |
---|---|---|---|
AWS Certified Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー) | 基礎 | AWS初心者・IT未経験者向け | AWSの基本概念やサービス、クラウドのメリットを学べる |
AWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA) | アソシエイト | AWSを使ったシステム設計に関わる人向け | AWSアーキテクチャ設計のベストプラクティスを理解する |
AWS Certified Developer – Associate(DVA) | アソシエイト | AWS上でアプリ開発を行うエンジニア向け | AWS SDKの使い方やサーバーレス開発の知識が求められる |
AWS Certified SysOps Administrator – Associate(SOA) | アソシエイト | AWSの運用・管理を担当する人向け | 監視や自動化、ネットワーク構成の最適化を学べる |
AWS初心者や非エンジニアの方は、まずクラウドプラクティショナーを取得するのがおすすめです。エンジニアとしてAWSを使いたい方はSAA(ソリューションアーキテクト)が最適ですし、開発経験があり、AWSを活用したアプリ開発を学びたい方であればDVA(デベロッパー)を選ぶと良いでしょう。
その他のAWS認定資格について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
AWS認定資格を取得するメリット
AWS認定資格を取得することで、クラウドに関する知識やスキルを体系的に身につけられるだけでなく、キャリアアップや業務での信頼性向上にもつながります。AWSを活用する企業が増えている今、資格を持つことは大きな強みにもなるでしょう。
AWS認定資格を取得する主なメリットを以下に挙げてみます。
- クラウドの基礎から応用まで体系的に学べる
- 転職やキャリアアップに有利
- 業務の効率化ができる
- AWSスキルの証明になる
- 企業やチーム内での信頼性が向上する
- AWS認定者向けの特典が受けられる
AWS認定資格は、知識の習得だけでなく、実務やキャリア形成にも役立つ価値の高い資格です。AWSを活用する機会が多い方は、ぜひ取得を目指しましょう。
AWS入門から実践的な学習を始めよう
AWSは、入門者でも学びやすい環境が整っており、無料利用枠を活用した公式ドキュメントやチュートリアル、認定資格などを通じて、効率的にスキルを習得できます。特にAWS認定資格は知識の体系化やキャリアアップにもつながるため、実務でAWSを活用したい方は、資格の取得を目指して学習を進めましょう。
短期間で実務に直結するスキルを習得したい方は、「AWSで始めるインフラ構築基礎セミナー」への参加をご検討ください。初心者向けにインフラ構築の基礎から応用までを学ぶことができ、オンラインでも参加できるため、効率よく学びたい方におすすめです。
